Artificial Lifeを研究する上で、SFは良い意味でも悪い意味でも刺激をくれる。暇さえあると、ジュンク堂をぶらぶらして本を探索するのが僕の趣味というか癖だが、素敵な本を2冊購入した。1冊目はずっと話題になっていたSFで、円城塔の「Self-Reference Engine」[Link]。円城さんは「オブ・ザ・ベースボール」で第104回文学界新人賞を受賞し、この作品は芥川賞の候補にも挙がっている。[Link]もしこの作品が芥川賞を受賞したら、なんとSF作品初になるのだそうだ。円城さん(ペンネーム)は、東大駒場で複雑系の研究をしていた先輩で、僕は直接お会いしたことはあまりないのだが、関数マップという仕事をしていることは知っていた。このような文才をお持ちだとは知らなかった。グレッグ・イーガンやボネガットの世界観を合わせもつと書評する方もおられるが、僕は正直この作品を適切に表現する言葉を持たない。どっぷりその世界観を楽しませていただく。
もう一冊は櫻井圭記著「フィロソフィア・ロボティカ」。櫻井さんはプロダクション・アイジーで攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX(SAC)の脚本を手がかけた脚本家。ロボットと人間の関係、あるいは近未来社会など、SACの話題も織り交ぜながら鋭い視点で論じている。僕はSACの世界観がとても好きなのだが、なるほどこの人にしてこの脚本あり、と感じた。ありきたりの哲学や認知科学の本よりも何倍も重要でおもしろい。
Artificial Lifeがやっていること、それは「From Bit to It」、つまり人工世界にリアルを見出すという作業だろう。僕はお二人のような優れた言語化のセンスを持たないが、仮想世界を作ることで自分なりの表現を探究して行きたい。
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