土曜日, 8月 09, 2025

ウォーリーを探せ

  昨年、私と五十嵐さん(名大)で作成したJ-LIWC辞書の商業利用のロイヤリティを企業からもらい、二人で分けた。そして、私は東工大(現 東京科学大)に、五十嵐さんは名大に全額を寄付した。そうすることを、もともと[この論文]の中で約束していたからだ。

All royalties given to TI and KS for the commercial use of the J-LIWC2015 dictionary will be donated to Nagoya University and Tokyo Institute of Technology.

 寄付のお礼として、自分の名前がはいったブロックが、東京科学大のどこかに設置されたことは知っていた。しかし、どこにあるのかは知らされていなかったし、自分から探すこともしなかった。

 昨日、学生が大学図書館の入り口にそれがあることを発見し、写真を撮ってくれた。自分ではぜったいに見つけられない、ウォーリーを探せ状態。そして、すっかり忘れていたので、「思わぬ再会」といった感じ。

 左下には、ノーベル生理学・医学賞の大隅良典先生のお名前がある。日経の記事によると、「大隅良典記念基金」を設立するために、ノーベル賞の賞金相当の1億円を寄付したのだそう。

 後進を育てるために1億円を寄付する、という科学者の模範のような行為を目の当たりにすると、論文を何本出したか、国際会議でどれだけ発表したか、研究助成をいくら獲得したかを競うことなど、どうでもよい些細なこと、そして研究者のエゴに思える。

 科学という営みを絶やさず、発展させるということが最も大事なことだ。





日曜日, 8月 03, 2025

スローダウン

  昨日の補講で2Qの授業が無事終わり、ずっと続いていた過密スケジュールが一区切りついた。「喉元過ぎれば熱さ忘れる」ではあるが、2Qは新設授業(ビジネスデータサイエンス)だったため、講義資料・演習問題を準備する締切が毎週あり、膨大な数の会議・雑用をこなしながら、そのための時間を確保するのに苦慮した。

 ただ、授業準備のために、新しい教科書を読んだり、プログラムを書いたりといった作業はとても楽しかった。知らない間にPythonが進化していて、自分が勉強した頃にはなかった機能が追加されていた。知らなかったことを学ぶのは、いつだって楽しい。

 さて、差し迫った締切のタスクをこなすのに忙しすぎて、自分が置かれている状況、やりたいこと・やらなきゃいけないことを整理することもできていなかった(誰に褒められるわけでもないが、タスクはきちんとこなした)。少しスローダウンして、自分を見つめなす時間が必要だろう。

 

火曜日, 7月 29, 2025

IC2S2 2025

 国際会議IC2S2 2025に参加してきた。今回はスウェーデンのノーショーピングで、首都のストックホルムから電車で2時間ぐらい。かつては織物工業の都市として栄え、現在はその時の工場群はリノベされ、観光スポットとなっている。

 今回のIC2S2は、過去最大の約650名が参加した。私の研究室からは、ポスドク2名と博士学生1名がポスター発表をした。東工大に移籍してからは、毎年この時期に院試があるので、ほとんどフル参加することができなかった。今回は院試(A日程)が早く終わったこともあり、チュートリアル以外は参加できた。いろいろ仕事を抱えての出張であることは変わりないが、いつもよりは落ち着いて学会を楽しむことができた。

 それにしても計算社会科学の分野の進展の速さには驚かされる。去年はLLMの活用はまだ手探り状態だったが、今年の研究発表では、LLMの活用はもはや当たり前の状態。かつて、機械学習も異分野進出が激しかったが、LLMはその比ではない。この変化は破壊的ですらある。来年はどうなっているのだろう。

 IC2S2に参加すると、自分の原点をいつも思い出す。原点といえば、カンファレンスディナーの建物の前で、Oferと再開した。彼もこの学会に参加していたのだ。かつてBirdsongを研究していた時に、Oferからたくさんのことを学んだ。それは私がTwitterのデータ分析を始める前のこと。Oferは今はオンライン行動実験もやっていて、相変わらずエネルギッシュですごい。

 来年のIC2S2は米国のVermont。いい研究をして、またこの学会に戻ってくるぞ。





 

土曜日, 7月 05, 2025

All work and no play makes Jack a dull boy

 このことわざの通り、忙しすぎてよいことは1つもない。先月は、家族で晩御飯を食べる日がほとんどない週もあった。自分が無理をして、体や心を壊してしまってはもともこもない。
 何かを1つ始めるのであれば、何かを1つをやめるのでなければ計算が合わない。1日は24時間しかない。自分がやりたいことをやる時間を作らないと。
 CRESTの実験は無事修了した(分析はこれから)。KProの最初のハードルは超えた。あとは、新規開講の授業の準備の目途が立てば、もう少し余裕を持てるようになるか?
 ひと月に一度ほど、まるで何かの手違いのように、会議も予定も一切ない日がある。そんな日は、雷雨のあとに一瞬だけ現れる青空のような、澄みきった解放感を覚える。その感覚を、もっと頻繁に味わいたいものだ。

日曜日, 6月 29, 2025

XFinch実験

 6/6-8の3日間に渡り、CRESTの目玉となるXFinch実験の本番を実施した。XFinchというのは動画を共有するInstagramのようなSNSで、実験用のシステムとはいえモックアップではなく、本格的なSNSだ。

 学生たちに協力してもらったテスト実験を2回、100人規模の予備実験1回を経て、1200人超の参加者による本実験。テストや予備実験で見つかった不具合を修正して臨んだが、本番では想定していなかった様々なトラブルが起こった。

 しかし、それは最小限に食い止めた。SNSとして使えないほど動画が遅延したり、参加者の行動データの記録に失敗するといった、大きなトラブルはなかった。何とか本実験を無事終えることができた。プロジェクトのメンバーと議論を重ねてきたことが功奏した。

 先日のCREST領域会議で、XFinch実験の予備分析の結果を報告した。今後、論文化に向けて分析を進めていく。これで、CRESTの申請書での公約を果たし、2020年から始まった5.5年のプロジェクトをクローズしていくことになる。言葉にできないほどの苦労がたくさんあったが、PIとして様々な経験を積むことができた。支えてくれた方々に感謝したい。

 実験成功を記念して、Tシャツを作った。XFinchのキャッチフレーズは、「Blue bird is gone, but not in the blue sky」。何を言っているのか想像がつくだろう。



日曜日, 6月 22, 2025

国産IPA

  ビール好きだが、中でもIPAが特に好きだ。今のところ最高のIPA体験は、IndyでNetSciがあったとき、宿泊していたホテル近くのレストランで食べたバッファローチキン+IPAだ。酸っぱ辛いソースと濃く苦いIPAが最高に合う(あー、Bloomingtonに帰りたい)。

 日本では長らく「インドの青鬼」ぐらいしか、自分に合うIPAがなかった。しかし近年、色々な国産IPAが出てきて、値段はだいぶするがご褒美にはもってこい。これまでに飲んで美味しかった、自分好みの国産IPAを紹介する。

  • Hysteric IPA 大好きな名古屋の地ビール、ワイマーケットBREWINGの一本。フルーティーだけどガツンと苦い。名前も格好いい。
  • NEKONIHIKI 伊勢角屋麦酒さんのIPAも同種。猫シリーズはどれもうまい。父の日に大人買いして、3本ゲットした。