金曜日, 2月 26, 2016

デジタルペーパー

 ソニーのデジタルペーパーを購入した。前から欲しいと思っていたのだが、新しいモデルが出るのではなかと思って躊躇していた。値段もiPadより高いし。それから、MicrosoftのSurface Pro4も完成度が高くて、オプションのペンを使うとデジタルペーパーのように使うこともできる。
 どちらを買おうか迷った末、PDF(主に論文)の読み書き用と割り切って、デジタルペーパーを買うことにした。 決め手はEinkの美しさと書き心地。紙とほぼ同じ感覚でPDFを読んだり、PDFに書き込んだりできるのは、研究者の文房具としては魅力的。バッテリーも長持ちするので、学会やセミナーのメモを取ったり、普段の勉強ノートを全部これで置き換えても十分使えそう。
 ペーパーレス時代がいよいよくるか。もう少し安いとさらにいいのだが。

水曜日, 2月 17, 2016

モーニングコーヒー

 子どもの夜泣きで目が覚めて、あやして寝かしつけていたら目が冴えてしまったので、モーニングコーヒーを飲みながら考えごとをしている。
 間もなく2015年度が終わる。指導した学生の修論発表が終わり、無事卒業できそうなので、まずはほっとした。今思うと、もっと別の指導方法があったのではないかとも思うが、学生の性分によるところも大きいので何とも言えない。
 一般論として、意識の高い学生であれば、学会に参加させたり論文を紹介したりすれば、自分で楽しさを見つけて研究に夢中になるので何の問題もない。しかし現状では、そういう大学院生ばかりではなく、そうでない学生に対しては、こちらが良い加減で背中を押してあげる必要がある(これは身に染みて感じた)。
 一方で、意識の高い(「意識高い系」ではなく)学生が志望したくなるような状態を作る努力もしなければならないだろう。退官記念講演で恩師は、研究室の立ち上げ当初、なかなか良い学生が集まらずに苦労したという話をしていた。そこでまずやったことは、「本を書いて名前を売る」ということだったそうだ。確かに、教科書はもちろん、ブルーバックスやその他の一般書で先生の名前を知っていたことが、研究室を志望するきっかけになった。もちろん、先生の人柄に惹かれたことも理由の1つ。
 とすると、「本を書く」というのは一つの手かもしれない。思想地図βの原稿を書いて以来失せていた「執筆熱」がまた高まりだしたので、勉強も兼ねて一冊書いてみるか。
 外はすっかり明るくなった。

金曜日, 2月 12, 2016

卒業発表

 情報文化学部(自然情報学科)の卒業発表に参加した。理学部や工学部にはない分野融合的なカリキュラムを学んだ情文の学生たちが、どんな研究をするのかが楽しみだった。
 先生にテーマをもらって取り組んだり、先輩からテーマを引き継いだ学生もいれば、自分でテーマを見つけた意欲的な学生もいた。どの発表もよくまとまっていたと思う。中には、修士論文の発表よりレベルが高いものもあって、今後が楽しみなものもあった。研究室のカラーも出ていて、それも面白かった。
 僕は大学院の所属なので、今のところは学部教育には関わっておらず、学部生とは接点がない。新学部で教育の機会が与えられたならば、講義でやってみたいことは山ほどある。そして、教え子の中から、一緒に研究してくれる優秀な学生が出てくるといいなぁ。

木曜日, 2月 04, 2016

シンギュラリティー

 人工知能が人間を超える日がそう遠くない未来に訪れる。それがシンギュラリティーと呼ばれているものである。5年前なら「またまたご冗談を」ですますところだが、自動運転がかなり現実味を帯び、コンピューターが囲碁で人間に勝つ今日この頃では、あながち嘘ではないのかも、と思ったりする。  
 この本の中で「全脳エミュレーション」が紹介されていた。それは、人間の脳を高い精度で計測してコンピュータにマッピングし、外部環境との接続の中でシミュレーションを行うというものだった。先日、たまたま参加したセミナーで、脳のカルシウムイメージングの話を聞いたのだが、その技術が驚くべき速さで進歩していて、このマッピング作業は決して不可能ではないところまで来ているという印象を受けた。自分が理研脳センターにいた頃は、ようやく複数のニューロンから電機信号がとれるようになった頃で、生きたままの脳を丸ごと測ることなど夢のまた夢だった。  
 全脳エミュレーションができたからといって、直ちにコンピュータに意識が宿り、コンピュータが我が物顔で街を闊歩する日が来るとは思わないが、人間とコンピュータとの付き合い方は大きく様変わりするだろう。我々の情報摂取の仕方も。
 この本は楽観論でも悲観論でもなく、バランスよく書けた良書である。