幸いなことに、大型研究費に連続して採択され、この数年は、研究費が底をつくという状況はまぬがれている。しかし、競争的外部資金をずっと獲り続けることは困難なので、いつか研究費がないという状態にならない保証はない(助教時代、若手Aで撃沈して、他の先生の分担金でしのいだことが1回だけある)。
では、大型研究資金に採択されることが無条件でよいことかというと、そうではない。プロジェクトの期間はCRESTは5.5年で、K Programは約4年。毎年成果を出さなければならないし、中間審査やステージゲートもある。自分がなっとくできる研究成果を論文化するのだ、と思っていても、他のグループはわんさか業績を出してくるので、常にプレッシャーがある。1つひとつの研究が近視眼的にならざるを得ない。
そして、プロジェクトのゴールに共鳴して一緒に研究してくれる特任教員や研究員を探すのは、いまや至難の業。雇用できる期間が限られているので、人を育てながらなどという悠長なことを言ってられず、即戦力を求めることになる。しかし、そんな悪条件のポジションに、なかなか適任者が来ない。せっかくいい人が見つかったと思っても、いろいろな理由で継続雇用が困難になる。
研究のことを考えている時間よりも、「人・モノ・金」をマネジメントすることに多くの時間を割くことになる。研究がしたくて研究者になったが、過去の自分はこんなことになると思ってもいないことだろう。今年50歳になるので、もう中堅ではなくてベテランになる。かつて自分があこがれていた研究者になれるかどうか、最後のチャンスになるだろう。堅実に成果を出しつつ、リスクもとって一発も狙う。2026年度は研究に全振りする。