金曜日, 12月 29, 2023

10年前の自分

 2013年の自分は何をしていただろうか。ブログ記事を読み返してみると、焦燥感にかられた自分がいた。その焦りや不安を消すために、滝ノ水公園を夜な夜な走っていた記憶がある。

 ポスドクから上がり、名大に定職を得て2年目。同期やもっと若い研究者は、どんどん成果を上げていた。どうがんばれば成果が出て、それがどのように評価され、みんなに認知してもらえるのか。その仕組みについて無知だったし、がんばり方がわからなかった。それを教えてくれる人もいなかった。

 しかし今思えば、自分で困難を乗り越える経験を積んだことが、研究者としての体幹を鍛えることにつながった。無駄ではなかった。

 10年後の2023年。これまでにがんばってきたことが、成果として花開いた感覚がある。成長のS字カーブの急峻な立ち上がりのあたりに、つま先立ちしている感じ。あるいは、伏線を一気に回収した推理小説のラストシーン。

 やるべきこと、頼まれたことを、投げ出さずに、愚直に、丁寧にやってきた。きっとそれをちゃんと見ていて、評価してくれた人がいたのだ。「努力が報われる」ためには、才能はもちろん重要だが、それだけでなく、応援してくれる仲間が必要だ。僕はその点で恵まれていた。

 10年前の自分に言いたい。「大丈夫、努力は報われる」と。

日曜日, 12月 24, 2023

過密

  院試業務、講演、取材、各省庁とのやりとり、複数のプロジェクト(CREST、富士通、SSI)、授業(東工大、東大、早稲田)、監訳の仕事...と、1日も休めないような状態がほぼ2ヶ月続き、体も心も悲鳴をあげていたが、何とか乗り切った。これで無事に2023年を越せそうだ。

 去年の今頃は、本の執筆(「ディープフェイクの衝撃」)に追われていて、大晦日の紅白を見ながら脱稿するという経験をした。確かにあれも大変な経験だったが、少しずつ完成に向かって進んでいる感覚が活力になった。

 今回はそれとはだいぶ異なる感覚で、あと1ヶ月過密スケジュールが続いたら、間違いなく心がポッキリ折れたと思う。普通の人よりは精神的にタフである自信があるが、何かに追われる日々を2ヶ月続けたので、「これはやばい」という防衛の感覚が自分の中に芽生えた。喉を痛めてから、ずっと体調も回復せず、体を騙し騙し授業を乗り切った。

 最近は引き受ける仕事は吟味して、断るべきは断るようにしている。自分が無理をしたところで良いことは1つもなく、結局は相手にも迷惑をかけてしまうことになる。自分が楽しく仕事ができることを最優先する。それが結果的に誰かの役に立つことにつながる。

 

日曜日, 12月 17, 2023

ただの風邪、されど風邪

 風邪のような症状がひと月ぐらい続いている。ミスターサンデーの収録の数日前に喉を傷めてから、調子があまり改善せず、咳喘息のような状態になっている。11月は金土2日連続での授業、早稲田の公開授業があったことも、喉には堪えた。乾燥した状態で100分間、声を出し続けるというのは、想像以上に喉に負担がかかる。 
 そして今週火曜、体調が悪化して、久々に寝込んでしまった。少し寝て休めば、午前と午後に予定されていたオンライン会議は乗り切りれるかと思ったが、キャンセルせざるを得なかった。水曜午前はオンライン会議には出られるぐらいに回復し、午後に近くの病院にいった。検査をしたが、コロナでもインフルエンザでもなかった。疲れて免疫が弱っていたのでしょうということで、総合感冒薬3日分を出してもらった。11月の激務の緊張が途切れて、疲れがどっと出たのか。 
 木曜には職場に戻れるぞと思ったら、今度は家族がインフルにかかってしまった。すぐに小児科に診てもらい薬をもらったので、子供たちは2日ぐらいで回復し、学校は休んでいるがすっかり元気になった。 
 私は休むほどひどくはないものの、完全回復とはいかない小康状態が続いている。

日曜日, 12月 10, 2023

ネットワーク科学入門

  A First Course in Network Science(Cambridge Univ. Press)の邦訳版「ネットワーク科学入門:Pythonで学ぶデータ分析とモデリング」が1月4日に発売予定です。この本はネットワーク科学の基礎から応用までを網羅し、Pythonのコードを用いて学ぶことができる本格的な入門書です。

 日本の第一線で活躍するネットワーク科学の研究者たちが翻訳を担当し、私が監訳を務めました。ネットワークを学び・使いたい学生や研究者にとって、有用な参考書になると思います。ご活用いただけると幸いです。2週間ぐらい遅れてKindle版も出ます。

 ちなみに表紙のネットワーク図は私が描いたものです。

土曜日, 12月 09, 2023

教授昇進

  2024年4月1日付けで東京工業大学環境・社会理工学院の教授に昇進することが決まりました。通過点の一つにしか過ぎませんが、うれしく思います。ここまでこれたのも、多くの方々のサポートのおかげだと思います。私の先生たち、両親、家族、同僚、スタッフ、友人、学生たちに感謝したいと思います。

 2005年に学位をとってから、理研の研究員を2年、学振PDを3年、合原FIRSTの研究員を1年ちょっとやりました。学振PDの最終年には、次の仕事が決まらないのではないかというピンチも経験しました(過去のブログ記事を見直すと、その時の切実な心情が蘇ります)。

 その後、2012年6月に名大情報の助教として着任して、2017年に講師に昇進し、2020年8月まで8年ちょっと務めました。そして、2020年9月に東工大MOTの准教授として異動し、4年目に突入したところで、教授昇進が決まりました。

 47歳で国立大学の教授になるということになります。日本の大学教授の平均年齢が57.6歳ということなので、それよりは若いですが、さきがけの同期はとっくに教授になって、活躍している方ばかりなので、私はようやくスタート地点です。

 横綱級の仕事依頼が舞い込み、面白い個性的な学生たちが研究室に集まるようになり、忙しいながらもやりがいがある状態です。65歳で定年を迎えるまでに、何をなしとげることができるのか。自分に賭けてみたいと思います。