火曜日, 10月 11, 2016

モラルとツイート

 国際会議の論文を1つ投稿した。今回のテーマは道徳(モラル)。道徳は社会心理学のホットトピックで、いろんな理論や実験が行われている。
 道徳理論の中でもとりわけ有名なのが、ジョナサン・ハイトの道徳基盤理論。提出した論文では、この理論をベースにして、ツイートから道徳基盤を計測し、道徳基盤どうしの関係性やトピックとの関連性について調べた。
R. Kaur and K. Sasahara: Quantifying moral foundations from various topics on Twitter conversations
まだまだ暗中模索ではあるが、面白いところに目をつけたと思う。共同研究者のRishemjitがとても優秀なので、予想していた以上にスムーズに論文がまとまった。それでも、まだまだ不十分なところがあるので、投稿論文にする時にはまだまだやらなくてはいけないことがある。
 とりあえずは無事受理されることを祈る。

水曜日, 10月 05, 2016

UCLA2016

 3年ぶりぐらいでUCLAにやって来た。今回の目的は、途中になってしまっていたデータ分析に関して議論をすること。初日は主にChuckとよもやま話もしつつ議論をして、2日目はRichardとYI-JUとたっぷり議論をした。Richardのプレイバック実験はとても面白いので、いい論文になるだろう。
 ずっと計算社会科学の研究をしていたので(ちょうど今朝、モラル関係のプロシーディングをほぼ完成させたばかり)、久しぶりに生態学の話を聞くとまたフィールドワークに出かけたくなった。だが、今回は議論が目的なので、フィールドワークはお預け。
 LAに着いてもあまり久しぶりな感じはしなかったが、UCLAの建物は随分と変わっていた。工学部の建物が新しくなったり、UCLAストアの近くに新しい会議施設ができたり、ティバートン近くの入り口にはメディカルスクールの新しい建物が建設中だった。
 UCLA(Under construction like always)は変わり続ける。

木曜日, 9月 29, 2016

ガス抜きの秋

 木々の葉っぱも色づき、ブルーミントンは秋を迎えた。朝晩はだいぶ冷えるようになったものの、日中はカラッとしていて風が心地よい。
 こちらに来た頃は寝ん子ちゃんでハイハイもままならなかった我が子も、遅まきながらつかまり立ちが出来るようになり、日に日に活発になって来た。最近は体力を持て余し気味でずっと家にこもっていると、エネルギーが有り余ってしまって、キーキー叫ぶ。食欲も大人勝りで、好き嫌いもなく何でも食べる。特に、イチゴが大好きだ。
 読書の秋、食欲の秋、そして鴻志を外へ連れ出してガス抜きの秋である。
 

木曜日, 9月 15, 2016

Bタウン到着

 一時帰国を終え、昨夜、ブルーミントンに無事帰ってきた。Covenanterの自宅に戻ってくるとホッとするので、「帰ってきた」という表現がしっくりする。
 デトロイト便では、鴻志がとにかく寝なくて暴れて大変だった。帰省中につかまり立ちができるようになり、立つことが楽しいのか席でじっとしてくれない。そして眠いのに眠れないので奇声を発して止まない。後方のスペースに連れて行ってガス抜きさせるが一向に効果なし。周りの席の人には迷惑をかけてしまった。
 子供連れで飛行機に乗る場合は、「子供うるさくするかもしれませんが、すみません。」と一言謝っておくと違うと何かで読んだが、これまで乗り物で暴れたことがないからと、すっかりそのことを忘れていた。
 今は寝室でぐっすりと寝ている。大人でもしんどい長旅なのだから、1歳の子供にはさぞかししんどかっただろう。
 今日は一日休暇をとって、明日から復活する。輪読会やセミナーのメールがバンバン飛んでいて、早くこの輪に加わりたい。IUでの研究も後半戦だ。

月曜日, 9月 12, 2016

共同研究

 今は直接指導している学生はいないが、3人の学生と共同で研究を進めている。一人は僕が参加しているプロジェクトの先生の大学院生で、ある辞書の翻訳作業を一緒にやっている。もう一人は知人のゼミの学部生で、この翻訳作業に使うプログラムを開発している。僕の研究を手伝いながら学びたいということだったので、基本的なプログラムを書いてもらっていて、なかなか筋がいい。もう一人は昨年度アルバイトをしてくれていた留学生で、今はインドに帰国して博士課程に通っている。引き続きデータ解析をしてもらっていて、今度、国際会議に共著で論文を出す予定だ。彼女は本当に勤勉で優秀だ。
 みんな打ち合わせで方針を決めたら、それに基づいてしっかりと作業してくれるので、知見を積み重ねられる。そして、彼ら彼女らが楽しんで取り組んでいることがわかるので、一緒に研究していて楽しい。「面白そう」、その一言だけで突き進める。これが大事。(言われたことを適当にやるとか、言われてもやらないとか、そういう学生を指導するのはもう懲りごり)。まだ研究の種を蒔いている段階だが、きっと芽が出ると思う。

水曜日, 9月 07, 2016

一時帰国

 しばしブルーミントンを離れて日本にいる。インディアナポリスからデトロイト乗り継ぎで中部国際空港へ。この場合、デルタ航空を利用するのが断然便利。機内食もおいしいし。
 一時帰国の間にいくつか研究打ち合わせをし、共同研究のデータ解析に集中的に取り組む。これで行けそうというアイデアが出たのが最近なので、いい結果が出るといいのだが。
 来週にはブルーミントンに戻って在外研究の後半に突入する。悔いが残らないよう一日1日を過ごしたい。
 
 
 

木曜日, 9月 01, 2016

シカゴ

Wills Towerのスカイデッキ
先週末、家族でシカゴに行ってきた。ブルーミントンからだと車で約4時間。ダウンタウンの外れのホテルを予約したので駐車場代はタダだと思っていたら、一晩で60ドルと言われて、別の駐車場を探して駐めた。それでも一晩30ドル。
 急な思いつきでシカゴに来てしまったので、どこに行こうという当てもなかったが、とりあえず有名なNavy PierWillis Towerのスカイデッキに行ってきた。土曜の混雑はものすごかった。夜にボートでシカゴ川を遊覧するツアーに参加した。高層ビルが昼間とは違った表情をしていてなかなか良かった。
 シカゴは美術館や博物館はもちろん、芸術的な高層ビルが立ち並ぶ大都会。野球観戦などもしたかったが、トッドラーを連れての旅行では行く場所が限られてしまう。もう少し鴻志が大きくなったらまた来よう。

火曜日, 8月 23, 2016

前半戦

  すっかり日が落ちるのが早くなり、夜はだいぶ冷えるようになった。あんなにピカピカ光っていた蛍ももういない。ブルーミントンの夏とさよならかと思うと寂しい。
 こちらは今日から授業が本格的に始まったので、Informatics Eastの建物は学生と若さが溢れていて、夏休みあんなに静かだったのが遠い過去のようの思える。
  大学が始まってうれしいことは、バスの本数が増えて便利になることと、セミナーが増えるのでいろんな話が聞けること。人気のない居室で一人黙々とプログラムを組むのもいいが、ほどほどに忙しくしていないと僕の場合効率が上がらない。さて、明後日はF ilたちと議論をして前半の締めくくり。
  2度目の手足口病の後、少し鴻志の夜泣きが治まってきて、夜の虫たちの声が落ち着いて聞こえるようになった。

水曜日, 8月 10, 2016

二人のスミス

 IUのCognitive Scienceには面白い先生がたくさんいる。中でも僕が会った二人のスミスはとても印象的だ。ちなみにどちらもDistinguished Professor(卓越した成果を上げた教授に与えられる称号)。
 一人目はLinda Smith。力学系の視点からの発達研究が世界的に有名で、理研時代に彼女が書いた「A Dynamic Systems Approach to the Development of Cognition and Action」という本の輪読会をした。IUに行ったらまず会いたいなと思ったぐらい好きな研究者だ。何度もメールを送ったがなかなか返事をもらえず、知り合いに掛け合ってもらってようやく会うことができた。穏やかな人柄を勝手に想像していたが、いかにもできる研究者という感じで、立って仕事をしている様子にはびっくりした。気難しそうな感じがしたが、話していて嫌な感じはしなかった(ただ、あまり僕に興味がないのだなと思った)。
 もう一人はEliot Smith。共同研究者のIさんから聞いてその名前を初めて知ったので、会う前はどういう方かよく知らなかったが、ホームページに書かれた研究内容が興味深かったのでコンタクトしてみた。すると快く会ってくれて、こちらは穏やかながら威厳のある教授らしい先生だった。集合感情とグループベース感情の違いなど教えてくれて、いろいろ議論をすることができた。ぜひまたお会いして議論したい。

日曜日, 8月 07, 2016

お魚

 まもなく秋学期が始まるため続々と学生が戻ってきて、ブルーミントンがまた賑やかになってきた。新入生たちが新生活を始めるために、勉強机やソファーがスーパーで山積みされていて飛ぶように売れている。2、3週間前はIUを離れる人たちが捨てた勉強机やソファーがゴミ捨て場に山積みされていたので、もったいないと思ってしまうが。「経済」の2文字が頭をちらつく。
 ブルーミントンは田舎町とはいえ、大学街なのでほぼすべてのものが不自由なく手に入る。ただし「新鮮な魚」を除いて。普段家で食べることがあるとすれば、冷凍のサーモンだ。冷凍のサーモンですら料理してもパサパサであまりおいしくない。一度だけ、刺身クオリティだと店員から教えられた冷凍マグロを買って海鮮丼にしたが、臭みがあって食べられたもんじゃなかった。事情はインディアナポリスでも似たようなものだという。新鮮な魚は一時帰国の楽しみにとっておこう。
 新鮮な魚が食べられないのと、健康維持の目的も兼ねて、Fish Oilのサプリは毎日とるようにしている。この習慣が合っているのか、Fish Oilを飲み始めてからあまり体調を崩さなくなった。

水曜日, 7月 27, 2016

2/3

 このところの暑さのせいかあるいはそれとは無関係に発達のせいか、子どもが夜中に頻繁に起きて泣くので、なかなかまとまった睡眠が取れない。新生児の頃と違って、麦茶を飲ませると大体はすぐに寝るのだが。早朝に目をさますと頭が冴えてしまって、結果的に朝活をすることになる。それはそれでよいのだが。
 こちらに来てから間もなく4カ月が過ぎる。ということは、残された時間はあと2/3。1年というのはほんとにあっという間だ。早めに研究テーマが決まったのは良かったが、今は暗中模索の毎日。何がこの問題の本質だろうと考えている最中にも、同僚からこんな関連研究があった、あんな類似研究があったと情報がやってくる。それを気にしながら研究を進めなくてはならない。
 耳をすますと、夜明けがまちどうしい鳥たちがさえずり始めた。そして、鴻志も泣き始めた...。また1日が始まる。

金曜日, 7月 15, 2016

あー夏休み

情報学棟の隣の隣にあるケリービジネス
スクールの建物。外も中もものすごく豪華。
 大学はまだ夏休み中だが、FilとSandroは1ヶ月のバケーションを終えて、こんがり焼けてすっかりリフレッシュして帰ってきた。そして、帰って来てそうそう学生との議論や来客対応やSkypeミーティングなど、フルスロットルで仕事に取りかかっている。このONとOFFの切り替えは見事としか言いようがない。見習いたいものだ。
 日本では、教授が1ヶ月もラボを留守にして休暇をするなど(制度的にではなく)実質的に無理だ。昨今は雑務に追われて研究する時間を確保するもの一苦労。Filたちが大学の先生らしい生活ができるのは、大きな研究資金を安定して獲得し、有能な秘書と研究員と大学院生を雇い続け、彼ら彼女らがしっかりと働いてくれるからという事情もある。もちろん、しっかり彼ら彼女らをマネジメントして研究業績を上げて次の研究資金獲得へつなげる、というループをキープできている優秀な研究者だからに他ならない。
 今週から有志の論文読み会が始まり、来週はFilたちとの議論がある。学生に戻ったような忙しさで発表資料を準備している。あれやこれや広げた研究も少しずつだが進んでいる。こちらに来て4ヶ月目に突入したので、そろそろコレっという研究結果を出したい。

木曜日, 7月 07, 2016

2nd IC2S2

 今年も計算社会科学の国際会議IC2S2に参加してきた。去年があまりにも良すぎたので、今年は見劣りする感じがしたが、初めて参加した人に感想を聞くとそうでもないようなので、やはり内容は良かったのだろう。(学会の運営サイドのホスピタリティをあまり感じなかったのが、そう思う大きな理由の1つだ)
 会場となったノースウェスタン大学はシカゴ郊外にある名門私立大学で、特にケロッグ経営大学院は全米で1,2を争うぐらいの優秀な学校。どちらかという社会科学のイメージが強いが、近々、巨額の資金を投じてコンピュータサイエンス学部を新設するそうで、学会でもその宣伝をしていた。これから計算社会科学の拠点の1つになりそうな大学だ。
 学会中、ノースウェスタン大学で院生をしている何人かの日本人と話をすることができた。話していて、彼らの自信とプライドがものすごく感じられた。トップスクールの奨学金を勝ち取り、いつかは自分でビッグ・プロジェクトやってやろうとギラギラして研究に邁進しているわけだから、それも頷ける。その勢いのまま突き進んで欲しいと心から思う。教員になってから、こういう才能とやる気が溢れる学生に一度も出会うことができなかったので、実に羨ましい。
 次回の開催地はまだ未定だが、間違いなく来年の会議も参加するだろう。

日曜日, 6月 19, 2016

ちびっこモンスターと夜のゴミ捨て

 昼間は一人遊びができるようになり、機嫌よくしているうちの子だが、夕方から夜はちびっこモンスターである。
 先々週までは、風呂から上がって寝かしつけるのが一苦労で、散々泣いて暴れて1時間ぐらい格闘した末にようやく寝る。妻はヘトヘトだ。ちなみに私はまったくの役立たずで、夜に私が抱っこすると泣き出す。昼間は一緒に遊んでいるのに...orz。
 先週からは特に夜泣きがひどくて、夜12時に一度目が覚めて大泣き。白湯を飲ませてオムツを替えて寝かしつけようとすると、「寝ない!」と反り返って自己主張、やはり1時間ぐらい格闘する。ようやく寝ても、眠りが浅いのか、起床までに2、3度目を覚まして泣く。
 そのパターンにようやく慣れてきたら、ここ数日は妻がシャワーを浴びている時に黄昏泣きが始まった。こうなるともう手がつけられない。
 今日も妻が子どもを寝かしてつけている間、日課のゴミ捨てのため外に出る。すると、アパートの敷地や茂みにたくさんの蛍が飛んでいて、その美しさに足を止める。ささくれた心が保湿される瞬間だ。ブルーミントンを去る時、きっとこの蛍を思い出すだろう。

火曜日, 6月 14, 2016

金持ちの留学生

 僕が住んでいるアパートは2.5バスルーム、2ベットルームで家賃が1,010ドルだ。ここに光熱費は含まれない。ブルーミントンでこの家賃は決して安くはない。なので、ルームシェアしているとはいえ、ここの学生はそれなりにお金に余裕のある人ということになる。 
 正確な数はわからないが、全体の半分ぐらいはアジア系の留学生で、中国人はもちろん、韓国人の留学生がかなり多い。そして彼ら彼女らのほとんどが新車かいい中古車を乗っている。LAで見かけたアジアの留学生と比べると、明らかに経済的に豊かそうだ。
 理由の1つは、ジェイコブズ音楽院に留学している学生が裕福だということ。芸術系で海外留学できるとなると、実家はよほどのお金持ちだろう。
 それから、インディアナ大学(IU)が州立大学だということも関係している。日本の感覚でいうと、公立の方が入学金も授業料も安いので、アメリカの私立大学にいくよりも、州立大学にいった方がお得だと。
 インディアナ州民ならばそれは合っている。高校の成績が優秀ならば、授業料も免除で奨学金もたくさんある。ところが、州立大学はあくまで州民のための大学なので、州民以外が入学するとなると授業料が倍ぐらい高くなり、一方で応募できる奨学金がほとんどない。したがって、授業料も生活費も全部自費ということになり、結果的にそれが払える裕福な外国人が来る。この事情はUCLAでも同じだが、IUは入学時の倍率はそれほどでもないので、そこそこの学力があって経済的に裕福ならば入学できる。そして、LAほど物価は高くないので、同額の仕送りでもブルーミントンならばいい暮らしができる。
 すば抜けて優秀な高校生は、奨学金が潤沢にあるMITやHarvardの方がかえって留学がしやすい、ということらしい。

水曜日, 6月 01, 2016

テイスト・オブ・シンシナティー

テイスト・オブ・シンシナティー
メモリアルデーの祝日に、家族でシンシナティーのフードフェスティバル「Taste of Cincinnati」に行ってきた。ブルーミントンからシンシナティーまでは、車で約2時間半。
 5th Streetにいろいろな食物の出店が出ていて、炎天下にもかかわらずたくさんの人が来ていて賑やかだった。出店でジャンバラヤとリブを買って昼食にした。5th Streetには高層ビルや高級ホテルなどが立ち並び、さずがにシンシナティーのダウンタウンは都会だ。
 シンシナティーにはIKEAがあるので、ダウンダウンから20分ほど車を飛ばして行ってきた。LAにいた時はバーバンクのIKEAに2度、バスと電車を乗り継いで山のように買い物をして、鬼の形相で荷物をアパートまで持ち帰った思い出がある。(あの頃は若かった...)さっと雑貨などを見て、帰ることにした。
 その帰り道である。シンシナティーとブルーミントンのちょうど中間あたりで、車を運転していて妙な違和感を感じた。ガソリンスタンドに車を止めて確認したところ、右の前輪に太いネジが刺さって空気漏れていた(図2)。幸い、近くにホテルがあったので、フロントの人に事情を説明してロビーで待たせてもらい、AAAに連絡して修理の人が来るのをまった。2時間ほどで修理の人が来て、スペアタイアを取り付けてくれた。あと5分車を走らせていたら、人気のない田舎道だった。不幸中の幸いとはこのことをいう。
 文字通りメモリアルデーになった。

プリウスの前輪に突き刺さっていたネジ

木曜日, 5月 26, 2016

何者でもない

 留学というのはとにかくお金がかかる。航空チケットが約30万、保険だけで約70万(これがないと、そもそもVISAがとれない)、段ボール9箱の荷物を送って約15万、そして、生活に必要なものを買い揃えて約20万。車と自動車保険とAAAにも入ったので約70万。その他もろもろに加え、このドル高。
 非常勤講師をやって準備したお金は使い果たした。大学からのサポートがあるものの、旅費と同じ扱いなので出るのは当分先。月々の給料でやりくりするしかない。
 そこまでカツカツになっても留学するのはなぜか。日本の方がはるかに便利だし、物質的な環境だけ見れば、日本の大学の方がはるかに恵まれている(特に名大は)。それでも、ここに来たかったのは「経験」のためである。
 ここCNetSでは私は何者でもない。FilやSandroとは国際会議で以前一度会っただけで、ほとんど面識もないままCVや研究計画などを送って、留学の許可を得た。共通の知り合いもいないので、色眼鏡で見られることもお客さん扱いされることもない。彼らの信頼を勝ち取って一端の研究者と認めてもらうためには、自分の研究に語らせるしかない。それができなけば、10時にラボにきて17時に帰るただの有機体である。
 なので、昨日のミーティングには万全の準備をして臨んだ。関連研究を2つレビューし、それらの結果を再現して見せ、さらに自分のモデルを紹介してシミュレーション結果を紹介した。その時のFilの言葉が、「明日もう一度議論したい。11時半でいいかな。」だ。
 この経験のためにここに来た。

木曜日, 5月 19, 2016

四〇

 四〇歳になった。二十歳の時は、こんな日は永遠に来ないんじゃないかと思っていたけど、倍になった。皆平等に歳をとる。
 二十歳までの20年間は長かったけど、二十歳からの20年間はあれよあれよと言う間に過ぎていった。28で大学院を卒業し、名大に職を得たのが36。今、ようやく研究らしい研究ができるようになった。そして気がつくと、退官までにあと20年とちょっと。
 いろいろ回り道をしすぎた気もするけど、それだからこその今の自分である。こんな曲がりくねって途切れそうな道を好んで歩いてきたのだから、これからも行けるだろう。生き急ぐこともあるまい。
 鳥たちがさえずる、ブルーミントンの朝に思う。
 

月曜日, 5月 16, 2016

自転車盗難

 I had my bicycle stolen. (自転車を盗まれました。)これは英語の授業でよく習う文章だが、本当にこの通りになってしまった。
 先週の月曜、やや早めに帰宅し、バイクスタンドに鍵で括り付けられた自分の自転車があることを確認してから床屋に出かけた。さっぱりして家に戻ったら、バイクスタンドに自転車がない。盗まれれたのだと気付いたのはしばらくたってからだった。こんな長閑な田舎町で盗難に遭うなんて予想していなかったので。
 そういえばここ数日は引越しのピークで、出て行く人も入ってくる人も多く、アパートには頻繁に大きな車が出入りしていた。鍵を壊して自転車を持っていたのだろう。とほほ。
 海外旅行保険に電話したら、全額ではないものの保証してくれそうなので、それはよかった。警察届出を出したり、いろいろ手続きは煩雑だけど、人生勉強と思ってやるしかない。
 悪いことは起こるものだが、不幸中の幸いだった。
 

金曜日, 5月 06, 2016

黄金週間

 日本はゴールデンウィークからちょうど日常に戻った頃だろう。こちらは連休などなく、いつも通り仕事モード。
 論文の査読を2つ引き受けていたところに、別の論文の再査読依頼が来たりして、多くの時間をそれらにさくことになり本末転倒なことに。どれもそれなりに内容が良かったので、勉強になったのは救いだけど。
 期末試験期間が終わり、CNetSの院生たちは今週末からみんなインターンに行くようだ。ある人はGoogle、ある人はFacebook、ある人はLinkedIn。日本と違ってデータ科学の知識や技術をそのまま生かせる企業が米国にはあるので、学位を取っても大学に残って研究員になる人はむしろ少ない。企業の方がデータも資金も潤沢なので、大学よりも良い環境かもしれない。
 学生たちが出払い、教授陣が一息つき(Filはいつも忙しそうだが)、静かになったラボで、僕は研究をコツコツ進めることにしよう。ラボにいる時だけは教員であることも、博士であることも、父であることも忘れて研究に没頭しよう。そのためにここに来たのだから。