水曜日, 4月 30, 2008

18位

 久しぶりにArtificial Life誌のWebサイトを見ていたら、なんと僕の論文"Evolution of Birdsong Syntax by Interjection Communication"が、Most Downloaded Article(最もダウンロードされた論文)の18位に入っていた[Link] 。ランキングの8位内はFreeの見本論文で、それ以降が有料論文である。僕が好きなLinda Smithの論文が20位なのを考えると、大健闘なのではないか。去年夏に論文が出てからあまりダウンロードされている風ではなかったのだが、いったい何がきっかけで僕の論文が知られるようになったのだろう?ちなみに、Free論文になっている後輩の鈴木君の論文は、前回までぶっちぎりの1位で、今回も6位になっている。すごいなあ。
 僕が一番好きなのはこのジャーナルだが、正直、面白くて魅力的な論文が少ないように思う。最近は出版までのプロセスが早いことから、PLoS ONEなどのオンラインジャーナルが流行っているが、ぜひArtificial Life誌には頑張ってもらって、味のあるモデル研究を載せてもらいたい。もちろん、僕も良い仕事をして、ばんばん投稿したい。

月曜日, 4月 28, 2008

書いたどー

 やっと、Data Mining and Knowledge Discovery[Link]に投稿する論文のドラフトを書き上げた。とても苦しかった。何度も途中で腐りそうになったが、意地でがんばった。これで、今年度書く予定の4本の論文のうちの1つにめどがついた。まだまだ荒削りなところがあるが、方法論の論文にしては読みやすくコンパクトにまとまったと思う。投稿までに説明を簡潔に、そして図をもっとわかりやすくして、ぜったい受理されるようにしたい。
 論文のタイトルは、「Ethological Data Mining: An Automata-based Approach to Extract Behavioral Units and Rules」。論文のドラフトをブログに乗せるわけにはいかないので、アブストラクトとこの解析方法の概念図を載せます。
Abstract

We propose an efficient automata-based approach to extract behavioral units and rules from continuous sequential data of animal behavior. Introducing original extenstions, we integrate two elemental methods -- the N-gram model and the Angluin's machine learning algorithm into an ethological data mining framework. It allows us to obtain the simplest finite automaton representation of behavioral rule that accepts (or generates) the smallest set of possible behavioral patterns from sequential data of animal behavior. With this method, we demonstrate how the ethological data mining works using real birdsong data and performs experimental evaluations of this method using artificial birdsong data generated by a computer program. These results suggest that our ethological data mining effectively works even for noisy ethological data by appropriately setting the parameters. In addition, we demonstrate a case study using the Bengalese finch song, showing that our method successfully grasps the core structure of the singing behavior such as loops and branchings.
こちらがEthological Data Miningの概念図。EUREKAでReversible Automatonを使って解析をするときのプロセスフローを表している。


下の写真は、論文の構想を練っているときに書きなぐったホワイトボード(柿下君が写真を撮ってくれた)。


 次は、ジュウシマツの歌学習の発達ダイナミクスの研究だ。夏休みにOferの所に行くまでに、2TBのデータすべてを解析するのだ

日曜日, 4月 27, 2008

理系のための口頭発表術

 今月は何かと発表する機会が多かった。そのつど自分なりに発表や資料を工夫しているつもりだが、どうも空振りすることもある。自分の発表内容に一杯いっぱいで聴衆のことにまで気が回らないと、特にそうだ。セミナーや学会に行くとしばしば発表のうまい人がいて、そういう人の発表は共通して平易な言葉でテンポよく進められ、聴衆のとの一体感がある。自分もそんな発表がしたいものだ。ときどき、内容がないのにやたら発表がうまいというパターンもあるけど、発表は下手なよりはうまいに越したことはない。先日、理研の紀伊國屋でこんな本をみつけたので購入した。

 この手の本は正直あまり好きではないのだが、この本は実際の研究例を用いて解説されているので良かった。だだし、研究例が生理学からのものが多いので、コンピュータ科学の人には例が親しみにくいかもしれない。それも勉強の一部と考えれば、決して損ではない。献立はこんな感じ。
  1. いかに準備すべきか
  2. 「面白い話」の構造
  3. 資格素材はこう使え(使うな)
  4. 「話し方」の技術
日本語訳もこなれているし、各章の最後にはフローチャート式にまとめがあるので、発表前にそれをざっと確認するだけでも役立ちそうだ。発表のレベルをアップさせたい人にお勧め。

土曜日, 4月 19, 2008

加速度

 梅田望夫さんの本はすべて読んだが、力強く前向きな言葉が溢れているのでとても好きだ。シリコンバレーでの起業経験と、その時に培ったある種の確信と直観、未来を志向する姿勢、その熱に触れるだけでこちらも不思議と奮い立たされる。最近読んでいる「ウェブ時代5つの定理 この言葉が未来を切り開く」もその例にもれず、とても元気になれる一冊だ。この本は、梅田さんが見聞き体験した言葉を、梅田さんの咀嚼でもって5つに分類して解説する、という構成になっている。5つとは、
  1. アントレプレナーシップ(不確定な未来を楽しむちから)
  2. チーム力(ひとりでは何もできません)
  3. 技術者の眼(確固たる基礎としてのテクノロジー)
  4. グーグリネス(グーグルらしさ)
  5. 大人の流儀(成熟した個としてのスタイル)
である。いわゆる巷で流行っているHow to的な本だったり、お説教すること自体が目的みたいな自己啓発ものとは次元が違う。人は理屈では動かない。意気に感じて動くのだ。本物の言葉にはそれだけで人を高揚させる力がある。スラッシュドットに、工学系学生が憂鬱な理由に「やる気を刺激しない教授たち」というのが載っていた[link]。その理由がよくわかる。偽物から熱は伝わらない。さて、僕が気に入っている言葉をこの本の中から1つだけ紹介したい。
I try to work on things that won't happen unless I do them. -- Bill Joy

木曜日, 4月 17, 2008

Wonderful Opportunity

 Tutaya Discasで予約していたB'zのIN THE LIFEが届いていたので、早速iTunesに取り込んだ。高校時代によく聞いたアルバムだが、大学の友達に貸したきりなくなってしまったのだ。植物が水を欲するように、このアルバムがうんと聞きたくなった。
 大妻女子大での講義のために資料を夜通し作り1時間ちょっと寝て、イグニッションキーがわりにiPodのホイールに指を滑らせ、Wonderful Opportunityとともに家をでた。3連のリズムが心地よく、春の暖かな日にぴったりの曲だ。僕のiPodからはWonderful Opportunityがヘビーローテーションで流れ続けた。YouTubeに動画があったのでリンクします。

逃がさないで 逃げないで
胸の痛みと手をつないで 明日を迎えよう
イヤな問題 大損害 避けて通る人生なら論外
生きてるからしょうがない
シンパイナイ モンダイナイ ナイ ナイ ザッツライフ イッツオ-ライ

うん、なんか頑張れる気がする。今週の土曜は理研の一般公開です。そのために、先週徹夜で生物言語研究チームに関するQ&Aを書きました[pdf]。さて、出来栄えはどうでしょうか?



月曜日, 4月 07, 2008

Action

 新年度になりました(写真は先週撮った理研の桜の写真)。ばたばと慌ただしい日々は相変わらずです。踏んでも踏んでも出て来るクリボーのように、やるべきことは次から次へとやってきます。論文を書き、BBSセミナー(資料pdf)で発表し、論文を査読し、学会のアブストラクト、共同研究の打ち合わせ、大学の講義の準備、そして、学振研究員になったので退職、保険、年金もろもろの手続き。やるべきことはまだまだあります。この辺で頭をよく冷やして、やるべきこと、やらないべきこと、を整理する必要があります。
 先日、BBSセミナーの準備や発表をしてみて、いい感じで集中できている自分に気付きました。谷さんが、そのときの発表を褒めてくれたので、この感覚はあながち間違ってはいないのでしょう。今年はこの集中力を切らさずに、誰にも真似できないしぶい研究をしたいと思います。Take action!