NHKクローズアップ現代プラスの3月4日の放送は、フェイクニュースがきっかけとなり、自ら命をたった台湾の外交官についての話だった。私もインタビュー出演した。
2月半ばにNHKの方から連絡があって、はじめてこの事件を知った。インドでは、ネット上のデマが原因で殺人事件が起こったことはニュースで知っていたが、日本でこんな痛ましい事件が起こっていたなんて、それまで知らなかった。
当初の予定では、「中国がバスを手配して、台風の被害を受けた関西空港から同胞を移動させている」というデマが、SNS上をどのように拡散し、変遷したのかに関してコメントするはずだった。しかし、そこを深掘りするよりは、「この事件を教訓としてほしい」という、外交官の奥さんの意向にそう形の内容に変更になった。
この1つのデマは、中国側では中国政府を称賛する声とともに拡散した。一方、それは台湾の人たちの怒りを煽り、台湾政府の対応のまずさを非難する圧力となった。SNS上のデマを台湾のマスコミがファクトチェックせずに放送したことが、さらに自体を悪化させ、この外交官を追い詰めた。ネット上の嘘が現実世界の悲劇を産んだのだ。
一見、中国と台湾という緊張関係にある国同士の特殊な問題のようにも見えるが、このデマが拡散する構造は他のフェイクニュースの拡散とも類似している。同様の事件は、どこの国でも、どんな人にでも起こりうる。そのことを改めて思い知った。
追伸:NHKの論調とは異なる意見もあります。異なる意見に触れることもまた重要です。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190311-00000006-jct-soci
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