火曜日, 6月 26, 2007

ビリーズ・ブートキャンプのように...

 ここ数週間、国際会議ACAL2007[Link]に出すためにシミュレーションに没頭しているが、だいぶ電池が切れてきた気がする。博士論文を書いている時はもっともっと大変だったのだから、よく乗り切れたものだと我ながら思う。あの時はものすごい集中力で、風邪菌も寄せ付けないほど突っ走っていた。とにかく根拠のない自信と勢いだけはあった。今は、あの頃より少しは賢くなったのかもしれないが、何かを知ることでかえって鈍くなった気がする。「足るを知る」を求めて彷徨うファウストもどきよりも、名誉欲やルサンチマンで動いているインテリもどきよりも、海の向こうで、どでかいホームランをかっとばしたり、ストレートで三振の山をきずいたり、今の自分を最大限表現しているサムライたちから学ぶことは多い。真夜中のビリーズ・ブートキャンプ[Link]を見ていたら、じわじわと何かが充電され、突然、体を鍛えたい衝動に駆られた。外は雨ですが、ロードワークに行ってくることにします。ありがとう、ビリー。でも、ビリーズ・ブートキャンプは買いません。

金曜日, 6月 22, 2007

やっと出た、、、

最近、論文の別刷り要求のメールが多いなと思っていたら、昨年、Artificial Lifeに受理された論文が出版されていました。[Link]

K.Sasahara and T.Ikegami, "Evolution of Song Syntax by Interjection Communication", pp.259-277, 2007 Artificial Life, volumle 13, number 3, pp.259-277, 2007
 
今読み返すと100%自分の主張が書けてない気がするけど、抑えるべきポイントはきちんと押さえた内容になったと思います。惜しむらくは数理生物学との接点をもう少しつけておけば、より良い論文になったかな。次の空間入りのモデルでは工夫します。論文の肝を一言で言うと、「共進化するオートマトンのコミュニケーションダイナミクス」、こんなところでしょうか。(はじめて聞く人は何のことやらという感じだと思うけど。)詳しくは論文を見て頂きたい。言語科学の百科事典(丸善)の生物学編の「生物のコミュニケーション進化のモデル」にも、少しだけこのモデルの話を書きました。興味があればこちらもどうぞ。

火曜日, 6月 19, 2007

Betty is sitting in the front of the door

 数週間ぶりにベティを見かけた。クーラーにでもあたろうというのか、守衛室の入口でじっと中の様子を窺っている。ベストショットを狙ってカメラを向けたら、そっぽを向かれてしまった。目の周りがしょぼしょぼしているので、きっと皮膚病なのだろう。毛皮で覆われた体ではこの暑さはつらかろう。ベティー、論文が終わったら鮭棒を持ってくるからと告げて、計算機の待つ池の端棟へ向かった。あー、シミュレーション。

土曜日, 6月 16, 2007

変な学術研究1

理研の紀伊國屋で単行本のコーナーを見ていたら、面白そうなので買ってしまった怪しげなタイトルの本。サブタイトルは、光るウサギ、火星人のおなら、叫ぶ冷蔵庫。なんじゃらほいと思って読んでみたら、「何でこんなこと真面目に研究しているの?」系の論文ネタのオンパレード。なかにはイグノーベル賞受賞者で、ハトをトレーニング(正確にはオペラント条件づけ)してピカソとモネの絵を弁別させた慶応の渡辺先生の話も載っていた。馬鹿真面目な研究だけでなく、一見わけがわからないような研究も大事なことは承知してますと断ったうえで、著者はシニカルな語り口で研究を紹介していく。こういうの嫌いじゃないけど、思ったほどは面白くなかった。ちなみに、2005年にドクター中松もイグノーベル賞をとっているんですね。

近所の名店~Cafe Largo


久々にカフェ情報をアップします。僕が住んでいる下赤塚にある素敵な喫茶店Cafe Largo[Link]。うちから歩いて7,8分の所にあるという近さにも関わらず、本格的な珈琲を楽しめるお店です。マスターが丁寧に入れてくれる珈琲は味が深く、幸せになれる一杯に出会えます。つい先日はハワイコナ(※)を試してきました。マスターの入れてくれたハワイコナは雑味がなく口当たりがクリアーでした。珈琲はだいたい500円前後。ケーキはあまり種類が多くないので評価が分かれるところですが、まずまずです。たまにギターの演奏会などもやっているようです。僕の中でもお気に入りランキング上位の喫茶店です。
※ハワイコナは程よく酸味があって深入りでも味が崩れないのが特徴(参考:おいしい珈琲の事典

僕的採点
  • コーヒー:☆☆☆(コーヒーはどれも外れはない)
  • ケーキ:☆(種類は少ない)
  • 雰囲気:☆☆(あまり長居して小説を読む雰囲気ではない。)

金曜日, 6月 01, 2007

生物と無生物のあいだ

著者は分子生物学者にして一流の小説家だと思う。生命とは何か?かつて、シュレーディンガーも問うたこの「開かれた」問題に対して、詩的で美しい表現と的確なメタファーが、分子機械的な静的生命観から動的平衡状態としての生命という動的生命観に読者をガイドしてくれる。スキャンダラスなDNA発見の話、ルドルフ・シェーンハイマーの先見的な実験、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)の発明秘話、そして、ノックアウト(叩き壊した)したのにノックアウトされないマウス。これらの多岐にわたる話題がみごとに動的生命観に接続していく。「生命とは要素が集合してできた構成物ではなく、要素の流れがもたらすところの効果である。」著者の文才が引き立つ名著。