日曜日, 5月 31, 2009

スターバックスの産みの親

 「アメリカにはおいしいコーヒーがない」と決めてかかっていた僕は間違っていた。その熱い黒い液体を一口飲んだ瞬間、力強い香ばしさが口の中に広がり、自然と笑顔になった。今日は、Peet's Coffee & Teeについて書きます。
 Peet's Coffee & Teeは、戦後渡米したAlfred Peetが、カリフォルニア州バークレーで1969年に創業したコーヒーショップです。現在は、アメリカ西海岸を中心に店舗を展開していて、アメリカのコーヒー通たちに支持されています。スターバックスの創業者の一人、Jerry Boldwinは、Alfred Peetのもとでコーヒー豆の焙煎技術や、コーヒービジネスを学んだそうです。いわば、Peet's Coffeeはスターバックスの産みの親。
 高品質の豆を独自の手法で深入り焙煎するので、入れたてのコーヒーは、しっかりとした香り濃厚な味がします。お店には、エスプレッソベースの飲み物はたくさん種類がありますが、コーヒーは、日替わりで豆の種類がかわるCoffee of the dayだけです。最近は、Peet'sに寄って、コーヒーの香に包まれてあれこれと考え事をしてから、ラボに行ったりします(写真は大学の近くのお店)。美味しいコーヒーと共に過ぎるゆったりとした時間は、僕にとって至福の時。
 Peet's Coffee & Teeは、一時期、青山や神保町にも店舗があったそうですが、残念ながら日本からは撤退したそうです。ただ、ホームページで豆を購入して配送してもらうことは出来るようです。強烈な個性のコーヒーを一度試してみてはどうでしょうか。

木曜日, 5月 28, 2009

メモリアルデーのお出かけ

 5/25日(月)はメモリアルデー(戦没将兵追悼記念日)でアメリカは祝日。初の三連休だった。実は、アメリカは日本よりも祝日が4日ほど少ない。連休最初の2日は家でまったりと過ごしたので、最後の日ぐらいはと、ダウンタウンにあるMOCA(ロサンゼル現代美術館)に行ってきた。MOCAは思ったほど大きくなく、2時間ぐらいで全部回れた。今回の展示はいまいち。その後、コリアンタウンにも行ってきた。

其の1 MOCAの入り口にあるオブジェ
其の2 MOCAのカフェ:黒豚のパニーニがおいしかったです
其の3 コリアンタウンにあったカフェ:結構お客さんがいました
其の4 激甘のカフェラテと致死量のマンゴースムージー
其の5 コリアンスーパー:とんでもない量のキムチが売っていました。野菜や海産物は新鮮で安い。

日曜日, 5月 24, 2009

Wolfram|Alphaの誕生

 僕が33回目の誕生日を迎えた日、Wolfram|Alphaという画期的な検索エンジンが産声をあげた。[Link]。これを作ったのは、異端の天才、スティーブン・ウォルフラム。Wolfram|Alphaは、ユーザが入力したキーワードに最適な情報を整理・構造化して見せてくれる。例えば、デモにあるように”internet users in europe”と入力すると、現在のヨーロッパでのインターネットの利用者数だけでなく、年別の利用者数の変化、利用者のヒストグラムやランク、国別の利用者数、などが情報が的確に整理される。
 キーワードを入力するところまでは、Googleなどの既存の検索エンジンと同じだが、中身は全然違う。Googleは、入力したキーワードに関係のあるウェブの一覧を表示する。一方、Wolfram|Alphaは、あらかじめウェブを前処理して作ったデータをもとに、キーワードに関する知識を集約する。今でも盛んに研究されているセマンティク・ウェブとも違う。Google vs. Wolfram|Alpha みたいな書き方をしている記事を見かけるけど、両者はそもそも検索の性格が違うので、勝つとか負けるとかの問題ではない。むしろ補完し合う関係にある。
 実用的にはまだまだな感じがするけど、これまでこの手の検索を成功させた人はいないのだから、やはり賞賛に値する。日々増大していくウェブのデータはゴミだらけだから、そこからユーザにとって価値ある情報を自動抽出して構造化する、というのは大問題だ。

火曜日, 5月 19, 2009

33歳という通過点

 33歳になりました。このぞろ目は一筆書きの目にも見えるし、首を90度かしげるとお尻の縦列駐車にも見えます。今年はアートな年になるのかな。ちょうど30歳になった時のスローガンは「言い訳をしない自分」でした。その通りにはなりませんでしたが...。そして、去年はこんなことを言っていました。33歳は寡黙に、しかし結果で語れるように、飛躍したいです。
 我が家では奥さんが腕を振るって、僕の好物で誕生日を祝ってくれました。今日のメニューは、海鮮丼、唐揚げ、豚汁、茶碗蒸し、デザートにコーヒーゼリーです。少し食べ過ぎました。
 ニューヨークにいる共同研究者は、こんなメールとバースデーカードをくれました。
Whaw, you are 33??? I cant believe you are older than me :-) I thought you were 27 or 28. Enjoy! time might fly, but it doesn't leave an aging mark on you.
最近は笑うとaging markが目尻に激しく出るのですが...。見た目だけでなく、気持ちもevergreenなままでいたいものです。

土曜日, 5月 16, 2009

Saplabはじめました

 3月からこつこつと作っていたSaplabというプログラムを公開しました[Link]。これは、Sound Analysis Pro(略してSAP)という生物音響学用のシステムと、Pylabというデータ分析のシステムの橋渡しをするインターフェース。使用したプログラミング言語はPythonです(下の本がお勧め)。Saplabを利用すると、Pythonのプログラムだけで、データの取得・分析・表示を比較的簡単に行うことができます。
 こういう異なるシステム間のデータのやりとりは、やればできることはわかっている。でも、正しく頑健に動作し、実用に耐えるプログラムを書くことはそんなに容易ではない。それから、プログラムの公開は、お医者さんにお腹をべろりんとするようなもの。どこも悪くないよと思いつつもドキドキする。動作は十分確認しましたが、もし間違があったらこっそり教えて下さい。
 OferはSAPを作り・用いてユニークな研究をばんばんしている。最近も「鳥の歌の文化進化」についてNatureに論文が載った[Link]。僕は、Saplabを一通り作り終えたので、次はこれを使って「ビックリ in side」なおもしろい研究をしたい。

水曜日, 5月 13, 2009

我が輩は犬である

 我が輩はウエスト・ハイランド・ホワイトテリア。要するに犬である。名前はスノーイ・ スノーボール(真白な雪球)。チャック殿とは10数年来の相棒でござる。今日はチャック殿に連れられて、ラボに来たでござる。ぜーぜー、はーはー。
 見知らぬ東洋人がいるでござるな。ポスドクでござるか。ポスドクはまだ食べたことがないでござる。おやっ、我が輩を餌で釣ろうとしているでござるな。その手は喰わ...
... バクばくバクばくバクばく。なかなかこのチョコクッキーはいけるでござるな。トレジョでござるか。ペロリ。えっ、足が短いなって!?いやいやそれほどでも(褒めてない...)。青年、しっかり働くでござるよ。

日曜日, 5月 10, 2009

贅沢な講演会

 Marschak Memorial Lectureを聞きに行ってきた [Link]。この記念講演の歴代講演者には、ノーベル賞受賞者や著名な研究者が名前を連ねている。僕が知っているだけでも、ゲルマンクリックミンスキーウィルソンエーデルマンダイアモンドらがいる。なんとも贅沢な講演会だ。
 今回の講演者はフリーマン・ダイソン(プリンストン大学名誉教授)。宇宙物理学や数学で重要な研究をした他、科学のあり方や科学技術と未来についての著作が多数ある。演題は「Domestication of Biotechnology(バイオテクノロジーの家畜化)」。ダイソンは小柄で細身で、スーツに赤ネクタイという出で立ちで登場し、おもむろに準備していた原稿を読み始めた。どうやら、現在執筆中の「The Age of WonderRichard Holmes著 )」の書評をそのまま読んでいるようだった。スライドなしの朗読だったので、完全には理解できなかったが、人間が生み出したバイオテクノロジーが、人間の生活、文化、更には人間そのものを変えて行く未来について考察を述べていた。つまり、作ったものに作られていく未来だ。85歳とは思えないほど、体力と知力と自信を感じるトークだった。これのもとになった昔の書評は、The New York Review of Booksで読むことができる [Link]。
 未来について語るのは難しくて、誰がしても嘲笑される可能性がある。下手したら、飲み屋のおじさんの自説も研究者の洞察も、受け手次第では目くそ鼻くそになる。ダイソンに対する聴衆の感じもそうだった。でも、ダイソンはそういうレベルの話をしているのではないのだろうと僕は感じた。レイ・カーツワイルの「The Singularity Is Near(邦題:ポスト・ヒューマン誕生)」とダイソンの考察は、表面で似ていても思考の方向が違うと思う。7月にダイソンの書評が出るらしいので、もう一度じっくり読もう。

水曜日, 5月 06, 2009

鳥は踊る、研究者も踊る

 ここ数週間、インフルエンザの影響で忌み嫌われている豚さんですが、鳥さんは華麗なダンスでにわかに注目を集めています[Link]。「オウムがBack Street Boysの曲に合わせて踊る」映像がYouTubeにアップされて人気を集めていましたが、コマ送りでオウムの動きと音楽の相関を調べたところ、偶然ではなく音楽に合わせて動作していることが分かったそうです。同様の解析をして、PatelHauserのグループが別々に論文にしています([1][2] )たぶんどちらもNatureに蹴られたんですね。政治的なにおいがぷんぷんします。Patelは言語と音楽の共通基盤を研究している人(Music, Language, and the Brainの著者)で、HauserはChomskyをかついでRecursion仮説(「再帰的計算能力のある/なしがヒトとその他の動物を分ける壁だ」という仮説)の親分(Evolution of Communicationの著者)。しかし、YouTubeが生物学の対象になるとは、、、。はさみとウェブは使いようだなあ。



土曜日, 5月 02, 2009

Bダッシュ

 Los Angelesに来てから一ヶ月が過ぎた。生活や研究の手続きで慌ただしくて、本当にあっという間だった。生活が軌道に乗り始めてホッとしたという気持ちと、まだ思うような研究が出来ていないという焦りと半々だ。正直、英語も思ったほど上達していない。日本で学んだことの貯金で何とか日々をこなしている、という感じ。
 5月は誕生月でもある節目の月。1976年5月18日生まれなので、今年で33歳になる。つまり、その間に地球は太陽の周りを33回完走し、34周目に突入することになる。あと50周ぐらいは走ることになるのかもしれないけど、34週目はBダッシュで行きたい。気分を高揚させるものがここにはある。