土曜日, 12月 29, 2007

Thanks! 神様、仏様、ご先祖様

 申請書を書き続けること6回。今年、初めて学振に合格した。僕はボーダーラインだったので面接試験を受けて、やっとこさのパス。優秀な人(業績の多い人)たちは書類審査だけで合格が決まる。昨年度の工学分野の採用者は35/449なので、採択率は8%以下という狭き門。しかも、年々PDの学振は人数が減らされているので、今年受かったのは幸運だった。これでやっと研究者として自立するためのスタート地点にたった。さて、これからだ。
 学振になったからといって別に何かが変わるわけではない。こういう時こそ、謙虚に学ぶ気持ちを忘れないようにしたい。今日はご褒美に足裏でももまれに行こうかな。

土曜日, 12月 22, 2007

EUREKA beta公開

ここ3年、電通大と共同で鳥類の歌文法の解析方法を研究してきた。Angluinが提案した正例からの極限同定の手法を実データに応用するというものだ。これはACALに一緒に行った柿下君とずっとアイディアを出し合って、研究を進めてきた。最近はこれだけでは物足りなくなって、動物の行動系列に潜む情報構造を明らかにする、そんな学問をEthoinformaticsという名前でやりたいと考えている。そのための道具として、EUREKAというソフトを電通大の学生たちと作っている。本当は10月には公開する予定だったが、遅れに遅れてやっとベータ版を昨日公開した。[link] まだ全然納得のいく出来ではないが、とりあえずは打ち上げなければという気合いだけでここまで来た。
 EUREKAは、Ethoinformatical Utilities for Rule Extraction and Knowledge Acquisitionの略。もちろん本当は、アルキメデスがアルキメデスの原理を発見したときに叫んだとされる「エウレカ!(我発見せり!)」を先に思いついて、後からこじつけた。でも、なかなかのネーミングだと気に入っている。現段階では名前負けしている。これからだ。EthoinfomaticsとALifeを生業として食っていける研究者になりたい。

月曜日, 12月 17, 2007

したたかな生命

 今年は、ビリーズ・ブートキャンプや「でも、そんなの関係ねぇ」が流行った。その裏で生命に関する本が密かに流行った年でもある。以前紹介した「生物と無生物のあいだ」は、この類の親書では異例の大ヒットとなった。それ以外では、池上さんの「動きが生命をつくる」や今回紹介する北野宏明さんの「したたかな生命」などの良書が世に出た。
 北野さんと直接面識はないが、システムズ・バイオロジーの提唱者であることや人工生命の初期に関わっていたということは知っていた。この本では、ロバストネス(頑健性)という視点から、生命システムの特徴を述べている。大腸菌、癌細胞、ジャンボジェット機、インターネット、このようなシステムに共通するのがロバストネス、そしてこれとトレードオフの関係にあるフラジリティー(脆弱性)である。ロバストネスには次の4つが大事だと説く。

1. システム制御
2. 対故障性
3. モジュール化
4. デカップリング

 そして、研究者によっては進化的な視点がごっそり抜けているか修辞的に言及されるのみだが、本書ではロバストネスと進化可能性についても考察している。これだけ抽象的な概念を一般向けにここまでわかりやすできる北野さんはすごい。自己拡張共生による進化という自説を披露しているが、パブリッシュしている論文に基づいているのには感心する。それ以外の文献もしっかりしている。頭を整理するにはとてもよい本だった。北野さんは、現在も大きなプロジェクトを率いてがつがつ研究しているようだ。すごい。



月曜日, 12月 10, 2007

猫、利己的な肉球

 久しぶりに本の紹介。迷わず購入したネコ好きが気になる50の疑問。 この本では、Webリサーチで集めた50の質問に答える形で、猫に関するWhyや猫の飼い方のHow toが書かれている。「科学的視点でネコの気持ちを理解する」と帯にあるが、科学的に厳密というわけではない。ふんふんなるほどと思える所もある し、ほんとかなあと思える所もあるが、気軽に読めるので良い。ふんだんにある猫の挿絵はかわいくてとても良い。

 献立はこんな感じ。

  1. 体の疑問
  2. 行動の疑問
  3. 心の疑問
  4. 飼育の疑問
  5. ネコを飼っていない人の疑問
電車の中で読んだり、ちょっとした小旅行の際に携帯するにはもってこいだろう。猫好きの方はぜひ。ちなみに、姉妹版でイヌ好きが気になる50の疑問というのもあります。今度読んでみます。

日曜日, 12月 09, 2007

Wildlife Currumbin Sanctuary

 オーストラリアといったら、やはりカンガルーとコアラさん。彼らに会わずして日本に帰れるかと、早起きをしてWildlife Currumbin Sanctuaryに行ってきた。入園してまずびっくりしたのは、名物ロリキートの餌付け。下のビデオは、餌をもっている僕にロリキートがたかっている場面。とにかく、うるさくて痛い。一日二回、こうして野生のロリキートを餌付けしているそうだ。



 ミニトレインで園内をぐるっとしてお目当てのカンガルーさんの所へ行った。カンガルーたちが大勢いたが、みんなぐったりと横たわっていてオッサンくさい。ピョンピョン跳ねている姿は全く拝めず、みんなのそのそ四足歩行。ありゃりゃ。


 一方、スター・コアラさんはといえば、ユーカリの木でお休み中。「Zzzz.....。」 時々、木から木へぴょんとジャンプしたりする。案外身のこなしが軽いのね。
 
 檻はほとんどなく(もちろん、ワニは檻の中です。)、自然に近い状態で動物に見たり触れたりすることができる。ここまでで自然な動物園は初めてだ。入園料による収益はすべて動物自然愛護に還元されるとのこと。とても素敵な動物園でした。ゴールドコーストへ行った際はぜひ。










ゴールドコースト滞在記

 国際会議ACAL2007に参加するため、12/2-7の間、オーストラリアのゴールドコーストに行ってきた。真冬の日本とは対照的にこちらは真夏。電通大の柿下君とさっそく初日にビーチで泳いだ。サーファーズパラダイスの名前通り、波が高くて強く、素人が泳ぐにはちょっとレベルが高かった(目の保養にはなったけどね :-) 。
 ゴールドコーストは、退職したセレブたちが余生を過ごしたい場所として有名だが、確かに街はきれいで穏やかのんびりとしていて、その気持ちがわかる。オーストラリア屈指の観光地なので、街には日本語の表示があふれている。食事もおいしいので困ることは全くない。物価が異常に高いことを除けば。右の写真は、ホテルのベランダからの眺め。
 さて、肝心の会議といえば、ALifeの会議のはずなのにほとんどALifeの話がない。むしろ、ALifeで使われている方法を実問題に適用しようというようなスタイルの研究が主だった。主流なのは最適化の話題。論文の採択率が30%なのでレベルが低いわけではないが、どうも僕には合わなかった。オーストラリア大陸で独自の進化を遂げた有袋類と同様、ALifeも独自の進化を遂げているらしい。会議よりも興奮したのは、Wildlife Currumbin Sanctuaryという動物園。これについては別途書きます。
 最後に下の写真は、柿下君と東大池上研の松野さんと、鉄板焼きを食べた後にカフェでまったりしているところ。ゴールドコーストは本当に良いところでした。

 

木曜日, 11月 29, 2007

 学会やセミナーの発表は慣れっこになって緊張することはなくなったが、昨日の面接は久しぶりに緊張した。ただし発表が始まってしまえば、いつも通り落ち着いて発表することができた。発表はまずまず。
 質疑応答のできはよくわからない。工学は審査員の専門分野がまちまちなので、結果は審査員のメンバー構成に大きく左右される。場をしきっていた審査員のちんぷんかんぷんの質問にトラップされたのが気になるが、その他にはちゃんと答えられたように思う。何を答えても納得しない審査員にどう対応したらよいのかまたも苦心したが、きっとこのような経験は何かにつけ味わうことになるのだろう。(工学者相手の)面接はすっかりきらいになった。反省点はあるがやれることはやった。あとは、神様、仏様。
 

水曜日, 11月 28, 2007

ミラバケッソが気になる

 最近よく見るクラレのCM、ミラバケッソが気になる。[link] ミラバケッソという言葉が、意味不明のままある文脈のもとでひたすら使用される。そして、最後に語源が明らかにされる。「未来に化ける新素材」から来ているそうだ。その不思議な世界観と人物設定(例えば、「ミラ♡」「バケッソ♡」といちゃついている訳ありげなカップルとか)が脳の変なところを刺激する。
 さて今日は、午前は大学で講義をして、午後は学振の面接。面接はいわば敗者復活戦。4分間の発表と6分間の質疑応答で僕のミラバケッソが決まる。

土曜日, 11月 24, 2007

SFNとUCLAでのセミナー

SFNの帰りの機内で書いた文章を発掘したので、遅ればせながら載せることにします。

 またしても飛行機の機内で文章を書いている。東京-LA間は行きは9時間半、帰りは12時間半かかる。特に帰りは気が抜けているし、早く日本に帰りたいので機内で過ごす時間が長く感じる。
 今回のSFN2007UCLAでの発表とディスカッションは、とても実りのあるものだった。SFNでは文法解析に興味のある人が見に来てくれて白熱した議論になった。うまく説明できたものもあるし、そうでないものもあるが、それなりに研究の宣伝にはなった。
 テイラーラボ@UCLAでのセミナーはとても豪華なメンバーで、オーガナイズをしてくれた生態学のアレックス、キンカチョウを研究しているホイットニー、理論言語学者のエド。自分が発表するには理想的なメンバーだった。自分でもまだうまく説明のできない部分をエドが的確に突っ込んできた。エドは、「君の問題提起と結論は十分面白いから、それをディフェンスするにはここを詰めた方が良い」というようなお父さん的意見をくれた。これまで、生物学者と情報理論の人に挟まれ一方的に攻撃されることが多かったので、とてもうれしかった。(そのあと書いたメールには答えてくれなかったが。)これまでセミナーをしたなかで、一番自分の話が通じたのではなかろうか。UCLAのキャンパスはとても大きく、アート作品のあるあたりを散歩して楽しんだ。写真はライス講堂とキャンパス内にいたおデブなリス。パンツをはいるみたいに見える。

日曜日, 11月 18, 2007

ぬくぬくベティ


最近ものすごく寒い。夜型で冷え症で寝起きの悪い僕は、冬が一番嫌いだ。土日など昼過ぎまで寝てしまうと、うかうかしてるとすぐ夕方になり暗くなってしまう。お天道様が恋しい季節だ。
 昨日、理研から帰る途中、久しぶりにベティを見かけた。守衛さんの横にちょこんと座って、ちゃっかりとストーブで暖をとっていた。守衛さんによるとつい10分前にふらふらやって来たそうだ。ベティーはストーブで暖をとり、守衛さんはそんなベティーを見て暖をとっている。

マックとエクセル

 理研にはベティー以外にも多くの猫たちがいる。今日紹介するのは野性味溢れる茶系の二匹の猫。その名は、じゃじゃん、マックエクセル。あれっ、もしかして、MacとExcelですか...。研究者のネーミングセンスとはこの程度です。お昼休みに猫たちを可愛がっていたお兄さんが言っていたので、きっとみんなそう呼んでいるのだろう。僕の研究室では茶トランと可愛い名前が定着しつつあったが、理研マジョリティーは写真手前をマック、奥をエクセルと呼ぶらしい。
 そしてお兄さんによると、以前紹介した三毛の猫は、「アップル」という名前なのだそうだ。 そうなると、次にやって来る猫は「アイポッド」?はたまた「パワポ」、あるいは外人風に「PPT」か。むむむ、もうちょっとにゃんこの特徴を捉えましょう!
 上の写真は、買い物袋をカサカサさせて、「餌をあげる風な俺」を装って、猫たちを呼んだところ。マックは袋の「カサカサ」に弱い。何とも野性味を感じる猫たちだ。猫はかつてハンターだったのだということを思い出させてくれる。そうこんな感じ。

日曜日, 11月 04, 2007

シロクマの水面下の戦い

 バルボアパーク内にあるサンディエゴ動物園に行ってきた。園内はまる一日かけても回りきれないぐらい広く、動物も800種、4000頭近くいる。一番興奮したのが、シロクマが水中の中で(じゃれて)戦っている場面。

ちゃんと水槽の中が見えるようになっているので、シロクマが水中で立ち上がった時の巨大さを実感できる。このシロクマたちはなかなかの役者で、大勢のカメラ小僧たちの期待に応えて、ドラゴンボール顔負けのバトルを繰り広げていた。
 それからカバが水中で素早く動いているシーンも見ることができた。おっとりそうに見えて、実はワニ顔負けの強さを誇るという「カバ最強説」がささやかれるのも頷ける。

 よくテレビでは見かけるが、ボノボが道具を使って蟻塚のアリを食べている場面も目撃した。

サンディエゴ動物園で気に入った動物たちの写真をアップします。
まずは動物園の目玉のパンダ様。哀愁が漂っています。

次は、落ち込むシマウマ。「縞々してるからって、そんなに落ち込むなって。」
最後はかっちょいいネコ科の方々。上がトルクメニスタン・カラカル(山猫)で、耳の模様がツノみたいに見える。下が黒豹のオス。とても迫力がある。

土曜日, 11月 03, 2007

フライトの苦難

SfN2007に参加するために、今、飛行機に乗っている。あと3時間ほどでLAに着くというところで、この文章を書いている。今回の行きのフライトはとにかく最悪だった。まず、成田への到着が遅れて、カウンターに駆け込んだ時には既にLA行きの受付が閉め切られていた。係りの人に何とか入れてもらって、手荷物は預けることができずに出国手続きへ猛ダッシュ、33番ゲートへ駆け込んだ。どうも芸能人か何かがいるらしく報道陣が詰めかけていたが、それどころではなく飛行機の中へ。席を探したら、後方の窓際。トイレの近い僕には酷な席。
 それでも飛行機が予定通り飛ぶのであれば良しとしよう、と思っていたら、この飛行機めちゃくちゃ古い。読書灯は壊れてつかないし、ボリュームスイッチも壊れているので何もできない。出された食事油ギトギトのビーフで、食べ始めたと思ったらもう回収が始まっている。なんとも落ち着かない。
 もうどうにも耐えられなくなって、馬鹿バイオを開いてカタカタしている。窓の外にはきれいな星空が見える。このフライト唯一のご褒美か。人工光がないので、下級等星の星たちも1等星に負けないぐらいきれいだ。そして、バイオの液晶に一等星のような星(ドット抜け)が1つ浮かび上がっている。きっと今日のやじうま占いは大凶に違いない。帰りは良いフライトになりますように。

火曜日, 10月 30, 2007

勉強する世の中と勉強しない研究者

 写真は近所の白滝という呉服店。[link] 創業は嘉永6年(1853年)で、都内で一番大きな呉服店なのだそうだ。「勉強する世の中」と書かれている。「勉強する」とは「まける」という意味だろうが、思うように研究が進んでいない僕の目には象徴的に映った。僕はここのところ、文字通り「勉強していない」。
 工学系の審査員相手の面接や動物行動学会での発表以来、自分の話が通じないのは何故なのだろうと本当に悩んでいた。昨日、BSIの10周年記念イベントで説明員をしていて、その理由がわかったような気がする。「そうか、(悪気なく)はなから興味がないのだ。」 だから、どんなに「僕はこれが知りたいんだ」と熱く語ったところで、聞いた人たちは「、、、で?」という感じなのだ。ならば方針を切り替えて、相手の興味の土俵に入りつつ、でも自分の主張を述べられるように苦心しなくてはならない。その努力を怠れば、まったく実りのない時間を過ごすことになる。
 境界領域で踏ん張るのが自分の立場だと覚悟を決めのだから、それをやるのみだ。そのための心技体を地道に鍛えないと。プロ野球選手ですら毎日の素振を欠かさないのだから。

金曜日, 10月 26, 2007

小樽の喫茶店、はち

 ずっと書こう書こうと思っていて、そのままになっていた喫茶店をレポートします。
 物理学会で札幌に行ったときに、小樽に足を延ばした。ネットで調べたら、南小樽駅近くに素敵な喫茶店があるというので、小樽駅から散歩がてらここに行ってきた。お店の名前は「はち」。[link] 古い民家を改造した「古き良き時代」を思い起こさせてくれる木造の喫茶店です。珈琲は深入りでかなり苦め。でも、酸味がないのですっきりといただける。コーヒーの注文の仕方が独特で、「珈琲何グラム、お湯何グラム」というたのみ方をする。スイーツもおいしいとのことだったが、小樽のおいしいお寿司をたいらげた後だったので、注文しなかった。次回行く時はぜひ注文したい。苦めの珈琲がとても気に入ったので豆200gをひいてもらって、研究室のお土産にした。苦めにも関わらず、すっきり飲めるととても好評だった。

僕的採点
  • 珈琲: ☆☆☆
  • ケーキ: ?(食べなかったので)
  • 雰囲気: ☆☆☆

火曜日, 10月 16, 2007

地震、雷、誤字、脱字

科研費の書類を書くためにここのところ3日ぐらい徹夜して、昼夜逆転した生活をしていたためか、この時間にもかかわらず眠れなくてブログを書いている。本当のところは、ついさっき来たEVOLANG不採用の不幸の手紙(Email)とリポビタンDに入っていた無水カフェインのせいなのかもしれない。気がついたら、ブログを書くのが半月ぶりぐらい。忙しかったことを意味しているが、研究は何も進んでいないので、いったい何をやっていたのやら。とにかく頑張っていたことだけは覚えている。書類やらスライドやらをひたすら作っていた。
 最近のきつきつのスケジュールに体が悲鳴をあげている。来年はこんなにアホみたいに学会に行くのはよそう。進化学会、物理学会、基礎特研の面接、科研費2つ、集中講義2つ、動物行動学会、SFN、リトリート、そしてACAL。この3カ月ぐらいにこんな詰まっている。これでは研究が進むわけがない。自分は何がしたいのか。自分は何がしたくないのか。そのためにはどうすればよいのか。近視眼的ではいけないし、ただ嘆いていてもいけない。来年、再来年の今頃、この時期を振り返ったときに、今を笑い飛ばせればそれで良い。きっとできると信じている。
 

火曜日, 9月 25, 2007

小樽の三珍、そしてにゃんこ


今日は小樽を散策して来た。小樽運河のあたりの古い倉庫は、風雪に耐え歴史を刻んできた精悍な面構えをしている。近年はその近くに高層マンションが建ち、景観が損なわれているとの声が聞かれるが、ぜひあと何百年でも残してほしい。
 以下、小樽散策の途中で見つけた変な画像をアップします。まずはこれ。


オイッコラッ交番。「あなたは素敵なので逮捕します。」 いつの時代のギャグだ。そして、次はこれ、まりもっこり。


北海道では有名だそうだ。間違いなく北海道じゅうのPTAのおばさま方に怒られる。お客さんからのコメントには、「男運が上がった」と書いてあった。一応の御利益はあるようだ。次はこれ。


東急ハンズで売っているやつね。何のお店か分からない。そして、最後は小樽にゃんこ。何でも発情してこの近くのお店に住み着いたらしい。”とら”と呼ばれていた。そういえば、彼女の飼っている猫もとら。”とら”という名前をつけると”やや太め”になるのだろうか?

月曜日, 9月 24, 2007

狭かったり、暑かったり、寒かったり、うまかったりの北海道

 今回は物理学会で北海道に来ている。三連休なのと学会が複数あるらしく、どこのホテルも予約が全然出来なかった。カプセルホテルすら満杯で、発表前日はインターネットカフェで一夜を過ごすはめになった。最初はパーティションの狭さに息が詰まりそうだったが、ネットもできるしシャーワーもあるし、そんなに悪くなった。何日も滞在するは嫌だけど。
 学会会場の北大の教室はクーラーがなく、研究者がわんさか集まっていたので、中は蒸してとても暑かった。一方、外に出ると今度は長袖が必要なくらい寒く、その温度差だけで体力を消耗した。僕は、言語進化のモデルについて、ニューラルネットのセッションで発表した。明らかに僕の研究は浮いていたが、場の空気からすると興味をもたれたようだった。最後に質問をしてくれた上品なおじいさんは、ハーケンの本[link]を訳した岡山大の奈良先生だった。自分の勉強不足を実感し、ALife、動物行動学、情報科学などの分野との違いを改めて感じた。僕は”これらの間”で踏ん張らなくてはならない。
 学会3日目、池上さんが出した本[link]にサインをもらい、飯塚さんたちとスープカレーを食べに行った。最近、東京にも名店が進出して来ているが、やっぱり本場のスープカレーは個性があっておいしかった。昼に食べた味噌ラーメンもおいしかった。札幌には”おいしい”が詰まっている。
ところで、写真は北大の中にある明治時代の牛舎(重要文化財)。

水曜日, 9月 12, 2007

ついばみ-ポイ、ついばみ-ポイ

 窓の外でシジュウカラが鳴いている。彼にこんな質問をしてみたらどうだろう。
「あなたはなぜ鳴いているのですか?」
「ええ、私の遺伝子を次世代に着実に伝えるために、配偶者を、、、」
こうは答えないだろう。なぜ鳴いているのかって、それは鳴きたいから鳴いているのだろう.
 Singing by just enjoying it.  もちろんそれは、最終的には機能や進化など、適応の観点から究極要因を検討する必要があるだろう。しかし、動物行動の一挙手一投足に、適応という大鉈を振る必要があるだろうか?なぜジュウシマツは床敷を、ついばみ-ポイ、ついばみ-ポイ、するのか。きっと楽しいのだろう。
 適応を語る以前に程よい記述のレベルがあるのではないか。それが、著者がこの本を通して述べていること。つまり、動物の内部状態(ここでは、喜びや快感などの情動)を積極的に認めることで、動物行動の至近要因と究極要因の中間にある豊かな世界を、具体例とともに紹介している。そして、「6章 セックス 娯楽としての生殖活動」がすごい。「週刊何とか」よりもはるかにすごい。適応という言葉に辟易したら、たまにはこういう本も良い。

木曜日, 9月 06, 2007

iPod touch、何それー!

朝、暑くて目を覚ました。時計を見たらまだ6時。もうひと眠りと思っても、何か眠れない。メールでも確認するかとiGoogleを立ち上げると、アップルがiPod touchなるものを発売するとの情報があった[link]。iPod touchというのは、簡単に言うと電話機能のないiPoneだという。画面をタッチすることであらゆるコントロールを可能にする。無線LANでネットに繋ぐこともできる。そして、スタイリッシュでかっちょいい。iPod 5.5世代の後継機は、iPod Classicというネーミングで、デザインも少し変り、160Gに大増量するようだ。
 スティーブン・レビーの「iPodは何を変えたのか?」[link]にも書かれていたが、アップルは魅力的な製品というか作品をどんどん生み出していくなあ。古い製品を持っている人は少しジェラシーを感じるだろうけど。技術がライフスタイルを変えるのはもちろん、デザインもやはりライフスタイルを変える。僕は今のiPod5.5世代30Gに満足している、が、やっぱりiPod touchは気になる。箱を気にするニャンコのように。でも、アドエスさんもいるので我慢我慢。

日曜日, 9月 02, 2007

帝都大学と紫外線滅菌と小川珈琲

 進化学会に参加するために京都に来ている。修学旅行、友達と旅行、物理学会、過去に3回来ているので、今回で京都は4回目。しかし、物理学会のときは観光ができなかったので、京都市内はずいぶん久しぶりになる。
 昨日はポスター発表があっため8時に起きてホテルを出発したが、遠回りのバスに乗ってしまい、会場についたのはポスターセッションが始まってから1時間が過ぎたころだった。京大正門前でバスを降りて正門に駆け込んだらびっくり。「あれ、帝都大学って書いてある!」違う大学に来てしまったかとよくよく見ると、確かに京大の時計台がある。どうやらドラマの撮影をやっていたようだ。あー、びっくりした。
 自分の発表を無事終え、お目当ての発表も聞いたので、祇園をぶらつくことにした。八幡神社からずっと歩いて清水寺まで行った。夕方はそんなに暑くなく、心地よい風の吹く石畳の小道を散歩した。途中、清水寺に立ち寄ったら、水飲み用の柄杓のところに紫外線滅菌なる近代装置があって、またまたびっくり。3つの湧水が上から落ちて来る趣のある風景に、滅菌装置は似合わない。
 清水寺を後にして、どうせだからと京都駅まで歩いた。夕飯を食べようとレストランを探していたら、京都駅の真ん前に僕のお気に入りの小川珈琲があった。東京では、上板橋のサティにだけある謎のカフェだ。7時からやっているようなので、今日の朝食はここで食べることにしよう。珈琲のクオリティを確認しなくては。

火曜日, 8月 21, 2007

苦しい時はいつもB'zだった

苦しい時はいつもB'zだった。2度の大学受験、院試、修論、D論。乗り越えなければならない壁がある時は、ディストーションの効いた松本のギターと、突き抜けるような稲葉の高音が、脳のアドレナリンのスイッチを押し、元気と勇気をくれた。以前はB'zか洋楽のハードロックしか聞かなかったのだが、最近は、僕のiPodにはJPopも入っている。ここ数カ月、僕のカンフル剤になってくれたのが、奥田民生の”花になる”(だいぶ古い曲だけど)。この歌は、こんな風に始まる。

闇を切り裂け 拳で切り裂け
それは誠 強い男
心無にして 光を背にして
それが誠 すごい男 

以前、NHKで奥田民生の特集をやっているの見たが、この人、「どうだ平凡だろう」ということを、さらりとやってしまう非凡な人。ユニコーン時代からの奥田民生単品まで歌の変遷を見れば、タダモノではないことがすぐわかる。五味太郎の文章のように、ピリリと歌詞にスパイスが効いているが好きだ。
 今日はちょっとだけうれしい知らせが手元に届いた。さあ、この拳で闇を切り裂けるだろうか。否、切り裂くしかあるまい。

土曜日, 8月 18, 2007

お昼寝ベティーにライバル現る

neここのところ猛暑が一段と厳しい。連日昼間は35度近い。ニュースでは酷暑という聞きなれない言葉が使われていた。これではニャンコたちもこたえるだろう。
 
 そんな中、理研のおばさんたちのアイドル(略して、オバドル)ベティは、今日も保健室の日陰でお昼寝。グー、グー、(ん!?)、(ま、いっか)、グー、グー。僕が近づいても、しかとでグー。しっぽをパタパタ、グー。のびのび、グー。でも決してなでなではさせてくれない。カツオボーをもらっても心は許さない。ベティはガードが堅いのである。
 
最近、食堂前で子猫をよく見かけるようになった。白いチビ猫は、蛾を目ざとく見つけて猫パンチをお見舞いしていた。ブン、ブン、ブン。こうして、彼ら彼女らは野生のハンターになっていくのだろう。(おばさんからしっかりおこぼれも頂くのだが)
 木陰では見慣れない猫が1匹、「いつでも逃げられぜ」という意思表示をしながら涼んでいた。最近、猫の数が増えたのかな。昔ぼこられた経験のあるベティは、この情勢をどう乗り切るのか。今、和光が熱い。

火曜日, 8月 14, 2007

東京は故郷にありて思うもの

夏休みをとっていわきの実家に帰省している。ここに帰って来ると、都会のある種の緊張感から解放される。そしていつも反省をする。ここには、白球を追いかけ、ストラト欲しさにアルバイトに精を出し、受験に失敗して噴気してる自分の歴史がある。(勉強机のマットに挟まれている浪人時代の写真を見ると、その青さがこっぱずかしい) そんな少年の自分に、今の自分は負けてやしないか?そういつも問いかける。
 もちろん、事はあの時ほど簡単ではない。盲目にがんばればいいというものではない。自分は何がしたいのか?そのためには何をしなければならないのか?きちんと、GTD(Getting Things Done)をデザインしよう。
 また、自分だけが云々、というのもよろしくないだろう。僕が好きな吉川英治の三国志にこんな場面がある。大志を抱きながら、いつまでたっても放浪の身である自分を嘆く劉備玄徳に、義弟の関羽雲長がこう言って喝を入れる。「自分が優位な立場にあるからといって奢らず、不利な立場にあっても卑屈にならず、君主たるもの出処進退悠々たること。」 もし、こんな男がいたらしびれるくらい格好いい。
 「故郷は遠くにありて思うもの」と室生犀星は詠んだ。しかし、こうも言える。「東京は故郷にありて思うもの」。”本当の空”のある福島県のここいわき市から、東京に戻ってからの自分を思う。

日曜日, 8月 12, 2007

絵心は忘れたなり

 学生たちと共同で作っているソフトウェア開発を進めるために、土曜日だったが電通大に行って来た。今週末、来週末をミラクル4daysと名付けて、インテンシブにコーディングを進めようという目論見だ。最近、事務的なことばかりで、白熱する議論をすることが少なくなったなあと思っていたが、今日はとても楽しい議論が出来た。若者と議論をするのはとても楽しい。頭が柔らかいし、どんどん喰らいついてくる。やはり、議論はこうでなくちゃ。そこから自分も学ぶことができる。
 思えば、自分がこんなに議論好きで、学会でも負かされない強さを持てたのは、恩師、磯部さんのおかげだと思う。僕は学部時代の4年間、毎週国立天文台に通い輪読会に参加していた。磯部さんは、決してやわな議論を許さなかった。そのときに培ったものは、決して物理学の知識だけではなく、学問に対する姿勢だったと思う。それは修士、博士と進学してからも、僕の中で生きていた。いや、今も生きている。一方で、学問における政治的な駆け引きは苦手だ。賢いふりをすることなど、全然意味がないと思っている。真に賢い人は、何も声高に語る必要がない。己は何ができるのか、身をもって示せばそれで良い。学問は、勝った・負けたや駆け引きではない。
 ところで、学生たちとシステムのアイコンをどうするかを話していた時に描いた絵はとても不評だった。「笹原さんは、絵心がないですね。」 うーん、御意。恐らく、生まれてくるときに母の中に忘れてきたのだ。この絵のタイトルは天使だが、見かけは悪魔か?

水曜日, 8月 08, 2007

占い:復活できない、駄目になる、妨害

この物々しいタイトルは、実は私の昨日の占いの結果で、先週購入したAdvanced es(通称、アドエス)[link]のW-Infoという毎日配信されるニュースにあったもの。何んてこと言うんだアドエスさんよー!良い占い結果しか信じない僕は、特に気にも留めずにいつものように理研で仕事をしていた。
 掃除とミーティングが終わり、さ~これから自分の研究時間だとキーを2、3回さわり、My Macを起こした。おかしい、固まっている!あー、さっきまで回していたプログラムはやり直しだとあきらめて、電源ボタンをポチッとな。再起動。しかしである。食いかけの灰色リンゴが表示されたところから、画面が一向に進行しない。しかも、何やら「カチッ、カチッ...」という機械音が聞こえる。もしや。汗がたらり。Mac OSが入っているHDがクラッシュしかかっているようなのだ。あ"ー!!!バックアップを取っていない!
 というわけで、見事に占いは当たり、間もなく僕はビックカメラに駆け込むこととなった。占い曰く: 「やり直しの難しい出来事に遭遇しそうです。復活は困難でしょう。何かが終わりますが後悔の残る終わり方で、結果として全ては時間の消耗に思われます。云々」 悲惨な言葉のオンパレード。それに、「何かが終わります」じゃわからないよー。次からは詳細な情報をお願いします、アドエスさん。

火曜日, 7月 24, 2007

カツオボーイ

 通勤する途中、ベティにあげる鮭棒を買うためにヨーカドーに寄った。朝から奥様方がバブーをおぶったり、引っ張ったり、からころ押したり、レジはものすごく混んでいた。にゃんこに良さげな鮭棒が見当たらず、代理にカツオ棒を買った。カツオ棒なのにホタテ味とかあって、不思議に思ったが、僕が買ったのは土佐清水産のカツオで、ちゃんとカツオ味。これが中国産なら段ボールを疑うけどね。さっそくあげようとベティを探したが朝はいなかった。
 帰りに守衛室の前を通ったら、案の定、ベティが入口で寝ている。「ベティ。ほら、カツオ棒だぞ!」とビニールをむいてあげたら、急にスリープモードから復活したWindowsみたいにウィーンと起動、カツカツ、カツオ棒を食べ始めた。「そうか、そうか、そんなにおいしいか。」と頭をなでようとしたら、「気安く触らないでよ!」的なそっけない反応。あげく「もうカツオないの?」みたいな恨めいしい顔。がーん!
 そういえば、彼女の飼っているニャンコにも似たようなことをされたことがある。鮭棒をあげようとしたた、僕の手から鮭棒だけを叩き落とそうとして、感謝の「か」の字もない。むむむ、今回もか。納得のいかぬまま帰路につく7月のある1日でした。

火曜日, 7月 17, 2007

タイムスリップ

 後輩に教えてもらったメディアアートの展示を見に、久しぶりに東大本郷に行った。ユビキタス・アートという国際会議[Link]の催しの1つとして開かれたもので、池上さんと渋谷さんの「Taylor Couette Flow」の装置が展示されるというので、それを見に行った。二重円筒に挟まれた流体が流れのパターンを作り出すのだが、内側の円筒の速さによって秩序的な場合やすごく乱れる場合(つまりカオス)がある。その現象を聴覚的に再構成して、アートにしようというのが池上さんたちの試みである(こんな平坦な説明では怒られてしまうだろうが)。常に同じものが再構成されるとは限らず、作者の意図を超え、一過性の現象と鑑賞者との相互作用の中に新しい解釈が宿る。このようなインタラクティブなアートが6点ほど展示されていた。中には、メディア芸術祭で見かけたアートもあった。
 東大本郷を出た時、どうせだから母校の中大理工にも行ってみようとふと思い立ち、てくてく春日通りを北上した。噂には聞いていたが、物理実験をやっていた建物の向こう側に新しい立派な建物が建っていた。何でも情報系の学科が入っているらしい。一階のロビーみたいな所では、学生たちがたむろしてレポートをやっているようだった。昔、ここに何があったのか思い出せない。
 中大を後にして、どうせだからとさらに春日通りを北上して、サークル活動に明け暮れたお茶大まで歩いた。さすがに中には入れなそうなので前を通過するだけだったが、かつて歩いた道を思い出にひたりながら歩いた。サークルのビラを配ったこと、子供会の子どもたちと遊んだこと、しいのみの仲間と楽しい時間を過ごしたこと。
 東大(といっても僕は駒場だが)、中大、お茶大、いろんな思い出の詰まった大学を結ぶ春日通りを散歩しながら、結局、池袋まで歩いた。もう二度とこんなことをする機会はないだろうから、とても貴重な時間だった。そう徒労感の中で思った。そして、八王子の都立大には、こことはまた違った思い出がある。思えば、僕は、お得な学生時代を過ごしたのかもしれない。

月曜日, 7月 16, 2007

From Bit to It

Artificial Lifeを研究する上で、SFは良い意味でも悪い意味でも刺激をくれる。暇さえあると、ジュンク堂をぶらぶらして本を探索するのが僕の趣味というか癖だが、素敵な本を2冊購入した。1冊目はずっと話題になっていたSFで、円城塔の「Self-Reference Engine」[Link]。円城さんは「オブ・ザ・ベースボール」で第104回文学界新人賞を受賞し、この作品は芥川賞の候補にも挙がっている。[Link]もしこの作品が芥川賞を受賞したら、なんとSF作品初になるのだそうだ。円城さん(ペンネーム)は、東大駒場で複雑系の研究をしていた先輩で、僕は直接お会いしたことはあまりないのだが、関数マップという仕事をしていることは知っていた。このような文才をお持ちだとは知らなかった。グレッグ・イーガンやボネガットの世界観を合わせもつと書評する方もおられるが、僕は正直この作品を適切に表現する言葉を持たない。どっぷりその世界観を楽しませていただく。

 もう一冊は櫻井圭記著「フィロソフィア・ロボティカ」。櫻井さんはプロダクション・アイジーで攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX(SAC)の脚本を手がかけた脚本家。ロボットと人間の関係、あるいは近未来社会など、SACの話題も織り交ぜながら鋭い視点で論じている。僕はSACの世界観がとても好きなのだが、なるほどこの人にしてこの脚本あり、と感じた。ありきたりの哲学や認知科学の本よりも何倍も重要でおもしろい。

 Artificial Lifeがやっていること、それは「From Bit to It」、つまり人工世界にリアルを見出すという作業だろう。僕はお二人のような優れた言語化のセンスを持たないが、仮想世界を作ることで自分なりの表現を探究して行きたい。

ベティ・ブルー


台風のため雨脚の強まりつつあった先日、保健室の軒下でベティを見かけた。いつものように目の周りはしょぼしょぼとして、ベティの顔は空のようにどんよりとしていた。よく彼女は、「雨の日、猫はどこで過ごしているんだろう?」と言っていたが、ようやく答えがわかった。たぶん、保健室の軒下だ。東大でもきっと保健室の軒下は、しょぼしょぼしたネコたちで渋滞しているだろう。きっとここなら大丈夫。うっかりつかまって酷いことされることもない。保健のおばちゃんという強い味方がいる。少なくとも午後5時までは。。。
 そう言えば、みんながベティと呼んでいるので、ずっとメスだと思っていたのだが、実はそのしぐさからオスなんじゃないかという疑惑が持ち上がった。つまり、”ベティ男”なんじゃないかと。しかし、守衛さんの前で股をおっぴろげて確かめるわけにもいかず、とりあえずメスだということにして接するようにしている。鮭棒を持っていく約束をしたので、今度あげるからね。

火曜日, 6月 26, 2007

ビリーズ・ブートキャンプのように...

 ここ数週間、国際会議ACAL2007[Link]に出すためにシミュレーションに没頭しているが、だいぶ電池が切れてきた気がする。博士論文を書いている時はもっともっと大変だったのだから、よく乗り切れたものだと我ながら思う。あの時はものすごい集中力で、風邪菌も寄せ付けないほど突っ走っていた。とにかく根拠のない自信と勢いだけはあった。今は、あの頃より少しは賢くなったのかもしれないが、何かを知ることでかえって鈍くなった気がする。「足るを知る」を求めて彷徨うファウストもどきよりも、名誉欲やルサンチマンで動いているインテリもどきよりも、海の向こうで、どでかいホームランをかっとばしたり、ストレートで三振の山をきずいたり、今の自分を最大限表現しているサムライたちから学ぶことは多い。真夜中のビリーズ・ブートキャンプ[Link]を見ていたら、じわじわと何かが充電され、突然、体を鍛えたい衝動に駆られた。外は雨ですが、ロードワークに行ってくることにします。ありがとう、ビリー。でも、ビリーズ・ブートキャンプは買いません。

金曜日, 6月 22, 2007

やっと出た、、、

最近、論文の別刷り要求のメールが多いなと思っていたら、昨年、Artificial Lifeに受理された論文が出版されていました。[Link]

K.Sasahara and T.Ikegami, "Evolution of Song Syntax by Interjection Communication", pp.259-277, 2007 Artificial Life, volumle 13, number 3, pp.259-277, 2007
 
今読み返すと100%自分の主張が書けてない気がするけど、抑えるべきポイントはきちんと押さえた内容になったと思います。惜しむらくは数理生物学との接点をもう少しつけておけば、より良い論文になったかな。次の空間入りのモデルでは工夫します。論文の肝を一言で言うと、「共進化するオートマトンのコミュニケーションダイナミクス」、こんなところでしょうか。(はじめて聞く人は何のことやらという感じだと思うけど。)詳しくは論文を見て頂きたい。言語科学の百科事典(丸善)の生物学編の「生物のコミュニケーション進化のモデル」にも、少しだけこのモデルの話を書きました。興味があればこちらもどうぞ。

火曜日, 6月 19, 2007

Betty is sitting in the front of the door

 数週間ぶりにベティを見かけた。クーラーにでもあたろうというのか、守衛室の入口でじっと中の様子を窺っている。ベストショットを狙ってカメラを向けたら、そっぽを向かれてしまった。目の周りがしょぼしょぼしているので、きっと皮膚病なのだろう。毛皮で覆われた体ではこの暑さはつらかろう。ベティー、論文が終わったら鮭棒を持ってくるからと告げて、計算機の待つ池の端棟へ向かった。あー、シミュレーション。

土曜日, 6月 16, 2007

変な学術研究1

理研の紀伊國屋で単行本のコーナーを見ていたら、面白そうなので買ってしまった怪しげなタイトルの本。サブタイトルは、光るウサギ、火星人のおなら、叫ぶ冷蔵庫。なんじゃらほいと思って読んでみたら、「何でこんなこと真面目に研究しているの?」系の論文ネタのオンパレード。なかにはイグノーベル賞受賞者で、ハトをトレーニング(正確にはオペラント条件づけ)してピカソとモネの絵を弁別させた慶応の渡辺先生の話も載っていた。馬鹿真面目な研究だけでなく、一見わけがわからないような研究も大事なことは承知してますと断ったうえで、著者はシニカルな語り口で研究を紹介していく。こういうの嫌いじゃないけど、思ったほどは面白くなかった。ちなみに、2005年にドクター中松もイグノーベル賞をとっているんですね。

近所の名店~Cafe Largo


久々にカフェ情報をアップします。僕が住んでいる下赤塚にある素敵な喫茶店Cafe Largo[Link]。うちから歩いて7,8分の所にあるという近さにも関わらず、本格的な珈琲を楽しめるお店です。マスターが丁寧に入れてくれる珈琲は味が深く、幸せになれる一杯に出会えます。つい先日はハワイコナ(※)を試してきました。マスターの入れてくれたハワイコナは雑味がなく口当たりがクリアーでした。珈琲はだいたい500円前後。ケーキはあまり種類が多くないので評価が分かれるところですが、まずまずです。たまにギターの演奏会などもやっているようです。僕の中でもお気に入りランキング上位の喫茶店です。
※ハワイコナは程よく酸味があって深入りでも味が崩れないのが特徴(参考:おいしい珈琲の事典

僕的採点
  • コーヒー:☆☆☆(コーヒーはどれも外れはない)
  • ケーキ:☆(種類は少ない)
  • 雰囲気:☆☆(あまり長居して小説を読む雰囲気ではない。)

金曜日, 6月 01, 2007

生物と無生物のあいだ

著者は分子生物学者にして一流の小説家だと思う。生命とは何か?かつて、シュレーディンガーも問うたこの「開かれた」問題に対して、詩的で美しい表現と的確なメタファーが、分子機械的な静的生命観から動的平衡状態としての生命という動的生命観に読者をガイドしてくれる。スキャンダラスなDNA発見の話、ルドルフ・シェーンハイマーの先見的な実験、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)の発明秘話、そして、ノックアウト(叩き壊した)したのにノックアウトされないマウス。これらの多岐にわたる話題がみごとに動的生命観に接続していく。「生命とは要素が集合してできた構成物ではなく、要素の流れがもたらすところの効果である。」著者の文才が引き立つ名著。

土曜日, 5月 26, 2007

科学者、あるいは有機交流電燈の青い照明

科学者という職業、というか生き方は、この皮膚のように引きはがせないものとして続いていくのだろう。科学者になろうと思ったのはたぶん高校2年の時だったと思う。その頃流行っていたのがホーキングの宇宙論で、相対性理論や量子論を駆使して宇宙の起源や進化を解き明かすそのエレガントさにすっかり魅了された。以後、浪人生活をへて物理学科へと進学し、さらに紆余曲折を経て人工生命に到る。悩みも多いが、科学者をやめたいと思ったことはない。性分なのか。
 ここで、科学者に関して考えさせてくれるスタイルの違う本を2冊紹介したい。一冊目は、酒井邦嘉著の「科学者という仕事」。酒井さんは言語の脳科学の騎手で、僕は言語学の授業でお世話になった。著名な科学者の逸話や文献を豊富に取り入れて、これから科学者を目指す人にアドバイスを送っている。とにかくすごい文献の量で著者の熱意を感じる。教科書的で、良くも悪くも正論。

 二冊目は、大沢文夫著の飄々楽学。著者は生物物理学のパイオニアで紫綬褒章も受章している。駒場のセミナーで一度お目にかかったことがあるが、その人柄にとても親しみを感じた。いかに大沢先生が研究を楽しんでやってきたかが、生き生きと描かれている自伝。高分子電解質、ゾウリムリ、筋肉、鞭毛モーター、これだけ多様な対象を渡り歩きながら、しかしその背後に潜む規則を明らかにし、ルースカップリングという概念に到達する。自分のやってきたことで勝負のできる本物の科学者だ。

 この2冊を比べると、酒井本は、「科学者とはペケペケでなくてはならない」という実直な感じ。一方、大沢本は「ペケペケすると楽しいよ」という先輩からのアドバイス。飲み物に例えると、前者は青汁で後者はデカビタC。どちらもいいが、効き方が違う。

月曜日, 5月 21, 2007

デザートビネガー

 最近流行っていると風の噂で聞いていた「デザートビネガー」を新宿高島屋のオークスハートで購入した。僕は酸っぱさがガツンとくるシークワーサー&パイン、彼女はまろやかな酸味の苺ビネガーを買った。説明書によると、素材にあった酵母を選び発酵させることによって、ソフトな酸味とあまい香りに仕上げるのだそうだ。僕はサイダーや炭酸水に入れて清涼飲料として飲んでいるが、ヨーグルトやアイスにかけたり、パンにつけたりと、工夫次第でいろいろと楽しめる。たまにリンゴ酢をコンビニで買って飲んでいたが、疲れた時はデザートビネガーを飲むとすっとする。ブルーベーリーやラズベリー、トマト&ライムなんていうのもある。季節の限定ビネガーを贈り物にするのもいいなあと思った。ちょっと高いのがあれですが。

日曜日, 5月 20, 2007

受胎告知

遅ればせながら、上野の東京国立博物館で開催されているレオナルド・ダ・ヴィンチ展のレポート。今回の目玉は「受胎告知」。行ったのが夕方頃だったので意外にすいていて、すぐに受胎告知を見ることができた。受胎を告げる天使ガブリエルと処女マリアが、計算されつくされた構図の中に整然といる。細部にわたる緻密さと全体の調和、ダ・ヴィンチ初期の傑作と言われるのもわかる。この絵は、右斜めから見ることが仮定されて構図が組み立てられているそうだ。1974年には「モナ・リザ」が初来日して、ものすごい混雑になったのをテレビで見たことがある。僕自身は国際会議ECAL2003に行ったついでにルーブル美術館で本物を見た。意外に小さかったのと、防弾ガラスの完全防備にびっくりしたことを覚えている。芸術だけでなく、天文学、物理学、解剖学、建築学とマルチに才能を発揮した天才ダ・ヴィンチ。改めてその才能に敬服した。

日曜日, 5月 13, 2007

フューチャリスト宣言

梅田望夫氏と茂木健一郎氏の対談をまとめた「フューチャリスト宣言」 を一気に読んだ。ポジティブな雰囲気が満ちていてとても心地がよい。前向きの加速度を与えてもらったような感じがした。僕ははどちらかというと、時々刻々と変わっていくものに臨機応変に対応するのは苦手なほうだ。しかし、「昔は良かった」と意地になるのではなく、変わっていくものや新しいものを受け入れる勇気は持ちたいと思う。
 ブログでこの本の書評を読んでみるといろいろな批判があるが、梅田さんが言うように「人の欠点をあげつらって何になる」 と僕も思う。自分がアクションを起こさなきゃ。五木寛之だったか、楽観的というのは「臭いものに蓋をする」というふうにして負を見ないことじゃなくて、負 をちゃんと見定めるところから始まる、というようなことを言っていたと思う。両氏のポジティブさもそういうところから来るのだろう。さて、せっかく加速度をもらったので、さぼっていたジョギングを再開するところから僕は始よう。

木曜日, 5月 03, 2007

言葉を使うサル

 原著のタイトルは、The Talking Ape。これまで出版されている言語進化の本の中では、最新の知見も含め一番網羅的にまとめられている本です。訳も読みやすい。著者は産出よりも了解の方が言語能力を進化させた原動力であるとの立場で、言語学、人類学、考古学、霊長類学、進化生物学、手話研究などの知見を整理していく。しかし、音声学習の側面が軽視されていたり、著者の専門でない部分は理解が浅い感じがするので、鵜呑みは禁物。エーチソンの「ことば 始まりと進化の謎を解く」(Link)から比べると、言語進化の研究が確実に進歩していることがうかがえる。ようやく開いた言語進化というパンドラの箱にふたをしてはいけない。



水曜日, 5月 02, 2007

Ms.ベティ

 理研の入り口にしばしばいる猫。守衛さんいわく、ベティという名前があるのだそうだ。聞くところによると、ベティは以前は食堂近くにいたのだが、そこを縄張りとする猫集団にボコられ頭に大怪我をおって、入り口付近に住み着くようになったそうだ。ここなら、どら猫に襲われる心配はないし、食べ物は親切な研究員のおばさん(おねえさん?)が持ってきてくれる。冬はヒーターもあるし。ベティは僕と守衛さんの会話を聞いているのか、時より耳をパタパタしながら日向ぼっこをしていた。ベティのゴールデンウィークはこうしてゆっくりと過ぎてゆく。

日曜日, 4月 29, 2007

ピクトさんの本

 ジュンク堂でコンピュータ系の本を見ていたら、なぜかこの本があった。ピクトとはピクトグラム(絵文字)の略で、図のようなサインで見かけるキャラのこと。著者の内海さんは、日本ピクトさん学会 [link] というウェブサイトを公開していて、その内容を加筆修正したものを本にしたらしい。ピクトさんを、転倒系、頭打ち系、衝突系、感電系などなど、分類をしてコメントをつけている。そのセンスがおもしろい。日本だけでなく海外のピクトさんも紹介されている。刺青があるピクトさんとか、エスカレータにぶら下がっているピクトさんとか、めずらしいものもある。電車の中で読んでいて、おもわず「にやっ」っとしてしまった。ちょっとしたブームになるかも。

金曜日, 4月 27, 2007

ハンニバルと紫式部?

「羊たちの沈黙」シリーズの最新作ハンニバルライジングを観てきた。ネタバレはご法度だから内容は伏せますが、もしこれが最終作品ならとても残念。話の展開がたんたんとして普通過ぎるのと、日本文化の描き方がもはやギャグ。この映画の脚本は、原作者のトマス・ハリスが自ら担当したそうだ。一作目が良すぎると観衆の期待が大きくなるので作るほうは大変だろうが、その緊張感の中から良い作品を生み出してほしかった。羊たちの沈黙がかもし出した得体の知れない気持ち悪さは、その後の作品ではすっかり無くなってしまっている。この作品はロッキーのようにしぶとく続くのだろうか?
 映画を観る前に少し時間があったので、このブログでも紹介した小川珈琲でカフェった。お米のロールケーキは相変わらずの人気で、お昼の時点で残り4本ぐらいしか残っていなかった。彼女が季節限定のイチゴのお米ロールケーキを美味しそうに頬張っていたので、少しご相伴に預かった。しっとりしていておいしい。僕はブルーマウンテンを堪能した。近日、たまプラーザにも小川珈琲ができるそうです。きっと人気がでるだろうな。こちらはあいかわらず、レジ前でピッ、ピッ、プー。

日曜日, 4月 22, 2007

一般公開を終えて思うこと

理研の一般公開のため、研究室の全体説明を朝から晩までしていた。子供連れの家族やカップル、中高生の集団、理研の職員や大学の先生など、昨年よりは来場者数は少なかったものの、それでも多数が「歌をうたう動物たち」と題した僕らの展示を見に来てくれた。一般の人にも分かるようにと平易な言葉で説明を試みて、改めて自分の理解が浅い所や勉強不足を感じた。

 「モグラって歌うの?」
 「何のためにオウムは真似をするの?」
 「ネアンデルタール人は言葉を話していなかったの?」
 「言語進化の問題が解けるってどういうこと?」

ときに素朴な質問は核心を突いている。知ったかぶりをせずに謙虚に学ばねば。打ち上げでは、研究室のみんなと研究の話や恋愛の話、いろんな話で盛り上がった。これまでいた研究室とはまた違う個性がここには集まっている。
 家に帰って梅田さんのBlogをチェックした。本で対談していらい、脳科学者の茂木さんに注目しているようだ[Link]。茂木さんが駒場の講義で、Googleを引き合いに出して学生をアジッタそうだ(僕が駒場にいたときもそういうスタイルだったなあ)。確かに、「百聞はデモにしかず」というスタイルで、ばんばん動くモノをつくり、Googleはどんどん世界を変えていっている。そのことと研究者も無縁ではなかろう。

木曜日, 4月 12, 2007

物質をめぐる冒険

最近テレビでもよく見かけるようになった竹内薫さんの本で、物理学の鳥瞰図を得たい人にお勧めなのが「物質をめぐる冒険」という本。「モノ」と「コト」という切り口で、ニュートンの万有引力の法則から、アインシュタインの相対性理論、多くの秀才の手による量子論、そして現代物理学の最先端、超ひも理論を直観的に簡潔に紹介しています。大学の物理の授業も、このぐらい直観的に教えてくれれば、脱落する学生も減るだろうに。ただし、竹内さんの専門が素粒子論だったため、熱力学や統計力学、カオスなどの非線形物理などの話はありません。僕が大学生のころは、竹内さんが書いた哲学関係の本を何冊か読んだことがありますが、最近は科学ものが多いようです。あと、脳科学についての書物もありますが、それはあまり好きではない。僕が脳科学センターにいて、エンピリカルなものに触れる機会が多いからか、脳を物理学と全く同じセンスで解釈するのにはちょっと抵抗がある。ちなみに竹内さんは、木曜の深夜、たけしのコマネチ大学数学科に顧問としてよく出演しています。

新学期一発目のびっくり

 新学期になり、非常勤を務めている大妻女子大学の授業が始まった。僕は、去年から、画像情報処理論及び演習という授業を担当している。昨年度の講義資料をもう一度見直し、授業のプランを立て、一発目の授業に臨んだ。さー、がんばるぞ。
 教室に行ってみてビックリした。学生が二人しかいない。ガーン!なんでも、シラバスにこの授業載っていなかったらしい。そして、もう一方の授業に受講者が殺到したためこんなことに、、、。結局、受講希望者のうちB組を僕が、A組をもう一人の先生が担当することで事なきを得た。はぁ~、びっくりした。一限の授業なので久しぶりに早起きしたが、朝の空気にあたるとシャキッとして、新学期が始まったことを体で感じた。さて、今年はどんな授業になるだろうか。

月曜日, 4月 09, 2007

進化しすぎた脳

 週末、理研で池谷裕二さんのセミナーを聞いた。池谷さん著書、「進化しすぎた脳」を今週ずっと読んでいたので、だいたいセミナーの内容は予想できたが、予想以上に面白かったし、ちゃんとしていた。脳の自発活動に注目して、大脳生理学の手法で海馬などの神経回路を調べているのだが、実験の人とは思えないほどシステムとしての脳のとらえ方を意識した研究をしていた。特に、「構造+ホワイトノイズ=機能」という考え方は、自分もぼんやりとそう考えていただけに納得させられた。実験では詳細な記述は得られるが、得てしてシステムとかダイナミクスの視点が抜けていることが少なくない。「脳をわかる」とは何なのかを自問自答しながら、自分なりのアプローチでそこに迫って行く、その池谷さんの姿勢はとても好感が持てた。僕は、オリジナル論文が1本出たばかりのまだまだの駆け出し研究者(次号のArtificial Lifeに載ります)。優秀な研究者を目の当たりにして、負けずにがんばろうとポジティブなモードになった。

日曜日, 4月 08, 2007

レトロで大人の喫茶店~茶房 武蔵野文庫

吉祥寺はいい感じのカフェや雑貨店がたくさんあって、散歩がとても楽しい。中には、猫がいる喫茶店なんていうのもある。先週、井の頭公園で花見をしたあと、前回は行かずに気になっていた喫茶店、茶房 武蔵野文庫に行ってきた。(携帯で撮ったのを保存し忘れたので写真がないけど、このHPで詳しく紹介されています。)僕は、茶房ババロアと炭焼きコーヒーを、彼女は抹茶アイスとウィンナーコーヒーを注文した。心地よく苦いコーヒーは僕の口に合った。彼女には少し苦過ぎたようだが。ババロアはレモン味で弾力があってとてもおいしかった。隣のテーブルでは、カレーを食べているお客さんがいて、食欲をそそる香りを放っていた。今度行ったらぜひ食べてみたい。この店の両隣とも素敵なカフェで、三軒がこの小区画に納まっている。日曜日はどのお店もかなり混んでいる。ちなみに前回は左隣の多奈加亭に行った。多奈加亭のケーキもとてもおいしいです。

僕的採点:
・コーヒー:☆☆☆(コーヒーは600円ぐらい)
・ケーキ:☆☆☆(ババロアはさわやかなレモン味)
・雰囲気:☆☆(日曜は混んでいて長居はできない)

日曜日, 4月 01, 2007

ネコを撮る

僕は大の猫好きで、道で野良猫を見つけると人目も憚らず、ついつい「にゃん!」と声をかけてしまう。不意を突かれた猫はハッとして、こちらがにゃんにゃん言っていると、声にならないような声でしぶしぶ「にゃ」っと返してくれる。最近は、理研の入り口の守衛さんの横にちょこんと立って日向ぼっこをしている猫が気にいっている。冬にはここに守衛さん用のヒーターがあったから、それいらい習慣になっているのだろう。
 さて、最近読んだ新書の中で気に入ったのが、動物写真家、岩合光昭さんの「ネコを撮る」とう本。ファインダー越しに猫たちを見てきたプロの思いが語られている。数年前に、岩合さんの写真展で目にしたことのあるかわいい猫たちの写真も堪能できる。特に僕が好きなのは、p.163に写っているアスワンの少年と猫。お互いの顔が似ている。自分も何度か猫をデジカメでとったことがあるが、構図がしっかりしていて、こんなに生き生きとした写真をとることはできなかった。ネコの写真を撮るコツなども書かれていて、お得な一冊です。

土曜日, 3月 31, 2007

久々の物理学会


鹿児島で開かれた物理学会に参加してきた。物理学会で発表するのは実に2年ぶり。博士の時にやっていて、まだ発表していなかった、二次元空間上での歌鳥のコミュニケーションの進化ダイナミクスについて話した。物理学者がALife(人工生命)のモデルにどのような反応を示すのか興味があった。えらい統計物理の先生も出席していたが、何となく面喰っている感があった。多様な現象の背後に潜む普遍的なからくり、それを解明したいという問題意識は物理もALifeも同じだろう。ただ、物理学はメカニズム寄りで、ALifeは動物行動学にセンスは近いと思う。今回の研究は、自分でも思うのだが、シミュレーションの現象は面白いが解析がまだあまい。この未消化気分を何とか解決したい。
 鹿児島に着いた初日の午後は、観光を楽しんだ。鹿児島中央駅近辺の幕末のスーパースターたちの史跡をめぐり、桜島ではサイクリングをした。写真はフェリーからとった桜島。実は次の日は雨だったので、この日に行けたのはラッキーだった。フェリーは24時間出ていて、片道150円で行けてしまう。ご当地の食べ物は、地鶏、黒豚、芋焼酎を夜の居酒屋で堪能した。学会も観光も楽しんだ、久しぶりに充実した時間だった。

日曜日, 3月 25, 2007

渋い喫茶店~珈琲亭

 おしゃれなカフェに飽きたら、たまにには渋い喫茶店もいい。池袋の東口三越の近くにある皇琲亭。店内にはジャズが流れ、ややうす暗い照明が渋さを一層演出する。ピシッと襟付きのシャツを着た給仕たちがてきぱきと働き、お世辞にも格好良いとはいえない渋いおじさんがこだわりの珈琲を入れる。お湯を注ぐ加減や泡立ち具合から、腕にはゆるぎない自信があることが窺える。僕はマンデリンの苦汁を口に含みながら、この文章をvaioでかたかた打っている。珈琲はだいたい700円から800円程度で、ブルーマウンテンや特別なものは1000円弱。うん、社会人プライス。紙コップで出されるせっかちコーヒ一から卒業して、そろそろ大人の落ち着き珈琲へとステップアップしようか、、、お金のある時は。

僕的採点:
・コーヒー ☆☆☆
・ケーキ ☆☆
・雰囲気 ☆☆(ジャズは好きだが、分煙に工夫がないのが△)

素数ゼミ?

 昨日ブックオフで、日本進化学会の学会誌で知って気になっていた「素数ゼミの謎」という本を購入した。小学校の頃、夏休みになると浪江(福島県)のおばあちゃんの家に泊まり行って、朝から晩までアブラゼミやミンミンゼミなどをよく捕まえたものだった。標本を作るために、昆虫採集セットからと注射器と防腐剤を取り出して、生きたセミに打つのだが、この時が超怖い。セミが「じじじっ」と断末魔の叫びをあげるのだ。これが怖くて、以来、1週間ほど虫かごでセミを生かしておいて、お亡くなりになってから防腐剤を打つようにした。そんな思い出がある。
 さて、この気になるタイトルの本だが、小学生でも読めるようなわかりやすい文章とかわいい絵で、なぜ13年と17年周期で大発生するセミがいるのかを説明している。この不思議なメカニズムには、まず氷河期が関係していること。さらに、13と17という数が共に素数であり、素数の最小公倍数が一般に大きな数になること。これら2つを、「個体数が進化的にどう変化するのか」(ポピュレーションダイナミクス)の観点から読み解いて、素数ゼミの謎に1つの仮説を提唱してる。まさか、進化に素数の性質が絡んでくるとは思いつかなかった。最近の数理生物学は数学どうも難しすぎるので、このぐらいシンプルで面白いと良いのに。

月曜日, 3月 05, 2007

珈琲の香は春風に乗って

 神楽坂を散歩していたら、春風と共にたまらなく珈琲のいい匂いがして、このお店にぶらりと立ち寄った。緑の豆という珈琲豆の焙煎所で、生豆からちゃんと焙煎してくれる。お店の中で飲むこともできるようだ。僕は試飲したサクラブレンドを200gほど購入した。生豆から焙煎が終わるまでに10分ぐらいかかるようだ。100gで450円と普通の豆屋さんよりは高めだが、珈琲好きの小生としては試してみたくなった。うちに帰ってさっそくサイフォンで入れてみたが、やはり香りが違う。引き立てのいい香りが部屋中に満ちた。テレビを消して、しばし音のない部屋で、好きな本と好きな珈琲を堪能した。たまにはこんな時間の使い方もいい。
 神楽坂には豆屋さん以外にも、シフォンケーキがおいしいUn Gateauなど素敵なカフェがたくさんあった。古い街並みと素敵なカフェとちょっと不細工な野良にゃんこ、春の神楽坂を散歩するのはなかなか楽しかった。ただし、花粉症対策をばっちりしないと鼻水たれ蔵になってしまいます。

ふわとろの親子丼

晩飯を食べようと秋葉原をうろうろしていたら、鳥つねという鶏肉料理専門店が目にとまった。値段が書いてないのが気になったが、黄金色の半熟卵にひかれて店に入ってみた。看板メニューの親子丼は1500円、そして鳥鍋はなんと6000円という高級店だった。値段にはビビったが、創業90年の歴史、鶏肉は名古屋コーチンか秋田比内鳥、お米は福島熱塩加納村のいのち、というこだわりように、ぜひとも食べてみたくなった。僕は親子丼と串焼きのセットメニューを、彼女は親子丼を注文した。やって来たふわとろの親子丼のおいしいこと、おいしいこと。鶏肉のうまみとやわらかさ、ふわふわの半熟卵、1粒1つぶがほどよく自己主張をするお米、親子丼がこんなにおいしいと思ったのは初めてだ。いつも食べているレトルトの親子丼なんて、今すぐ二軍に降格だと思った。決して安くはないが、この内容なら高くても納得。次回は鳥鍋に挑戦してみたい。ちなみに本店は湯島だそうです。

火曜日, 2月 27, 2007

タチコマに乗って出勤

 理研の紀伊國屋でLoving The Mahine: The Art and Science of Japanese Robotsという本を見つけて、あまりの格好良さに衝動買いしてしまった。日本のヒューマノイドロボットの歴史がカラーの写真付きで紹介されていて、アトムやガンダムは勿論、アシモやアイボ、攻殻機動隊SSCの宣伝用のタチコマを作ったロボットクリエーター高橋さんのロボットたちなどが紹介されていた。古いものでは、日本のからくり人形や学天則というものすごい哲学のつまった東洋初のロボットなども載っていて、眺めているだけでもとても楽しい。
 ロボットが人並みの認知を持つことはなかろうが、出勤の足ぐらいになる日が来るだろうか。思考戦車のタチコマに乗って出勤、あるいは、ランドウォーカーに乗ってお買いもの。ちょっと、物騒か。。。ちなみに、ランドウォーカーはすでに動くやつが作られていて、先月、国立新美術館で目にした。写真のこいつが大暴れしていて、逃げ惑う観客もなんのその、エアーガンをバンバンぶっ放していた。ただし、残念ながら足はすり足でした。やっぱり、まだ車の延長なのね。

月曜日, 2月 12, 2007

恐るべき生成系

芸術、音楽、文学、スポーツ、分野を問わずその表現に触れたとき、得も言われぬ高揚感を感じさせる人たちがいる。彼らに共通しているのは、恐るべき生成系の持ち主だということだ。自分を表現したいという強い衝動、しかし彼ら彼女らにとっては息をするのと同じぐらい自然な行為の継続は、相対性理論やゲルニカ、Let it beや坊ちゃん、氷上の美イナバウワーなど、彼ら彼女らなりのやり方で新しい表現を生み出してきた。「これは正しいのだろうか?」とか「他人の目にはどう映るのだろう?」などという認識系はさておき、彼らの内燃機関は表現を生み出し続けた。こんな科学者がいたら格好いいと思う。ノートパソコン1台 さらしにまいて、あちこちの研究所を放浪する野良コンピュータサイエンティスト。今までになかったような切り口で研究を表現して、所内にギャフンがこだま する。そして、「せめてお名前だけでも。。。」と言われて、「名乗るほどのものではありません」と言い残して風のように去って行く。それは言い過ぎとしても、生成系≫認識系が高いレベルで成立する研究者になりたいものだ。生成系がアクセルで認識系がブレーキだとすると、とりあえずアクセルをベタ踏みで。

木曜日, 1月 11, 2007

足の裏の話

足の裏をまじまじと見るのはいつぶりだろうか。いつもは、脳の意のままにあっちこっちへ体を運搬し、三日坊主で終わるジョギングにも付き合わされる。お出かけとなれば、NikeだのNewbalanceだのを履かされて、脱いだら脱いだで臭いと言われる。私の足はまさに脳の奴隷である。そんな三十路のひび割れカサカサ足だが、月に一度くらい脳に逆襲する時がある。それは、足つぼマッサージに行く時なのです。
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「痛かったら言って下さいねー」(店員)。
「はい。」(私) 
そして、クリームで潤った足裏アリーナをゴールデンフィンガーがすべる。
「あ”-!!そこは、、、。う”ー。はぁ~。」(私)
「ぎゅーぎゅー」(店員効果音)
「ぐへぇ~」(私悶絶)。
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特に、内臓系をさすられると頭に稲妻が走る。いつもは一方的に指令を受け取っている足が、たまった鬱憤を逆流させているのだ。

月曜日, 1月 08, 2007

レジのそばにあるカフェ~小川珈琲

板橋SATYのレジのそばにある変わったカフェ、小川珈琲。正式な名前は、京都小川珈琲OCロースターズ板橋だそうです。2名席が6つほどの超狭いスペース。ひっきりなしに「プッ!プッ!プッ!」っというレジの音がする。目の前を人が行き来する。はっきり言ってムードはない。しかし、ここのお米のロールケーキ宇治抹茶は絶品。甘すぎないクリームと抹茶の相性が抜群。特に、コーヒーと一緒に頂くともう病み付きになります。コーヒーも一杯、一杯、丁寧に入れてくれます。値段もほどほどで、キリマンジャロが315円、アイスオレウィンナーコーヒーが420円也。小川珈琲は関西を中心に展開しているようで、東京ではここにしかありません。ぜひ、雰囲気のある場所に東京第二店舗目ができることを期待します。

僕的採点
  • コーヒー ☆☆☆
  • ケーキ  ☆☆☆(お米のロールケーキは絶品!)
  • 雰囲気 ☆(レジ音がぷっぷっぷっ)