木曜日, 5月 30, 2013

初Nature

 Oferたちとの共同研究の論文がNatureに掲載されました。
D. Lipkind, G. Marcus, D. Bemis, K. Sasahara, J. Nori, M. Takahasi, K. Suzuki, O. Feher, O, P. Ravbar, K. Okanoya, and O. Tchernichovski (2013), Stepwise Acquisition of Vocal Combinatorial Capacity in Songbirds and Human Infants, Nature
 研究の経緯や、一度リジェクトされてから受理に至るまでの経緯はGary Marcusが記事[Link]を書いているので、そちらを参照。とてもうまい記事なんだけど、これを読むとまるで僕ら日本人は何も貢献していないように見える... orz。
 僕が特に貢献した部分はDinaの解析結果の追試。Dinaとは別のやり方でデータを解析して結果がちゃんと一致することを示した。直接論文には載っていない地味な確認作業ですが...。
 研究の重要性と話題性、どちらが欠けてもNatureには載らない。これがPLoS ONEなどのお手軽なオンライン・ジャーナルとは大きく違う点。ずば抜けて良い研究をして、Natureに論文を書くぞ。

水曜日, 5月 29, 2013

金持ちはますます

 これは研究の世界にも当てはまる。研究費をガッツリ獲得する人がチームを組み、論文を大量生産する。(中身はともかく)そして、論文を大量生産したグループはまた高額の研究費を獲得しやすい。当然、逆の負のスパイラルに陥る場合もある。
 研究費の助成期間は通常3〜5年なので(民間は1年のものが多い)、短期間で成果を出すことが求められる。逆に言うと、短期間で結果が出るような研究ばかりになる。
 Natureダイジェストの「スローな科学」という記事がとても印象的だった。太陽の黒点の記録観測400年、ベスビオ山の監視170年、肥料の効果を検証170年、天才児の人生の追跡90年。
「... 彼らはただ、後世の研究者の役に立つだろうと考えて、自分が見たものを忠実に記録していた。」
「こうした姿勢こそが科学の土台になるのです。最終的にどのような結果になるのか、気に病んだりしないのです。」
 こういうスローな科学もお金の問題はつきまとうのだろうが、目先の成果を気に病むのというのとはスケールが違う。現行の研究費のシステムで僕も勝負しなければならないので、短期的成果と中長期的成果の両方を視野に入れて、お金の問題は戦略的に取り組まないといけない。科学的探求のために。

土曜日, 5月 18, 2013

人間犬

 生まれて初めて人間ドックを受けてきた。[Link] 日帰りコースは約4万円(共済の補助を適用後)で、メニューは以下の通り。

  • 基本メニュー(視力検査や血液検査など)
  • 前立腺がん検査
  • CT検査(内臓脂肪)
  • ヘリコバクター・ピロリ菌検査
  • 胃部内視鏡検査 (経鼻)
  • 動脈硬化検査
  • 脳MRI&MRA
  • マルチスライスCT検査(胸部)
  • 精密骨

 朝9時から始まって、待ち時間もあまりなく、検査はテンポよく進んだ。胃の内視鏡検査までは... 。これが辛かった。
 まず鼻に局所麻酔をして、鼻からゼリー状の麻酔を流しこんで喉の所で止め、程よく麻痺してきた頃に、細い胃カメラを入れて検査開始。
 麻酔がかかっているとはいえ、痛気持ち悪い。先生は慣れた手つきでカメラを操作し、モニターを見ながら解説してくれる。でも僕はそれどころではない。「何かあったら言って下さい」と言われたが、喉に麻酔が効き過ぎて声が出ない。ゲップを必死にこらえながら、モニターに写ったピンク色の胃を見ていた。「意外と綺麗だな」と思って見ていたら、先生から一言。「36歳のわりには胃炎がありますね。」... orz。
 しかし、軽度の胃炎以外は特に問題がなかったのは何より。検査でピロリ菌が見つかったら、抗生物質で退治した方が良いそうだ。ええ、退治しますとも。自分の胃にピロピロした奴らが家賃も払わず住んでいるのなんて勘弁ならない。
 二週間後に結果が郵送されて来る。特に問題がなければ、今後の大きな励みになる。
 

 
 

火曜日, 5月 14, 2013

説教おじさん

 へんなおじさんが、大学のスタバにしばしば出没する。浅黒く、スーツを着て、いかにも教授然とした格好でやって来て、突然話しかけてくる。
 先日、とうとう僕も話しかけられてしまった。こんな風に。
お:(僕が読んでいる本を見て)「コミュニケーション学の本ですか。」
僕:(びっくりして)「ええ。ソーシャルメーディアを介したコミュニケーションに興味があるんです。」
お:「コミュニケーションの目的とは何ですか?」
 僕:「... いろいろですね。」
お:「それじゃ何の意味もないな。」
僕:「... そんなことないですよ。」
お:「あなたにとっちゃね。」  
吐き捨てるように最後の言葉残し、一方的に会話を終了させて去っていった。
 このおじさん、学生にもこんな感じで絡んできて、「それじゃ意味が無い」とか「学問をやる資格が無い」だのと言って学生に説教をする。決して名大の教員ではない。掲示板でも話題になっているようだ。[Link]  ニヒリズムの塊みたいなこの御仁は、一体、何がしたいのだろうか。
 ちなみにこのおじさんは、スタバにマイタンブラーを持参してコーヒーを買っている。こんな意地悪にも20円割引は適用される。

水曜日, 5月 01, 2013

論文が出たどー

 PLoS ONEに論文が掲載されました。
K. Sasahara, Y. Hirata, M. Toyoda, M. Kitsuregawa, and K. Aihara, Quantifying Collective Attention from Tweet Stream, PLoS ONE 8(4): e61823, 2012
 研究や論文執筆の苦しさが報われる瞬間です。苦労の度合いで言えば前作の方がはるかに大変でしたが、この論文も泥臭い作業を粘り強くやって出版までこぎつけました。
 今回は、Twitterにおける人々の集合注意(Collective Attention)の創発とその背後にある社会的相互作用について研究しました。学術論文としては珍しいタイプのものだと思います。面白いことは保証しますので、ぜひダウンロードして読んでみて下さい。