月曜日, 12月 26, 2011

寒い仙台で熱い議論

12/22, 23と2012年度第二回目の社会的知能発生学研究会が仙台で開かれた。今回は幹事補佐を仰せつかったので、スケジュール調整や講師打診、報告書の作成などの仕事をした。講師の選定には難儀したが、粘菌の研究でイグノーベル賞をとられた中垣先生など、ユニークな研究をしておられる方々に講演していただくことができた。僕も「情報生態系としてのTwitterネットワーク」というタイトルで話題提供をした。「知能」に興味をもつ様々な分野の研究者が一同に会して、ざっくばらんに議論できるのでとても有意義だ
 クローズドな会なので研究内容を詳細に書くわけにはきませんが、中垣先生の研究は既に論文と本になっているので、その一部を以下に記したい。(以下は、僕がまとめた報告書からの抜粋)

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 粘菌は神経系のない単細胞でありながら、不確定な環境でも適応的な行動を示すことが知られている。中垣氏らのグループは、真正粘菌モジホコリの変形体をモデル生物として、その適応的なアメーバ運動に関する情報処理の性質やメカニズムについて一連の実験を行っている。実験結果から、粘菌は迷路の最短経路を探す計算能力があることや、ダイクストラ法などのアルゴリズムとは別の形で多目的最適化を実現できることが示された。また粘菌は、周期的な環境変動を学習し予測することができ、迷いや個性と呼べるような性質をもつことが示された。さらに、それぞれの振舞いをもたらすメカニズムを解明するために、細胞生理学の実験事実に立脚した数理モデルが導入され、エサの輸送の流れに関する比較的単純なダイナミクスから、適応的な振舞いが生み出される様子が示された。
 このような単純な生物が示す適応的な振舞いは、知性の起源を考える上でとても重要であるとの議論がされた。また、粘菌のように物理運動が処理過程を担うよう情報表現とビット列による情報表現の違いは何か、複雑な生物の示す高次の知性(特に、社会的知性)とのつながりをどう考えるか、などの議論がなされた。


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