金曜日, 12月 29, 2023

10年前の自分

 2013年の自分は何をしていただろうか。ブログ記事を読み返してみると、焦燥感にかられた自分がいた。その焦りや不安を消すために、滝ノ水公園を夜な夜な走っていた記憶がある。

 ポスドクから上がり、名大に定職を得て2年目。同期やもっと若い研究者は、どんどん成果を上げていた。どうがんばれば成果が出て、それがどのように評価され、みんなに認知してもらえるのか。その仕組みについて無知だったし、がんばり方がわからなかった。それを教えてくれる人もいなかった。

 しかし今思えば、自分で困難を乗り越える経験を積んだことが、研究者としての体幹を鍛えることにつながった。無駄ではなかった。

 10年後の2023年。これまでにがんばってきたことが、成果として花開いた感覚がある。成長のS字カーブの急峻な立ち上がりのあたりに、つま先立ちしている感じ。あるいは、伏線を一気に回収した推理小説のラストシーン。

 やるべきこと、頼まれたことを、投げ出さずに、愚直に、丁寧にやってきた。きっとそれをちゃんと見ていて、評価してくれた人がいたのだ。「努力が報われる」ためには、才能はもちろん重要だが、それだけでなく、応援してくれる仲間が必要だ。僕はその点で恵まれていた。

 10年前の自分に言いたい。「大丈夫、努力は報われる」と。

日曜日, 12月 24, 2023

過密

  院試業務、講演、取材、各省庁とのやりとり、複数のプロジェクト(CREST、富士通、SSI)、授業(東工大、東大、早稲田)、監訳の仕事...と、1日も休めないような状態がほぼ2ヶ月続き、体も心も悲鳴をあげていたが、何とか乗り切った。これで無事に2023年を越せそうだ。

 去年の今頃は、本の執筆(「ディープフェイクの衝撃」)に追われていて、大晦日の紅白を見ながら脱稿するという経験をした。確かにあれも大変な経験だったが、少しずつ完成に向かって進んでいる感覚が活力になった。

 今回はそれとはだいぶ異なる感覚で、あと1ヶ月過密スケジュールが続いたら、間違いなく心がポッキリ折れたと思う。普通の人よりは精神的にタフである自信があるが、何かに追われる日々を2ヶ月続けたので、「これはやばい」という防衛の感覚が自分の中に芽生えた。喉を痛めてから、ずっと体調も回復せず、体を騙し騙し授業を乗り切った。

 最近は引き受ける仕事は吟味して、断るべきは断るようにしている。自分が無理をしたところで良いことは1つもなく、結局は相手にも迷惑をかけてしまうことになる。自分が楽しく仕事ができることを最優先する。それが結果的に誰かの役に立つことにつながる。

 

日曜日, 12月 17, 2023

ただの風邪、されど風邪

 風邪のような症状がひと月ぐらい続いている。ミスターサンデーの収録の数日前に喉を傷めてから、調子があまり改善せず、咳喘息のような状態になっている。11月は金土2日連続での授業、早稲田の公開授業があったことも、喉には堪えた。乾燥した状態で100分間、声を出し続けるというのは、想像以上に喉に負担がかかる。 
 そして今週火曜、体調が悪化して、久々に寝込んでしまった。少し寝て休めば、午前と午後に予定されていたオンライン会議は乗り切りれるかと思ったが、キャンセルせざるを得なかった。水曜午前はオンライン会議には出られるぐらいに回復し、午後に近くの病院にいった。検査をしたが、コロナでもインフルエンザでもなかった。疲れて免疫が弱っていたのでしょうということで、総合感冒薬3日分を出してもらった。11月の激務の緊張が途切れて、疲れがどっと出たのか。 
 木曜には職場に戻れるぞと思ったら、今度は家族がインフルにかかってしまった。すぐに小児科に診てもらい薬をもらったので、子供たちは2日ぐらいで回復し、学校は休んでいるがすっかり元気になった。 
 私は休むほどひどくはないものの、完全回復とはいかない小康状態が続いている。

日曜日, 12月 10, 2023

ネットワーク科学入門

  A First Course in Network Science(Cambridge Univ. Press)の邦訳版「ネットワーク科学入門:Pythonで学ぶデータ分析とモデリング」が1月4日に発売予定です。この本はネットワーク科学の基礎から応用までを網羅し、Pythonのコードを用いて学ぶことができる本格的な入門書です。

 日本の第一線で活躍するネットワーク科学の研究者たちが翻訳を担当し、私が監訳を務めました。ネットワークを学び・使いたい学生や研究者にとって、有用な参考書になると思います。ご活用いただけると幸いです。2週間ぐらい遅れてKindle版も出ます。

 ちなみに表紙のネットワーク図は私が描いたものです。

土曜日, 12月 09, 2023

教授昇進

  2024年4月1日付けで東京工業大学環境・社会理工学院の教授に昇進することが決まりました。通過点の一つにしか過ぎませんが、うれしく思います。ここまでこれたのも、多くの方々のサポートのおかげだと思います。私の先生たち、両親、家族、同僚、スタッフ、友人、学生たちに感謝したいと思います。

 2005年に学位をとってから、理研の研究員を2年、学振PDを3年、合原FIRSTの研究員を1年ちょっとやりました。学振PDの最終年には、次の仕事が決まらないのではないかというピンチも経験しました(過去のブログ記事を見直すと、その時の切実な心情が蘇ります)。

 その後、2012年6月に名大情報の助教として着任して、2017年に講師に昇進し、2020年8月まで8年ちょっと務めました。そして、2020年9月に東工大MOTの准教授として異動し、4年目に突入したところで、教授昇進が決まりました。

 47歳で国立大学の教授になるということになります。日本の大学教授の平均年齢が57.6歳ということなので、それよりは若いですが、さきがけの同期はとっくに教授になって、活躍している方ばかりなので、私はようやくスタート地点です。

 横綱級の仕事依頼が舞い込み、面白い個性的な学生たちが研究室に集まるようになり、忙しいながらもやりがいがある状態です。65歳で定年を迎えるまでに、何をなしとげることができるのか。自分に賭けてみたいと思います。

 

 

 

 

日曜日, 11月 19, 2023

Mr.サンデー

 先週日曜(11/12)のMr.サンデーにインタビュー出演した。トピックはディープフェイクだ。
 11/2にSNSに投稿されて問題になった岸田首相の偽動画は、明らかに品質も悪いし、悪意というよりは悪ふざけの類だと思うので、さほど気にも留めていなかった。しかし、この偽動画の件は、新聞で2件コメントし(読売、東京新聞)、Mr.サンデーの番組に協力することとなり、それだけ「日本の首相のディープフェイク」というのが重要なポイントだったのだなと気付かされた。
 番組のインタビューを受けたのものの、数日前から喉を痛めてしまい大変だった。幸い取材前日に病院に行き、処方されたステロイドと抗生剤を飲んだら、「少し声が枯れているな」程度で話がでるようになった。
 担当の方に、「宮根誠司さんのディープフェイクを作ってください」という注文を受けたので、既存ツールを使って、簡単なディープフェイク動画を作るデモをしてみせた。音声クローンを作るのに数十秒、リンプシンクをするのに5分、という短時間で作れた(素材が準備されていればの話)。
 そんな時代に突入した。












土曜日, 11月 04, 2023

やりたいこと:やりたくないこと=1:10

  「やりたいことをやるために、やりたくないことはやらない」ではなくて、「やりたいことをやるために、その10倍のやりたくないこともやる」。そいういうマインドセットでないと、大学教員はやっていけない。

 もちろん、そうがんばっているが、キャパシティーオーバー気味。取材も執筆の依頼も極力遠慮しているのだが、気がつくとカレンダーは余白がない。

 この11月を乗り越えれば...(10月もそうして乗り越えたのだが)。ケセラセラ。きっといい12月がやってくる、はずだ。

土曜日, 10月 28, 2023

てるてる坊主

  いつもは土曜授業なので、子ども運動会に出ることがあまりできなかった。今年はたまたま、10/28(土)は大学の学祭のため休講だったので、運動会で倅少年が走ったり、踊ったりする姿が見られるぞと、楽しみにしていた。

 倅も倅で、パパが見に来るというので、はりきって練習をしていたらしい。子どもにしてみれば、父親が見に来るというのは特別なことなのかもしれない。確かに、自分も子供の頃は、自分が頑張っている姿を父が見てくれるのは、何よりもうれしかった。

 しかし、子ども送り出した直後から、住んでいる地域一帯だけが局所的豪雨になり、小学校の校庭もドロドロになってしまった。まもなくして、延期のお知らせが小学校から来た。

 延期になると運動会は平日開催になるので、すでにパンパンに予定が入っている私としては、参加することができない。昔はもっと時間に余裕があったのだが、今は1日休むと、それだけで仕事が立ち行かなくなる。

 倅少年は学校でてるてる坊主を作ったそうだ。天気よ、異常気象よ、延期した運動会の邪魔をしてくれるな。運動会のために、息子もその他の小学生たちも一生懸命練習してきたのだから。


火曜日, 10月 17, 2023

ワンカルビでワンナップ

  溺死寸前の忙しさだった10月2週目が過ぎた。当初は、乗り切ったら達成感のようなものを感じるかと思っていたが、「無難にこなした」というのが正直な感覚。いや、年をとって私の感覚が鈍ったのか。

 昔、いつか食べに行こうと妻と話していた相生山の焼肉店は、いつの間にか潰れてしまい、その約束は果たせぬままだった。東京に引っ越した時は、コロナ禍の真っ只中で、焼肉を食べに行くどころではなかった。

 週末に近所にある、食べ放題ではあるがワンランク上の焼肉屋「ワンカルビ」に家族で行って、たらふく美味しい肉を食べてきた。店に着いた時点で10組以上待っていて、かなり待たされたが、これがまた食欲増進につながった。

 分厚いステーキ肉をじゅうじゅう焼いて、チョキチョキ一口大にカットして、甘めのタレをつけてパクリ。普段食べられないような肉を次から次へとオーダーし、一つも残さず平らげた。赤身のうまいことよ。

 それなりのお値段するのでもとなんてとれないが、家族で行っても、金額を気にすることなく高級肉を堪能できる。ワンカルビ、おすすめ。

月曜日, 9月 25, 2023

ノートパソコン

  私の古いMacbookを息子に譲った。今からタイピングの練習をすれば、すぐに上達して、プログラミングに興味を示すかもしれない、などという親の淡い期待だ。

 それ見ていた娘が兄を羨ましがり、自分のノートパソコンが欲しいと言い出した。しかし、そう都合よくお古のパソコンはないので、「もうちょっと大きくなったらね」と言い聞かせた。

 そしたら、折り紙で何やら不思議なものを作り、それをパチパチしていた。どうやら、ノートパソコンに見立てて、遊んでいるようだ。

 そんな娘が作ったノートパソコンを一台もらった。

「パパ。これあげる。」

 紙のように軽く、静音で、CO2も排出しない。型落ちしたら、土に還る。Macbook Airなんて目じゃない、究極のエコPC。これで仕事はできないが、仕事をやるモチベーションをくれる。

「ありがとう。こっちも、パソコン?」 

「これはお手紙。」

 そこには「パパ」と書かれていた。鉛筆の持ち方なんて教えたことないけど、兄がやっているのを見て覚えたようだ。 成長している。



 

土曜日, 9月 16, 2023

本はマラソン

  入試業務から解放されてからは、完成に向けて、ある本の監訳作業に集中していた。合間に会議や学会や講演が複数あって、その度に作業を中断しなければならなかった。間が開くと感覚が失われ、作業効率が落ちた。

 本業でないとはいえ、出版社からは「いつ終わりますか?」というプレッシャーをかけられる。本の場合、執筆作業であれ、翻訳作業であれ、徹夜して「えいや!」では終わらない。

 マラソンに似ている。やる気満々でスタートするが、途中で中弛みする。なんとか自分を鼓舞して前へ進み、心臓破りの丘に差し掛かると、ゴールは永遠に来ないのではないかと、絶望のズンドコに落ちる。外部からの叱咤激励で立ち上がり、満身創痍で前へ進む。ゴールするイメージが膨らんでくると、加速度がつき、一気にゴールする。

 校正原稿の作業がまだ待っているが、一番大変な作業は終えた。さて、次は授業の準備だ。

火曜日, 9月 12, 2023

高エネ研の集い

  M先輩の呼びかけで、都立大高エネ研のメンバーが集まった。こうして対面で集まって飲むのは、6年ぶりぐらいだろう。前回は高尾山のビアガーデンで、カピカピの焼きそばを食べながら飲んだ。

 今回は秋葉原のお店に集合し、思い出話をつまみに、美味しいクラフトビールをいただいた。卒業してから20年以上が経った今も、こうして集まれるのって、とても幸せなことだ。

「お前、変わらないな!」
「お前もな」

 自分も気がつけば47。みんな、企業や大学や研究所で、責任のある立場で頑張っている。ここに集まるまでに、自分も、みんなも、いろんな苦労を乗り越えて、今ここでビールを飲んでいる。不思議な感覚だ。

 研究室で、みんなでバカなことをしていたあの頃を懐かしみつつ、こうして同期と再会し、語り合えたのは、この夏休みの最大のギフトかもしれない。来年も、元気で会いたい。

(久しぶりに飲みすぎて、どうやって家に帰ったのかよく覚えていない...)



火曜日, 8月 29, 2023

院試業務だん

  しんどい作業だった。詳細を明かすことはできないが、院試に関わる雑用をここのところずっとやっていた。何をそんなに時間をかけることがあるのか、と思うかもしれない。1つの間違いも許されないので、チェックし、ダブルチェックし、トリプルチェックしていると、いくらでも時間は溶けていく。

 名大でも入試実施委員長を担当したことがあるが、複雑系科学専攻はプロトコルが確立していたので、マニュアルの通りこなせばよく、教務には入試専門の職員もいてサポートしてくれた。大変だったとはいえ、今思えばはるかに楽だった。

 現職場はとにかく入試が多い。夏は修士向けに2回、博士向けに1回。さらに、冬に修士と博士がそれぞれ1回。加えて、入試説明会。オールシーズン入試の仕事をしている気がする。どうやって工数を減らしつつ、ミスなく入試を実施するのかの改革が必要だろう。さもなくば、研究する時間を捻出することはできない。この時期には、レポートの採点やPJ発表会、中間発表会などもあり、体調をこわしたらそれでアウトになる。

 何はともあれ、院試業務は無事に終わった。ようやく夏休みだ。休めるという意味ではなく、研究に使える時間が少し増えるという意味だ。

月曜日, 8月 21, 2023

歴的的暑さ

 「今年の暑さは全然違う。」みなが口々に言っているが、データもそう言っている。CO2の増加による地球温暖化は、私が小さいころから聞かされている話だが、いよいよ地球は待ったなしの状態に突入したのだろうか。

 地球温暖化にはどのような弊害があるのか、ChatGPTに聞いてみた。
  1. 気候変動:気温の上昇、極端な天候の増加(豪雨、熱波、乾燥、台風やハリケーンの強化など)が起こります。
  2. 海面上昇:極地や高山の氷の融解、海水の温度上昇による膨張で、海面が上昇します。これにより、沿岸部や低地の都市や集落が水没する危険が増します。
  3. 生態系の変動:動植物の生息範囲や繁殖のタイミングが変わり、一部の種は絶滅の危機にさらされます。また、移動する生物種によっては、新しい地域の生態系に影響を及ぼすことがあります。
  4. 食料と水資源の危機:一部の地域では、農作物の生産量が減少し、飲用水の供給が困難になることが予想されます。
  5. 健康への影響:熱波による健康被害、熱帯地域の感染症(例:マラリア、デング熱)が温帯地域に広がるリスクなどが考えられます。
  6. 経済的影響:農業、水資源、観光業など、気候変動に敏感な産業が大きな影響を受けることが予想されます。
  7. 難民の増加:海面上昇や極端な天候による自然災害、食糧や水の不足などにより、住む場所を失った人々が他の地域や国へ移動することが考えられます。
以上のように、地球温暖化は様々な面での影響を及ぼす可能性があります。これらの問題に取り組むためには、地球温暖化の原因である温室効果ガスの排出削減や持続可能なエネルギーの利用拡大など、国際的な連携が求められます。

 これだけの環境的・経済的影響がグローバルに及ぶ。そして、そのしわ寄せは貧しい国や人に行く。しっかり知識を身に着けて、自分なりになりができるのかを考えてみよう。

日曜日, 8月 20, 2023

リハック

 リハックというYouTubeの番組で、宇野常寛さん、奥井奈南さんとお話ししました。ご笑覧ください。

前編

後編

金曜日, 7月 28, 2023

IC2S2 2023

 計算社会科学の国際会議IC2S2 2023に参加してきた。昨年に続き今回も弾丸ツアーで、7/18の院試業務を終えた後、同日の深夜便でコペンハーゲンに飛び、そのまま学会場へ。それでも、時差が6時間ぐらいなので、体力的には昨年のシカゴよりは楽だった。
 チュートリアルと学会初日を見逃してしまったが、参加した残り2日間は学会を楽しんだ。惜しむらくは、あまりに忙しすぎて、事前に学会の下調べができてなかったこと。選べておけば、もっと学会もコペンハーゲンの街も楽しめたはず。
 この学会は自分にとっての原点。計算社会科学なる学問をやろう、と決意するきっかけとなったのがこの学会。初回が2015年のヘルシンキ。最初の院生と参加して、あまりの面白さに興奮した。それから今回に至るまで、IC2S2は皆勤賞。来年こそは準備万端で、そしてフル参加したい。院試業務があるから、無理だろうけど...orz。



 

月曜日, 7月 10, 2023

取材と講演の依頼は...

 先月の講演、取材、面談のラッシュが過ぎて、やれやれと思っていたが、なかなか打ち止めにはならない。知人・友人からの依頼は、お互い様なので仕方がないが。
 最近も、「ぜひに」というので時間を捻出したら、「私じゃなくてもよかったんじゃない?」と感じるようなイベントもあった。
 講演依頼を引き受けてから、そんなことする必要があるなんて事前に知らされてなかった、という案件もあった。拘束されるのは講演日だけかと思ったら、事前に長時間のリハーサル、事前の資料提出とたびたびの確認、講演後に書き起こしのチェック。最初からそういう条件が提示されているならば、エクストラな時間が必要だと覚悟して、講演の承諾可否を決めるので良いが、後から知らされるのはちょっと違う。
 新聞取材も、科学者として可能な限り協力するようにしているが、記者に使われているような感じがするときがある。知らないことを知っているかのように話すのは嫌いだし、知らないことは知らないと言う。そうすると、あからさまに「あーあ」みたいな空気になったり、意見を誘導されているような気がして、気分が悪くなることがある。
 今年度前半はすでに十分協力したので、後半は極力お断りし、自分のやるべきことに時間を割くようにしたい。
 

月曜日, 6月 12, 2023

体力

 「これ以上は講演を引き受けないぞ」という気持ちではいるのだが、なかなか講演やそれに類する発表が減らない。お世話になっている方からの依頼だったり、公共性が高いものは、どうしても無碍にはできない。

 熊本出張から戻った翌日の土曜は、小平青年会議所で講演をしてきた。参加者は会員十数名と小規模だったが、とても熱心に聞いていただき、鋭い質問もたくさん出た。発表して良かったと思う瞬間ではある。

 昨年も講演数は多かったのたのだが、前半はほとんどがオンラインだった。そのため、現地にいく必要もなく、発表が終わったら仕事に戻れたので、効率的だった。ただ、対面だからこそのコミュニケーションや充実感はなかった。昨年後半から対面の講演イベントが増え始め、そうなると物理的移動を伴うので、これまでのようなわけにはいかなくなってきた。

 少し気になり始めたのが、体力のなさだけでなく、喉の調子だ。講演後に声が枯れていたりすることがある。2月に喉を痛めた状態で、無理やり発表したのよくなかったのか。

 コロナ禍で動いてなかったことが、体力の減退や出不精に影響しているのかもしれない。職場がある港区のスポーツ施設は有料で利用できるようなので、筋トレや水泳を再開するか。

木曜日, 6月 08, 2023

熊本だもん

  人工知能学会に参加するため、熊本に来ている。昨日の昼について、自分がオーガナイザを務めるセッションに参加し、指導している院生2名の発表にも参加した。

 せめて空き時間に熊本城ぐらいは見たかったが、あいにくの雨で外に出られず。午後のセッションが終わってから、城の周りを少し散歩したぐらい。

 学会出張と言えば、もっとワクワクしたものだが、歳をとったせいなのか、仕事を抱えているせいなのか、かつてのように楽しめない。学会発表を聞いていて2, 3時間経つと、山のようにメールとスラックのメッセージが。処理しきれない...。

 それでも、懇親会で新しい交流をしたり、学生たちと飲んだりしたのは、コロナ禍ではできなかったこと。知人や池上研の後輩にも久しぶりに直接会った。それは楽しい。

 さて、明日の午前中にはもう東京に戻る。疲れている場合ではない。片っ端から仕事を片付けないと。



火曜日, 5月 16, 2023

ドドド

  この数ヶ月、取材依頼、講演依頼、執筆依頼、様々な依頼が毎日のようにやってくる。いつかは途切れるだろうと、できる範囲でお受けしているけれど、なかなかそうならない。気軽に引き受けたら、かなり時間を準備に時間を使うことになり、後から自分の迂闊さを恨みたくなる。

 仕事が向こうから来るうちが華だとは思うが、科学者が科学をできないぐらい忙しいのは、違う気がする。土曜が仕事なので、オフィシャルには火曜が休日で、その日は研究に充てることにしている。しかし、火曜も会議を入れないと、回らない。

 そろそろ、控えないといけないな。いや、これ以上は引き受けられない。先約の仕事を完成させるのに時間を使わないと。

 

日曜日, 4月 30, 2023

エジソンの会

  先日、国際高等研のエジソンの会で発表してきた。今回は計算社会科学をテーマにしたいということで、私にお声がかかった。もう1名誰かいないかということだったので、さきがけ同期の江崎さんに声をかけた。江崎さんと会うのは久しぶり。

 「ビッグデータの活用による社会課題の解決に向けて」と題して、私と江崎さんが1時間ずつ発表し、最後に理研の上田先生を交えて質疑応答を行った。会場の参加者から鋭い質問が飛んできて、楽しい議論になった。

 奈良女子大からの参加者もいたり、遠隔でNAISTからの参加もありと、程よい規模でよかった。NAISTからは、池上研のO先輩も参加してくださったようだ。帰り際に、「あんた、磐高出身なんだな」と声をかけてくれた方がいた。何でも磐高関西OB会というのがあるそうで、その方も磐高出身だった。

 会が終わり、タクシー待ちをしていた時、高等研の松本所長がお話になりますというので、少しだけお邪魔させてもらった。松本先生がどのような方を存じ上げず、先生のご研究について質問させていただいた。「研究者なのだから研究で一流なのは当たり前」「研究以外のことも勉強する時間を持ちなさい」そんなことを仰っていていた。帰りの新幹線で松本先生のことを調べたら、何と京大総長や理研の理事長を務められた方だった。鋭い眼差しは只者ではないとは感じたが、まさかこんなに偉い人だとは。

 オンラインの発表会だと、こういう濃密なインタラクションやセレンディピティはない。久しぶりに楽しい研究会だった。

 

土曜日, 4月 22, 2023

書き心地の良いボールペン

 PilotのTimelineというボールペンを愛用している。少しお高いが、上品さ、重厚さ、書きやすさ、そしてずっと触っていたくなる感じが気に入っている。

 これまでバーニングレッド(BTL-5SR-BR)を使っていたのだが、また壊れてしまった。今回で三度目。いつも上部の金具が取れてしまう。また、同じものを買おうと思ったのが、また同じ箇所が壊れる気がしたので、少し上位の機種にした。

 明日到着する。楽しみ。

日曜日, 4月 16, 2023

老眼鏡

 最近、電車の中でスマホが見づらいなと感じるようになった。近くだとぼやけるので、スマホを離さないといけない。遠くを見たり、車を運転するのには問題ない。念のために職場近くの眼科で診てもらったが、先生はあっさり「老眼ですね」と。
 ということで、診断書を書いてもらい、地元のJINSへ。軽量のフレームを選び、レンズは普通のものだったので、30分ぐらいで完成し、1万円ほどのお値段。メガネも安くなったもんだ。中学の時に作った時は、2, 3万はした記憶がある。
 メガネをかけると確かに、書類やスマホ・タブレットは見やすい。しかし、メガネをかけてモニターを見たり、遠くを見るとくらくらする。ひょっとしたら、老眼鏡はまだ不要だったかもしれない。歳をとったな。

木曜日, 4月 06, 2023

新学期

  2023年度が始まった。今年度は課程の「副主任」を担当する。副主任の最大任務は入試業務。とにかく、ミスなく効率的にこなさないといけない。「海外では大学の先生がこんな業務をやらないのに...」とボヤきたくもなるが。

 この1Qから、2名の博士学生(1名は内部進学)と仮配属のM1が5名、研究室に加わる。研究室が賑やかになることは大変嬉しいことだ。一方、計16名の学生を一人で指導することなるので、それだけ責任も重大になる。

 自分が院生の頃「俺の背中を見て育て」的な指導を受けてきたが、今はそういう時代ではないし、そのやり方は効率的でもない(自分にはそのやり方が合っていたが)。マネジメントは必要。

 大量の雑用をこなしつつ、授業して、学生の研究指導をして、研究費の申請書を書いて、自分の研究も共同研究もする。フットワーク軽く、これをらを器用にこなせないと、大学では生き残れない。

土曜日, 3月 25, 2023

大統領経済報告2023

  以下のようなメールが届き、2023 Economic Report of the President(大統領経済報告)に我々の論文が引用されたことを知った。ちゃんと著者に知らせてくれるんですね。

 これは、昨年9月に名大で博士号を取得した私の学生と書いた論文で、コロナ禍でボットがデマの拡散をしていたことを示したもの。この研究には、手間もお金も時間もかかった労作。しかし、ちゃんと論文化してよかった。

W. Xu and K. Sasahara, Characterizing the roles of bots on Twitter during the COVID-19 infodemic, Journal of Computational Social Science 5, pp. 591-609, 2022

 こういう科学論文もちゃんと調べて、行政に利用するアメリカはさすが。日本の行政もこの姿勢を見習う必要があるのでは。












土曜日, 3月 18, 2023

春うらら

  梅の花が散り、桜の花が咲きそうな雰囲気。そして、オンラインではChatGPT祭り。講演、原稿、会議・・・。次から次へとくる仕事をひたすらこなし、気が付くと3月も終盤に差しかかっている。それでも、山場となる仕事はなんとか終えた。

 来年度(と再来年)は副主任なる仕事をやらなくてはいけないので、果たして研究の時間をとることがができるのか。いや、やらなくてはいけない。幸いなことに科研費基盤Aが獲れたので、特任助教/ポスドク/技術支援員は1名雇用できそう。企業との新しい共同研究もできそう。

 自分がやりたいこと、仕事としてやらなくてはいけないこと、すべて書きだして整理してみよう。少し立ち止まって見直してみたら、新しいこと、楽しいことが見えてくるかもしれない。大変だが、大学教員はやりがいのある仕事であり、自分の人生そのものだと。

 

 

 

 

土曜日, 2月 25, 2023

るぽ・コーヒーハウス

 名古屋以外で、久々に喫茶店らしい喫茶店を見つけた(名古屋は喫茶店がたくさんあって楽しかった)。場所的には埼玉ではなくて清瀬市になる。「るぽ・コーヒーハウス」というお店で、ドラマの収録にも使われたことがある喫茶店だ。外観も内装も写真のように、昭和を感じるレトロな感じ。

 子どもたちはクリームソーダ、私は珈琲とコーヒーゼリーを(ケーキが売り切れだったので)、妻はミルクティーとパフェを頼んだ。総額4000円越え!みんなでシェアしないと、財布が大変なことになる!

 ごはんもおいしそうだが、気軽に行くには金額が...。あと、オーダーしてから、食べ物と飲み物が届くのに時間がかかるのが難点。でも、雰囲気は抜群にいい。ごはんはまた今度。








月曜日, 2月 06, 2023

メリハリ

  2022年度の担当授業が(ほぼ)終わり、やっと一息。今年も4つの授業は土曜1, 2限で、すべてZoomによるオンラインだった。4つとは、情報・サービスと経済・社会システムI、デジタルマーケティング、数理情報分析基礎IとII。

 朝早いので大変といえば大変だが、1時間ぐらい前に起きて、朝食を食べて、書斎でコーヒーを飲みながら、スライドの最終確認。100分講義したら、日常に戻れる。それはそれでよかった。

 しかし、2023年度から土曜日の授業はハイブリットになることが決まった。つまり、学生は教室で授業を受けても、オンラインでもOKだけど、先生は教室にいて、そこからZoomにつながないといけない。

 うーん。これが仕事なので仕方がないが、土曜午前中をつぶされると、運動会や遊戯会などの子供たちのイベントに出られない。休校にして対応する手もあるだろうが、急に病気なったり、学会でどうしても休校にしなければならないこともあるので、そう簡単にはいかない。

 土曜が仕事の替わりに火曜を休みにしているのだが、実際に休めたためしはない。結局大学に言って仕事をしていたり、何だかんだで会議が入る。

 来年度からは、完全に火曜は研究のためにブロックしよう。副主任を向こう2年間やることになり(正式な役職ではないので、手当はつかない)、ただでさえ忙しくなる。何としても研究のための時間、授業準備の時間、学生指導の時間、家族との時間、そして自分の時間を死守しなけらばならい。メリハリだな。

 

木曜日, 2月 02, 2023

駆け抜けた1月、どうする2月

 気がつくと怒涛の1月が過ぎていた。ただただ忙しかったが、なんとか乗り切った。2022年の積み残しの依頼原稿は全てクリアした。

 去年の年末から、ちらほらと講演依頼をいただいていた。執筆の目処も立ったし、来年はもう少し時間があるだろうと、大体のものを引き受けた。その結果、ほぼ同時に講演日の日程調整をやることになり、ただただ後悔。

 もちろん大変にありがたいことだが、引き受けすぎると、結局、十分に準備する時間を割くことができなくなり、結果的に相手にとっても失礼になるし、自分も不完全燃焼の講演になってしまう。そんな思いをするぐらいなら、いっそ断ってしまった方がまだ良い。ということで、しばらく講演依頼は遠慮することにする。相手のためにも、自分のためにも。

 散々苦労した去年と駆け抜けた1月の成果が、2/17に出版される。多くの方に読んでほしい。

土曜日, 1月 21, 2023

テレ東大学と東京科学大学

  昨年末、テレ東大学というYouTubeの番組の出演した。撮影日は12/14。撮影場所はお台場で、院生のときに住んでいた国際交流館のすぐ前にある建物だった。

 昔は「船の科学館駅」という名前だったが、「東京国際クルーズターミナル駅」と名前が変わっていた。コロナでずっとターミナルが使われていなかったそうだが、ちょうどその日、船が来ているようだった。

 ひろゆきとか成田さんとかが出演したものは数10万再生、100万再生なので、それと並ぶと、数万再生の私の動画は「(再生数が)伸びなかったね」とバッサリされるだろう。私はユーチューバーではないので、一向にかまわないが。

 幸いなことに、見てくれた人からは比較的好意的なコメントをもらった。大学時代のサークルの先輩から、「笹原君、見たよ」とメールをもらったりもした。 御笑覧ください。

 そうこうしているうちに、私の所属する大学は、東京工業大学から東京科学大学になるらしい。東京医科歯科大学と合体して、医学、工学、理学が融合するので、まとめて科学にしたのだろう。英語名は、Institute of Science Tokyo。なんかしっくりこない。

月曜日, 1月 09, 2023

Monbellと珈琲

  最初にディープフェイクの新書の執筆依頼をいただいたのは、2021年1月。CRESTが12月に採択され、ちょうど関心が出てきていたので、執筆を引き受けた。しかし、ポルノやプロパガンダ以外のディープフェイクの話題が見つからず、本としてまとめるには、どうしたものかと、頭をなやませていた。 

 インプットはするものの、なかなかストーリーも構成も決まらず、本をすらすら書ける状態には程遠い状態が続いた。そんな流れが変わったのが、2022年8月以降の画像生成AIの一大ブームだ。これで一気に流れをつかんだ。

 とはいえ、大学で授業をもちつつ、雑用もこなしつつ、プロジェクトの研究も進めつつ、別の講演・執筆の依頼もこなしつつなので、精神的にはかなりきつかった。「執筆しなければ」というプレッシャーを抱えて、旅行や帰省もしなければならなかった。

 編集担当者にはご迷惑をおかけしたが、12/31(正確には1/1早朝)についに脱稿した。いったん書けるフロー状態になると、自分の体が別の生き物のように動き出し、一気に進む。執筆は42.195キロのフルマラソンみたいなものかもしれない。いくつか寄稿依頼が残っているものの、先の苦労を思えば、何ということはない。(ただし、しばらくは、執筆依頼は遠慮する)

 この連休、自分へのご褒美も兼ねて、Mon-bellのダウンと珈琲豆を買った。なかなかいいお値段するが、そのぐらいの贅沢は許されるだろう。この連休が実質的な冬休みになった。


火曜日, 1月 03, 2023

小吉モードで

  1/1早朝まで執筆をして脱稿してからは、正月休みモードでだらだらしている。いや、それが普通のことなんだけど。

 休みになると、子どもたちと過ごす時間も増えるので、「こんなこと言えるようになったんだ」とか「こんなことできるようになったんだ」と感心する瞬間が多々ある。

 子どもたちと遊んだり、ただぼーとするのも悪くない。ぽたぽたとコップに水が溜まっていくかのごとく、やる気が少しづつ溜まっていく。あれしたい、これしたい、と。

 今年のおみくじは小吉だった。これまでは「大吉でなければ」などとどいう変なプレッシャーでがんばっていたのかもしれない。しかし、小吉結構、ばんばんざい。肩の力を抜いて、前に進む。いちいち人の評価など気にしない。小吉モードで。

 

日曜日, 1月 01, 2023

あけおめ 2023

  明けましておめでとうございます。コロナになってからの3回目の新年です。今年こそ、自分の手を動かして研究をしたい。そんな思いを強くした新年です。

 盆も正月もなく、ずっと執筆に追われていましたが、たった今、脱稿しました。まだ編集やチェックの作業は続きますが、白紙と睨めっこして、一文字も出てこない恐怖とはおさらばです。

 こんな時間まで作業していたので、本当に良い内容の新書になったのかは、改めて読んでみないとわかりませんが、ひねり出した言葉で、わかりやすいストーリーを紡いだと思います。時間がたつと、あれが足りない、これが足りないという焦りがこみ上げてきそうな気もしますが。とにかく、やれることはやった。

 元旦の今日ぐらいはゆっくりしたいが、締切を超過している原稿が...。しばらく執筆の仕事は遠慮したい。