南部陽一郎先生(シカゴ大学名誉教授)、益川敏英先生(京大名誉教授)、小林誠先生(高エネルギー加速器研究機構名誉教授)がノーベル物理学賞を受賞された。今年のノーベル賞はCERNの加速器LHCが動き出したこともあってか、素粒子物理学からの受賞となった。修士までは僕も素粒子物理を勉強し、加速器実験に携わっていただけに御三方の受賞はとてもうれしい。
湯川秀樹(中間子理論)、朝永振一郎(量子電磁力学の理論)、両先生の伝統を引き継ぐ日本の素粒子物理。2002年には小柴昌俊先生がニュートリノの観測でノーベル賞をとっている。益川先生と小林先生は、CP対称性の破れに関する理論研究で、南部先生は自発的対称性の破れに関する理論研究での受賞となった。いずれも素粒子の標準模型が成立するために必要不可欠な理論。いわば”破れ”の物理学、と言える。標準模型は、最後のミッシングピースであるヒッグス粒子(物質が質量を獲得するためには必要不可欠な粒子)が発見されれば理論が完結する(現在、LHCで検証実験が行われている)。素粒子物理は日本が世界に誇る学問分野。高エネルギー加速器機構やスーパーカミオカンデで行われている実験がさらなる発見をもたらし、物質の起源や宇宙の起源の解明につながることを期待したい。
最後に、素粒子物理の基本を知りたい人には、南部先生の「クォーク」というブルーバックスをお勧めする。10年前の本であるにもかかわらず、内容はちっとも古くなっていない。それから、僕の修士論文があったのでリンクします。
8-GeV電子ビームによるタングステン単結晶からの陽電子生成の研究
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