土曜日, 12月 29, 2007

Thanks! 神様、仏様、ご先祖様

 申請書を書き続けること6回。今年、初めて学振に合格した。僕はボーダーラインだったので面接試験を受けて、やっとこさのパス。優秀な人(業績の多い人)たちは書類審査だけで合格が決まる。昨年度の工学分野の採用者は35/449なので、採択率は8%以下という狭き門。しかも、年々PDの学振は人数が減らされているので、今年受かったのは幸運だった。これでやっと研究者として自立するためのスタート地点にたった。さて、これからだ。
 学振になったからといって別に何かが変わるわけではない。こういう時こそ、謙虚に学ぶ気持ちを忘れないようにしたい。今日はご褒美に足裏でももまれに行こうかな。

土曜日, 12月 22, 2007

EUREKA beta公開

ここ3年、電通大と共同で鳥類の歌文法の解析方法を研究してきた。Angluinが提案した正例からの極限同定の手法を実データに応用するというものだ。これはACALに一緒に行った柿下君とずっとアイディアを出し合って、研究を進めてきた。最近はこれだけでは物足りなくなって、動物の行動系列に潜む情報構造を明らかにする、そんな学問をEthoinformaticsという名前でやりたいと考えている。そのための道具として、EUREKAというソフトを電通大の学生たちと作っている。本当は10月には公開する予定だったが、遅れに遅れてやっとベータ版を昨日公開した。[link] まだ全然納得のいく出来ではないが、とりあえずは打ち上げなければという気合いだけでここまで来た。
 EUREKAは、Ethoinformatical Utilities for Rule Extraction and Knowledge Acquisitionの略。もちろん本当は、アルキメデスがアルキメデスの原理を発見したときに叫んだとされる「エウレカ!(我発見せり!)」を先に思いついて、後からこじつけた。でも、なかなかのネーミングだと気に入っている。現段階では名前負けしている。これからだ。EthoinfomaticsとALifeを生業として食っていける研究者になりたい。

月曜日, 12月 17, 2007

したたかな生命

 今年は、ビリーズ・ブートキャンプや「でも、そんなの関係ねぇ」が流行った。その裏で生命に関する本が密かに流行った年でもある。以前紹介した「生物と無生物のあいだ」は、この類の親書では異例の大ヒットとなった。それ以外では、池上さんの「動きが生命をつくる」や今回紹介する北野宏明さんの「したたかな生命」などの良書が世に出た。
 北野さんと直接面識はないが、システムズ・バイオロジーの提唱者であることや人工生命の初期に関わっていたということは知っていた。この本では、ロバストネス(頑健性)という視点から、生命システムの特徴を述べている。大腸菌、癌細胞、ジャンボジェット機、インターネット、このようなシステムに共通するのがロバストネス、そしてこれとトレードオフの関係にあるフラジリティー(脆弱性)である。ロバストネスには次の4つが大事だと説く。

1. システム制御
2. 対故障性
3. モジュール化
4. デカップリング

 そして、研究者によっては進化的な視点がごっそり抜けているか修辞的に言及されるのみだが、本書ではロバストネスと進化可能性についても考察している。これだけ抽象的な概念を一般向けにここまでわかりやすできる北野さんはすごい。自己拡張共生による進化という自説を披露しているが、パブリッシュしている論文に基づいているのには感心する。それ以外の文献もしっかりしている。頭を整理するにはとてもよい本だった。北野さんは、現在も大きなプロジェクトを率いてがつがつ研究しているようだ。すごい。



月曜日, 12月 10, 2007

猫、利己的な肉球

 久しぶりに本の紹介。迷わず購入したネコ好きが気になる50の疑問。 この本では、Webリサーチで集めた50の質問に答える形で、猫に関するWhyや猫の飼い方のHow toが書かれている。「科学的視点でネコの気持ちを理解する」と帯にあるが、科学的に厳密というわけではない。ふんふんなるほどと思える所もある し、ほんとかなあと思える所もあるが、気軽に読めるので良い。ふんだんにある猫の挿絵はかわいくてとても良い。

 献立はこんな感じ。

  1. 体の疑問
  2. 行動の疑問
  3. 心の疑問
  4. 飼育の疑問
  5. ネコを飼っていない人の疑問
電車の中で読んだり、ちょっとした小旅行の際に携帯するにはもってこいだろう。猫好きの方はぜひ。ちなみに、姉妹版でイヌ好きが気になる50の疑問というのもあります。今度読んでみます。

日曜日, 12月 09, 2007

Wildlife Currumbin Sanctuary

 オーストラリアといったら、やはりカンガルーとコアラさん。彼らに会わずして日本に帰れるかと、早起きをしてWildlife Currumbin Sanctuaryに行ってきた。入園してまずびっくりしたのは、名物ロリキートの餌付け。下のビデオは、餌をもっている僕にロリキートがたかっている場面。とにかく、うるさくて痛い。一日二回、こうして野生のロリキートを餌付けしているそうだ。



 ミニトレインで園内をぐるっとしてお目当てのカンガルーさんの所へ行った。カンガルーたちが大勢いたが、みんなぐったりと横たわっていてオッサンくさい。ピョンピョン跳ねている姿は全く拝めず、みんなのそのそ四足歩行。ありゃりゃ。


 一方、スター・コアラさんはといえば、ユーカリの木でお休み中。「Zzzz.....。」 時々、木から木へぴょんとジャンプしたりする。案外身のこなしが軽いのね。
 
 檻はほとんどなく(もちろん、ワニは檻の中です。)、自然に近い状態で動物に見たり触れたりすることができる。ここまでで自然な動物園は初めてだ。入園料による収益はすべて動物自然愛護に還元されるとのこと。とても素敵な動物園でした。ゴールドコーストへ行った際はぜひ。










ゴールドコースト滞在記

 国際会議ACAL2007に参加するため、12/2-7の間、オーストラリアのゴールドコーストに行ってきた。真冬の日本とは対照的にこちらは真夏。電通大の柿下君とさっそく初日にビーチで泳いだ。サーファーズパラダイスの名前通り、波が高くて強く、素人が泳ぐにはちょっとレベルが高かった(目の保養にはなったけどね :-) 。
 ゴールドコーストは、退職したセレブたちが余生を過ごしたい場所として有名だが、確かに街はきれいで穏やかのんびりとしていて、その気持ちがわかる。オーストラリア屈指の観光地なので、街には日本語の表示があふれている。食事もおいしいので困ることは全くない。物価が異常に高いことを除けば。右の写真は、ホテルのベランダからの眺め。
 さて、肝心の会議といえば、ALifeの会議のはずなのにほとんどALifeの話がない。むしろ、ALifeで使われている方法を実問題に適用しようというようなスタイルの研究が主だった。主流なのは最適化の話題。論文の採択率が30%なのでレベルが低いわけではないが、どうも僕には合わなかった。オーストラリア大陸で独自の進化を遂げた有袋類と同様、ALifeも独自の進化を遂げているらしい。会議よりも興奮したのは、Wildlife Currumbin Sanctuaryという動物園。これについては別途書きます。
 最後に下の写真は、柿下君と東大池上研の松野さんと、鉄板焼きを食べた後にカフェでまったりしているところ。ゴールドコーストは本当に良いところでした。