日曜日, 4月 21, 2024

サンデーモーニング

  サンデーモーニングにインタビュー出演しました。OpenAIが東京に拠点を作ったり、MetaがLlama 3を発表したりと、毎日のようにAI(特に、大規模言語モデル)に関する話題がニュースで報じられています。なぜAIを開発している企業が日本に拠点を新設するのか、生成AIが遍在する社会では何がおこるのか、計算社会科学者の立場で回答しました。

 正直、誰も生成AIの今後がどうなるかなんて予測はできないし、「予測」なんて言葉を使っている時点で負けなのだと思います。1年前、ChatGPTが出てきて大騒ぎでしたが、もはやLLMをビジネスで活用するのは当たり前になっています。かつてないペースで民主化・大衆化が進んでいる生成AI。大学の研究者として何ができるのか、予断を許さない状況です。



日曜日, 4月 07, 2024

2024年度

  卒業式の余韻に浸る間もなく、入学式、オリエンテーション、そして2024年度の学期がはじまった。年度末の予算処理に間違いがなかったも心配だし、新年度の手続きでもヒヤリ案件が多発。ここを乗り越えて、研究と向き合う状況を整えたいところ。

 コロナ禍に東工大に移ってきて、まずは新しい環境に慣れよう、授業の完成度を高めよう、自分が関わっている研究で成果を出そう、そして、依頼原稿、招待講演、本の執筆・翻訳と、我武者羅にやってきてきた。当時は、その先にどんな未来が待っているかなんてらからなかった、その成果が一気に出たのが2023年度だったように気がする。

 さて、2024年度はどうなるか。いや、どうなるかではなくて、どうしたいかだ。先手先手で動いて2024年度を作っていく。そして、今年はプライベートももっと充実させたい。楽しいことがある日々は頑張れる。

金曜日, 3月 29, 2024

サプライズ

  3/26はあいにくの雨だったが、東工大の学位授与式がとり行われた。公式情報によると、東工大から学位を授与されたのは、学士1,041人、修士1,653人、専門職学位課程25人、博士167人とのこと。みんな、これからの日本を背負っていく逸材たちだ。

 私の研究室からは4名(専門職学位課程)が無事に卒業した。うち2名は、プロジェクトレポートの優秀賞に選ばれた。また、1名は社会人学生として、博士後期課程に進学する。

 学位記手交と謝恩会後、笹原研の打ち上げをした。久しぶりに学生たちと会い、楽しい時間を過ごし、卒業生たちに言葉を贈った。この日の主役は卒業生だが、学生たちがサプライズで、私の教授昇進のお祝いを準備してくれていた。ハンディーなコーヒーミルと手編みのドリッパー。プレゼントはもちろんだが、学生たちのその気持ちがとてもうれしい。

 2023年度が終わろうとしている。昨日、CICの居室のドアに、准教授から教授に肩書が変更されたマグネットが張られた。定年退職まで髀肉之嘆なんてまっぴらなので、「自由な発想による研究」がずっとできてない現状を打破する。

 思いっきり尖った研究をする。それが自分がやりたいこと。





 

 

金曜日, 3月 15, 2024

研究室運営

  研究室を運営するというのは本当に難しい。名大時代は、いつも誰かしら研究室に学生がいて、学生同士が教え合う「横の学習」があった。今の環境は社会人がメインの特殊な環境で、横の学習が原理的に難しい。

 大学の廊下でばったりあって、「あの件はどうなりましたか」みたいな会話はできない。オンラインベースだと、会おうと思わないと会えない。それでもその制約を克服しようと、負担増を覚悟で、ゼミを週2回に増やし(DとM)、フルタイム学生の勉強会、そして1on1を行っている。

 この3月で笹原研の3期生が卒業する。これまでの卒業生は3名、今回は4名で、合計7名になる。うち、3名がプロジェクトレポートの優秀賞を受賞し、さらにそのうちの1名は総代を務めた。博士後期課程に進学したのは、7名中3名。これが東工大に移籍してからの数字。ゼミ等をおろそかにせずに取り組んだ成果だと信じたい。

 仕事は増える一方だが、教員一人で研究室運営をしなければならい。自分の負担は軽減しつつ、研究室全体で成長していくにはどうしたら良いか。そして、この特殊環境でも研究を諦めず、成果を出していくためにはどうしたら良いか。模索は続く。

土曜日, 3月 09, 2024

世界は経営でできている

 田町の本屋さんで見つけて、面白そうだったので、『世界は経営でできている』(岩尾俊兵 (著))をさっそく買って読んでみた。この本でいうところの「経営」とは、「価値創造という究極の目的に向かい、中間目標と手段の本質・意義・有効性を問い直し、究極の目的の実現を妨げる様々な対立を解消して、豊かな共同体を作り上げること」である。

 仕事、家庭、恋愛、勉強、老後、科学、歴史など色々なテーマに関して、あるある的な失敗事例を取り上げ、それらがどう経営の視点で捉えられるのかが書かれている。シニカルで、時に自虐的なユーモアを交えつつ、小気味よいテンポで展開される。お笑いのリズムネタのように、プロットが定型なので、下手すると途中で飽きられてしまうが、そうならずに読者を誘うのは筆者の腕だろう。

 難しいことが書かれているわけではない。取り上げられているテーマにおいて、経営が欠如していること(=目的と手段の転倒、手段の課題化、手段による目的の阻害)が問題なのだという。私が特に関心したのは、以下の記述。

  • 自己と他者を同時に幸せにする価値創造でしか、個人にも集団にも恒久的な幸せは訪れない
  • 価値を無限に生み出せるのならば、奪い合う必要がない(価値は有限だと考えるから奪い合いが起こる)
  • 他者は奪い合う相手ではなく、価値を創り合う仲間だ
 人間とは、価値創造によって共同体全体の幸せを実現する「経営人」であるという。この本を読むことで、少し日常の心構えが変わるのではないだろうか。


異分野融合の楽しさ

 日本応用数理学会の応用数理ものづくり研究会セミナーで講演をしてきた。以前、アドバンスソフト株式会社のセミナーで講演したとき、参加者のお一人からお誘いいただいた。数値シミュレーションをバリバリやられている大学や企業の方が多いので、私は完全にアウェイだな、他の講演者の話も楽しめないかなと思っていたら、そんなことはなく、とても面白かった。

 大規模地震シミュレーションをAIを使って高速に計算したり、AI融合シミュレーションで都市街区スケールで微気象予測するというのが前半の二名の話。特に、二人目は東工大の先生で、大学発ベンチャーもやられているということ。後半は、私が毎度まいどのフェイクニュースと生成AIの話。場違いな気もしたが、異分野の集会で話をするのは慣れっこ。四人目は、最近の生成AIのトレンドで、自分では追い切れていなかったので参考になった。

 物理シミュレーションと深層学習を組み合わせるという発想がなかったので、社会科学で応用の場面があるかはともかく、とても面白かった。「AI融合シミュレーション技術=物理シミュレーション(時間外挿)+AI超解像(空間内挿)」という発想はすごい。

 しばらく、あまりにも忙しすぎて、学会や研究会に参加できていなかったけれど、せっかく東京にいるのだから、フットワーク軽くこういうセミナーに参加したいところ。(しかし、実際は会議や雑用に阻まれて、なかなかそうできない)

 今日の特別講義が終われば、とりあえず謝金が発生する2023年度の講演・講義は終了。とにかく今年度は数が多かった。来年度は控えよう。

土曜日, 2月 24, 2024

書き上げる

  気が付くと2月が終わろうとしている。1月と2月は、学生たちのプロジェクトレポートの指導をして、審査して、授業をして、講演をして、あらゆる確認、確認、確認で時間が過ぎた。もはや何が忙しかったのかも思い出せないぐらい、忙しかった。プロジェクトレポートでは、研究室の学生2名が優秀賞に選ばれた。指導の成果が形になったのは何より。

 もう1つ重要案件が残っていて、これを仕上げなければ2月は終われない。本の分担執筆だ。毎度毎度、執筆にとりかかるのがギリギリで(わざとではなく、本当に忙しいのだ)、連休だというのに、籠って作業。いつもの部屋でテレビの音声をBGMにして書いている。

 「フェイクニュースを科学する」の時も、「ディープフェイクの衝撃」の時もそうだった。執筆は孤独で苦しい作業。これが終わったら、しばらく原稿の執筆は遠慮しよう。晴れて脱稿すれば、3月は授業がないので、もう少し研究に集中できると思う。自分の研究時間のために、こいつを書き上げる。

金曜日, 2月 09, 2024

体の「声」とマインドフルネス

 研究室の学生が東大との共同研究に取り組んでいて、そのテーマが「スマートウォッチでマインドフルネスを計測する」というものだ。マインドフルネスとは瞑想の一種で、現在において起こっている経験に注意を向ける状態のこと。

 先日、共同研究の打ち合わせで、終末医療に関わる職業の人たちが燃え尽き症候群に罹りやすく、マインドフルネスのプログラムを受けることで回復するという話を聞いた。

 終末医療に関わる人たちは、死を待つ人たちに自分たちは何がしてあげられるのか、という自問自答を繰り返し、辛い感情を抱えながら、日々高度な意思決定をしていかなければならない。自分の感情を押し殺し、それに気づかないふりをして、粛々と仕事をこなしていく。その無理が続くと、燃え尽き症候群になってしまうというのだ。自分の感情に気づけない人は、相手の感情にも気づきにくくなる。結果的に、ケアする人もケアされる人も不幸な状況になるリスクがある。

 終末医療に関わる人に、マインドフルネス瞑想をしてもらうことで、自分の身体が発する「声」に意識を向けられるようになり、「自分は辛かったんだ」ということに気づくことができるようになる。自分の心の状態を客観視することで、心の悪い状態から良い状態(ウェルビーイング)へと遷移するきっかけを作ることができる。なるほどと思った。

 研究室を主催し、小さな、しかし重要な意思決定を日々している身としては、共感できる部分がある。自分がやりたいこと、学生がやりたこと、プロジェクトとしてやらなければならないこと、大学の一員としてやらなければならないこと、依頼された仕事、予算の制約、時間の制約、皆が気持ちよく学べるように・働けるように。ANDが取れない板挟みに四苦八苦、仕事量と時間のプレッシャーに翻弄されていると、どうしても自分の感情は二の次になる。自分が自分に「辛かったね」と言ってあげられる状態を作ることで、そこを乗り越えられるようになるというのは興味深い。

 マインドフルネスで自分の体の声を聞く。何があっても、自分が必ず帰って来られる唯一の場所。それは自分の身体だ。その身体が悲鳴をあげていることを無視しない。それは大事なことなのだ。

月曜日, 2月 05, 2024

マネジメントの難しさ

  東工大に着任した当時は、名大と東工大を合わせても学生数名という小さい研究室だった。その頃は、忙しいながらも自分でも手を動かす余裕も多少あったし、技術支援員のサポートもあり、研究室全体を把握したり、学生一人ひとりに費やす時間もあった。

 しかし、ここ1, 2年で研究室の学生数が大幅に増え(大変喜ばしいことだが)、研究員の数も増え、自分の仕事も激増した。もはや自分で手を動かして研究をする時間はなく、何かで詰まると、研究室が回らなくなるかもしれない、という心配が常にある。実際、昨年末に体調を崩したときは、本気でまずいと思った。

 組織の規模が小さいうちは、常識的なやり方で情報共有も意思疎通もスムーズにいくのだろうが、組織の規模が大きくなるとそうはいかない。多様な学生を伸ばしつつ、しかし研究室としての一体感も醸成しつつ、パフォーマンスも上げていく。そんなことは可能なのだろうか。

 自分が院生の頃は、強烈な個性とカリスマで学生たちを引っ張っていく先生のもとで学んだので、まったくタイプの違う自分にはまねできない。そして、時代も違う。科学者が科学だけやっていて良い時代は終わった。

 それはわかっているが、自分がやりたいのは科学だ。でも、マネジメントは必要だ。研究者としての試行錯誤が続く。

火曜日, 1月 23, 2024

粉末甘酒

  甘酒は「飲む点滴」とも言われる。ブドウ糖とビタミンが豊富で、消化・吸収が良い。疲れた体にはこれが一番。飲むとからだがポカポカし、ほどよい糖分で頭がスッキリする。

 甘酒が好きなのだが、作るのは手間がかかるし、パック入りのものは結構お値段がする。最近ドラックストアで粉末タイプの甘酒を見つけた。お湯を入れたときの溶け具合もまあまあ。これは良いと、同商品の業務用をアマゾンで購入した。

 ホットでも良し、アイスでも良し。甘酒で1月を乗り切る。

 

月曜日, 1月 22, 2024

福島牛うまし

  昨年の大晦日、さとふるで福島県いわき市にふるさと納税し、我が家に福島牛がやってきた。さっそく、日曜の晩御飯は焼肉にして、ジュージューやいていただいた [動画]。程よい脂身と赤身の歯ごたえと味。いやー、うまい😋

福島牛切り落とし・角切りセット

 うつくしまふくしま。我が故郷の福島には、世界に誇る美味しいものがたくさんある。桃、りんご、梨、お米、日本酒、喜多方ラーメン、浪江焼きそば、貴千の揚げかまぼこ。福島牛もうまし。ぜひ福島のうまいものを!

 

水曜日, 1月 03, 2024

能登半島地震で始まった2024

 久しぶりに、締切に追われない年末年始を過ごしている(休みが明ければ、やること山積だが)。子供たちもじーじ、ばーばと会えて、うれしそうにしている。

 2024年は辰年で、私は年男。実り多い年にするぞ、と気持ちを新たにした。そんな矢先、元旦の能登半島地震が起きた。テレビでアナウンサーが「逃げてください!」と叫ぶ様子に、息子も普通じゃない空気を感じたようだ。事態の深刻さが明らかになるにつれ、3.11の記憶ともリンクして、大変なことが起きたという実感が沸いてきた。

 被災された方々には、心からお見舞いを申し上げます。Yahoo基金がすぐに緊急支援募金のサイトを立ち上げてくれたので、少しではありますが募金しました。1月3日 0時時点で7億円を超え、善意が続々と集まっています。一日も早く困っている現地に人に届けば良いなと思います。

 そして1月2日には、JAL機と海上保安庁機が衝突し、能登半島地震対応で物資を届ける任務についていた職員5名が命を落とすという痛ましい事故が起こりました。あまりにも痛ましい事故で、言葉になりません。心からからご冥福をお祈りいたします。

 2024年が始まってたった2日で、1年分以上の不幸があったような感じがします。世界に目を向ければ、戦争をしている国があって、収束の気配もない。しかし、これが我々が生きている時代。目を背けることも、逃げることもできない。