木曜日, 7月 31, 2008

巨人の肩に立って

 ニュートンがフックに宛てた手紙の中で語った言葉。「私が他の人よりも遠くを見通すことができるのだとしたら、それは巨人の肩に立っているからです。」
Standing on the shoulders of giants
巨人の肩とは、先人たちが積み重ねてきた叡智のこと。「私一人の力ではない」というニュートンの謙虚さを示す例として紹介されることが多いが、本当のところは、宿敵フックが小柄であることへの当てこすりという説が妥当そうだ。(いずれにせよ、今日の自分があることに対して、「おかげさまで」をさらっと言える潔さは格好いい。)この言葉は、もともと西洋にある比喩で、Dwarfs standing on the shoulders of giants がオリジナルのようだ[Link]。そういえば、Google Scholarのサブタイトルもこれでしたね[Link]。
 Oasisのアルバムに「Standing on the shoulder of giants」というのがあるが、これは文法的には間違い。酔っぱらったノエル(Oasisのギターリスト)がタバコの箱に間ってメモをしたのが原因で、みんなが気に入ったためにそのままタイトルに使われたのだそうだ[Link]。 僕はこのアルバムの1曲目がお気に入り。最近また聞いている。曲のタイトルは放送禁止用語なので、ここに載せるのは控えます。



金曜日, 7月 25, 2008

There's something in the air

There's something in the air.(何か気配がする)

 Appleはキャッチコピーがうまい。これはMacworld Expo 2008のバナーに書かれていた文句。Macbook Air、ちょっとの無駄もない僧侶のような超精密機械。究極のアンプラグド。先週研究費で購入したMacbook Airが到着した。
 キーに触れた時のゆったり安心感は、昔使っていたLavieに似ているが、圧倒的に薄い!!(このLavieはその厚みゆえにDEBUという名前だった。今は妹が使っている。)移動中に壊れたりしないか心配になる。実際は筐体はアルミなのでがっしりしているけど。斬新なデザインも大きな魅力だが、僕の心をくすぐるのはMacOS Xの完成度の高さ。MacOS XはBSDがベースになっているので、UNIXとして使えて仕事がしやすい。MacPortsを使えばUNIX環境を整えるのも難しくない。
 研究室で使っているMac ProはNewtonという名前にしたので、Airは情報理論の父、Shannonから名前をいただくことにした(LinuxマシンはDarwin)。行くぞShannon!

火曜日, 7月 22, 2008

HEROES

 最近見ているDVDがHEROES。時空間を曲げる、空を飛ぶ、不死身、などの超能力を持った人物たちが、数奇な運命に導かれ集結していく。複数の人物のストーリーがパラレルにテンポよく展開し、伏線が次第に絡み合っていく。ストーリー細部の作りが甘い感じがするが、最近のSFの中では良くできていると思う(少なくともシーズン1は)。それから、ヒロ・ナカムラという日本人キャラが独特で面白い。
 シーズン1は木曜の深夜に日テレで放送している[link]。アメリカではシーズン2が終了し、この秋からシーズン3が放送されるようだ。この手のドラマは、最後の方はドラマのためのドラマになってしまって、ストーリーが台無しになるので(例えば、ビバリーヒルズ高校白書とかツインピークスとか)、このクオリティーが維持されることを期待したい。
 この連休は、HEROESを見た以外は、論文の投稿、EUREKAのバク修正、RMySQLの連携プログラム等々で時間が消えてしまった。気分も体調も夏ばて気味。あー、僕も時間を止める超能力が欲しい。
むむむ... (眉間にしわ&汗)。やったー!
そんなに甘くないか。

木曜日, 7月 17, 2008

ラーメンのち珈琲

 今日は学生たちの講義への反応が悪く、「何が良くなかったんだろう?」と自分の中に答えを探してみた。
404 Not Found
そんな時もあるさと、晩御飯を食べに行くことにした。前回、スープ切れのために食べられなかった、池袋の「鶏の穴」というラーメン屋さんに行った。[Blogの記事]
 5月にオープンした新しいお店で、この上がマッシュマンズカフェ。僕は白湯らーめん(680円)に味たま(100円)をトッピングした。太麺でスープはポタージュのような粘性と甘みがあり、上に鶏チャーシューと鶏そぼろがのっている。あっさりすぎず、こってりすぎず、おいしかった。Myはしを持参すると、味たまがサービスしてもらえます。
 さて、次は珈琲。久しぶりに「昭和」に行った。池袋の中では1番好きな喫茶店。残念ながら今日は定休日でした。なので、前回撮った写真をアップします。まさに昭和を思い出させる懐かしい感じのするお店。珈琲は600円ぐらいで、同じもののお替りは半額になる。帰るときには100円割引券をくれる。かなり長居ができるので、ほっこりしたいときはぜひ。

火曜日, 7月 15, 2008

ベルトの上のポニョ

 終電で家に帰ってくると、どうしても小腹が減る。そうすると、ついついコンビニで甘いものを買ってしまう。デザートコーナーに行くと、最近は特大スイーツがいい感じに冷えている。ボリュームたっぷりのチーズケーキにシュークリーム、そして致死量のプリン。POSデータによると、特大スイーツを買っていくのは男性客が多いそうだ。特に、夜の時間帯はほとんどが男性だということ(女性は夕方が多い)。僕はあまり沢山は食べられないけど、甘いものは大好き。
 最近の夜食ぐせと運動不足がたたってか、気がついたらズボンがきつくなり、お腹にやや貯えが。今日から夜食禁止で、ロードワークを再開することにします。週1回は泳ぎにも行きたい。ちなみにタイトルはこれのパクリです。これとスカイ・クロラは劇場で観たいな。

月曜日, 7月 14, 2008

22歳の鼻たれ小僧

 英文校閲から戻ってきた論文の原稿を仕上げた。初稿を書き終えたのが4月末だから、もう2ヶ月以上が過ぎた。(共同研究の事情があるので仕方ないのだか...) これから論文を一週間寝かせて、冷静になって自分の主張の弱点を探す。Data Mining and Knowledge Discoveryに絶対通す。
 ふと思う。10年前の小生意気で根拠のない自信に溢れていた、でも飽きれるほど「知る」に貪欲だった22歳の自分が、この論文を読んだらどう思うだろうか?「これは面白い研究だ!」と目を輝かせただろうか?今の僕は22歳の僕よりもいろんなことを知っている。でも、彼はきっとこう言うだろう。
「それって本質的なの?」

「できない?できるようになればいいんじゃん。」

「やる前から答えがわかってるなら、ドリルを解いているのと変わんないよ。」
 腹が立つことこの上ないが、直球ど真ん中で、ミットで受けてもひりひりジンジンとする言葉だ。でも、このぐらいの若さと勢いを持ち続けたい。いや、22歳の鼻たれ小僧なぞ一喝できるぐらいでないと。そして、「たら」「れば」なんて、口が裂けても言わない。言ったら500円玉貯金。

土曜日, 7月 12, 2008

学会巡業夏編2008

 今年は意図的に出席する学会数を減らしたけど、夏から秋にかけて学会が集中するので、7、8、9は準備に追われることに。このプレッシャーを逆にやる気に変えてがんばるべ。これから出席する学会はこんな感じ:
  • The 2nd Acoustic Communication by Animals
     オレゴンで開催される動物の音声コミュニケーションの国際学会、僕は「Developmental emergence of Hierarchy and Syntax in the Bengalese Finch Song」という題でポスター発表をします。[アブストラクト] 鳥の歌研究の大御所、P.Marlerさんが招待公演で来ます。僕のポスターを見に来てくれないかな。この後に、UCLAChuckのラボに行きます。
  • The 10th International Conference on Music Perception and Cognition (ICMPC)
     これは北海道。ボスが企画したシンポジウムにパネリストとして参加します。初めての経験です。お題は「音楽と言語の起源と進化」というような感じだったと思う。同じメンバーで理研でもシンポジウムをやります。
  • 第27回日本動物行動学会
     これは金沢。昨年から参加し始めた学会で、こじんまりとしていて、たくさん議論ができるので好きです。これから参加要旨を書きます。
 この他、9月はOferの所に1週間滞在し、箱詰めになってデータ解析と論文書きをやります。せめて宿はくつろげる所をと思ったら、高すぎでホテルは泊まれません。ニューヨークのホテルは一泊$300(3万円ぐらい)なんてざら。結局、ユースホステルの個室にしました。これでも一泊$80以上します。しかも、部屋は汚くてインターネットが使えない。東京では考えられない。幸多き学会巡業となるか?

月曜日, 7月 07, 2008

「キーボードを占領する猫」と戦う貴方への最終兵器?

 スラッシュドットで、「キーボードを占領する猫」と戦う貴方への最終兵器という記事があった。[link] 確かに、ポテチコーラは三大キーボードの敵だ。コーラをこぼしたら一発でおじゃん。ポテチの場合はダストブロワーでシューシューする必要がある。そして猫の場合は、猫専用棚「Kitt-In Box」?
 どうなんでしょこの棚。本当にこれで猫はキーボードでなく、棚にゴロンとしてくれるのかな。彼女の飼っているトラオさんは無理だろうな。なぜならば、



だから。(猫の器が大きいということです)トラちゃんには出演料として、後ほど鮭棒を謹呈します。

スティーブ・ジョブズ 神の交渉力

 Steve Jobs。なんという凄まじい個性なのだろう。程よい距離では温かく、近づき過ぎると焼き殺されかれない太陽のような熱。良いとか悪いとか、そんなありきたりの物差しは当てはまらない。ジョブズのまねなどできないし、しても意味ないが、彼ぐらいの気概は持ちたいものだ。目次は次の通り。
  1. 「言い方」は「言い分」より交渉を支配する
  2. 弱い見方は潜在的な敵方である
  3. 妥当な案より「不当な案」で交渉を動かせ
  4. 最善の説得術は棍棒でたたくことだ
  5. 楽観は考えなしだが、悲観は能なしだ
  6. 失敗と思わなければ決定的失敗ではない
  7. 「待ち」は勝ちの重要な一部をなす
 本書では、スティーブ・ジョブズの様々なエピソードが熱く紹介されている。最近流行っているビジネス本ではない。ただし、書きかたに癖があり、ジョブズvs.凡人のような二項対立の形式をとっているため、好き嫌いが分かれるだろう(Amazonでは酷評されている)。僕は楽しく読めた。

日曜日, 7月 06, 2008

脳と身体の動的デザイン

 先週、先々週と駒場で多賀さん集中講義を受けてきた[link]。テーマは「人間の発達脳科学」で、今週木曜が最後。多賀さんの講義は、学生の頃から機会があるごとに出ている。その都度、自らのゴールに向かって研究が着実に進んでいて、本当にすごいなあと思う。
 心理学で当たり前のように語られる静的な発達観(例えば、ピアジェ)はしっくりこず、多賀さんや谷さんがやっている力学系アプローチ動的発達観の方がしっくりとくる(このやり方にも問題はあるのだが)。僕はジュウシマツをモデル生物として、歌学習の発達ダイナミクスを研究しているので、この講義内容はとても参考になった。また、講義中にいろいろなアイディアが浮かんだ。「脳と身体の動的デザイン」という本に、多賀さんのこれまでの研究が分かりやすくまとめられている。Thelen & Smith 1993よりも内容がちゃんとしている。また、TODAI.TVで講義を見ることができ、資料もある。[link]

火曜日, 7月 01, 2008

活力を与える「物理」

 7月になり、日差しが夏らしくなってきました。太陽の光ように熱い情熱月の光のような熱すぎない冷静さで、研究をがしがし進めたいと思います。
 さて、最近図書館で借りて読んでいる本を紹介します。鈴木増雄先生(現 東京理科大学)の”活力を与える「物理」”。物理学会に行くと、鋭い質問やコメントを飛ばしている鈴木先生をお見かけします。僕の先生である池上さんの先生です。目次は次の通り。
  1. 「もの」の総量は増えたり減ったりしない? - 質量とエネルギーの保存則について
  2. 自然をより深く理解することが物理の基本 - ルシャトリエ・ブラウンの原理から散逸最小の原理まで
  3. 無秩序から秩序への臨界点での特徴は何か - フラクタルと自己相似性
  4. 水が凍るという自然現象が教えてくれるもの - 物理学的、数学的な秩序と無秩序とは?
  5. 秩序が生まれる、秩序が無くなる「限界」とは? - 相転移のメカニズムを探ってみよう
  6. 拡張・変換の視点で限界・困難を乗り越える - てこの支点から変換の視点へ
 目次からわかるように、このコンパクトな本の中に物理のエッセンスがぎゅっと詰まっている。物理学を知り尽くした人にしか書けない本だ。例えば、理科の授業で習う質量保存則エネルギー保存則が、相対性理論のE=mc^2(E:エネルギー、m:質量、c:光速)で統一的に扱えること、さらに素粒子の世界でも保存則が成り立つためには、4次元(3次元空間+時間)では足りず、もっと高次元(正確には10次元)の時空が必要になること(それを扱うのが超弦理論)、がすっきりと説明されています。学部時代に、こういう鳥瞰図を手に入れたかった。物理学科を卒業した人にこそ読んでもらいたい一冊。