日曜日, 11月 30, 2008

模倣とオリジナル

 怠惰な自分に火をつけるときのカンフル剤はいつもB'z(2007年、ハリウッド・ロックウォークの殿堂入りを果たした[Link])。稲葉の突き抜けるような高音と松本のメロディアスなリフが絶妙に絡んだ時、アドレナ汁は止まらなくなる。先日眠れなくて、YouTubeでB'zのミュージックビデオを見ていたら、ギターのコピーを100本以上載せている人がいた。これがまた相当うまい!おそらくバンドをやっているのだろうし、ひょっとしたらギターの先生なのかもしれないが、指の運びがとても美しい。これだけの質と量をすべて耳コピーしたのならば脱帽ものだ。かつて(なーんちゃって)ギター小僧だった僕は、彼のギタープレーにすっかり見せられた。
 しかしなぜだろう、彼のプレーが完璧であればあるほど物足りなさを感じてしまう。何かが足りない。松本のギターにはあって、彼のギターにはないもの?それはある種の“遊び”だ。形式は(がんばれば)模倣できる。しかし、形式を生み出した精神までは模倣できない。オリジナルのゆるぎない精神が遊びを生む。模倣すら出来ない僕が言う資格はないのだが。
 写真は、高校2年生の夏休み全てを注ぎ込みバイトして手に入れたヤマハのストラト(B'z初期の作品で使われていた)。青のあおさに惚れて買った。Pythonとストラトを表現手段に出来る研究者になりたい。

水曜日, 11月 26, 2008

秋の素描

最近GRで撮ったお気に入りの写真を載せます。

「Always 唐木田の夕雲
 大妻女子大での講義を終えて、駅へと向かう道すがらに撮ったもの。ススキの向こうに見える飛行機雲がきれいです。紅葉の季節なので写真をばんばん撮りたいところなのですが、大学の周辺でカメラを構えていると不審者に思われるので、なかなかそうはいきません。パシャ、パシャしてると、「カシャ」(えっ)。「詳しい話は署で聞く」(あ"ー)。なんて、こともあり得るので注意。

サイケデリックな秋
 撮影場所は池袋。街灯と木々の紅葉が、不思議な緑の風合いを作り出しています。何の加工も施していません。偶然が生んだサイケな秋の質感。

クールなにゃんこ
 最近 Natureクールな歌という論文が載りました(鳥の脳を冷やすと、歌のリズムが遅くなるという実験 [Link])。こちらもクールさでは負けていません。4℃ですから。そんなことを知ってか知らずか、まーこは袋に入ってご満悦。ちなみに、水の密度が最大になる温度が4℃でしたね。

七つ森
 気になる喫茶店があると、妻に連れられて来たのが高円寺にあるこのお店 [地図]。店内は昭和の雰囲気がするレトロで素敵な喫茶店。炭焼焼珈琲はおいしいし、目の前で作っていたハンバーグもおいしそうだった。中央線沿線には結構良さげな喫茶店が多い。阿佐ヶ谷にはヴィオロンというかなり通向け喫茶店がある。おっと、写真。いいでしょ、この懐かしい感じ。

土曜日, 11月 22, 2008

いい夫婦の日

 11月22日はいい夫婦の日なのだそうです。こういう記念日があると、夫婦になろうと決意した日のことを思い出し、二人でいることの大切さを考え直すきっかけになって良いと思います。
 昨日、結婚指輪が出来上がり、今日から指輪をはめることになりました。オシャレでも指輪的なアクセサリーをつけたことはないので、何となくまだ違和感があります(肉球についた小物を気にするにゃんこのように)。物理的にはわずか十数グラムですが、実際にはずっしりと重さを感じます。良く言われるように、楽しみも喜びも2倍(お小遣いは1/2?)になるように、共に歩んで行きたいと思います。えっ、アシモの手の向きが若干おかしい?いえいえ、気のせいです。

新種のアザラシ!?

 アザラシ(海豹)は、アシカ亜目アザラシ科に属する海棲哺乳類の総称である。日本近海には、ゴマフアザラシワモンアザラシゼニガタアザラシクラカケアザラシアゴヒゲアザラシの5種が生息する。この度、新種のアザラシが杉並区高円寺で発見され、その驚くべき生態が明らかになった。
その名は、トラヒゲアザラシ
  • 形態:もこもこ&ぷよぷよ、猫耳と肉球がある
  • 繁殖:手術済み
  • 食物:カリカリが好きです。でも缶々の方がもっと好きです。
  • 習性:袋を見てそわそわ、気になって入ってみる。確認、異常なーし。
       その5分後、袋を見てそわそわ、気になって入ってみる。確認、異常なーし。...
新種発見と思ったら、その後、猫(とらおさん)であることが判明しました。

木曜日, 11月 20, 2008

The Audacity of Hope

 バラク・オバマ著。邦題は「合衆国再生」。アメリカ合衆国の歴史に残る大統領が誕生したのかもしれない。建国以来のアメリカ民主主義への信念と変革への強い意思、溢れるほどの教養とバランス間隔、そして行動力、本書をちょっと読むだけでもこれらが伝わって来る。



 そして、この人の文章能力の高さはずば抜けている(ブッシュ大統領と比べるとなおさら)。込み入った事情や微妙なニュアンスを説明するときも、変幻自在に言葉を操り(しかし、慎重に言葉を選び)、構成された文章は水を飲むみたいにすっと入って来る。科学者にありがちな論理のゴリ押しではなく、意気に感じるという類いのものだ。これは小手先でまねできることではない。本書はアメリカの政治史を知る上でも重要だが、物事の伝え方を学ぶ上でもとても参考になる。
 オバマ氏の勝利演説を観て、誰もが(よほどの天の邪鬼以外は)目頭を熱くしたと思う。改めて観てみても心打たれる(字幕付き勝利演説の映像をリンクします。上向きの三角ボタンで字幕のOn/Offが換えられます)。この本とはがらりと変わって、わかりやすい言葉とストーリーで観衆を感動させる熱をもっている。 Yes we can. 強い言葉で導いてくれるリーダーが日本にも現れてほしい。



金曜日, 11月 14, 2008

なんだか今日行けそうな気がする〜

 ここ1ヶ月ぐらい、JJとやっている研究をまとめる論文を書いている。最初の2週間はほとんど筆が進まず、産みの苦しみを味わっていた。真っ白な画面に向かい何かを生み出そうともがいてみても、ただ時間だけが過ぎる。そんな日々が続き、焦りと失望で壊れそうになる。しかし、それでも逃げずにがんばっていると、ある日突然、論文の神様は降りて来る。今回のきっかけは、懸案事項を全部ノートにぶちまけたことだった。
  • 先行研究で示されたこと/示されていないことは何か?
  • 論文のメインとなる主張は何か?
  • どこがオリジナルか?
  • データから言えること/言えないことは何か?
  • 以上をまとめるために、自分に不足している知識は何か?
 その後、頭がスッキリとし、書くことに集中できるようになった。脳は何かをしまい込むためにではなく、生み出すために使いたい。そのために、いらぬ不安は全てノートに書き出す。「あると思います。」

火曜日, 11月 11, 2008

入籍しました

 本日11月11日(大安、ぞろ目、Binary day)、練馬区役所に婚姻届を提出して、晴れて入籍しましたことをご報告します。未熟な二人ですが、力を合わせてがんばって行こうと思います。これからもどうぞよろしくお願いします。


追伸:多くの方々から祝福の言葉を頂きました。この場を借りてお礼申し上げます。どうもありがとうございました。11月11日は世界平和記念日、B平君の誕生日11月10日(いいトイレの日)の次の日でもありました。それから、ポッキー&プリッツの日だそうです。絶対忘れない記念日になりました。

水曜日, 11月 05, 2008

調整と塩梅

 今日の授業はとても良くなかった。学生が理解できないかもしれないと思い、プログラムを大きく変更したのが諸悪の根源で、プログラムと資料を直すのに朝の4時過ぎまでかかった(Link)。
。結局1時間ぐらいしか寝れず、へとへとで授業に望むことになった。寝不足だと元気も出ないし、レキシカルアクセスも滑舌も悪い。ついでに機嫌も悪い。そんな中、遅延証明を2枚も携えてケロリと遅刻して来る学生を見て、脱力し、遣る方無し。遅延証明はクーポン券ではありません。1限目は、おかしなテンションを調整することができず、授業終了のゴングが鳴った。
 プロのピッチャーは、調子が悪いときには悪い時なりの我慢の投球ができるという。それに比べて、僕はまだまだアマチュアだ。予測したシナリオからずれた時、空気を敏感に感じて調整できるようでないとプロとは呼べない。学生とのongingなやりとりの中で、授業の塩梅を調整できるようになりたい。

日曜日, 11月 02, 2008

エイゴの時間

 セミナーの討論や学会発表を英語でやるたびに、自分の英語力があまり上達していないなあと感じる。「あの人の言っていることに反対なんだけど、英語で説得できるかなあ」とか、「途中で英単語が出てこなかったらどうしよう」などと考えると、つい手を挙げそびれてしまう。でも、相手を納得させられない理由が英語なのだとしたら情けない。ネイティブを前にしてもゆらがない基礎を身につけようということで、(最近さぼっていたが)僕が実践している英語の勉強法を紹介したい。
 まず、中学の英語のK先生の宿題だった365日ノート。1日1ページ、英語をノートに書くというもの。プロ野球選手で言えば、毎日の素振りに相当する。毎日休まず英語に触れることが大事。次に、英作文の問題集(例えば下)を利用して、英語で思考する訓練をすること。ここでわからない構文に出会ったら、初めて英文法書にあたる。先に英文法書を見るのではない。もう1つは、NHKの語学番組iKnowを利用して正しい発音を学ぶ。iKnowは練習した英文をiPodで聞くことができるのでとても便利。いろんな英語勉強法があると思うけど、教材を受け身でやるのではなく、目的を持って続けるのが大事。何度挫折しても継続は力なり(と自分に言い聞かせたい)。

月曜日, 10月 27, 2008

24は8+8+8

 24=8+8+8である。8時間がっちり働いて、8時間たっぷり寝ても、まだ8時間ある。三食しっかり食べ、コーヒーを楽しみ、大中小の各種用を足しても、まだ優に5時間はある。しかし、普段そんなに時間が余っていると感じることはない。むしろ時間は足りなくて、いつも何かにせかされている感じがする。僕の5時間は一体どこに消えてしまうのか?
 改めて考えてみると、僕の場合、だらだらとネットをしている時間がとても多いことに気づいた。無目的・無計画でネットサーフィンをしてもあまり得るものがないし、メールチェックも1日2回ぐらいすれば十分だろう(企業ではメールが仕事の効率を下げるという問題も生じている)。それから、だらだら見るテレビ。帰宅すると、とりあえずニュースとスポーツをチェックするのだが、そのままテレビをつけて深夜番組をついつい見てしまう。別に深夜番組が悪いと言っている訳ではなくて、見たいものだけ録画して時間のある時に見る方が効率的だ。コントロールの効かないだらだらな5時間はやめて、計画されたコントロールできる5時間にするようにしよう。そうすれば、趣味や運動にもたっぷり時間を使うことができる。自分のための5時間、ご利用は計画的に。

金曜日, 10月 24, 2008

BUILT NY

 アップル製品のコンセプトやデザインの美しさ、直感的なインターフェイス、使っているときの気持ち良さ、いずれも群を抜いてすばらしい。他社が模倣すればするほど、むしろMacのオリジナリティーは際立つ。先日、アップルは新しいのMac Bookを発表した[Link]。新しいMac BookのタッチパッドはiPoneのようなジェッチャーを使った操作ができ、それ自体がボタンになっている。何と言う発想の転換だろうか。もはやマウスは必要なく、過去の遺物となるのかもしれない。



 そんな美しいMacを入れるのにぴったりな、僕のお気に入りのLaptopケースを紹介したい。先月NYに行った際にMOMAのデザインショップで見かけて、一目惚れして購入したBUILT NY のLaptopケースだ[Link]。僕が使っているのは、紺色で形は一緒、表に機能的なポケットが3つある。それぞれにアダプタ、ケーブル類、USBメモリを収納できる。デザイン性も機能性も兼ね備えた優れもの。iPod用のポーチやその他のバック類も格好が良い。

月曜日, 10月 20, 2008

政治の変えるの猫

我が輩?
名前は無い
歳?
わからない
まぁ
今年で2,3年目
みたいな
なんか
飼い主
いるみたいな
ってか
居ないわけ
無いし
ワラ
 今年の日本ケータイ小説大賞に選ばれた「あたし彼女」を遅ればせながら読んだ(Link)。おじさんたちが読んだら、「最近の若者の日本語は乱れている」と深くため息をつくだろう。しかし、僕は面白いと思った。それは内容にではなく、ことば遊びのダイナミズムを感じることができるからだ。
 ことばは使用者の意図とは無関係に勝手に動き出してしまうことがあるような気がする。ことばの自律性とでも呼べるようなものだ。それに人は踊らされて、上のような即興模倣まで出現する(上記は2chより引用)。チョムスキアンならば、文法にその理由を持って行くのだろう。よく知られている例はこれ。
Colorless green ideas sleep furiously.(色のない緑の概念たちが猛烈に眠る)
 意味などなくても文法的に正しい文はいくらでも作れるという文法の自律性の例。でも、あたし彼女に見られるようなことばの自律性は、これとは違うところから来ていると思う。でも、どこから?ことばって難しい。写真は大学の帰りによく会う猫。政治変える猫。文法的に間違っているけど事実として正しい表現。またひとつおじさんのため息が聞こえそう。

木曜日, 10月 16, 2008

芸術の秋!?

GRのマニュアルで初めて撮った写真を載せます。


 タイトルは「夕刻」。水色とピンクの中間的な色がとてもきれいです。よく見ると一番星が写っています。空との輪郭を作る木がちょっとブレていますね。写真の腕はまだまだです。
 それから、GIMPの練習のための習作を載せます。やはり絵心は母親のお腹の中に忘れてきたらしいです。

火曜日, 10月 14, 2008

写真はじめました

 デジカメを買い替えようとカメラコーナーをうろちょろしていた。SonyのCyber-shotとRICHOのGR Digital IIで迷っていた。Cyber-shotはモダンなデザイン、カールツァイスのレンズ、手ぶれ補正に光学4倍ズームと、Sonyらしい魅力的なカメラだ。一方GRは、レトロな感じと程よいフィット観、フィルムカメラ的で、プロがサブとして用いる名器だという噂は聞いていた。今年のグッドデザイン賞にもノミネートされている[Link]。
 何の知識もなかったので、うっかりと店員さんに「GRは光学ズームがないんですか?」などと聞いてしまった。すると店員さんはムッとして、
「ええ。このカメラは広角単焦点レンズを採用しておりますので光学ズームはございません。足で稼ぐんです。」
と言った。しまった。Cyber-shotとは全然別ジャンルのカメラだったのだ。そして、こう続けた。
「したがいまして、お客様の腕がそのまま写真に表現されます。」
がーん。そうなのです。誰がシャッターをきっても同じ写真が撮れるカメラとは違うのです。その瞬間、僕はGRを買うことに決めました。
 毎日GRを持ち歩き、素敵なシーンに出会ったら、すかさずシャッターをきりたいと思います。気に入った写真はBlogで公開します。



参考:


金曜日, 10月 10, 2008

美しき生命

 ミクロの理解が進めば進むほど、物質の理解が進めば進むほど、いよいよわからなくなるのは「生命とは何か」ということ。誰もが素朴に生命=物質+αと思うだろう。では+αはどこから来るのか?
 クォーク
よりも根源的な何か(おそらく超ひも)は、いつか天才が現れて、かくかくしかじかだと正体を暴いてくれるだろう。でも「生命とは何か」に僕らはいつか答えることができるだろうか?誰もが心から納得するただ1つの分かり方なんて、本当はないのかもしれない。1つの難しさは「私」にある。「生命は美しい」という言い方をするとき、それは自然と「私」という視点を含んでいる。つまり(我思う故に)生命は美しい、なのだ。私がなければ生命の美しさもまたない。つまり、物理的な事実のみに生命の生命らしさを帰することができない。
 ただ生命が分からずとも、自分の抱く生命観を「形」にして、多くの人と分かち合うことはできる。その意味において、アートの方が科学よりも生命の理解に近いのかもしれない。ColdplayのViva La Vida(美しき生命)は、最近僕が感じるところの生命観の1つの表現。いい!


木曜日, 10月 09, 2008

加速器のある風景

 ノーベル物理学賞受賞の興奮が覚めやらず、昨日の授業では「少し脱線します」と前置きをして、自発的対称性の破れCP対称性の破れについて学生たちに説明をした。そして、いかに今回のノーベル賞がすごいのかを力説した。しかし、残念ながら学生たちの反応はあまりなかった。常人の想像力の及ばない話なので無理からぬことかもしれないが、もうちょっとドキドキして欲しかった。
 先月、理研仁科加速器センターを見学する機会に恵まれて、研究員の方に施設を案内していただいた。ここでは宇宙の進化の鍵を握る元素の起源について研究をしている。写真は世界的にも珍しい超伝導リングサイクロトロン (SRC)。この日はメンテナンスのため、中を見ることができた。これでウランイオンを光速の70%まで加速する。理研が世界に誇れる結果は、新元素113番を発見したこと。初めて教科書の元素周期表に日本が命名した元素が加わるかもしれない。毎年春に理研は一般公開をしているので、そのときに見学できると思います。

水曜日, 10月 08, 2008

祝・ノーベル物理学賞受賞!

 南部陽一郎先生(シカゴ大学名誉教授)、益川敏英先生(京大名誉教授)、小林誠先生(高エネルギー加速器研究機構名誉教授)がノーベル物理学賞を受賞された。今年のノーベル賞はCERNの加速器LHCが動き出したこともあってか、素粒子物理学からの受賞となった。修士までは僕も素粒子物理を勉強し、加速器実験に携わっていただけに御三方の受賞はとてもうれしい。
 湯川秀樹(中間子理論)、朝永振一郎(量子電磁力学の理論)、両先生の伝統を引き継ぐ日本の素粒子物理。2002年には小柴昌俊先生がニュートリノの観測でノーベル賞をとっている。益川先生と小林先生は、CP対称性の破れに関する理論研究で、南部先生は自発的対称性の破れに関する理論研究での受賞となった。いずれも素粒子の標準模型が成立するために必要不可欠な理論。いわば”破れ”の物理学、と言える。標準模型は、最後のミッシングピースであるヒッグス粒子(物質が質量を獲得するためには必要不可欠な粒子が発見されれば理論が完結する(現在、LHCで検証実験が行われている)。素粒子物理は日本が世界に誇る学問分野。高エネルギー加速器機構スーパーカミオカンデで行われている実験がさらなる発見をもたらし、物質の起源や宇宙の起源の解明につながることを期待したい。
 最後に、素粒子物理の基本を知りたい人には、南部先生の「クォーク」というブルーバックスをお勧めする。10年前の本であるにもかかわらず、内容はちっとも古くなっていない。それから、僕の修士論文があったのでリンクします。
8-GeV電子ビームによるタングステン単結晶からの陽電子生成の研究

月曜日, 10月 06, 2008

アートのための数学

 数学はきらいじゃないけど、記号がビッチリと詰まった絵のない本を見ると怖じ気づいてしまう。物理畑出身の僕としては、具体的な現象を記述する術としての数学はがんばれるけど、現象の向こう側に鎮座する数学は神様のように遠い。しかし脳科学ブームのおかげか、分かりやすくてちゃんとしている数学の本がここ数年結構出版されている。数学にリベンジしたい人にはぴったりだ。
 今日紹介する「アートのための数学」は、情報系の学生たちにぜひ読んでほしい本。これは芸術学部での講義がもとになっているそうだ。目次は次の通り。
  1. 明るさを知るための数学
  2. カメラを知るための数学
  3. 光と音を知るための数学
  4. 美しい音の仕組みを知るための数学
  5. 赤緑青の3色を混ぜるとどうして白になるのか?
  6. 音階の決定法と倍々ゲーム
  7. 臨機応変な人間の感覚と対数
  8. 0と1で全ての数字を表す–デジタルな画像と色と音
  9. ペジエ曲線を使いこなす
  10. 写真加工とトーンカーブ
  11. 3次元の数学
  12. グラプとプログラミングでアニメーション
  13. 運動法則とアニメーション
  14. シンメトリーの世界
  15. 黄金比と白銀比
 普段はカメラや絵筆を持っている学生たちが、数学に四苦八苦している様子が想像できる。しかしアートという切り口でまとめられているで、数学も記述の道具と思えばぐっと敷居は低いだろう。何の脈絡もなくサイン、コサイン、タンジェントとやるよりも、ドレミと一緒に三角関数を習った方が飲み込みやすいはず。デシベルと対数の関係など、あやふやだった知識も整理された。天才はともかくとして、僕のような凡人にはMathematics in useというのはとても大事。

木曜日, 10月 02, 2008

自然と言語

 これは1999年にチョムスキーがシエナ大学(イタリア)に滞在した際に受けたインタビューに基づいて編集された本だ。自分に最も関係のある3章を読んだ。
  1. 編者による序論:言語理論における幾つかの概念と諸問題
  2. 言語と精神についての展望
  3. 言語と脳
  4. 極小主義のインタビュー
  5. 世俗司祭と民主主義の危機
 言語と脳の基盤的諸原理がどのように統合されるかに関して、チョムスキーは3つの立場を紹介し、3が最も妥当であろうとしている。
  1. 言語及び高次精神機能は生物学の一部ではない
  2. 言語及び高次精神機能は生物学の一部、かつ、統一化は手の届くところにある
  3. 言語及び高次精神機能は生物学の一部、しかし、まだ基盤知識が不十分なので統一化は時期尚早
 チョムスキーは言語の完全性をよく雪の結晶に例えるので、1の立場だろうと思っていたから意外だった(「生成文法の企て」の中ではそうだったはずだ)。物理と化学が統一を果たしたのと同じようなイメージで、脳と言語の統一を考えているようだ。さらにチョムスキーは3つのテーゼとして、マウントキャッスル(神経科学者)、ハウザー(行動生物学者)、ガリステル(認知神経科学者)らの考え方を紹介して、自分の見解を述べている。行動生物学のアプローチのところに気になることが書いてあった。
たとえば、鳥類について、「発達研究における随一の成功談」であるが、進化についての「納得のいく概要」は一切なく、ことによると納得のいかない概要すらなさそうである
要するに、鳥は言語発達のモデルにはなるけど、言語進化のモデルにはならないということだろうか?鳥を言語進化のモデルとする時は、収斂進化前適応を考えるので問題ないと思うけど。もちろん、これで意味的な側面を考えるのは難しいだろう。
 他にもディーコンの脳と言語の共進化に言及したりして、チョムスキーの博識さが伝わって来る。言語が脳という神経系にしか宿らないものなのか、それともある条件を満たせば、動物やロボットにも獲得できるのかはよくわからない。
 思考の糧として3章は一度読んでおいて損はない。全体的に翻訳は表現が硬くて読みづらいので、原著を読んだ方が良いかもしれない。

火曜日, 9月 30, 2008

久しぶりにいわきに帰省

 8月から9月中旬まで学会出張が続き時間がなかったため、先週末帰省した。僕の田舎は福島県いわき市。2003年までは市の中では面積が一番広かった。人口は東北地方では仙台市に続き二番目に多い [Link]。自然が豊かで気候も温暖。映画フラガールで一躍有名になったスパリゾート・ハワイアンズもある。
 小名浜にあるアクアマリンふくしま(右の写真)に行って来た。ここは世界で初めてさんまの養殖に成功したことで有名な水族館。建物はとてもモダンで格好良い。水族館の中は、川の上流から海の干潟に向かう順番で生き物たちが展示されていて見やすい。一番の見所は、イワシの大群が空間パターンを形成し、そこに2匹のゴマフアザラシがちょっかいをかけるシーン。巨大なアクリルの水槽でそれを楽しむことができる。アクアマリンふくしまの近くにはラ・ラ・ミュウという観光物産店があり、小名浜港の新鮮な海産物を買うことができる。いわき市にお越しの際はぜひ。
 最後に、勿来の関(いわき市勿来町にある)にまつわる源義家の和歌を紹介します。小さい頃、家族で歴史博物館に訪れた際に覚えて、今でも頭の中にあるとても好きな和歌。
吹く風を なこその関と思へども
道もせに散る 山桜かな