月曜日, 2月 09, 2009

来た道、行く道

 Chuck (来年行く研究室のボス)が学会のために来日したので、久しぶりに再会した。Chuckの専門は集団ゲノム科学(Population genomics)で、マラリアを媒体する蚊の集団の遺伝子情報を研究していた。その後、人工生命(Artificial Life)の立ち上げに貢献し、現在は、鳥の生態学を中心に研究している。とても博学で頭の回転が早く、60歳を過ぎたおじいさんにはとても見えない。
 昼過ぎに駅で待ち合わせをして理研に行き、生物言語チームの研究をざっと紹介した。説明を聞く表情はとても真剣で、鋭い質問が次から次へと飛んで来た。鳥の歌の「意味構造」に関しては、なかなか議論が噛み合なかった。たぶん、互いがもっている前提と「意味」の定義がずれているのだ。理研を見学した後、東大でセミナーをしてもらった。内容は、彼のチームがメキシコで行っている野外調査とモデルを使った解析結果。生物系の院生たちも話を聞きに来ていたが、途中からシンボルグラウンディングだの、チョムスキー階層だのが出て来て、面食らったに違いない。あれじゃわからないよ。
 Chuckは、僕をメキシコの野外調査に行かせるつもりでいるようだ。調査地はメキシコシティーから車で8時間、さらにボートで2時間行ったジャングルだそうだ。orz。どうなることやら(一回は行ってみたいんだけどね)。それから、Edと解析手法について共同研究をする。EdはUCLAの言語学科の教授で、チョムスキーの弟子。昨年末に受理された論文にとても良いコメントをくれたのが彼だ。
 振り返ってみると、学部では素粒子理論と天文学を勉強し、修士で素粒子実験、博士で人工生命をやった。研究員になってからは、動物行動学と計算言語学をやってきた。そしてUCLAで新たに生態学をやり、帰ってきたら東大でカオス力学系をやる。最近では自分の専門がよくわからない状況なのだが(申請書には計算生物学(Computational Biology)と書くようにしている)、やるからには極めたい。そして、これらの経験と知識を生かして、新しい人工生命にアプローチしたい。

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