火曜日, 4月 26, 2016

So what?

 今日はFilとSandoroとミーティングをした。これからある研究を始めるにあたって、先行研究と文献を調べて現状を報告し、今後の方針を話し合った。といっても、途中からFilとSandoroのやり取りがヒートアップして、ようやく最後に自分のアイデアを披露するというあべこべな順番になってしまった。
 まだ共通の土台がない状態での議論なので、とにかく相手の主張を理解するのに必死になっていたら、遠慮せずに会話に入ってこいと言われて苦笑い。ここでは、お行儀よく聞いていることは議論に参加していることならず、空気も同然なのだ。
 まだ煮詰まっていない思いつきのアイデアを披露したら、久しぶりに「So what(だから何)」系のコメントを食らって、また苦笑い。ChuckやOferのところにいた頃を思い出した。「もちろんわかっているさ!」
 まもなく40になるおっさんだが、学生に戻った気分で日々を過ごしている。熱く議論ができる環境はよい。

木曜日, 4月 14, 2016

多様性の森

 ブルーミントンでの生活にも次第に慣れてきた。LAでの経験があるのでいろいろ勝手がわかるというのもあるが、GoogleとAmazonとiPhoneおかげで、格段に生活が便利になったという実感がある。手続きはネットで済むし、何でもネットで買える。
 晴れた日は自転車で大学に行く(だいたい20分ぐらい)。裏道を通ってキャンパスに行き、ジェイコブズ音楽院(全米屈指の音楽学校)と広いグランドを通り抜け、メモリアルユニオンのPeet's Coffeeでコーヒーを買ってから研究室に行く。
 先日、アシスタントリサーチャーのGiovanniに研究室のメンバーを紹介してもらった。所長のFilをはじめ多くが学会で出払っていて、全員には会えなかったが、院生もポスドクも個性豊かな人が集まっていた。特に中国からの留学生がとても優秀で、がつがつコーディングしていた。「多様性の森」という比喩がぴったりな場所だ。
 明日のミーティングは自己紹介を兼ねた簡単な発表。来週月曜はFilと議論、そして月末に研究発表。今日からセミナーにも参加し始めた。思いっきり研究するぞ。

水曜日, 4月 06, 2016

ブルーミントン

 この4月から1年間、インディアナ大学ブルーミントン校に客員研究員として滞在します。4/1夜にインディアナに着き、翌日、ブルーミントンのアパートに引っ越し。そこから連日、生活に必要な一切合切を近所のショッピングモールとスーパーで買いそろえ、今日、こうしてインターネットも開通し、何とか通常生活ができる状況になってきました。
 先日は、僕がお世話になる研究所(CNetS)に家族であいさつに行きました。所長のFilをはじめ、みなさん感じの良い方達でした。CNetSは小さな建物の3階にあり、規模は小さいですが、アクティビティは非常に高そうです。4/8のオリエンテーションが終われば、いよいよこちらでの研究が始まります。

IUの正門
CNetSがあるのは手前の建物
3階がCNetSの場所


月曜日, 3月 21, 2016

オープンレクチャー2016

 名大のオープンレクチャーで講師を務めた。大学教員にとってはアウトリーチの活動の一環で、一般の方にとっては大学の講義を聴講できるチャンス。こういうイベントはとてもいいと思う。僕が聴講したいぐらいのおもしろそうな講義がいくつもあった。
 どのぐらいの人数が集まるのだろうと、全体説明の会場を覗いてみたら、高校生を中心としてほぼ満員御礼。祝日にわざわざ大学まで来て講義を聞こうというわけだから、参加者はとても勉強熱心だ。理系の名大ということもあり、素粒子やプラズマの話はとても人気があるようだった。
 僕はというと、「Twitterで読み解く人間行動のはなし」と題して、できるだけわかりやすく計算社会科学の話をした。45名の申込みがあって、実際に来たのは35名程度。しかし、講義の参加者は熱心に話を聞いてくれ、講師を務めた甲斐があった。高校生がほとんどだったが、中にはご年配の方もおられた。今日の講義が少しでも刺激になったらいいな。
 

日曜日, 3月 13, 2016

3月

 ここ数年、3月は査読に追われている気がする。今年も国際会議の論文やアブストラクトの査読が11本、ジャーナルが1本。必ずしも自分の得意な内容ばかりではないので四苦八苦するが、これまた勉強である。極力ポジティブに評価し、どこを直せば内容が改善されるかをコメントするようにしている。それにしてもこの量である。
 研究者にとって、学会発表や論文出版の機会は昔に比べれば格段に増えたに違いない。論文を年に10本出版する研究者はざらにいるし、しょっちゅう国際会議で世界中を飛び回っている研究者もいる。しかし、その中に本当に世に送り出す価値のある研究はどのぐらいあるのだろう。「出せば官軍」というわけでもないだろう。
 「これは負け惜しみでない」と言い切れるぐらい、いい研究をしなければ。
 

土曜日, 3月 05, 2016

異分野交流

 先週末は計算社会科学のワークショップ、今週は総合コミュニケーション学の研究会に参加した。
 前者の研究会は、日本でもこれから計算社会科学(CSS)を盛り上げていこうというもので、Dirk Helbingの招待公演に引き続き、物理学、社会学、経済学、情報学から中堅および若手の研究者が研究発表を行った。計算社会科学の意味するものが研究者によって異なるし、そもそもちゃんとした定義などないので、「計算」と「社会」に関係のありそうな話題をそれぞれ提供した、という感じだった。 僕は「ソーシャルセンサー」を中心テーマとして、複雑系としての性質と社会現象への応用という感じでまとめた。発表や質疑応答を聞いていて、やはりこの分野は若手が面白い。
 後者の研究会は、名大の時田さんが代表を務めるプロジェクトで、僕もメンバーとして参加している。今回は発表がなかったので、心置きなく聴講できた。有田さんや池上さんも発表もあって、いろいろ研究のヒントをもらった気がした。その他にも、環境社会学のフィールド調査やゲーム理論による荒らしの分析など、普段聞けない話があって面白かった。
 異分野交流型の研究会は「気付き」に満ちていて楽しい。

金曜日, 2月 26, 2016

デジタルペーパー

 ソニーのデジタルペーパーを購入した。前から欲しいと思っていたのだが、新しいモデルが出るのではなかと思って躊躇していた。値段もiPadより高いし。それから、MicrosoftのSurface Pro4も完成度が高くて、オプションのペンを使うとデジタルペーパーのように使うこともできる。
 どちらを買おうか迷った末、PDF(主に論文)の読み書き用と割り切って、デジタルペーパーを買うことにした。 決め手はEinkの美しさと書き心地。紙とほぼ同じ感覚でPDFを読んだり、PDFに書き込んだりできるのは、研究者の文房具としては魅力的。バッテリーも長持ちするので、学会やセミナーのメモを取ったり、普段の勉強ノートを全部これで置き換えても十分使えそう。
 ペーパーレス時代がいよいよくるか。もう少し安いとさらにいいのだが。

水曜日, 2月 17, 2016

モーニングコーヒー

 子どもの夜泣きで目が覚めて、あやして寝かしつけていたら目が冴えてしまったので、モーニングコーヒーを飲みながら考えごとをしている。
 間もなく2015年度が終わる。指導した学生の修論発表が終わり、無事卒業できそうなので、まずはほっとした。今思うと、もっと別の指導方法があったのではないかとも思うが、学生の性分によるところも大きいので何とも言えない。
 一般論として、意識の高い学生であれば、学会に参加させたり論文を紹介したりすれば、自分で楽しさを見つけて研究に夢中になるので何の問題もない。しかし現状では、そういう大学院生ばかりではなく、そうでない学生に対しては、こちらが良い加減で背中を押してあげる必要がある(これは身に染みて感じた)。
 一方で、意識の高い(「意識高い系」ではなく)学生が志望したくなるような状態を作る努力もしなければならないだろう。退官記念講演で恩師は、研究室の立ち上げ当初、なかなか良い学生が集まらずに苦労したという話をしていた。そこでまずやったことは、「本を書いて名前を売る」ということだったそうだ。確かに、教科書はもちろん、ブルーバックスやその他の一般書で先生の名前を知っていたことが、研究室を志望するきっかけになった。もちろん、先生の人柄に惹かれたことも理由の1つ。
 とすると、「本を書く」というのは一つの手かもしれない。思想地図βの原稿を書いて以来失せていた「執筆熱」がまた高まりだしたので、勉強も兼ねて一冊書いてみるか。
 外はすっかり明るくなった。

金曜日, 2月 12, 2016

卒業発表

 情報文化学部(自然情報学科)の卒業発表に参加した。理学部や工学部にはない分野融合的なカリキュラムを学んだ情文の学生たちが、どんな研究をするのかが楽しみだった。
 先生にテーマをもらって取り組んだり、先輩からテーマを引き継いだ学生もいれば、自分でテーマを見つけた意欲的な学生もいた。どの発表もよくまとまっていたと思う。中には、修士論文の発表よりレベルが高いものもあって、今後が楽しみなものもあった。研究室のカラーも出ていて、それも面白かった。
 僕は大学院の所属なので、今のところは学部教育には関わっておらず、学部生とは接点がない。新学部で教育の機会が与えられたならば、講義でやってみたいことは山ほどある。そして、教え子の中から、一緒に研究してくれる優秀な学生が出てくるといいなぁ。

木曜日, 2月 04, 2016

シンギュラリティー

 人工知能が人間を超える日がそう遠くない未来に訪れる。それがシンギュラリティーと呼ばれているものである。5年前なら「またまたご冗談を」ですますところだが、自動運転がかなり現実味を帯び、コンピューターが囲碁で人間に勝つ今日この頃では、あながち嘘ではないのかも、と思ったりする。  
 この本の中で「全脳エミュレーション」が紹介されていた。それは、人間の脳を高い精度で計測してコンピュータにマッピングし、外部環境との接続の中でシミュレーションを行うというものだった。先日、たまたま参加したセミナーで、脳のカルシウムイメージングの話を聞いたのだが、その技術が驚くべき速さで進歩していて、このマッピング作業は決して不可能ではないところまで来ているという印象を受けた。自分が理研脳センターにいた頃は、ようやく複数のニューロンから電機信号がとれるようになった頃で、生きたままの脳を丸ごと測ることなど夢のまた夢だった。  
 全脳エミュレーションができたからといって、直ちにコンピュータに意識が宿り、コンピュータが我が物顔で街を闊歩する日が来るとは思わないが、人間とコンピュータとの付き合い方は大きく様変わりするだろう。我々の情報摂取の仕方も。
 この本は楽観論でも悲観論でもなく、バランスよく書けた良書である。

火曜日, 1月 26, 2016

ヘテロ

 最近、自分と研究の嗜好が近い"異なる分野"の"若い"研究者に積極的にコンタクトをとっている。中にはまったく面識もなく、著書や論文を読んで知っているというだけの方もいるが、「ぜひ研究の話をうかがいたい」とお願いすると、みなさん快くOKしてくれる。その道の専門家であり一番脂が乗っている若い研究者と話をするのは本当に楽しいし、刺激になる。
 計算社会科学は一人でどうにかできるような分野ではなく、社会学、心理学、経済学、人工知能、人工生命、物理学、ネットワーク科学など、異なる分野のプロたちが協働・共創できるか否かが鍵だと思う。さもなければ、「船頭多くして船山に登る」になってしまう。ヘテロな環境で生き延びてきた経験を生かしたい。

金曜日, 1月 15, 2016

ヒトの本性

 川合さんに献本いただいた本を読んだ。「人間とは何か、心とは何か。」これらの問いに「比較」というアプローチで迫るのが比較認知科学。チンパンジーやサルなどヒトに近い動物の行動特性を観察・実験し、ヒトと似ているところや違うところを明らかにすることで、ヒトの認知固有の生物基盤の解明や進化過程の推測が可能になる。
 たくさんの先行研究があるので、ややもするとこの手の本は研究結果の羅列になりがちなのだが、本書はストーリーがしっかりしているので、わかりやすく面白い。「いじめ」には、モラルや教育云々以前に、生物基盤や進化が深く関係していることが分かれば、この問題の改善につながる妙策も見つかるかもしれない。新書のお手本のような本である。

土曜日, 1月 09, 2016

夢の中か「雲」の中

 非常勤の最終講義を終えた。期末試験の監督と採点が残ってはいるが。今年度は、月曜日1限から3コマ連続だったので体力的にはしんどかったが、昨年度作った資料を少し修正すれば使えたので、その意味では楽だった。
 ただ、学生がちゃんと取り組まないことを前提にして、講義しなければならないのは大変に辛いことであった。「この演習に取り組んで下さい」と指示しても、何もやらないか、スマホをいじっている学生が多数。抜け殻の体だけが教室にあって、魂は夢の中か「雲」の中。100人超の学生をいちいち注意して回るわけにもいかないし、抜け殻にどう話せばよいのやら。
 それでも、議論の場面で目の覚めるような回答をする学生や、授業後に質問に来て、「わかりました。ありがとうございました。」と嬉しそうに帰っていく学生がたまにいて、これだから先生はやめられないとも思う。
 2年間だけど、良い経験をさせてもらった。今後、名大の教育に活かせることもあるだろう。

水曜日, 1月 06, 2016

みてね

 明けましておめでとうございます。
 新しい家族が加わって8ヶ月が過ぎました。子どもの写真や動画を共有するのに「Carousel」を使っていましたが、この3月でサービスが終了ということで、最近「みてね」というサービスを使い始めました。これがなかなかいいサービスで、夫婦や親戚同士で共有するのに特化しているのでシンプルで使いやすく、1秒動画がまた良い。ソーシャルなサービスにはまだまだニッチがあるのだなと。
 それから、NHKがプロフェッショナルの流儀風の動画を作成するアプリを公開して、Twitterで話題になっていたので、ちょっと作ってみました。[これ] 後々、子どもに怒られそうな気もしますが...。
 2016年も研究と父親業を楽しみながらがんばろうと思います。今年もよろしくお願いします。
  
 

金曜日, 12月 25, 2015

Real Thing Shakes

 先週の土日は久々のソシオの研究会があった。今回の講師は、松浦先生(京大)、水原先生(京大)、大澤先生(筑波大)の3名。
 松浦先生の発表前の一言にしびれた。「僕は異分野からの講演依頼は断ったことがありません。」同業者ばかりの研究会だとなあなあになったり、遠慮して質問があまり出なかったりと、学ぶことが少ない。一方、異分野の人が大勢いるような研究会では、素朴な質問もどんどん出るし、違う視点からコメントがもらえたりするので、新しい気づきがある。そういう理由らしい。
 松浦先生は社会性昆虫を研究している。シロアリ集団の驚くべき生存戦略の解明は、生物学の教科書を書き換えるような発見だった。ホンモノの研究は、異分野の人が聞いてもすごいことが伝わる。
 このレベルの研究がしたいものだ。

金曜日, 12月 18, 2015

師走

 師走なので、2015年という年を振り返ってみる。まず、去年はいなかった存在がここにいる。子どもが生まれたことは本当に大きかった。仕事から帰ってきたら鴻志と全力で遊ぶ。それが日常になった。
 研究は、懸案事項だった論文が出たのは良かった。行動生物学のデータはまだ重要な分析が残っているが、これは来年論文にしたい。学生とやっている研究も論文にしなければならない。文献調査とデータの再分析に着手したところで、何を示すのが本質的なのかを考えている。新しい研究は始めたばかりだが、社会心理学の先生方からいろいろ勉強させてもらったので、今後の進展が楽しみである。
 ある目標のためにはじめた非常勤講師は、来年1回の講義と試験をすれば終わり。100人以上の学生相手に、情報の授業をするの想像以上にしんどかった(居眠りしている学生を注意したら、別の学生に「かわいそう〜」と言われて、言葉を失ったこともあった。)いろんな学生がいる。これも勉強だ。
 新年を迎える前にもう一仕事。

金曜日, 12月 11, 2015

AIとIA

 Wired最新号の特集AI(Artificial Intelligence:人工知能)が面白かった。特に、ケヴィン・ケリーの記事が秀逸だった。AIが人間の労働機会を奪うと不安をいたずらに煽る未来学者と違い、AIと人間の新しい関係を予想し、知を拡張するものとしてのAI、つまりIA(Intelligence Amplifier:知能増幅)を描いている。
 今年はとにかくAIという言葉が紙面をにぎわせた。GoogleやFacebookはもちろん、トヨタも新たにAIの研究所を立ち上げた。今はAIバブルとも言えるような状況で、この分野には優秀な人材とお金が流れ込んでいる。はてさてそこから何が生まれるのだろうか。そして、いつまでAIは再び訪れた春を謳歌できるのだろうか。

金曜日, 12月 04, 2015

誰と一緒に研究するか

 これは大事なこと。僕の答えは、「研究に対して誠実な人」である。もちろん、研究内容はぶっ飛んでいても、とんがっていてもいい。研究に不誠実な人は全く尊敬できない。
 新しい研究を模索する中で、計算社会科学という学問を自分はどうしたいかを考えている。ICCSS2015に来ていた研究者や研究グループは、着実に成果を出し始めている(ただ、そのやり方には手放しで賛同という訳でもないが)。日本はこの分野で世界に太刀打ちできる研究者は(自分も含めて)一人もいない。
 今は、物理やコンピュータ系の人たちが社会科学というお花畑にずかずかと土足で入ってきているような状況だ。でも、これでは社会科学に花は咲かない。「計算社会科学だからこそできる研究」というのを見つけなければならない。そんなことを一緒に考えてくれる研究者や学生を探さなくては。

木曜日, 11月 26, 2015

2本とも

 以前、論文を「絶対に2本とも通す!」とblogに書いた。一本目は先日の記事に書いた通り。そして昨日、二本目の受理を知らせるメールが届いた。
Y. Takeichi, *K. Sasahara, R. Suzuki, and T. Arita, Concurrent Bursty Behavior of Social Sensors in Sporting Events, PLoS ONE 10(12), 2005
一昨年に指導した修士学生との研究を僕がまとめたものだ。と言っても、ほとんどの解析をやり直し、新たなデータ解析を加えたので、別研究と言っても過言ではないが。論文構成もだいぶ工夫した。おかげで、3名の査読者からは好意的なコメントをもらうことができた。時間はかかったが、いい勉強になった。
 本当は、学生が最後まで自分の研究に責任とプライドを持ち、論文を完成させて受理を勝ち取ってほしかった。ただ、普段の取り組みを見ていて、こうなることは予想していた。一事が万事。
 さて、最近、新しい研究に着手し始めた。アルバイトの留学生とアイデアを出し合いながら探索的分析を進めている。「それ面白そうだね。じゃあ、やってみよう。」こんな風に、「面白そう」という直感を信じて突き進める人と研究するのは楽しい。

金曜日, 11月 13, 2015

万年筆で字を丁寧に書くという贅沢

 久しくお気に入りの万年筆で字を書くことがなかった。裏紙にボールペンで擲り書きばかりしていた。僕の万年筆はLAMYのヤング向けの製品で、デザインと色が気に入っている。ボールペンとは違い、ペン先に紙を感じながら、筆圧で様々な表情の字を書くことができる。間違ったらすぐに消せるフリクションペンも悪くないが、書き間違いは許されない一種の緊張感の中で使う万年筆もいい。
 A4の紙に万年筆で自分の名前を丁寧に書いてみた。まじまじと見て、きれいな字ではないが味があるなどと思った。万年筆で字を丁寧に書くというのは贅沢な行為かもしれない。