火曜日, 12月 30, 2008

論文が出版されました

 この手の理論としては異例の早さで、僕らの論文「Ethological Data Mining: an automata-based approach to extract behavioral units and rules」が出版されました[link]。最初に論文を提出したのが7月20日で、9月18日に一発で受理。その後手直しをして、正式受理が11月11日(奇しくも結婚記念日)で、12月27日にOnline Firstに出た。約5ヶ月。編集責任者はカリフォルニア大学(リバーサイド)の先生だった[link]。ホームページを見ると、この人なかなか面白そう。アメリカに行ったら会ってみたいな。
 この論文では、決定論的有限オートマトンを使って、行動系列データから単位と規則を抽出する手法を提案した(EUREKAを使えば、誰でもこの論文の内容を体感できます)。背景知識、動作原理、具体的な解析例を、出来る限り丁寧にストーリーを意識して書いた。査読者の1人はこんな賛辞をくれた。
I think this is a significant ground-breaking paper, and is important for bringing some new theoretical advances in computational linguistics to the wider audience it deserves. The data mining community should find this an interesting, useful and important technique.
 これだから研究は辞められない。自分の理想と限界、生き物と機械、アカデミックとは無関係なしかし僕を悩ませる諸事情、いろんなものの間に立ち、踏ん張って書いた論文なので、この言葉がどれだけうれしいことか(そもそも、他の研究をここまで気持ちよく褒める研究者がいるんだ。あまのじゃくはよく見かけるけど)。教科書から逸脱することを厭わない好奇心旺盛な研究者に、ぜひこの論文を読んでもらいたい。

月曜日, 12月 29, 2008

マーフィーの法則

If it can happen, it will happen.
(起こる可能性のあることは、いつか必ず起こる)
 マーフィーの法則とはこういうこと。そして、起こる可能性のあることが起きた。まもなく今年も終わるというのこの時期に、ラボのコンピュータが2台立て続けに壊れた。よくフリーズしたり動作が緩慢だったりしていたのが、突然うんともすんとも言わなくなった。どちらもHD(ハードディスク)が逝ってしまったようだ。HDは消耗品と心得て、日頃からバックアップを取っておかないと本当に怖い(僕は人生で二度、ハードディスクのクラッシュに泣かされている)。大事なデータはバックアップがとれたので、最悪の事態は免れた。結局朝までかかった。ふう。コンピュータの管理者って大変。

金曜日, 12月 26, 2008

Remember the milk

 ツリーの出番が終わり、門松がスタンバっている今日この頃。まもなく2008年が終わろうとしています。あれもしなきゃこれもしなきゃと焦る一方で、時間はサラサラと何の抵抗もなく過ぎて行きます。部屋とPCの大掃除が済んだら、ここらで頭の大掃除をしてみる必要がありそうです。
  • 何がしたいのか・したくないのか
  • 何ができるのか・できないのか
  • 何をしなければならないのか・しなくてもよいのか
 ラップトップを閉じ、白紙を前に自分の正直な声に耳を傾け、目標から逆算して計画を建てます。特にこの先の三ヶ月とアメリカに行ってからの一年。ぜひとも有意義な時間にしたい。それから心の大掃除も必要だ。
  • 多忙で注意散漫になっていないか
  • 尊大で嫌な奴になっていないか
  • 謙虚さと感謝を忘れていないか
 幼稚園で学んだことを心掛けよう(cf. 新・人生に必要な知恵はすべて幼稚園の砂場で学んだ)。そんなに難しいことではないはず。
 頭や心を整理したら、あとは具体的な目標とそれに至る手順をTODOにまとめる。TODOの管理はRemember the milkがシンプルで良いです。ネーミングのセンスも良い。一事が万事。「牛乳を買い忘れない」人は、1つ1つの物事を疎かにしない人。

水曜日, 12月 24, 2008

メリークリスマス

 アルタの近くにある喫茶店「に行って来た[Link]。新宿の中では一番好きな喫茶店。コーヒーをポットで出すので、値段は少々高めだ。ブルーマウンテンは1日に8杯限定というこだわりよう。今日は終了していたので、ブラジルとココアのシフォンケーキを注文した。すっきりとしたブラジルの味わいと、しっとりしたシフォンがマッチした。
 焙煎の香のする店内はレトロな雰囲気で、カウンターと大きなテーブル席がある。トイレのドアが本棚で、まるで隠し部屋みたいになっているのが面白い。それから電脳会計という名前で古いMacがレジで活躍している(おつりは電卓で勘定するんだけど:-)。コーヒー通にはお勧めのお店。
 足早に交差点を渡る人たちの顔はみんな幸せそうでした。新前・ベテランのカップル、夫婦や家族連れ、お父さんサンタ、サンタライダーズ、ワケアリの...。今晩は42型の靴下をぶら下げて寝ます(サンタさん液晶テレビをお願いします)。


土曜日, 12月 20, 2008

この木何の木、気になる木

 昨日の忘年会で、ラボのみなさんから結婚のお祝いを頂きました。手前に写っているのは頂いた色紙。とても感動しました。皆さんからのお祝いのメッセージ。そして、開くと中心に生命力溢れる木がにょっきりと姿を現します。何と手作りだそうです(U様、ありがとうございました)。この木をからさぬよう、大切にしたいと思います。

ここで、豆うんちく。小学校の先生が言っていた人生に大切な4つの木:
1. 元気
2. やる気
3. 本気
4. 猪木、じゃなかった、根気
 後ろに写っているのは頂いた電気ケトル(と通りすがりのアシモ)。僕はコーヒー好きなので、早速使わせていただきます。ラボのみなさん、本当にありがとうございました。

木曜日, 12月 18, 2008

凹む

ついてない。盗んだバイクが盗まれるぐらいついてない。
 1限の講義直前、準備でばたばたしていたらMacbook Airを床に落とした。ごちん。ケースに入っていたので幸い壊れはしなかったが、開閉部の真ん中あたりが凹んだ。
 教室に入ると学生が数名しかおらず、閑古鳥が鳴いている。しばらくして遅刻組が合流したが、こんな足並みの揃っていない状態では予定通りに講義が進まない。あー。「がんばって準備したのに!」とか「何故、学生たちやる気がないのだろう?」とか、複雑な感情が混じり合い、僕が凹んだ。
 2008年の講義は今日でひとまず終了。僕と学生との温度差を強く感じる年だった。どうしたら現在のような状況を変えることが出来るのか?「最近の学生は...」と言いたくなる気持ちもあるが、一方で、やっぱり学生と向き合っていたいとも思う。諦めや忌避は何も生み出さない。目の前の失敗から学ぼう。

金曜日, 12月 12, 2008

プロ野球戦力外通告クビを宣告された男達

 深夜テレビをつけると番宣が流れていた。この番組を何度か見たことがある[Link]。球団から戦力外通告を受け、トライアウトに望むプロ野球選手とその家族に密着するドキュメント。別の球団から声がかかり野球を継続できる者もいれば、諦めざるを得ない者もいる。
 よくよく考えてみると、ポスドクもプロ野球選手に似ている。僕の場合、バットをPCに持ち替え、過去の実績を引っさげて、研究機関のトライアウトを受ける。受かれば数年のチャンスが与えられる。当然、実績が全て。実績とは論文の数だったり、インパクトファクター(悪習!)だったり。実績があがらなければ赤紙である。野球にしろ学問にしろプロと呼ばれる人たちは、そういうぎりぎりの緊張感の中でがんばっている。だからこそ、ファイン・プレー(良い論文)が生まれたときの快感は何物にも代え難い。
 今週、論文のドラフトを書き上げた。うまく書けただろうかと心配だったが、共著者のJJが「Good work!」と言ってくれたのでホッとした。産みの苦しみが報われた瞬間。あと3つ論文を抱えていて、次の論文は自分の真価が問われる一本になる。がんばって書きます。そうでないと、壮絶人生ドキュメントプロ野球選手の妻たち[Link]の研究者版にうちの奥さんが出ることになってしまう!?論文、ええ、書きますとも。

水曜日, 12月 10, 2008

おいしいコーヒーの真実

 コーヒーが1杯330円だとして、そのうち農家が手にするお金がどのくらいかご存知だろうか?
わずか3~9円
 330円の内訳は次のようになる(数字はDVDのパンフレットに基づいているが、日本経済評論社2004年の概算(コーヒーと南北問題―「キリマンジャロ」のフードシステム)によると、コーヒー農家の取り分はさらに少なく1.7円(全体のわずか0.4%))。
  • 298円 カフェ/小売業者、焙煎業者、輸入業者(90%)
  • 23円 輸出業者、地元の貿易会社(7%)
  • 3~9円 コーヒー農家(3%)
 コーヒー発祥の地エチオピアでは、朝から晩まで8時間、身を粉にしてコーヒー豆の選別作業に従事しても、もらえる賃金は0.5ドルにも満たない。そして、ネスレなどの多国籍企業が市場を牛耳り、手塩にかけて生産したコーヒー豆も言い値で取引される。グローバリゼーション、搾取、貧困。これが、世界で1日に20億杯以上も消費される身近なコーヒーの知られざる真実だ。これはコーヒーだけの問題ではない。深く考えさせられる作品だ。


Link:

火曜日, 12月 09, 2008

アフロサムライ

アフロヘアーの侍が最強の座を求めて旅する物語 [Link]。それ以上の内容はない。しかし、映像と音楽、リズム、その世界観は、超格好いい!という言葉以外見つからない。作品のクオリティーはかなり高い。アクションものはあまり見ないのだけど、アフロサムライは楽しめた(国際線の中で観たカンフー・パンダは飽きてしまって駄目だった)。
 原作は岡崎能士の自費出版による漫画だそうで(僕は残念ながら知らない)、監督は幽★遊★白書攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEXで作画監督を勤めた木崎文智。制作会社はデジタルアニメで注目されているGONZO。お勧めのDVDですが、暴力シーンがリアルなので、小さなお子様の前では観ない方が良いでしょう。

水曜日, 12月 03, 2008

脳がほぐれる言語学

 展開の速い(悪く言えば落ち着きのない)楽しいエッセイだ。言語において、記号と内容の結びつきは緩や相対的に決まることを理解し、時にはそれをずらして脱構築する(一旦ご破算にして一から新しく作り直す)ことが、常識の袋小路から抜け出だすための鍵だとく。例えば、「ただの甘栗」も「むいた甘栗」も商品としてはどちらも「甘栗」だ。しかし、後者を「甘栗むいちゃいました」とすることで大ヒットが生まれた。では、前者を若者にも売るためにはどうしたら良いか?僕の意見はこう。「甘栗むいちゃうぞ」として、かわいい栗剥き付きで売る。甘栗の脱構築の出来上がり。
 著者は大変な読書家で(広く薄くという感じも否めないが)、この本には言い得て妙な表現が詰まっている。思考のツールとしての言語を疑ってみる上で有用なヒントがある本だと思う。


 言語による思考は一次元的な制約を受けがちなので、僕はアイディアを練る時にはマインドマップを良く利用している。マインドマップとは、簡単に言うと、考えを木構造(中心から外延方向へ放射状に)にマップして可視化する方法(構造とはすなわち関係性のこと)。最近の脳ブームと相まって、教育やビジネスでも広く取り入れられている。今日の講義でも取り上げた [Link]。僕が思うところの桃太郎を描いてみたらこうなった。どうだろう。


月曜日, 12月 01, 2008

ブラジルヌーボー

 今日から師走です。うかうかしてると、ゆく年くる年の時間になってしまいそうです。2008年に別れを告げる前に、もうひと頑張りしましょう。
 最近、ドトールでお昼を食べることが多かったのですが、お店で見かけて気になった「ブラジルヌーボー」を購入しました [Link]。ブラジル移民船が日本を出航してから100年たったことを記念して企画されたそうです。ブラジルというとサントスが有名で、苦みが少なくすっきりとした味わいです。ブラックで飲むのが苦手な女性でも、大丈夫だと思います。日系農園からとれたサントスの初摘豆だから、ブラジルヌーボーなのでしょう。肝心のお味はというと、ほんのりと甘さを感じるさわやかな味でした。ラボ用に買ったのに2杯も飲んでしまいました。11月1日発売の限定品らしいので、もし興味があればお早めにお試しあれ。
  • 香り:☆☆☆
  • 酸味:☆
  • 甘み:☆
  • 苦み:☆