火曜日, 2月 11, 2025

特効薬でない

 2016年3月に最初の修士学生を送り出した。当時は私も若く、自分が大学院で経験したことを学生に伝えるのだと鼻息荒くしたが、挫折した。「博士に進学して研究者になる」というのが当たり前の環境の方が少数派なのであって、そうじゃない方が大多数なのだから、自分の経験に依拠してもうまくいかなかったのは無理もない。

 あれから年齢を重ね、より多様な研究テーマをを扱うようになった現在は、基本的には学生のやりたいテーマを尊重して支援することにしている。最低限抑えておく必要があるということは指導するようして、できるだけ学生の自主性とやる気に任せている。そうすると、学生ごとの差がどうしてもでてくる(もともとの能力ややる気は、指導だけでどうにかなるものでもない)。それでも、教員ががちがちにレールを敷いてしまったら、学生が自ら考えて試行錯誤する機会を奪うことになる。学生を信じて見守る、という以外にはない。

 その気持ちに変わりはないが、本当にそれで良かったのかと思う気持ちもある。ものの本によると「期待するからつらいのだ」というのがあるが、自分の学生に期待しない教員などいるだろうか。

 自分が費やしたこの時間は、誰かを・何かを改善することにつながったのだろうか。その答え合わせは、おそらく何年も先になるのだろう。教育とは特効薬のように全員に効くものではなく、すぐに効果が見えるものでもない。

 

土曜日, 1月 18, 2025

共通テストの試験監督

  何度か試験監督の話題はブログに書いているが、今回は共通テストのそれである。センター試験が共通テストになった。本当は、今回の試験監督は免除されていたのが、都合がつかなくなった教員のピンチヒッターをやることになった。

 名大の時は明和高校の担当で、2日間まるまる潰れるので、なかなかにしんどい仕事だった。ただ、空き時間に話をすることができて、それはそれで楽しかった。「2日間、ミスなくやりましょう。オー!」みたいな感じになるので、一体感が生まれ、よかった。

 それから、栄から明和高校に行くまでに、古い町並みがあったり、名古屋城の城壁の名残があったりして、それを見ながら歩くのは楽しかった。そして、試験監督の仕事を終えると、栄の駅地下のタリーズでコーヒーを飲んでから、家路につくのが楽しみだった。

 東工大に移ってからは、幸いなことに担当は2日のうち1日でよい。それは助かる。ただ、名大の時のように、先生とおしゃべりするとか、街並みを見るとか、そういった楽しみはない(誰もそんなものを求めてないかもしれないが...)。間違いをおかさないように、神経をすり減らす一日になる。

 今回は大きなトラブルなく終えることができたので、よしとすることにしよう。

木曜日, 1月 02, 2025

あけおめ2025

 年男だった2024年が終わり、2025年に突入。今年はいろいろと節目の年になりそうだ。

 2020年にスタートしたCRESTのプロジェクトは、2025年度が最後(2026年3月終了)。コロナ禍で、かつ、名大から東工大に移籍するタイミングだったので、成果が出せるかどうかがまったく不確実な状況だった。

 それでも、名大の学生たち、CRESTのRA、ポスドク、共同研究者に恵まれて、想定以上の成果を出すことができた。新しい論文が2つ、新しい実験も1つ控えている。小さなグループにしてはがんばったと思う。さきがけのように単独でやるのと違い、グループで成果を出すマネジメントについても学ぶことが多かった(苦労も多かった)。

 一方、2024年10月にスタートしたKProgramのプロジェクトは、今年トップギアにもっていく必要がある。まずは、優秀な人材集め。Brunoが加入したのは幸運だったがが、さらにメンバーが必要。現職の特殊な環境で研究成果を出すは至難の業。

 主任の役職も2025年度まで(換言すると、まだ4か月しかたっていない...)。とにかく、大過なく、東京科学大MOTの「顔」を務めなければならない。これが達成すべき大目標なので、細かいことは気にしない。リーダーとはかくも孤独なものかと身にしみて感じた。しかし、この経験も無駄ではないだろう。

 有限の人、物、金、そして時間、これらの制約の下で成果を最大化する。自身の鍛錬もおこたらない。気持ちは地方の戦国大名。それも悪くない。

月曜日, 12月 23, 2024

風呂

  週末は家族でスーパー銭湯に行く。名古屋にいた頃からの習慣で、子供たちも小さい頃からなので、みな風呂好きだ。昨今、入浴料も値上がりし、子供たちも料金がかかるようになったので、それなりの出費にはなるが、風呂は我が家のささやかな贅沢である。大きなお風呂で汗をかくことが、なによりのストレスの解消になる。

 スーパー銭湯にも個性がある。露天風呂が充実している銭湯、露天はないが内風呂の泉質が良い銭湯、サウナがやたら多い銭湯、ごはんがおいしい銭湯。武蔵野以外にはにはあまりない黒い温泉の銭湯もある。だいたいどの銭湯もチケットを購入するので、財布はチケットだらけになる。

 熱めの風呂に入り、露天に行き、サウナで汗をかいて、水風呂へ。最後に熱めの風呂に再度入り、出る。これで「整う」。

日曜日, 12月 08, 2024

不運な年の瀬

 いろいろ抜けているのはもともとだが、不注意で不運な出来事が続いた。

 先日は電車を乗り換える際に、駅構内で職員カードを落とした。すぐに「落としましたよ」と親切なご婦人が教えてくれたので、職員カードは紛失せずに済んだ。

 翌日、授業が終わって家路についたとき、定期入れを手に取ったら、EXカードがない。かばんの中にも、ポケットの中にも。EXカードはそれだけでは悪用はできないが、「やってしまった」と意気消沈した。定期入れにはAirTagをついてけいるので、所在をiPhoneで確認できるが、定期入れから落ちてしまったEXカードはどこにあるかわからない。

 JRの落とし物チャットボットに登録して、1日にまったらそれらしきものがあったとの知らせがメールできた。まだ自分のものかは確認はとれていないが、明日無事にEXカードを受け取れることを祈る。そして、届けてくれた方、ご親切にどうもありがとうございます。

 もう一つの不運。新車のプリウスの左ドアをブロックにぶつけて、凹ませてしまった。赤信号で止まった時にうどん屋さんを見つけて、左に曲がったら、まさか入り口付近にブロックがあるとは思わず、「ドカン」と鈍い音が。あー。KINTOなので、修理に出しても、免責5万円なので、それ以上とられることはない。しかし、気持ちも凹んだ。

 「今に集中せよ」という警告なのかもしれない。大きなトラブルにはなってないので、不幸中の幸いと思うことにして、自分を戒めよう。まだ2024年は残っている。

 

 

火曜日, 12月 03, 2024

師走

  2024年の師走に突入した。気が続くと紅葉の時期を過ぎ、街はクリスマス、盆暮正月の雰囲気。

 3Qはオムニバス講義以外は授業がなかったので、4Qと来年度の授業の準備、そして研究を...と思っていたが、全く時間が取れなかった。10月の認証評価の対応でかなりの時間を取られ、11月は院試対応。博士論文の審査も5件ぐらいはやったのではないか。主任業務は増えることはあっても、減ることはない。

 それ以外は全く何もしなかったのかというと、もちろんそんなことはない。博士学生の中間審査をやり、CRESTの領域会議をこなし、研究助成に応募し、ポスドクと学生の論文を修正した。なので、最低限やるべきことはやった、とは言える。しかし、それは最低限なのであって、自分がやりたいことに到達する前に時間切れ、エネルギー切れ。

 山手線の座席に運よく座れると、最初はノートPCで作業をしているのだが、ついつい寝てしまう。気が付いたら田町を通り越し、高輪ゲートウェイなんてことも、二日連続でやった。師走である。