日曜日, 10月 31, 2010

unconference

 pingpongのワークショップに参加してきた。Uncoferenceという聞き慣れない形式でやるというとこで、どんな議論になるのか想像がつかなかった。unconferenceは、議題や話す人が前もって決まっているのではなく、参加者が自ら議論したいテーマを挙げてセッションを企画し、他の参加者も議論したいテーマに参加するという参加者牽引型の会議だった。
 昨日のシンポジウム(僕は法事で参加できなかった。Ustでその模様が見れます。[Link])と関係あるテーマをと思い、僕は「コミュニケーションの進化的デザイン:過去、現在、未来」というテーマでセッションを企画した。コミュニケーション媒体の制約がコミュニケーションそのものをデザインするという側面があり、例えば音声言語ならば、「音」という一次元的なメディアだからこそ、言語の統語構造の複雑さは生まれたのでないか、というような考え方ができる(その他の要因もあるだろうけど)。一方、Twitterなどのオンライン性の高いテキストベースのコミュニケーションの機会が増えれば、そのような制約を反映してコミュニケーションの形式やあり方もかわるかもしれない。このように、「メディアの進化」が「コミュニケーション進化」を牽引することがあるとするならば、どのようなことが起こりうるか、またそれをどのような視点で捉えればよいか、というようなことを議論した。僕の力不足もあり、議論が十分収束したとは言えないけどとても刺激的な議論で、良い経験をした。

日曜日, 10月 24, 2010

はやぶさ

 今一冊の本を読んでいて、とても元気づけられている。「はやぶさ―不死身の探査機と宇宙研の物語」という新書で、これが書かれたのははやぶさが地球に戻ってくる前の2006年だ。恥ずかしながら僕が探査機「はやぶさ」のことを知ったのは、2010年6月13日に無事地球に帰還してニュースになったときだ。この大ニュース以前に本書は、はやぶさを人類史上初の大冒険であると伝え、開発にまつわる物語を極玉のサイエンスノンフィクションとして描いている。数あるはやぶさ本のなかでも、特に読みごたえがある本だと思う。とにかく文章がいきいきとしていて面白い。著者を知ってびっくしりた。理系なら多くの人が知っているだろう「オイラーの贈物―人類の至宝eiπ=-1を学ぶ」の著者、吉田武さんだった。数理工学の先生だと思い込んでいたので「えっ」という感じだった。
 1章には「宇宙開発の父」と言われる糸川英夫博士が、いかにして逆境から成果を生み出してきたかが書かれている。正確に言うと、吉田さんが糸川博士の気持ちを代弁をしているわけだが。p.72の好きな段落をちょっと長いが引用したい。
 (燃料が)個体か液体か、という論争は目的達成の立場から見れば、全く意味の無いものである。何であろうと、ロケットを正しく飛翔すればそれでいいのであるから。しかし、頼みもしないのに向こうからやって来てくれた折角の試練である。それを真正面から受けて克服するとき、技術の分野に大きな進歩がもたらされる。科学も技術も、安住の地には、その華を咲かせない。安易な妥協をすれば、営々と築き上げて来た技術を継承できなくなるだけでなく、肝心の探究心すら失ってしまう。

 心に留めておきたい言葉だ。

金曜日, 10月 15, 2010

TED

 クーリエの今月号にTEDの記事が載っていた。TEDとはTechnology Entertainment Designの頭文字をとったもので、年一回カリフォルニアで、様々な分野から著名な人物を招いて講演会を行っている。講演者にはビル・クリントン(アメリカ元大統領)、E.O.ウィルソン(社会生物学者)、ジェームズ・ワトソン(DNAの発見でノーベル賞)、ボノ(U2のボーカル)、スティーブン・ホーキング(宇宙物理学者)などがいる。
 TEDの通常の講演は18分と決められていて(観る方としては集中できるちょうどいい時間)、この短時間で、最高の頭脳たちが最高に刺激的な講演をする。それは一流のエンターテインメントである。太っ腹にもその模様がネットで閲覧できる [ここ] [日本語字幕付きはこっち]。
 昨日観てとてもおもしろかった「優れたリーダーはどうやって行動を促すか」というトークを下に貼っておきます。
 「ネット・バカ」に警鐘を鳴らしつつ、ここでもまたネットの力を思い知らされる。自分が真に憧れるような知性は、旧来の大学や研究所の中にはもはやなく(言い過ぎではあるが)、TEDのような全く新しいコミュニティーの中に生まれるのかもしれない。


月曜日, 10月 11, 2010

ネット・バカ

 あなたはここ数年、自分は落ち着きがなくなったと感じたことはないだろうか?メールをチェックし、インターネットでニュースやブログを斜め読みし、誰か面白いことをつぶやいていないかとTwitterを見る。その間にも新しいニュースやメールが飛び込み、誰かがどこかでつぶやいている。理解しようがしまいが情報は次々と更新され、前進を余儀なくされる。この真ただ中にいると、えも言われぬ焦燥感がつきまとう。
 この本はまさに上に述べたようなことを問題にしている。つまり、インターネットというテクノロジーの進化がいかに人の思考習慣を変え、それによって脳にはどのような物理的変化が生じうるのか、ということである。双方向性やリアルタイム性が増したメディアの進化、そして脳の神経可塑性(環境に応じて柔軟に変わることができる脳の性質。逆に言うと、それだけ脳が環境からの影響を受けやすいということ。この本もお勧め。)、この2つが密接な相互作用を続けると情報の質も量も大きく変わり、それは人そのものも変える。このことには、もちろん良い面も悪い面もある。「昔は...」的なノスタルジーは無用だが、手放しでテクノロジー万歳でもいけない。このことにわたしたちは自覚的でありたい。メディア進化と神経可塑性を重ねて議論する、というチャレンジングなことをやってのけたとてもおもしろい本。

火曜日, 10月 05, 2010

セミナー発表二連ちゃん

 今日はラボのセミナーで2つ連続で発表をした。論文紹介はもともと担当だったのだが、K先生が風邪を引いて急遽ピンチヒッターとして研究発表もすることになった。結果的にはセミナーは盛り上がり、いい質問が(中にはすぐに応えられない難しい質問も)たくさん出て、発表者としてはとても楽しかった。
 論文紹介ではOferたちの仕事で、睡眠が鳥の歌学習にどのような影響をあたえるか?という論文を紹介した(Dere ́gnaucourt et al. Nature 2007)。行動データだけで実に見事に「睡眠と発達学習の関係性」を示した論文で、Natureの中でも白眉。彼らが見つけたのは「睡眠後に歌が劣化する」という奇妙な現象。
 ひな鳥が歌を練習をしてせっかく上手になったのに、翌朝になると歌がへたっぴになっている。そして、午前中にものすごく練習してまた歌がうまくなって、また翌朝になると歌が劣化している。しかし全体としては、「睡眠後の劣化」と「練習による上達」を繰り返しながら、最終的に歌をちゃんと学習する。では、どうして睡眠は歌の劣化を引き起こすのか?この論文では、「睡眠→聴覚フィードバックがない→誤差修正できない→歌が劣化→再学習する必要(逆に言うとチャンス)→再練習→睡眠...」というサイクルが発達学習にはあることを示唆している。発表資料を以下に添付します。