火曜日, 11月 12, 2019

社会情報学の論文

 M2の学生との共著論文が社会情報学(計算社会科学特集)に受理された。申請書の作成や別の執筆活動と並行してやっていたので、本当に突貫工事だったが、無事に受理されて何より。概要を以下に記載する(出版されたらリンクします。)

題目:ソーシャルメディアにおける道徳的分断:LGBTツイートの事例
概要:
 道徳は人々を結びつけ、集団を形成する原動力になる一方で、集団を敵と味方に分断し、対立を生む要因にもなる。ソーシャルメディアはこのプロセスに関与し、場合によってはそれを加速させる危険性もある。本論文では、Twitterから収集した大規模なLGBT(性的少数者)関連の投稿(ツイート)を分析し、ソーシャルメディアにおける道徳的分断の実態を調査した。LGBTをめぐる社会の動向には、多様性を目指す社会にとって重要な道徳的問題が含まれる。LGBTツイートの拡散をネットワーク分析によって調べたところ、高い道徳的類似性(ホモフィリー)を持つ少数のコミュニティが形成されていることがわかった。さらに、英語と日本語の道徳基盤辞書(MFD及びJ-MFD)を使ってLGBTツイートの投稿内容を分析したところ、英語でも日本語でも共通して、LGBTは忠誠基盤の問題、つまり、集団を脅かす道徳的問題として語られていることがわかった。また、忠誠基盤に加え、あるコミュニティは擁護基盤、別のコミュティでは権威基盤という具合に、コミュニティによって異なる道徳基盤を重視する傾向があることも示された。このことが道徳的分断と関係している可能性がある。これらの結果は、ソーシャルメディア上の道徳的分断を計算社会科学のアプローチで理解し、道徳的分断を緩和するための方略を考える上で重要な示唆を与える。

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