金曜日, 2月 05, 2010

測れるものは増えれども..

「Exploring the Origin of Life and Consciousness by Ultra High-speed Microscopes」(超高速顕微鏡を用いた生命と意識の起源の探求)と怪しいタイトルのUCLA物理・天文学科のセミナーに参加してきた[Link]。要するには、時間的・空間的解像度のうんといい顕微鏡をこしらえて生命と意識を計測しましょう、ということだ。生命を構成している部品(分子)を見れば生命がわかり、意識を生み出している部品(脳神経)を見れば意識がわかる、という物理学者らしい乱暴な議論だ。ただし、講演者は素粒子物理の出身なので、光子(光の粒子的性質)や電子の理論はもちろん、その計測技術にも精通していて、にわか仕込みの実験学者が市販の実験装置で危なっかしい議論をするのとは次元が違う。加速器実験で使われている技術を応用して最新の装置を作り、分子1個をすごい精度で計測したり、神経活動を4次元(3次元プラス時間)で計測したり、とにかく細かいことをうんと測れる。
 いつも思うのだが、技術の進歩で測れるものはどんどん増えたとしても、それを解析する技術(理論も含めて)はさほど進んでいない。せっかく何10次元ものデータが記録できても、主成分分析などで次元を落として解析している。そこに隠された規則を見出す作業は、深い洞察なくしてはありえない。測れるものが増えることはいいことだが、それに溺れてしまわない鍛錬が必要だろう、と感じた。

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