火曜日, 12月 30, 2008

論文が出版されました

 この手の理論としては異例の早さで、僕らの論文「Ethological Data Mining: an automata-based approach to extract behavioral units and rules」が出版されました[link]。最初に論文を提出したのが7月20日で、9月18日に一発で受理。その後手直しをして、正式受理が11月11日(奇しくも結婚記念日)で、12月27日にOnline Firstに出た。約5ヶ月。編集責任者はカリフォルニア大学(リバーサイド)の先生だった[link]。ホームページを見ると、この人なかなか面白そう。アメリカに行ったら会ってみたいな。
 この論文では、決定論的有限オートマトンを使って、行動系列データから単位と規則を抽出する手法を提案した(EUREKAを使えば、誰でもこの論文の内容を体感できます)。背景知識、動作原理、具体的な解析例を、出来る限り丁寧にストーリーを意識して書いた。査読者の1人はこんな賛辞をくれた。
I think this is a significant ground-breaking paper, and is important for bringing some new theoretical advances in computational linguistics to the wider audience it deserves. The data mining community should find this an interesting, useful and important technique.
 これだから研究は辞められない。自分の理想と限界、生き物と機械、アカデミックとは無関係なしかし僕を悩ませる諸事情、いろんなものの間に立ち、踏ん張って書いた論文なので、この言葉がどれだけうれしいことか(そもそも、他の研究をここまで気持ちよく褒める研究者がいるんだ。あまのじゃくはよく見かけるけど)。教科書から逸脱することを厭わない好奇心旺盛な研究者に、ぜひこの論文を読んでもらいたい。

月曜日, 12月 29, 2008

マーフィーの法則

If it can happen, it will happen.
(起こる可能性のあることは、いつか必ず起こる)
 マーフィーの法則とはこういうこと。そして、起こる可能性のあることが起きた。まもなく今年も終わるというのこの時期に、ラボのコンピュータが2台立て続けに壊れた。よくフリーズしたり動作が緩慢だったりしていたのが、突然うんともすんとも言わなくなった。どちらもHD(ハードディスク)が逝ってしまったようだ。HDは消耗品と心得て、日頃からバックアップを取っておかないと本当に怖い(僕は人生で二度、ハードディスクのクラッシュに泣かされている)。大事なデータはバックアップがとれたので、最悪の事態は免れた。結局朝までかかった。ふう。コンピュータの管理者って大変。

金曜日, 12月 26, 2008

Remember the milk

 ツリーの出番が終わり、門松がスタンバっている今日この頃。まもなく2008年が終わろうとしています。あれもしなきゃこれもしなきゃと焦る一方で、時間はサラサラと何の抵抗もなく過ぎて行きます。部屋とPCの大掃除が済んだら、ここらで頭の大掃除をしてみる必要がありそうです。
  • 何がしたいのか・したくないのか
  • 何ができるのか・できないのか
  • 何をしなければならないのか・しなくてもよいのか
 ラップトップを閉じ、白紙を前に自分の正直な声に耳を傾け、目標から逆算して計画を建てます。特にこの先の三ヶ月とアメリカに行ってからの一年。ぜひとも有意義な時間にしたい。それから心の大掃除も必要だ。
  • 多忙で注意散漫になっていないか
  • 尊大で嫌な奴になっていないか
  • 謙虚さと感謝を忘れていないか
 幼稚園で学んだことを心掛けよう(cf. 新・人生に必要な知恵はすべて幼稚園の砂場で学んだ)。そんなに難しいことではないはず。
 頭や心を整理したら、あとは具体的な目標とそれに至る手順をTODOにまとめる。TODOの管理はRemember the milkがシンプルで良いです。ネーミングのセンスも良い。一事が万事。「牛乳を買い忘れない」人は、1つ1つの物事を疎かにしない人。

水曜日, 12月 24, 2008

メリークリスマス

 アルタの近くにある喫茶店「に行って来た[Link]。新宿の中では一番好きな喫茶店。コーヒーをポットで出すので、値段は少々高めだ。ブルーマウンテンは1日に8杯限定というこだわりよう。今日は終了していたので、ブラジルとココアのシフォンケーキを注文した。すっきりとしたブラジルの味わいと、しっとりしたシフォンがマッチした。
 焙煎の香のする店内はレトロな雰囲気で、カウンターと大きなテーブル席がある。トイレのドアが本棚で、まるで隠し部屋みたいになっているのが面白い。それから電脳会計という名前で古いMacがレジで活躍している(おつりは電卓で勘定するんだけど:-)。コーヒー通にはお勧めのお店。
 足早に交差点を渡る人たちの顔はみんな幸せそうでした。新前・ベテランのカップル、夫婦や家族連れ、お父さんサンタ、サンタライダーズ、ワケアリの...。今晩は42型の靴下をぶら下げて寝ます(サンタさん液晶テレビをお願いします)。


土曜日, 12月 20, 2008

この木何の木、気になる木

 昨日の忘年会で、ラボのみなさんから結婚のお祝いを頂きました。手前に写っているのは頂いた色紙。とても感動しました。皆さんからのお祝いのメッセージ。そして、開くと中心に生命力溢れる木がにょっきりと姿を現します。何と手作りだそうです(U様、ありがとうございました)。この木をからさぬよう、大切にしたいと思います。

ここで、豆うんちく。小学校の先生が言っていた人生に大切な4つの木:
1. 元気
2. やる気
3. 本気
4. 猪木、じゃなかった、根気
 後ろに写っているのは頂いた電気ケトル(と通りすがりのアシモ)。僕はコーヒー好きなので、早速使わせていただきます。ラボのみなさん、本当にありがとうございました。

木曜日, 12月 18, 2008

凹む

ついてない。盗んだバイクが盗まれるぐらいついてない。
 1限の講義直前、準備でばたばたしていたらMacbook Airを床に落とした。ごちん。ケースに入っていたので幸い壊れはしなかったが、開閉部の真ん中あたりが凹んだ。
 教室に入ると学生が数名しかおらず、閑古鳥が鳴いている。しばらくして遅刻組が合流したが、こんな足並みの揃っていない状態では予定通りに講義が進まない。あー。「がんばって準備したのに!」とか「何故、学生たちやる気がないのだろう?」とか、複雑な感情が混じり合い、僕が凹んだ。
 2008年の講義は今日でひとまず終了。僕と学生との温度差を強く感じる年だった。どうしたら現在のような状況を変えることが出来るのか?「最近の学生は...」と言いたくなる気持ちもあるが、一方で、やっぱり学生と向き合っていたいとも思う。諦めや忌避は何も生み出さない。目の前の失敗から学ぼう。

金曜日, 12月 12, 2008

プロ野球戦力外通告クビを宣告された男達

 深夜テレビをつけると番宣が流れていた。この番組を何度か見たことがある[Link]。球団から戦力外通告を受け、トライアウトに望むプロ野球選手とその家族に密着するドキュメント。別の球団から声がかかり野球を継続できる者もいれば、諦めざるを得ない者もいる。
 よくよく考えてみると、ポスドクもプロ野球選手に似ている。僕の場合、バットをPCに持ち替え、過去の実績を引っさげて、研究機関のトライアウトを受ける。受かれば数年のチャンスが与えられる。当然、実績が全て。実績とは論文の数だったり、インパクトファクター(悪習!)だったり。実績があがらなければ赤紙である。野球にしろ学問にしろプロと呼ばれる人たちは、そういうぎりぎりの緊張感の中でがんばっている。だからこそ、ファイン・プレー(良い論文)が生まれたときの快感は何物にも代え難い。
 今週、論文のドラフトを書き上げた。うまく書けただろうかと心配だったが、共著者のJJが「Good work!」と言ってくれたのでホッとした。産みの苦しみが報われた瞬間。あと3つ論文を抱えていて、次の論文は自分の真価が問われる一本になる。がんばって書きます。そうでないと、壮絶人生ドキュメントプロ野球選手の妻たち[Link]の研究者版にうちの奥さんが出ることになってしまう!?論文、ええ、書きますとも。

水曜日, 12月 10, 2008

おいしいコーヒーの真実

 コーヒーが1杯330円だとして、そのうち農家が手にするお金がどのくらいかご存知だろうか?
わずか3~9円
 330円の内訳は次のようになる(数字はDVDのパンフレットに基づいているが、日本経済評論社2004年の概算(コーヒーと南北問題―「キリマンジャロ」のフードシステム)によると、コーヒー農家の取り分はさらに少なく1.7円(全体のわずか0.4%))。
  • 298円 カフェ/小売業者、焙煎業者、輸入業者(90%)
  • 23円 輸出業者、地元の貿易会社(7%)
  • 3~9円 コーヒー農家(3%)
 コーヒー発祥の地エチオピアでは、朝から晩まで8時間、身を粉にしてコーヒー豆の選別作業に従事しても、もらえる賃金は0.5ドルにも満たない。そして、ネスレなどの多国籍企業が市場を牛耳り、手塩にかけて生産したコーヒー豆も言い値で取引される。グローバリゼーション、搾取、貧困。これが、世界で1日に20億杯以上も消費される身近なコーヒーの知られざる真実だ。これはコーヒーだけの問題ではない。深く考えさせられる作品だ。


Link:

火曜日, 12月 09, 2008

アフロサムライ

アフロヘアーの侍が最強の座を求めて旅する物語 [Link]。それ以上の内容はない。しかし、映像と音楽、リズム、その世界観は、超格好いい!という言葉以外見つからない。作品のクオリティーはかなり高い。アクションものはあまり見ないのだけど、アフロサムライは楽しめた(国際線の中で観たカンフー・パンダは飽きてしまって駄目だった)。
 原作は岡崎能士の自費出版による漫画だそうで(僕は残念ながら知らない)、監督は幽★遊★白書攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEXで作画監督を勤めた木崎文智。制作会社はデジタルアニメで注目されているGONZO。お勧めのDVDですが、暴力シーンがリアルなので、小さなお子様の前では観ない方が良いでしょう。

水曜日, 12月 03, 2008

脳がほぐれる言語学

 展開の速い(悪く言えば落ち着きのない)楽しいエッセイだ。言語において、記号と内容の結びつきは緩や相対的に決まることを理解し、時にはそれをずらして脱構築する(一旦ご破算にして一から新しく作り直す)ことが、常識の袋小路から抜け出だすための鍵だとく。例えば、「ただの甘栗」も「むいた甘栗」も商品としてはどちらも「甘栗」だ。しかし、後者を「甘栗むいちゃいました」とすることで大ヒットが生まれた。では、前者を若者にも売るためにはどうしたら良いか?僕の意見はこう。「甘栗むいちゃうぞ」として、かわいい栗剥き付きで売る。甘栗の脱構築の出来上がり。
 著者は大変な読書家で(広く薄くという感じも否めないが)、この本には言い得て妙な表現が詰まっている。思考のツールとしての言語を疑ってみる上で有用なヒントがある本だと思う。


 言語による思考は一次元的な制約を受けがちなので、僕はアイディアを練る時にはマインドマップを良く利用している。マインドマップとは、簡単に言うと、考えを木構造(中心から外延方向へ放射状に)にマップして可視化する方法(構造とはすなわち関係性のこと)。最近の脳ブームと相まって、教育やビジネスでも広く取り入れられている。今日の講義でも取り上げた [Link]。僕が思うところの桃太郎を描いてみたらこうなった。どうだろう。


月曜日, 12月 01, 2008

ブラジルヌーボー

 今日から師走です。うかうかしてると、ゆく年くる年の時間になってしまいそうです。2008年に別れを告げる前に、もうひと頑張りしましょう。
 最近、ドトールでお昼を食べることが多かったのですが、お店で見かけて気になった「ブラジルヌーボー」を購入しました [Link]。ブラジル移民船が日本を出航してから100年たったことを記念して企画されたそうです。ブラジルというとサントスが有名で、苦みが少なくすっきりとした味わいです。ブラックで飲むのが苦手な女性でも、大丈夫だと思います。日系農園からとれたサントスの初摘豆だから、ブラジルヌーボーなのでしょう。肝心のお味はというと、ほんのりと甘さを感じるさわやかな味でした。ラボ用に買ったのに2杯も飲んでしまいました。11月1日発売の限定品らしいので、もし興味があればお早めにお試しあれ。
  • 香り:☆☆☆
  • 酸味:☆
  • 甘み:☆
  • 苦み:☆

日曜日, 11月 30, 2008

模倣とオリジナル

 怠惰な自分に火をつけるときのカンフル剤はいつもB'z(2007年、ハリウッド・ロックウォークの殿堂入りを果たした[Link])。稲葉の突き抜けるような高音と松本のメロディアスなリフが絶妙に絡んだ時、アドレナ汁は止まらなくなる。先日眠れなくて、YouTubeでB'zのミュージックビデオを見ていたら、ギターのコピーを100本以上載せている人がいた。これがまた相当うまい!おそらくバンドをやっているのだろうし、ひょっとしたらギターの先生なのかもしれないが、指の運びがとても美しい。これだけの質と量をすべて耳コピーしたのならば脱帽ものだ。かつて(なーんちゃって)ギター小僧だった僕は、彼のギタープレーにすっかり見せられた。
 しかしなぜだろう、彼のプレーが完璧であればあるほど物足りなさを感じてしまう。何かが足りない。松本のギターにはあって、彼のギターにはないもの?それはある種の“遊び”だ。形式は(がんばれば)模倣できる。しかし、形式を生み出した精神までは模倣できない。オリジナルのゆるぎない精神が遊びを生む。模倣すら出来ない僕が言う資格はないのだが。
 写真は、高校2年生の夏休み全てを注ぎ込みバイトして手に入れたヤマハのストラト(B'z初期の作品で使われていた)。青のあおさに惚れて買った。Pythonとストラトを表現手段に出来る研究者になりたい。

水曜日, 11月 26, 2008

秋の素描

最近GRで撮ったお気に入りの写真を載せます。

「Always 唐木田の夕雲
 大妻女子大での講義を終えて、駅へと向かう道すがらに撮ったもの。ススキの向こうに見える飛行機雲がきれいです。紅葉の季節なので写真をばんばん撮りたいところなのですが、大学の周辺でカメラを構えていると不審者に思われるので、なかなかそうはいきません。パシャ、パシャしてると、「カシャ」(えっ)。「詳しい話は署で聞く」(あ"ー)。なんて、こともあり得るので注意。

サイケデリックな秋
 撮影場所は池袋。街灯と木々の紅葉が、不思議な緑の風合いを作り出しています。何の加工も施していません。偶然が生んだサイケな秋の質感。

クールなにゃんこ
 最近 Natureクールな歌という論文が載りました(鳥の脳を冷やすと、歌のリズムが遅くなるという実験 [Link])。こちらもクールさでは負けていません。4℃ですから。そんなことを知ってか知らずか、まーこは袋に入ってご満悦。ちなみに、水の密度が最大になる温度が4℃でしたね。

七つ森
 気になる喫茶店があると、妻に連れられて来たのが高円寺にあるこのお店 [地図]。店内は昭和の雰囲気がするレトロで素敵な喫茶店。炭焼焼珈琲はおいしいし、目の前で作っていたハンバーグもおいしそうだった。中央線沿線には結構良さげな喫茶店が多い。阿佐ヶ谷にはヴィオロンというかなり通向け喫茶店がある。おっと、写真。いいでしょ、この懐かしい感じ。

土曜日, 11月 22, 2008

いい夫婦の日

 11月22日はいい夫婦の日なのだそうです。こういう記念日があると、夫婦になろうと決意した日のことを思い出し、二人でいることの大切さを考え直すきっかけになって良いと思います。
 昨日、結婚指輪が出来上がり、今日から指輪をはめることになりました。オシャレでも指輪的なアクセサリーをつけたことはないので、何となくまだ違和感があります(肉球についた小物を気にするにゃんこのように)。物理的にはわずか十数グラムですが、実際にはずっしりと重さを感じます。良く言われるように、楽しみも喜びも2倍(お小遣いは1/2?)になるように、共に歩んで行きたいと思います。えっ、アシモの手の向きが若干おかしい?いえいえ、気のせいです。

新種のアザラシ!?

 アザラシ(海豹)は、アシカ亜目アザラシ科に属する海棲哺乳類の総称である。日本近海には、ゴマフアザラシワモンアザラシゼニガタアザラシクラカケアザラシアゴヒゲアザラシの5種が生息する。この度、新種のアザラシが杉並区高円寺で発見され、その驚くべき生態が明らかになった。
その名は、トラヒゲアザラシ
  • 形態:もこもこ&ぷよぷよ、猫耳と肉球がある
  • 繁殖:手術済み
  • 食物:カリカリが好きです。でも缶々の方がもっと好きです。
  • 習性:袋を見てそわそわ、気になって入ってみる。確認、異常なーし。
       その5分後、袋を見てそわそわ、気になって入ってみる。確認、異常なーし。...
新種発見と思ったら、その後、猫(とらおさん)であることが判明しました。

木曜日, 11月 20, 2008

The Audacity of Hope

 バラク・オバマ著。邦題は「合衆国再生」。アメリカ合衆国の歴史に残る大統領が誕生したのかもしれない。建国以来のアメリカ民主主義への信念と変革への強い意思、溢れるほどの教養とバランス間隔、そして行動力、本書をちょっと読むだけでもこれらが伝わって来る。



 そして、この人の文章能力の高さはずば抜けている(ブッシュ大統領と比べるとなおさら)。込み入った事情や微妙なニュアンスを説明するときも、変幻自在に言葉を操り(しかし、慎重に言葉を選び)、構成された文章は水を飲むみたいにすっと入って来る。科学者にありがちな論理のゴリ押しではなく、意気に感じるという類いのものだ。これは小手先でまねできることではない。本書はアメリカの政治史を知る上でも重要だが、物事の伝え方を学ぶ上でもとても参考になる。
 オバマ氏の勝利演説を観て、誰もが(よほどの天の邪鬼以外は)目頭を熱くしたと思う。改めて観てみても心打たれる(字幕付き勝利演説の映像をリンクします。上向きの三角ボタンで字幕のOn/Offが換えられます)。この本とはがらりと変わって、わかりやすい言葉とストーリーで観衆を感動させる熱をもっている。 Yes we can. 強い言葉で導いてくれるリーダーが日本にも現れてほしい。



金曜日, 11月 14, 2008

なんだか今日行けそうな気がする〜

 ここ1ヶ月ぐらい、JJとやっている研究をまとめる論文を書いている。最初の2週間はほとんど筆が進まず、産みの苦しみを味わっていた。真っ白な画面に向かい何かを生み出そうともがいてみても、ただ時間だけが過ぎる。そんな日々が続き、焦りと失望で壊れそうになる。しかし、それでも逃げずにがんばっていると、ある日突然、論文の神様は降りて来る。今回のきっかけは、懸案事項を全部ノートにぶちまけたことだった。
  • 先行研究で示されたこと/示されていないことは何か?
  • 論文のメインとなる主張は何か?
  • どこがオリジナルか?
  • データから言えること/言えないことは何か?
  • 以上をまとめるために、自分に不足している知識は何か?
 その後、頭がスッキリとし、書くことに集中できるようになった。脳は何かをしまい込むためにではなく、生み出すために使いたい。そのために、いらぬ不安は全てノートに書き出す。「あると思います。」

火曜日, 11月 11, 2008

入籍しました

 本日11月11日(大安、ぞろ目、Binary day)、練馬区役所に婚姻届を提出して、晴れて入籍しましたことをご報告します。未熟な二人ですが、力を合わせてがんばって行こうと思います。これからもどうぞよろしくお願いします。


追伸:多くの方々から祝福の言葉を頂きました。この場を借りてお礼申し上げます。どうもありがとうございました。11月11日は世界平和記念日、B平君の誕生日11月10日(いいトイレの日)の次の日でもありました。それから、ポッキー&プリッツの日だそうです。絶対忘れない記念日になりました。

水曜日, 11月 05, 2008

調整と塩梅

 今日の授業はとても良くなかった。学生が理解できないかもしれないと思い、プログラムを大きく変更したのが諸悪の根源で、プログラムと資料を直すのに朝の4時過ぎまでかかった(Link)。
。結局1時間ぐらいしか寝れず、へとへとで授業に望むことになった。寝不足だと元気も出ないし、レキシカルアクセスも滑舌も悪い。ついでに機嫌も悪い。そんな中、遅延証明を2枚も携えてケロリと遅刻して来る学生を見て、脱力し、遣る方無し。遅延証明はクーポン券ではありません。1限目は、おかしなテンションを調整することができず、授業終了のゴングが鳴った。
 プロのピッチャーは、調子が悪いときには悪い時なりの我慢の投球ができるという。それに比べて、僕はまだまだアマチュアだ。予測したシナリオからずれた時、空気を敏感に感じて調整できるようでないとプロとは呼べない。学生とのongingなやりとりの中で、授業の塩梅を調整できるようになりたい。

日曜日, 11月 02, 2008

エイゴの時間

 セミナーの討論や学会発表を英語でやるたびに、自分の英語力があまり上達していないなあと感じる。「あの人の言っていることに反対なんだけど、英語で説得できるかなあ」とか、「途中で英単語が出てこなかったらどうしよう」などと考えると、つい手を挙げそびれてしまう。でも、相手を納得させられない理由が英語なのだとしたら情けない。ネイティブを前にしてもゆらがない基礎を身につけようということで、(最近さぼっていたが)僕が実践している英語の勉強法を紹介したい。
 まず、中学の英語のK先生の宿題だった365日ノート。1日1ページ、英語をノートに書くというもの。プロ野球選手で言えば、毎日の素振りに相当する。毎日休まず英語に触れることが大事。次に、英作文の問題集(例えば下)を利用して、英語で思考する訓練をすること。ここでわからない構文に出会ったら、初めて英文法書にあたる。先に英文法書を見るのではない。もう1つは、NHKの語学番組iKnowを利用して正しい発音を学ぶ。iKnowは練習した英文をiPodで聞くことができるのでとても便利。いろんな英語勉強法があると思うけど、教材を受け身でやるのではなく、目的を持って続けるのが大事。何度挫折しても継続は力なり(と自分に言い聞かせたい)。

月曜日, 10月 27, 2008

24は8+8+8

 24=8+8+8である。8時間がっちり働いて、8時間たっぷり寝ても、まだ8時間ある。三食しっかり食べ、コーヒーを楽しみ、大中小の各種用を足しても、まだ優に5時間はある。しかし、普段そんなに時間が余っていると感じることはない。むしろ時間は足りなくて、いつも何かにせかされている感じがする。僕の5時間は一体どこに消えてしまうのか?
 改めて考えてみると、僕の場合、だらだらとネットをしている時間がとても多いことに気づいた。無目的・無計画でネットサーフィンをしてもあまり得るものがないし、メールチェックも1日2回ぐらいすれば十分だろう(企業ではメールが仕事の効率を下げるという問題も生じている)。それから、だらだら見るテレビ。帰宅すると、とりあえずニュースとスポーツをチェックするのだが、そのままテレビをつけて深夜番組をついつい見てしまう。別に深夜番組が悪いと言っている訳ではなくて、見たいものだけ録画して時間のある時に見る方が効率的だ。コントロールの効かないだらだらな5時間はやめて、計画されたコントロールできる5時間にするようにしよう。そうすれば、趣味や運動にもたっぷり時間を使うことができる。自分のための5時間、ご利用は計画的に。

金曜日, 10月 24, 2008

BUILT NY

 アップル製品のコンセプトやデザインの美しさ、直感的なインターフェイス、使っているときの気持ち良さ、いずれも群を抜いてすばらしい。他社が模倣すればするほど、むしろMacのオリジナリティーは際立つ。先日、アップルは新しいのMac Bookを発表した[Link]。新しいMac BookのタッチパッドはiPoneのようなジェッチャーを使った操作ができ、それ自体がボタンになっている。何と言う発想の転換だろうか。もはやマウスは必要なく、過去の遺物となるのかもしれない。



 そんな美しいMacを入れるのにぴったりな、僕のお気に入りのLaptopケースを紹介したい。先月NYに行った際にMOMAのデザインショップで見かけて、一目惚れして購入したBUILT NY のLaptopケースだ[Link]。僕が使っているのは、紺色で形は一緒、表に機能的なポケットが3つある。それぞれにアダプタ、ケーブル類、USBメモリを収納できる。デザイン性も機能性も兼ね備えた優れもの。iPod用のポーチやその他のバック類も格好が良い。

月曜日, 10月 20, 2008

政治の変えるの猫

我が輩?
名前は無い
歳?
わからない
まぁ
今年で2,3年目
みたいな
なんか
飼い主
いるみたいな
ってか
居ないわけ
無いし
ワラ
 今年の日本ケータイ小説大賞に選ばれた「あたし彼女」を遅ればせながら読んだ(Link)。おじさんたちが読んだら、「最近の若者の日本語は乱れている」と深くため息をつくだろう。しかし、僕は面白いと思った。それは内容にではなく、ことば遊びのダイナミズムを感じることができるからだ。
 ことばは使用者の意図とは無関係に勝手に動き出してしまうことがあるような気がする。ことばの自律性とでも呼べるようなものだ。それに人は踊らされて、上のような即興模倣まで出現する(上記は2chより引用)。チョムスキアンならば、文法にその理由を持って行くのだろう。よく知られている例はこれ。
Colorless green ideas sleep furiously.(色のない緑の概念たちが猛烈に眠る)
 意味などなくても文法的に正しい文はいくらでも作れるという文法の自律性の例。でも、あたし彼女に見られるようなことばの自律性は、これとは違うところから来ていると思う。でも、どこから?ことばって難しい。写真は大学の帰りによく会う猫。政治変える猫。文法的に間違っているけど事実として正しい表現。またひとつおじさんのため息が聞こえそう。

木曜日, 10月 16, 2008

芸術の秋!?

GRのマニュアルで初めて撮った写真を載せます。


 タイトルは「夕刻」。水色とピンクの中間的な色がとてもきれいです。よく見ると一番星が写っています。空との輪郭を作る木がちょっとブレていますね。写真の腕はまだまだです。
 それから、GIMPの練習のための習作を載せます。やはり絵心は母親のお腹の中に忘れてきたらしいです。

火曜日, 10月 14, 2008

写真はじめました

 デジカメを買い替えようとカメラコーナーをうろちょろしていた。SonyのCyber-shotとRICHOのGR Digital IIで迷っていた。Cyber-shotはモダンなデザイン、カールツァイスのレンズ、手ぶれ補正に光学4倍ズームと、Sonyらしい魅力的なカメラだ。一方GRは、レトロな感じと程よいフィット観、フィルムカメラ的で、プロがサブとして用いる名器だという噂は聞いていた。今年のグッドデザイン賞にもノミネートされている[Link]。
 何の知識もなかったので、うっかりと店員さんに「GRは光学ズームがないんですか?」などと聞いてしまった。すると店員さんはムッとして、
「ええ。このカメラは広角単焦点レンズを採用しておりますので光学ズームはございません。足で稼ぐんです。」
と言った。しまった。Cyber-shotとは全然別ジャンルのカメラだったのだ。そして、こう続けた。
「したがいまして、お客様の腕がそのまま写真に表現されます。」
がーん。そうなのです。誰がシャッターをきっても同じ写真が撮れるカメラとは違うのです。その瞬間、僕はGRを買うことに決めました。
 毎日GRを持ち歩き、素敵なシーンに出会ったら、すかさずシャッターをきりたいと思います。気に入った写真はBlogで公開します。



参考:


金曜日, 10月 10, 2008

美しき生命

 ミクロの理解が進めば進むほど、物質の理解が進めば進むほど、いよいよわからなくなるのは「生命とは何か」ということ。誰もが素朴に生命=物質+αと思うだろう。では+αはどこから来るのか?
 クォーク
よりも根源的な何か(おそらく超ひも)は、いつか天才が現れて、かくかくしかじかだと正体を暴いてくれるだろう。でも「生命とは何か」に僕らはいつか答えることができるだろうか?誰もが心から納得するただ1つの分かり方なんて、本当はないのかもしれない。1つの難しさは「私」にある。「生命は美しい」という言い方をするとき、それは自然と「私」という視点を含んでいる。つまり(我思う故に)生命は美しい、なのだ。私がなければ生命の美しさもまたない。つまり、物理的な事実のみに生命の生命らしさを帰することができない。
 ただ生命が分からずとも、自分の抱く生命観を「形」にして、多くの人と分かち合うことはできる。その意味において、アートの方が科学よりも生命の理解に近いのかもしれない。ColdplayのViva La Vida(美しき生命)は、最近僕が感じるところの生命観の1つの表現。いい!


木曜日, 10月 09, 2008

加速器のある風景

 ノーベル物理学賞受賞の興奮が覚めやらず、昨日の授業では「少し脱線します」と前置きをして、自発的対称性の破れCP対称性の破れについて学生たちに説明をした。そして、いかに今回のノーベル賞がすごいのかを力説した。しかし、残念ながら学生たちの反応はあまりなかった。常人の想像力の及ばない話なので無理からぬことかもしれないが、もうちょっとドキドキして欲しかった。
 先月、理研仁科加速器センターを見学する機会に恵まれて、研究員の方に施設を案内していただいた。ここでは宇宙の進化の鍵を握る元素の起源について研究をしている。写真は世界的にも珍しい超伝導リングサイクロトロン (SRC)。この日はメンテナンスのため、中を見ることができた。これでウランイオンを光速の70%まで加速する。理研が世界に誇れる結果は、新元素113番を発見したこと。初めて教科書の元素周期表に日本が命名した元素が加わるかもしれない。毎年春に理研は一般公開をしているので、そのときに見学できると思います。

水曜日, 10月 08, 2008

祝・ノーベル物理学賞受賞!

 南部陽一郎先生(シカゴ大学名誉教授)、益川敏英先生(京大名誉教授)、小林誠先生(高エネルギー加速器研究機構名誉教授)がノーベル物理学賞を受賞された。今年のノーベル賞はCERNの加速器LHCが動き出したこともあってか、素粒子物理学からの受賞となった。修士までは僕も素粒子物理を勉強し、加速器実験に携わっていただけに御三方の受賞はとてもうれしい。
 湯川秀樹(中間子理論)、朝永振一郎(量子電磁力学の理論)、両先生の伝統を引き継ぐ日本の素粒子物理。2002年には小柴昌俊先生がニュートリノの観測でノーベル賞をとっている。益川先生と小林先生は、CP対称性の破れに関する理論研究で、南部先生は自発的対称性の破れに関する理論研究での受賞となった。いずれも素粒子の標準模型が成立するために必要不可欠な理論。いわば”破れ”の物理学、と言える。標準模型は、最後のミッシングピースであるヒッグス粒子(物質が質量を獲得するためには必要不可欠な粒子が発見されれば理論が完結する(現在、LHCで検証実験が行われている)。素粒子物理は日本が世界に誇る学問分野。高エネルギー加速器機構スーパーカミオカンデで行われている実験がさらなる発見をもたらし、物質の起源や宇宙の起源の解明につながることを期待したい。
 最後に、素粒子物理の基本を知りたい人には、南部先生の「クォーク」というブルーバックスをお勧めする。10年前の本であるにもかかわらず、内容はちっとも古くなっていない。それから、僕の修士論文があったのでリンクします。
8-GeV電子ビームによるタングステン単結晶からの陽電子生成の研究

月曜日, 10月 06, 2008

アートのための数学

 数学はきらいじゃないけど、記号がビッチリと詰まった絵のない本を見ると怖じ気づいてしまう。物理畑出身の僕としては、具体的な現象を記述する術としての数学はがんばれるけど、現象の向こう側に鎮座する数学は神様のように遠い。しかし脳科学ブームのおかげか、分かりやすくてちゃんとしている数学の本がここ数年結構出版されている。数学にリベンジしたい人にはぴったりだ。
 今日紹介する「アートのための数学」は、情報系の学生たちにぜひ読んでほしい本。これは芸術学部での講義がもとになっているそうだ。目次は次の通り。
  1. 明るさを知るための数学
  2. カメラを知るための数学
  3. 光と音を知るための数学
  4. 美しい音の仕組みを知るための数学
  5. 赤緑青の3色を混ぜるとどうして白になるのか?
  6. 音階の決定法と倍々ゲーム
  7. 臨機応変な人間の感覚と対数
  8. 0と1で全ての数字を表す–デジタルな画像と色と音
  9. ペジエ曲線を使いこなす
  10. 写真加工とトーンカーブ
  11. 3次元の数学
  12. グラプとプログラミングでアニメーション
  13. 運動法則とアニメーション
  14. シンメトリーの世界
  15. 黄金比と白銀比
 普段はカメラや絵筆を持っている学生たちが、数学に四苦八苦している様子が想像できる。しかしアートという切り口でまとめられているで、数学も記述の道具と思えばぐっと敷居は低いだろう。何の脈絡もなくサイン、コサイン、タンジェントとやるよりも、ドレミと一緒に三角関数を習った方が飲み込みやすいはず。デシベルと対数の関係など、あやふやだった知識も整理された。天才はともかくとして、僕のような凡人にはMathematics in useというのはとても大事。

木曜日, 10月 02, 2008

自然と言語

 これは1999年にチョムスキーがシエナ大学(イタリア)に滞在した際に受けたインタビューに基づいて編集された本だ。自分に最も関係のある3章を読んだ。
  1. 編者による序論:言語理論における幾つかの概念と諸問題
  2. 言語と精神についての展望
  3. 言語と脳
  4. 極小主義のインタビュー
  5. 世俗司祭と民主主義の危機
 言語と脳の基盤的諸原理がどのように統合されるかに関して、チョムスキーは3つの立場を紹介し、3が最も妥当であろうとしている。
  1. 言語及び高次精神機能は生物学の一部ではない
  2. 言語及び高次精神機能は生物学の一部、かつ、統一化は手の届くところにある
  3. 言語及び高次精神機能は生物学の一部、しかし、まだ基盤知識が不十分なので統一化は時期尚早
 チョムスキーは言語の完全性をよく雪の結晶に例えるので、1の立場だろうと思っていたから意外だった(「生成文法の企て」の中ではそうだったはずだ)。物理と化学が統一を果たしたのと同じようなイメージで、脳と言語の統一を考えているようだ。さらにチョムスキーは3つのテーゼとして、マウントキャッスル(神経科学者)、ハウザー(行動生物学者)、ガリステル(認知神経科学者)らの考え方を紹介して、自分の見解を述べている。行動生物学のアプローチのところに気になることが書いてあった。
たとえば、鳥類について、「発達研究における随一の成功談」であるが、進化についての「納得のいく概要」は一切なく、ことによると納得のいかない概要すらなさそうである
要するに、鳥は言語発達のモデルにはなるけど、言語進化のモデルにはならないということだろうか?鳥を言語進化のモデルとする時は、収斂進化前適応を考えるので問題ないと思うけど。もちろん、これで意味的な側面を考えるのは難しいだろう。
 他にもディーコンの脳と言語の共進化に言及したりして、チョムスキーの博識さが伝わって来る。言語が脳という神経系にしか宿らないものなのか、それともある条件を満たせば、動物やロボットにも獲得できるのかはよくわからない。
 思考の糧として3章は一度読んでおいて損はない。全体的に翻訳は表現が硬くて読みづらいので、原著を読んだ方が良いかもしれない。

火曜日, 9月 30, 2008

久しぶりにいわきに帰省

 8月から9月中旬まで学会出張が続き時間がなかったため、先週末帰省した。僕の田舎は福島県いわき市。2003年までは市の中では面積が一番広かった。人口は東北地方では仙台市に続き二番目に多い [Link]。自然が豊かで気候も温暖。映画フラガールで一躍有名になったスパリゾート・ハワイアンズもある。
 小名浜にあるアクアマリンふくしま(右の写真)に行って来た。ここは世界で初めてさんまの養殖に成功したことで有名な水族館。建物はとてもモダンで格好良い。水族館の中は、川の上流から海の干潟に向かう順番で生き物たちが展示されていて見やすい。一番の見所は、イワシの大群が空間パターンを形成し、そこに2匹のゴマフアザラシがちょっかいをかけるシーン。巨大なアクリルの水槽でそれを楽しむことができる。アクアマリンふくしまの近くにはラ・ラ・ミュウという観光物産店があり、小名浜港の新鮮な海産物を買うことができる。いわき市にお越しの際はぜひ。
 最後に、勿来の関(いわき市勿来町にある)にまつわる源義家の和歌を紹介します。小さい頃、家族で歴史博物館に訪れた際に覚えて、今でも頭の中にあるとても好きな和歌。
吹く風を なこその関と思へども
道もせに散る 山桜かな

水曜日, 9月 24, 2008

ネコさまとぼく

 小松行きの飛行機に乗り遅れてしまい、羽田空港のソファーでカタカタしてる。ANAのカウンターで説得して、何とか空きのある便に乗せてもらえたが、次便は15:30。orz...。Airのバッテリーが切れるまで仕事をすることにします。その前に、最近の読んだ本を紹介します。
 動物写真家、岩合光昭さんの「ネコさまとぼく」。猫好きをうならせる絶妙なポーズと猫への愛情に満ちた文章が、ほのぼのとした気持ちにさせてくれます。試写体が野良猫というのも良い。僕は無類の野良猫好きだから。猫の写真を撮ったことのある方は分かると思いますが、猫はカメラを向けると、逃げる|そっぽを向く|やたらカメラに寄って来る、のいずれかの理由でなかなか自然な写真が撮れない。
 岩合さんの写真は、試写体の自然さ、空間構成、明暗、静動のコントラスト、これらが絶妙に混じり合って調和している。猫好きの方にお勧めの一冊です。デジタル岩合でいろんな動物の写真を見ることができます。
 左の写真は、彼女の飼っている猫のマーコ。おまんじゅうの入っていた皿でとぐろを巻いている。ちょっと顔が怖いが実はご満悦。

月曜日, 9月 22, 2008

神々のWeb3.0

 怪しいタイトルの本だが、読みごたえがあってちゃんとしていた。CERN(欧州原子核研究機構)のティム ・バーナーズ=リーがWWWの技術を作ったのが1991年。Windows95がTCP/IPを標準搭載したことから爆発的にインターネット(Web1.0)が普及し、現在はGoogleが牽引する形でWebが進化し続けている。ティム・オライリーがWeb2.0を提唱してから3年もたたないうちに、Webとそれを取り巻く環境は激変した。
 Web1.0は、放送局のように一方的に情報が流れる静的な世界。ユーザは受動的な情報の消費者となる。一方、Web2.0では、インターネットに接続した無数のユーザが情報を発信、受信、共有し、Webに新しい価値が蓄積される。つまり、ユーザは能動的な語り部となる。
 では、Web3.0とは何か?(ちなみに、こんな課題を授業で出した)本書では、ウェブがネットワーク型のメディアであるという動的な性質を更に有効活用して人間関係の解析やカスタマイズ性を高めた「個に密着したサービス」が出てくるだろうと予測している。そして、アテンション・エコノミー(人々の注意(アテンション)は有限のリソースであると考え、「いかに気をひくか」がWeb経済を駆動するという考え方)に要請される形で、言語とは違う新しい表現方法が創発する可能性もある。ユーザが日々蓄積していくWeb上の知識、その膨大な量を質へと転換できたとき、Web3.0ムーブメントは起きるのかもしれない。

金曜日, 9月 19, 2008

祝・論文受理!

 7月初めに投稿した論文「Ethological Data Mining: An Automata-based Approach to Extract Behavioral Units and Rules(動物行動学的データからのデータマイニング:オートマトンに基づいた行動単位と行動規則の抽出方法)」の査読結果が来て、minor revise(ちょっとの手直し)で一発受理された(こんなことはまず稀だ)。僕らの論文が掲載されるのはData Mining and Knowledge Discoveryというコンピュータサイエンスの有力な学術誌で、昨年度の評価は以下のようにとても高い。機会学習の分野に限れば、Machine Learningに次ぐ影響力を持つ。
Impact Factor: 2.42 (2007)
Section "Comp. sc., artificial intelligence": Rank 11 of 93
Section "Comp. sc., information systems": Rank 7 of 92
 査読者のコメントはとても好意的で、オリジナリティ、理論と解析の厳密さ、論文構成、いづれもレベルが高いとの評価を頂いた。そして二人の査読者のうちの一人は、なんと僕が発表をした学会会場にいたそうで、確実に研究が進んだことを評価してくれた。こんな偶然もあるんだなあ。大学の授業も始まり、あまりの忙しさのためにすっかりバテ気味だが、この調子で走り続けよう。

月曜日, 9月 15, 2008

September in New York part.4

 毎度のことだが僕は必ずどこか抜けている。行きのフライトは、寝坊して成田に着いたのが飛行機離陸の1時間前だった。夕方で受付がたまたま空いていたので、辛うじてセーフだった。国際線は最低でも2時間前がルール。帰りのフライトは、目覚ましをセットし忘れてこれまた寝坊。それでも朝8時だったので余裕だろうと思っていたら、なんと時計が1時間遅れていたorz。Pennステーションからニューアーク空港に向かう電車の中は生きた心地もしなかった。全ての荷物を機内持ち込みにして、こちらもかろうじてセーフ。次回、海外に行く時は気をつけないと。
 今回のNY滞在ではデータ解析自体はあまりできなかったが、OferとOlgaと突っ込んだ議論をすることができたのは大収穫だった。手持ちのデータで何を語るべきかについて、道に迷っていた観があるので、進むべき方向がはっきりした。最近、OferはBirdsong以外に、ソーシャルネットワークの研究にも着手し始めたようだ。きっとすごい結果を出してくるに違いない。僕もやろうとしている話題なので、負けないようにがんばろう。下の写真はCity College of New Yorkのキャンパス。

September in New York part.3

 9/13日(土)のオフはMoMAに行き、大好きなダリの記憶の固執(Persistence of Memory)と三度目の再会を果たした。そして、デザインショップで彼女のリクエストのSkyアンブレラを探した。残念ながら折りたたみのものは売り切れだったが、日本のMoMAショップでも買えるらしい[link]。この傘はとてもセンスが良くて、開くと内側に青空がプリントされている。どしゃぶりでも傘の中はいつも青空というわけだ。デザインが人をハッピーにする良い例。
 その後、5番街をぶらぶらして、タイムズスクエアやロックフェラーを見て、紀伊国屋のカフェでお茶をした。多様な人種がいることとトイレが少ないことを除けば、この辺りは東京とさほど変わりない。ちなみにトイレに困ったら、紀伊国屋に駆け込むと良いです。お土産を買って一度ホテルに荷物を置いた後、前にも行ったジャズクラブ(GARAGE)に行った。ここはドリンク代だけでジャズの生演奏が見れるのでとても良い。Ginessを飲みながらドラムの格好良さにしびれた。写真は世界の交差点、タイムズスクエア。

金曜日, 9月 12, 2008

September in New York Part.2

 連日ラボの人たちに親切にしてもらい、NYをとても快適に過ごしている。水曜はOlga一家とおいしい寿司を食べた。なぜ日本人を日本食に?と思うかもしれないけど、いまや日本食は高級食の代名詞で、ゲストを日本食レストランに連れて行くのは最高のもてなしなのだ。びっくりしたのは、魚の鮮度が東京とさほど変わりがなく、とてもおいしいということ(値段は高いけど)。一方、ラーメンや汁物はいまだにブー。夕食の後、Olgaの家に招かれて、3歳のZsofiと猫と遊んだ。Zsofiはポニョみたいな快活な女の子。去年理研に来ていた時より、ちょっぴりシャイになった気がする。
 木曜はOferが韓国料理に連れて行ってくれた。33stに向かう地下鉄の中でも研究の話が尽きなかった。僕がOferを尊敬しているのは、抽象的な概念を常に具体的な現象に落とし込み、誰もが納得できる形で定量化するという研究姿勢。そして、それをつべこべ言わずにやってしまう実行力。NatureやScienceにばんばん論文が載るのもうなづける。そのかたくなな態度のために、僕はOferとの議論に悲鳴を上げそうになったけど、とても勉強になった。面白い論文が書けそうな気がする。来年もまたOferのラボに来たい。おっと、NYで食べた韓国料理もおいしかったです。写真はOferと僕、韓国料理レストランにて。

水曜日, 9月 10, 2008

September in New York

 City College of New Yorkにいる共同研究者と議論をするためニューヨークに来ている。9月のニューヨークは気候が穏やかでとても過ごしやすい。滞在しているユースホステルが汚くて不便なことを除けば、everything is all right(West Side Innはまるでお化け屋敷のようなボロさと汚さ。そして、共通のバスルームの大半が壊れている。一泊80ドルもするのに、、、。ニューヨークに行かれる方には御薦めしません)。
 昨日、Oferのラボでセミナー発表をした。最近の成果を含め、ジュウシマツの歌学習の発達ダイナミクスの話をした。発表の途中でも容赦なく質問が飛んで来たので、当初1時間の予定が、結局2時間しゃべりつづけた。久しぶりにハードなセミナーだった。でも、このぐらいでないと物足りない。Oferもラボの人たちもすばらしいと褒めてくれた。
 その後、Oferは上機嫌で僕を日本食のレストランに連れて行ってくれて、すしランチと熱かんをおごってくれた。昼間から日本酒を飲んでもOKなんて、ニューヨークってほんと自由なんだな。その後、研究室に戻ってから暑い議論を再開したことは言うまでもありません。下の写真は散歩途中に立ち寄ったコロンビア大学の図書館とライオン。


木曜日, 9月 04, 2008

28歳からのリアル、32歳のリアル

「35歳までの過ごし方があなたを変える!萎えたオヤジにならないために知っておくべきこと全部。」ドキリとする見出しだ。立ち読みのつもりが、気になって購読した。要は具体的に大ゴールを決め、そこからの逆算で段階的に小ゴールを設定し、全てを数値化して管理する。GTD (Getting Things Done)と基本は同じ。研究以外で、自分がこれを疎かにしていたことに気付かされた。目次は次の通り。 
  • 28歳+ライフスタイル
  • 28歳+仕事
  • 28歳+マネー
 ところで、28歳の頃、僕は何をしていただろうか?学位を取り、理研で研究員を始めた頃だ。あれから4年がたとうとしている。ようやく自分の研究のスタイルが確立しつつある。生活のスタイルもそうでなくては。昨日、大学時代の友達から久しぶりに電話がかかってきて、飲み会をやることになった。来週はニューヨークに出張で、参加できないのが残念だ。きっとみんな、それぞれの道でそれぞれに活躍していると思う。今度会うときに胸を張って会えるように、32歳のリアルを見つめ直すところから始めよう。

土曜日, 8月 30, 2008

ゆらぐ脳

 最近読んだ本を紹介します。池谷裕二さんの「ゆらぐ脳」。以前、理研であったセミナーを拝聴して以来、注目している脳科学者(東大院・准教授)。この本は、木村俊介さんが池谷さんにインタービューをしてまとめたもの。文献も巻末に載っている。献立は次の通り。
  1. 脳を分かる
  2. 脳を伝える
  3. 脳はゆらぐ
 脳の分かり方について、池谷さんがどのような態度で研究に望んでいるのかが紹介されている。また2章では、研究におけるプレゼンテーションの重要さが書かれている。科学も人間の営みである以上、自分だけが納得していては駄目で、第三者に理解されて初めて意味をなす。研究資金を獲得するためにはこの能力は必須だ。研究費、研究費と、申請書に追われる生活はむなしいが、自分の研究費を獲得しなくては何もできないのもまた事実。
 池谷さんの脳観に1つ反論をさせてもらえば、「構造+ゆらぎ=機能」は多分間違い。あえて書くなら、「ゆらぎ<->構造<->機能」。先に構造があるわけではない。ゆらぎから構造が作られ、その構造をもとに機能が発現する。そして、機能は構造を変え、そのためにはゆらぎが必要になる。この3つのカップリングを通じて、安定と不安定を行きつ戻りつするのが、複雑系におけるダイナミックな脳観だ。実験であれ、モデルであれ、これをきちんと示すことが大事。

日曜日, 8月 24, 2008

LA小滞在記

 学会後、UCLAのChuckと会うためにLAに3日ほど滞在した。今回も大学のゲストハウス(UCLA Tivertion House)に泊まった。一泊15,000円なので値段はそこそこ(West Woodの相場は高くて一泊2万、3万は当たり前)。朝食付き部屋はきれい無線LANが使えるシアトルズベストのコーヒーが24時間飲める、など満足度は高い。写真は僕が滞在した部屋。
 1日だけ自由日があったので久しぶりに市内を散策した。実は初めての海外がLAで、大学の友達と卒業旅行で訪れた。その際UCLAにも訪れていて、「こんな開放的な雰囲気の所で研究してみたいなあ」と思ったものだった。10年後、夢が叶った。
 バスでダウンタウンに向かい、MOCA(ロサンゼルス現代美術館)やリトル・トーキョーの 周辺を散策した。日中は暑いのだが、日本と違ってカラッとしているので、ほとんど汗をかかない。美術館では「緑の週間」的な催しが、リトル・トーキョーで は日系二世たちのお祭りがあって、とても賑わっていた(コスプレした人がたくさんいた)。ダウンタウンは通りが1つ違うといきなり異国になる。ある通りは アメリカ、ある通りはメキシコ、ある通りはインドと、話されている言葉も行き交う人種もがらりとかわる。なるほど人種のるつぼだ。


 最後に、リトル・トーキョーで見つけたへんてこなビラを紹介します。求人募集らしいのだが、これで応募する人がいるのだろうか?


土曜日, 8月 16, 2008

Acoustic Communication by Animals 2008

 国際会議 [link] のためにオレゴンに来ている。オレゴン州立大学のあるコーバリス(Corvallis)は、ポートランド空港から高速バスで2時間半のところにある長閑な街だ。ゆったりと時間が流れている。一方会議は、毎日朝8時から夜8時までびっちりスケジュールが組まれていて、かなりハードだ。でも時間はあっという間に過ぎる。オレゴン初滞在は、ホテルと会議場との行き来で終わりそうだ。
 動物のコミュニケーションの国際会議は初めてだったので、どの話も新鮮で面白かった。そして、P.MarlarP.NarinsP. SlaterT. Fitch、この業界の大御所は皆話がうまい。僕は「ジュウシマツの歌の階層性と文法の発達的創発」(PDF)と題してポスター発表をした。この業界の研究者は動物が大好きで、できるだけ「ありのまま(as it is)」を知ろうとするので、KL-divergenceや有限オートマトンなどの抽象化された表現(動物行動の成れの果て)には興味が持ちづらいようだった。こういう学会では、動物のビデオや音声ファイルは必須だ。それでもSongbirdの研究者は興味を持ってくれた。
 それから、SlaterとFitchにEUREKAの宣伝ができたのは良かった。どこまで本気かわからないが、EUREKAのことは手放しで褒めてくれた。(Fitchにはポスドクを募集しているとスカウトされた)いい仕事をすると、こういうところでちゃんと評価をされるのでがんばろう。写真(上)は学会会場、(中)は滞在したホテル、(下)はオレゴン州立大学の競技場。




















土曜日, 8月 09, 2008

最後の授業

 パウシュはこんな風に語る。
僕が画家だったら、子供たちのために絵を描くだろう。ミュージシャンだったら曲をつくる。でも、僕は教師だ。だから講義をした。
この本は著名なコンピュータ科学者、ランディ・パウシュがカーネギーメロン大学で行った最終講義を書籍化したものだ。お題は「子供の頃からの夢をかなえる方法について」。インターネットで配信されて、全米では600万人以上の人が見たという。
 この講義の当時、パウッシュは膵臓癌が転移していることが判明し、余命数ヶ月と告げられいた。彼は講義という形を通じて、愛する家族と詰めかけた聴衆に、彼が大切にしてきたことをユーモアを交えて語った。これは、死を目の前にして真剣に生きている一人の人間の心の底からの言葉だ。
 YouTubeで見つけた講義をリンクします。一流の研究者、一流の教師、一流のエンターテイナー、一流の父親、一流の夫、そして一流の人間。彼の講義がそれを物語る。パウシュは2008年7月25日に亡くなった。



Links:

金曜日, 8月 08, 2008

EUREKA Wikiはじめました

 当初の予定から遅れること4ヶ月とちょっと。やっとこEUREKA ver.1.0をリリースしました。以前も紹介したけど、EUREKA = Ethoinformatical Utilities for Rule Extraction and Knowledge Dicovery = 「I have found it! (我発見せり)」というアルキメデスの言葉。行動の系列データを形式言語と見なし、言語統計言語モデルを使って解析するオープンソース・ソフトウェアです(ソースの公開にはもう少し時間がかかりそうだ)。
 公開にあたり、先週と今週はほぼ毎日徹夜で、学生がやらなかった全てのことをやった。特に、ウェブ(EUREKA Wiki)はがんばって作ったのでぜひご覧いただきたい。初心者にも使えることを目標に、ソフトもEUREKA Wikiもデザインした。間違いやわかりずらいところがあれば、ぜひ教えてほしい。今は僕が管理しているけど、EUREKA Wikiがある程度完成したら誰もが編集できるようにして、EUREKAに関する知識や経験を蓄積するための装置として活用したい。ユーザー参加型のマスコラボレーションがアカデミックでも動くかどうか、そして、EUREKAは動物行動学に新しい視点をもたらすことができるかどうか、これは実験でもある。

水曜日, 8月 06, 2008

1つの決断

 来年ラボを出てUCLAで研究をします。昨日のミーティングで僕の1つの決断を伝えた。留学するのはChuck Taylorのラボで、Artificial Lifeをとことんやろうと思っている。それから、Chuckの周りには言語学、神経科学、生態学の研究者が大勢いるので、これまで僕が生物言語チームでやってきたことを生かした研究ができると期待している。2009年4月から2010年3月まで向こうにいる予定で、その後の1年は、東大・金子研で学振研究の総括をする。
「アメリカに行けば何か変わるだろう」などという甘い考えは僕にはない。自分が変わらなければ何も変わらない。慣れ親しんだラボを出て、アメリカで新たな研究生活をゼロから始めようというのだからそれ相当の覚悟をしている。と同時に、来るべき新しい経験をとことん楽しもうとも思っている。自分には何ができるのか、そのことに懸けてみる。

 

土曜日, 8月 02, 2008

補講を終えて

 今週は補講を2つこなし、前期の授業を無事終えた。最終回はいつも情報学周辺を講義することにしていて、今回は「情報とコミュニケーションの科学(前編)」というテーマにした。[資料] 例年、学生たちが熱心に話を聞いてくれるので、僕も学期末の授業を楽しみにしている。今回のテーマは、目白大学で昨年行った講義がもとになっている。このときはT先生の配慮もあって、私語もなく、学生たちは講義内容に興味を持ってくれたようだった(一番興味を持ってくれたのは副主任の先生だった)。
 今回も「へぇー」とか「そうなんだー」とか、学生が熱心に聞いてくれることを期待したのだが、例年と空気がとても違った。相槌を打ってくれる相手がいぬまま一人で話をしているような感覚だ。何だか悔しくて悲しかった。「難しかったかなぁ?」とティーチングアシスタントの学生に聞くと「難しかったけど、私は面白かったです。」と言ってくれたので、少しほっとした。夏休み中、来学期の講義の内容だけでなく進め方についても考えないと。

木曜日, 7月 31, 2008

巨人の肩に立って

 ニュートンがフックに宛てた手紙の中で語った言葉。「私が他の人よりも遠くを見通すことができるのだとしたら、それは巨人の肩に立っているからです。」
Standing on the shoulders of giants
巨人の肩とは、先人たちが積み重ねてきた叡智のこと。「私一人の力ではない」というニュートンの謙虚さを示す例として紹介されることが多いが、本当のところは、宿敵フックが小柄であることへの当てこすりという説が妥当そうだ。(いずれにせよ、今日の自分があることに対して、「おかげさまで」をさらっと言える潔さは格好いい。)この言葉は、もともと西洋にある比喩で、Dwarfs standing on the shoulders of giants がオリジナルのようだ[Link]。そういえば、Google Scholarのサブタイトルもこれでしたね[Link]。
 Oasisのアルバムに「Standing on the shoulder of giants」というのがあるが、これは文法的には間違い。酔っぱらったノエル(Oasisのギターリスト)がタバコの箱に間ってメモをしたのが原因で、みんなが気に入ったためにそのままタイトルに使われたのだそうだ[Link]。 僕はこのアルバムの1曲目がお気に入り。最近また聞いている。曲のタイトルは放送禁止用語なので、ここに載せるのは控えます。



金曜日, 7月 25, 2008

There's something in the air

There's something in the air.(何か気配がする)

 Appleはキャッチコピーがうまい。これはMacworld Expo 2008のバナーに書かれていた文句。Macbook Air、ちょっとの無駄もない僧侶のような超精密機械。究極のアンプラグド。先週研究費で購入したMacbook Airが到着した。
 キーに触れた時のゆったり安心感は、昔使っていたLavieに似ているが、圧倒的に薄い!!(このLavieはその厚みゆえにDEBUという名前だった。今は妹が使っている。)移動中に壊れたりしないか心配になる。実際は筐体はアルミなのでがっしりしているけど。斬新なデザインも大きな魅力だが、僕の心をくすぐるのはMacOS Xの完成度の高さ。MacOS XはBSDがベースになっているので、UNIXとして使えて仕事がしやすい。MacPortsを使えばUNIX環境を整えるのも難しくない。
 研究室で使っているMac ProはNewtonという名前にしたので、Airは情報理論の父、Shannonから名前をいただくことにした(LinuxマシンはDarwin)。行くぞShannon!

火曜日, 7月 22, 2008

HEROES

 最近見ているDVDがHEROES。時空間を曲げる、空を飛ぶ、不死身、などの超能力を持った人物たちが、数奇な運命に導かれ集結していく。複数の人物のストーリーがパラレルにテンポよく展開し、伏線が次第に絡み合っていく。ストーリー細部の作りが甘い感じがするが、最近のSFの中では良くできていると思う(少なくともシーズン1は)。それから、ヒロ・ナカムラという日本人キャラが独特で面白い。
 シーズン1は木曜の深夜に日テレで放送している[link]。アメリカではシーズン2が終了し、この秋からシーズン3が放送されるようだ。この手のドラマは、最後の方はドラマのためのドラマになってしまって、ストーリーが台無しになるので(例えば、ビバリーヒルズ高校白書とかツインピークスとか)、このクオリティーが維持されることを期待したい。
 この連休は、HEROESを見た以外は、論文の投稿、EUREKAのバク修正、RMySQLの連携プログラム等々で時間が消えてしまった。気分も体調も夏ばて気味。あー、僕も時間を止める超能力が欲しい。
むむむ... (眉間にしわ&汗)。やったー!
そんなに甘くないか。

木曜日, 7月 17, 2008

ラーメンのち珈琲

 今日は学生たちの講義への反応が悪く、「何が良くなかったんだろう?」と自分の中に答えを探してみた。
404 Not Found
そんな時もあるさと、晩御飯を食べに行くことにした。前回、スープ切れのために食べられなかった、池袋の「鶏の穴」というラーメン屋さんに行った。[Blogの記事]
 5月にオープンした新しいお店で、この上がマッシュマンズカフェ。僕は白湯らーめん(680円)に味たま(100円)をトッピングした。太麺でスープはポタージュのような粘性と甘みがあり、上に鶏チャーシューと鶏そぼろがのっている。あっさりすぎず、こってりすぎず、おいしかった。Myはしを持参すると、味たまがサービスしてもらえます。
 さて、次は珈琲。久しぶりに「昭和」に行った。池袋の中では1番好きな喫茶店。残念ながら今日は定休日でした。なので、前回撮った写真をアップします。まさに昭和を思い出させる懐かしい感じのするお店。珈琲は600円ぐらいで、同じもののお替りは半額になる。帰るときには100円割引券をくれる。かなり長居ができるので、ほっこりしたいときはぜひ。

火曜日, 7月 15, 2008

ベルトの上のポニョ

 終電で家に帰ってくると、どうしても小腹が減る。そうすると、ついついコンビニで甘いものを買ってしまう。デザートコーナーに行くと、最近は特大スイーツがいい感じに冷えている。ボリュームたっぷりのチーズケーキにシュークリーム、そして致死量のプリン。POSデータによると、特大スイーツを買っていくのは男性客が多いそうだ。特に、夜の時間帯はほとんどが男性だということ(女性は夕方が多い)。僕はあまり沢山は食べられないけど、甘いものは大好き。
 最近の夜食ぐせと運動不足がたたってか、気がついたらズボンがきつくなり、お腹にやや貯えが。今日から夜食禁止で、ロードワークを再開することにします。週1回は泳ぎにも行きたい。ちなみにタイトルはこれのパクリです。これとスカイ・クロラは劇場で観たいな。

月曜日, 7月 14, 2008

22歳の鼻たれ小僧

 英文校閲から戻ってきた論文の原稿を仕上げた。初稿を書き終えたのが4月末だから、もう2ヶ月以上が過ぎた。(共同研究の事情があるので仕方ないのだか...) これから論文を一週間寝かせて、冷静になって自分の主張の弱点を探す。Data Mining and Knowledge Discoveryに絶対通す。
 ふと思う。10年前の小生意気で根拠のない自信に溢れていた、でも飽きれるほど「知る」に貪欲だった22歳の自分が、この論文を読んだらどう思うだろうか?「これは面白い研究だ!」と目を輝かせただろうか?今の僕は22歳の僕よりもいろんなことを知っている。でも、彼はきっとこう言うだろう。
「それって本質的なの?」

「できない?できるようになればいいんじゃん。」

「やる前から答えがわかってるなら、ドリルを解いているのと変わんないよ。」
 腹が立つことこの上ないが、直球ど真ん中で、ミットで受けてもひりひりジンジンとする言葉だ。でも、このぐらいの若さと勢いを持ち続けたい。いや、22歳の鼻たれ小僧なぞ一喝できるぐらいでないと。そして、「たら」「れば」なんて、口が裂けても言わない。言ったら500円玉貯金。

土曜日, 7月 12, 2008

学会巡業夏編2008

 今年は意図的に出席する学会数を減らしたけど、夏から秋にかけて学会が集中するので、7、8、9は準備に追われることに。このプレッシャーを逆にやる気に変えてがんばるべ。これから出席する学会はこんな感じ:
  • The 2nd Acoustic Communication by Animals
     オレゴンで開催される動物の音声コミュニケーションの国際学会、僕は「Developmental emergence of Hierarchy and Syntax in the Bengalese Finch Song」という題でポスター発表をします。[アブストラクト] 鳥の歌研究の大御所、P.Marlerさんが招待公演で来ます。僕のポスターを見に来てくれないかな。この後に、UCLAChuckのラボに行きます。
  • The 10th International Conference on Music Perception and Cognition (ICMPC)
     これは北海道。ボスが企画したシンポジウムにパネリストとして参加します。初めての経験です。お題は「音楽と言語の起源と進化」というような感じだったと思う。同じメンバーで理研でもシンポジウムをやります。
  • 第27回日本動物行動学会
     これは金沢。昨年から参加し始めた学会で、こじんまりとしていて、たくさん議論ができるので好きです。これから参加要旨を書きます。
 この他、9月はOferの所に1週間滞在し、箱詰めになってデータ解析と論文書きをやります。せめて宿はくつろげる所をと思ったら、高すぎでホテルは泊まれません。ニューヨークのホテルは一泊$300(3万円ぐらい)なんてざら。結局、ユースホステルの個室にしました。これでも一泊$80以上します。しかも、部屋は汚くてインターネットが使えない。東京では考えられない。幸多き学会巡業となるか?

月曜日, 7月 07, 2008

「キーボードを占領する猫」と戦う貴方への最終兵器?

 スラッシュドットで、「キーボードを占領する猫」と戦う貴方への最終兵器という記事があった。[link] 確かに、ポテチコーラは三大キーボードの敵だ。コーラをこぼしたら一発でおじゃん。ポテチの場合はダストブロワーでシューシューする必要がある。そして猫の場合は、猫専用棚「Kitt-In Box」?
 どうなんでしょこの棚。本当にこれで猫はキーボードでなく、棚にゴロンとしてくれるのかな。彼女の飼っているトラオさんは無理だろうな。なぜならば、



だから。(猫の器が大きいということです)トラちゃんには出演料として、後ほど鮭棒を謹呈します。

スティーブ・ジョブズ 神の交渉力

 Steve Jobs。なんという凄まじい個性なのだろう。程よい距離では温かく、近づき過ぎると焼き殺されかれない太陽のような熱。良いとか悪いとか、そんなありきたりの物差しは当てはまらない。ジョブズのまねなどできないし、しても意味ないが、彼ぐらいの気概は持ちたいものだ。目次は次の通り。
  1. 「言い方」は「言い分」より交渉を支配する
  2. 弱い見方は潜在的な敵方である
  3. 妥当な案より「不当な案」で交渉を動かせ
  4. 最善の説得術は棍棒でたたくことだ
  5. 楽観は考えなしだが、悲観は能なしだ
  6. 失敗と思わなければ決定的失敗ではない
  7. 「待ち」は勝ちの重要な一部をなす
 本書では、スティーブ・ジョブズの様々なエピソードが熱く紹介されている。最近流行っているビジネス本ではない。ただし、書きかたに癖があり、ジョブズvs.凡人のような二項対立の形式をとっているため、好き嫌いが分かれるだろう(Amazonでは酷評されている)。僕は楽しく読めた。

日曜日, 7月 06, 2008

脳と身体の動的デザイン

 先週、先々週と駒場で多賀さん集中講義を受けてきた[link]。テーマは「人間の発達脳科学」で、今週木曜が最後。多賀さんの講義は、学生の頃から機会があるごとに出ている。その都度、自らのゴールに向かって研究が着実に進んでいて、本当にすごいなあと思う。
 心理学で当たり前のように語られる静的な発達観(例えば、ピアジェ)はしっくりこず、多賀さんや谷さんがやっている力学系アプローチ動的発達観の方がしっくりとくる(このやり方にも問題はあるのだが)。僕はジュウシマツをモデル生物として、歌学習の発達ダイナミクスを研究しているので、この講義内容はとても参考になった。また、講義中にいろいろなアイディアが浮かんだ。「脳と身体の動的デザイン」という本に、多賀さんのこれまでの研究が分かりやすくまとめられている。Thelen & Smith 1993よりも内容がちゃんとしている。また、TODAI.TVで講義を見ることができ、資料もある。[link]

火曜日, 7月 01, 2008

活力を与える「物理」

 7月になり、日差しが夏らしくなってきました。太陽の光ように熱い情熱月の光のような熱すぎない冷静さで、研究をがしがし進めたいと思います。
 さて、最近図書館で借りて読んでいる本を紹介します。鈴木増雄先生(現 東京理科大学)の”活力を与える「物理」”。物理学会に行くと、鋭い質問やコメントを飛ばしている鈴木先生をお見かけします。僕の先生である池上さんの先生です。目次は次の通り。
  1. 「もの」の総量は増えたり減ったりしない? - 質量とエネルギーの保存則について
  2. 自然をより深く理解することが物理の基本 - ルシャトリエ・ブラウンの原理から散逸最小の原理まで
  3. 無秩序から秩序への臨界点での特徴は何か - フラクタルと自己相似性
  4. 水が凍るという自然現象が教えてくれるもの - 物理学的、数学的な秩序と無秩序とは?
  5. 秩序が生まれる、秩序が無くなる「限界」とは? - 相転移のメカニズムを探ってみよう
  6. 拡張・変換の視点で限界・困難を乗り越える - てこの支点から変換の視点へ
 目次からわかるように、このコンパクトな本の中に物理のエッセンスがぎゅっと詰まっている。物理学を知り尽くした人にしか書けない本だ。例えば、理科の授業で習う質量保存則エネルギー保存則が、相対性理論のE=mc^2(E:エネルギー、m:質量、c:光速)で統一的に扱えること、さらに素粒子の世界でも保存則が成り立つためには、4次元(3次元空間+時間)では足りず、もっと高次元(正確には10次元)の時空が必要になること(それを扱うのが超弦理論)、がすっきりと説明されています。学部時代に、こういう鳥瞰図を手に入れたかった。物理学科を卒業した人にこそ読んでもらいたい一冊。

土曜日, 6月 28, 2008

泳げ、走れ、飛べ、たいやき君

 今週の水曜は早めに講義を終え、帰路に着いた。お茶するところを探していたら、前から気になっていたたい焼き屋さんの前に出た。このお店は早く閉まってしまうので、チャンスと思って1つたい焼きを買った。150円成り。
 「はふ、はふ、もぐ、もぐ。」 うまい!表面が固めで、こんがりと香ばしく、しっぽにまであんが詰まっている。素朴で、甘くって、温かくって、とっても幸せになれるたい焼き。僕はこの手の「はふはふ系」が大好き。たい焼き、たこ焼き、今川焼、お好み焼き、もんじゃ焼き。うーん、じゅる(よだれ)。
 たい焼きですっかり元気になって、心なしか仕事用のバックも軽い。よし、帰るか。そんな時一通のメールが、、、。
笹原先生、ノートパソコンを忘れませんでしたか?
大学の助手さんが親切にメールを送ってくれたのだ。あ"ー!講師控室にVaioを置きっぱなしだった。どうりでバックが軽いわけだ。反省、たい焼きよりも甘い自分の気持ちを引き締めます。(この後、Vaioを送って頂きました。どうもありがとうございました。

月曜日, 6月 23, 2008

冷えたビールを1杯ちょんまげ!

 担当だったVerbal Behavior(スキナー著)の8章後半が終わった[レジュメ]。ふう。とても難解で、読んでも読んでもわからないことがある。しばらく読み進めるうちに、実は冗談なのだということに気づき、愕然とすることもある。
 特に例は的を射ていないくてひどいものもある。エコーイック行動(反響行動)がなかなか止まらない例として挙げられていたのが、冷えたビールを手にした(おそらくビールを宣伝している)人の「冷えたビールを1杯ちょんまげ!」というセリフ。ん!?良く分からない。Y崎さん曰く、スキナーのウィットにとんだジョークらしい。しかし、これでは吉本には入れまい。僕なら、「3の倍数と3のつく数字のときだけアホになる世界のナベアツのネタをイントラバーバル行動(内言語行動)の例として挙げるかな(これもダメか:-)。チョムスキーとの言語観をめぐっての対立は有名な話だが(ここが詳しい)、スキナーにはお茶目な一面もあるようだ。
 そういえば、こんな記事があって笑ってしまった[link]。小学生がお笑いのまねをするのはよくあることだが、低学年に教科書を読ませると、倍数の概念がわからないため、1から100まで全部アホになってしまうそうだ。スキナー的にはこれはエコーイック行動なのかな?

日曜日, 6月 22, 2008

ジャン=ポール・エヴァン

 チョコレートケーキがおいしいとの評判を聞いたので、彼女の誕生日祝いを兼ねて、伊勢丹の地下一階にあるジャン=ポール・エヴァンに行って来た。6/14に東京メトロ副都心線が開通したので、最寄り駅の地下鉄赤塚から新宿三丁目までは20分ぐらいで着いた。店はチョコを買う所と喫茶の2つに分かれていて、カップルや親子連れがひっきりなしに店に訪れていた。喫茶に入るのに30分ぐらい待った。
 メニューを見ると、10種類ぐらいのチョコレートケーキがあった(エクレアは残念ながら売り切れ)。ケーキの値段はクオリティからするとまずまずで、600円ぐらい。でも、飲み物は高め。ホットチョコレートが1,200円、紅茶が800円ぐらい。僕はバニラ風味のチョコケーキとホットチョコレートを頼んだ。もぐもぐ。さすが、パリのトップ・ショコラティストのチョコケーキだけあって、しっとり濃厚で自己主張のあるケーキだった。ただ、チョコケーキの後味をホットチョコレートとで消すことはできず、組み合わせを間違えた。たぶん、紅茶の方が相性が良かったに違いない。バレンタインデーやホワイトデーには、大混雑するんだろうな。チョコ好きの方は、自分にご褒美デーに一度いかがでしょう。

僕的採点
  • 珈琲: ない(ホットチョコレートは高いけどおいしい)
  • ケーキ: ☆☆☆(しっとり濃厚なチョコレートケーキ)
  • 雰囲気: ☆☆(伊勢丹のお客が目の前を行き来する)

金曜日, 6月 20, 2008

ガンダムで英語を身につける本

 理研の紀伊國屋で英語のコーナーをぶらぶらしていたら、この本が目にとまった。「ガンダムで英語を身につける本」だと。どれどれ。あら、面白いじゃない。場面ごとにガンダムのセリフが英語に翻訳され、文法の解説と日常会話に応用できるフレーズが紹介されている。とても読みやすいし、ちゃんとしている。注文した「実践ロイヤル文法」よりも英会話に使えそう。ネタばれにならないように2つほど有名なフレーズを紹介する。まず、「二度もぶった!おやじにもぶたれたことがないのに!」はこうなる。
That's twice! Even my dad never hit me!

なるほど。そしてこれ。「シャアが出てくるわ。必ず、来る。」
What about Char? He'll come for sure.

そうきたか。ガンダム世代にはとっつきやすいかもしれない。




水曜日, 6月 18, 2008

不機嫌な職場

 「あなたの職場がぎすぎすしている本当の理由」というドキリとする帯に惹かれてこの本を買った。会社だろうが大学だろうが、多様なバックグラウンドを持った人たちが、タコつぼ化せず、協力しながら生産的に活動するにはどうすればいいのか、これは尽きない悩み。
 期待をして本書を手にしただけに、ちょっと「んー」な内容だった。不機嫌な職場の現状を記述した後、それを、役割構造評判情報インセンティブという枠組みで読み解く。そして、社会的交換理論(人や組織関係を有形無形の資源のやり取りと見なして分析する文化人類学の考え方)で説明を試みるのだが、ピンとこない。こういうのを当たり前と言ってしまったら身も蓋もないのだろうけど、僕には正直しっくりとこなかった。ただ、実際にGoogleなどの企業がどのような努力をしているのかという具体例が紹介されているのは参考になった。研究者の場合、タコつぼ化の危険性は常に伴うので、念頭に置いておきたい。目次は次の通り。
  1. いま、職場で何が起きているのか
  2. 何が協力関係を阻害しているのか
  3. 協力の心理を理解する
  4. 協力し合う組織に学ぶ(この章は面白い)
    1. グーグル
    2. サイバーエージェント
    3. ヨリタ歯科クリニック

  5. 協力し合える組織をつくる方法
  6. 協力への第一歩の踏み出し方

金曜日, 6月 13, 2008

iPS

 新しいAppleの製品ではない(もちろんそれを意識したネーミングだけど)。induced pluripotent stem cell(iPS細胞、人工多能性細胞)の略で、山中伸弥教授[link]が世界で初めて人工的に作るのに成功した万能細胞のことである(iPS細胞だけでは個体はできないので、正確には多能性細胞)。ずっと気になっていたので、iPS細胞の本を一気に2冊読んだ。復習を兼ねて簡単にまとめてみたい。
 そもそも、トカゲの尾は切ってもまた生えてくるのに、人の体はなぜ再生しないのだろう(トカゲは尻は生えるが骨は生えないそうだ)。この再生能力の違いは幹細胞の違いにある。幹細胞とは簡単に言うと、様々な体の部位(目、脳、骨、内蔵など)の細胞に分化する能力を秘めた細胞のことである。幹細胞をコントロールすれば、原理的にはどんな臓器でも作り出すことができる。
 以前は、ES細胞(embryonic stem cell、胚性幹細胞)が盛んに研究されていた(黄禹錫(ファン・ウソク)教授の捏造事件は記憶に新しい)。しかし、ES細胞は(人になる可能性のある)受精卵を壊して作られるため、倫理的な問題があった。さらに、他人から作られたES細胞では移植した際に拒絶反応が生じる。
 一方、iPS細胞の場合は、材料は自分の細胞でよい。これに遺伝子を人工的に組み込み、細胞分化をリセットすることでiPS細胞が得られる。自分の細胞が材料ならば、拒絶反応もないし、倫理的なハードルも(ES細胞に比べれば)低い。山中教授が人で作り出したiPS細胞は、女性の頬の皮膚細胞が材料だそうだ。つまり、「頬の細胞に魔法をかけて心臓にしてしまう」というようなことが可能になったのだ。再生医療だけでなく、倫理や経済、そして「生命とは何か?」という本質的な問いを巻き込んで、iPSはますます注目されるだろう。僕が読んだ本は以下の2冊。生物の予備知識のない方は上、ある方は下を読まれることをお勧めする。

日経1年生

 僕が思い描く朝の理想風景。目覚ましが鳴る5分前にすっきりと目覚め、こんがりトーストにマーマレード。そして、とびきり香りのよい珈琲を飲みながら日経(日本経済新聞)を斜め読みし、次の一手を考える。なんてできたらいいのにね。実際はこう。夜更かしと低血圧のため、目覚ましと3度の格闘の末にしぶしぶ起床。シャワーを浴びたら、朝食抜きで職場に直行。ちゃりちゃり。そして、マウントレーニアを飲みながら、たまった書類仕事を昼飯までに片付ける(マウントレーニアは大好き)。理想は高く果てしなく遠い。
 実際、朝は日経を読んでいる時間はないので、僕は「聞く日経」というポッドキャストをiPodにつめて、情報を仕入れるようにしてる。日本経済新聞のポイントを30分程度で解説してくれるので、通勤の間に聞くことができて便利。あとは、朝日、日経、読売の比べ読みができる「あらたにす」をざっと見ればバランスよく情報を吸収できる。
 それから、もう1つ好きなポッドキャストが「日経1年生」。長谷部瞳が疑問に思った日経の記事に、解説者が分かりやすく答えるという形式の番組。長谷部瞳の屈託のない人柄がとても好感が持てる。こちらの内容は単行本にもなっている。Amazonで日経1年生で検索すると、長谷部優の写真集がひかっかかるのは何故だろう?思わずクリックしてしまったが :-)

火曜日, 6月 10, 2008

More than words

 押入れからストラトをひっぱり出してきて、久しぶりにこの曲を弾いた。ギターの弦も僕の腕もすっかり錆びていた。ヌーノの美しいアコギの音色とゲイリーの力強い声。今の半分の年だったギター小僧を魅了し、以来ずっと僕のナンバーワン・ラブソングだ。YouTubeにあがっていたのでここで紹介したい。Extremeの"More than words".



 学生の頃、クラブチッタで一度だけ生ヌーノを見たことがある。ファンキーかつ正確なギタープレイが恰好良かった。Extremeが再結成されるとのうわさがあるので、期待したい。ちなみに、More than wordsはセカンドアルバムのPORNOGRAFFITTIからシングルカットされ、ビルボードで1位になっている。

土曜日, 6月 07, 2008

何気ないスナップショット

 いつも頭の中は「あれしなきゃ、これしなきゃ」で満杯で、時間感覚が麻痺しているなあと感じることがある。日常の些細なことにハッとできる感受性とゆとりを大切にしたいものです。今日は、僕が最近遭遇した何気ない場面を2つほど紹介します。
 1枚目の写真は、僕が住んでいるアパートの近所のわんこ。かなりのおじいさん犬で、両目ともに白内障のため目が見えません。しかし、とても家族から大切にされていて、寒い日などは毛布をかけてもらって、ぬくぬくで寝ています。時々、首輪をはずしてもらって、飼い主さんとゆっくりゆっくり散歩をしています。飼い主さんが、「そっちじゃないよ、こっちだよ」と言って手をパンパンと叩きます。できるだけ自力で犬小屋に辿りつけるようにガイドしているのです。幸せなわんこです。
 2枚目は、講義を終えて、唐木田駅に向かう途中の横断歩道の所にいたにゃんこ。僕が近付いたら、餌をくれると思ったのかニャーと言いながら寄ってきた。携帯のカメラを向けると、猫は突進して来るのでなかなか良い写真が撮れないのだけど、これは偶然とれた1枚。信号機のピクトさんとにゃんこの組み合わせが絶妙です。

木曜日, 6月 05, 2008

アニョハセヨ、カムサハムニダ、これジュセヨ

 先週末、彼女と韓国旅行に行ってきた。国際会議でいろんな国に行ったが、アジアはこれが初めて。この時期、ソウルは日本よりも2時間ぐらい日が長く、半袖でも暑いくらいだった。
 初日は明洞(ミョンドン)に行った。明洞は古くからある繁華街で、たくさん飲食店があり、買い物客で賑わっていた。骨付きカルビの値下げチケットに惹かれて、ふらっと焼き肉店に入った。セットメニューが110,000ウォン。10ウォンが約1円なので、決して安くはないが、本場の焼き肉はおいしかった。ちなみに、食事を注文するとキムチがデフォルトでついてくる。これがまた旨い。
 その後、彼女のリクエストでエステに行った。おじさんに体をゴシゴシされ、おばさんに体をモミモミされるのは、シチュエーション的に微妙だが、気持ちよかったので良しとしよう。
 お勧めなのが仁寺洞(インサドン)のお散歩。ここには韓国伝統の工芸品、カフェ、レストランがたくさんあってとても楽しい。ちょっと足を延ばせば、景福宮昌徳宮(世界文化遺産)にも行ける。ちなみに、僕らが行った日はデモが一番ひどい時で、帰りはものすごい数の警官たちが景福宮の周辺にいた。
 写真は、今年の2月に燃えてしまった国宝1号の南大門その後(と僕)。2012年の再建を目指して目下工事中。韓国語をマスターして、2012年以降にまた韓国に行きたい。