火曜日, 10月 14, 2008

写真はじめました

 デジカメを買い替えようとカメラコーナーをうろちょろしていた。SonyのCyber-shotとRICHOのGR Digital IIで迷っていた。Cyber-shotはモダンなデザイン、カールツァイスのレンズ、手ぶれ補正に光学4倍ズームと、Sonyらしい魅力的なカメラだ。一方GRは、レトロな感じと程よいフィット観、フィルムカメラ的で、プロがサブとして用いる名器だという噂は聞いていた。今年のグッドデザイン賞にもノミネートされている[Link]。
 何の知識もなかったので、うっかりと店員さんに「GRは光学ズームがないんですか?」などと聞いてしまった。すると店員さんはムッとして、
「ええ。このカメラは広角単焦点レンズを採用しておりますので光学ズームはございません。足で稼ぐんです。」
と言った。しまった。Cyber-shotとは全然別ジャンルのカメラだったのだ。そして、こう続けた。
「したがいまして、お客様の腕がそのまま写真に表現されます。」
がーん。そうなのです。誰がシャッターをきっても同じ写真が撮れるカメラとは違うのです。その瞬間、僕はGRを買うことに決めました。
 毎日GRを持ち歩き、素敵なシーンに出会ったら、すかさずシャッターをきりたいと思います。気に入った写真はBlogで公開します。



参考:


金曜日, 10月 10, 2008

美しき生命

 ミクロの理解が進めば進むほど、物質の理解が進めば進むほど、いよいよわからなくなるのは「生命とは何か」ということ。誰もが素朴に生命=物質+αと思うだろう。では+αはどこから来るのか?
 クォーク
よりも根源的な何か(おそらく超ひも)は、いつか天才が現れて、かくかくしかじかだと正体を暴いてくれるだろう。でも「生命とは何か」に僕らはいつか答えることができるだろうか?誰もが心から納得するただ1つの分かり方なんて、本当はないのかもしれない。1つの難しさは「私」にある。「生命は美しい」という言い方をするとき、それは自然と「私」という視点を含んでいる。つまり(我思う故に)生命は美しい、なのだ。私がなければ生命の美しさもまたない。つまり、物理的な事実のみに生命の生命らしさを帰することができない。
 ただ生命が分からずとも、自分の抱く生命観を「形」にして、多くの人と分かち合うことはできる。その意味において、アートの方が科学よりも生命の理解に近いのかもしれない。ColdplayのViva La Vida(美しき生命)は、最近僕が感じるところの生命観の1つの表現。いい!


木曜日, 10月 09, 2008

加速器のある風景

 ノーベル物理学賞受賞の興奮が覚めやらず、昨日の授業では「少し脱線します」と前置きをして、自発的対称性の破れCP対称性の破れについて学生たちに説明をした。そして、いかに今回のノーベル賞がすごいのかを力説した。しかし、残念ながら学生たちの反応はあまりなかった。常人の想像力の及ばない話なので無理からぬことかもしれないが、もうちょっとドキドキして欲しかった。
 先月、理研仁科加速器センターを見学する機会に恵まれて、研究員の方に施設を案内していただいた。ここでは宇宙の進化の鍵を握る元素の起源について研究をしている。写真は世界的にも珍しい超伝導リングサイクロトロン (SRC)。この日はメンテナンスのため、中を見ることができた。これでウランイオンを光速の70%まで加速する。理研が世界に誇れる結果は、新元素113番を発見したこと。初めて教科書の元素周期表に日本が命名した元素が加わるかもしれない。毎年春に理研は一般公開をしているので、そのときに見学できると思います。

水曜日, 10月 08, 2008

祝・ノーベル物理学賞受賞!

 南部陽一郎先生(シカゴ大学名誉教授)、益川敏英先生(京大名誉教授)、小林誠先生(高エネルギー加速器研究機構名誉教授)がノーベル物理学賞を受賞された。今年のノーベル賞はCERNの加速器LHCが動き出したこともあってか、素粒子物理学からの受賞となった。修士までは僕も素粒子物理を勉強し、加速器実験に携わっていただけに御三方の受賞はとてもうれしい。
 湯川秀樹(中間子理論)、朝永振一郎(量子電磁力学の理論)、両先生の伝統を引き継ぐ日本の素粒子物理。2002年には小柴昌俊先生がニュートリノの観測でノーベル賞をとっている。益川先生と小林先生は、CP対称性の破れに関する理論研究で、南部先生は自発的対称性の破れに関する理論研究での受賞となった。いずれも素粒子の標準模型が成立するために必要不可欠な理論。いわば”破れ”の物理学、と言える。標準模型は、最後のミッシングピースであるヒッグス粒子(物質が質量を獲得するためには必要不可欠な粒子が発見されれば理論が完結する(現在、LHCで検証実験が行われている)。素粒子物理は日本が世界に誇る学問分野。高エネルギー加速器機構スーパーカミオカンデで行われている実験がさらなる発見をもたらし、物質の起源や宇宙の起源の解明につながることを期待したい。
 最後に、素粒子物理の基本を知りたい人には、南部先生の「クォーク」というブルーバックスをお勧めする。10年前の本であるにもかかわらず、内容はちっとも古くなっていない。それから、僕の修士論文があったのでリンクします。
8-GeV電子ビームによるタングステン単結晶からの陽電子生成の研究

月曜日, 10月 06, 2008

アートのための数学

 数学はきらいじゃないけど、記号がビッチリと詰まった絵のない本を見ると怖じ気づいてしまう。物理畑出身の僕としては、具体的な現象を記述する術としての数学はがんばれるけど、現象の向こう側に鎮座する数学は神様のように遠い。しかし脳科学ブームのおかげか、分かりやすくてちゃんとしている数学の本がここ数年結構出版されている。数学にリベンジしたい人にはぴったりだ。
 今日紹介する「アートのための数学」は、情報系の学生たちにぜひ読んでほしい本。これは芸術学部での講義がもとになっているそうだ。目次は次の通り。
  1. 明るさを知るための数学
  2. カメラを知るための数学
  3. 光と音を知るための数学
  4. 美しい音の仕組みを知るための数学
  5. 赤緑青の3色を混ぜるとどうして白になるのか?
  6. 音階の決定法と倍々ゲーム
  7. 臨機応変な人間の感覚と対数
  8. 0と1で全ての数字を表す–デジタルな画像と色と音
  9. ペジエ曲線を使いこなす
  10. 写真加工とトーンカーブ
  11. 3次元の数学
  12. グラプとプログラミングでアニメーション
  13. 運動法則とアニメーション
  14. シンメトリーの世界
  15. 黄金比と白銀比
 普段はカメラや絵筆を持っている学生たちが、数学に四苦八苦している様子が想像できる。しかしアートという切り口でまとめられているで、数学も記述の道具と思えばぐっと敷居は低いだろう。何の脈絡もなくサイン、コサイン、タンジェントとやるよりも、ドレミと一緒に三角関数を習った方が飲み込みやすいはず。デシベルと対数の関係など、あやふやだった知識も整理された。天才はともかくとして、僕のような凡人にはMathematics in useというのはとても大事。

木曜日, 10月 02, 2008

自然と言語

 これは1999年にチョムスキーがシエナ大学(イタリア)に滞在した際に受けたインタビューに基づいて編集された本だ。自分に最も関係のある3章を読んだ。
  1. 編者による序論:言語理論における幾つかの概念と諸問題
  2. 言語と精神についての展望
  3. 言語と脳
  4. 極小主義のインタビュー
  5. 世俗司祭と民主主義の危機
 言語と脳の基盤的諸原理がどのように統合されるかに関して、チョムスキーは3つの立場を紹介し、3が最も妥当であろうとしている。
  1. 言語及び高次精神機能は生物学の一部ではない
  2. 言語及び高次精神機能は生物学の一部、かつ、統一化は手の届くところにある
  3. 言語及び高次精神機能は生物学の一部、しかし、まだ基盤知識が不十分なので統一化は時期尚早
 チョムスキーは言語の完全性をよく雪の結晶に例えるので、1の立場だろうと思っていたから意外だった(「生成文法の企て」の中ではそうだったはずだ)。物理と化学が統一を果たしたのと同じようなイメージで、脳と言語の統一を考えているようだ。さらにチョムスキーは3つのテーゼとして、マウントキャッスル(神経科学者)、ハウザー(行動生物学者)、ガリステル(認知神経科学者)らの考え方を紹介して、自分の見解を述べている。行動生物学のアプローチのところに気になることが書いてあった。
たとえば、鳥類について、「発達研究における随一の成功談」であるが、進化についての「納得のいく概要」は一切なく、ことによると納得のいかない概要すらなさそうである
要するに、鳥は言語発達のモデルにはなるけど、言語進化のモデルにはならないということだろうか?鳥を言語進化のモデルとする時は、収斂進化前適応を考えるので問題ないと思うけど。もちろん、これで意味的な側面を考えるのは難しいだろう。
 他にもディーコンの脳と言語の共進化に言及したりして、チョムスキーの博識さが伝わって来る。言語が脳という神経系にしか宿らないものなのか、それともある条件を満たせば、動物やロボットにも獲得できるのかはよくわからない。
 思考の糧として3章は一度読んでおいて損はない。全体的に翻訳は表現が硬くて読みづらいので、原著を読んだ方が良いかもしれない。

火曜日, 9月 30, 2008

久しぶりにいわきに帰省

 8月から9月中旬まで学会出張が続き時間がなかったため、先週末帰省した。僕の田舎は福島県いわき市。2003年までは市の中では面積が一番広かった。人口は東北地方では仙台市に続き二番目に多い [Link]。自然が豊かで気候も温暖。映画フラガールで一躍有名になったスパリゾート・ハワイアンズもある。
 小名浜にあるアクアマリンふくしま(右の写真)に行って来た。ここは世界で初めてさんまの養殖に成功したことで有名な水族館。建物はとてもモダンで格好良い。水族館の中は、川の上流から海の干潟に向かう順番で生き物たちが展示されていて見やすい。一番の見所は、イワシの大群が空間パターンを形成し、そこに2匹のゴマフアザラシがちょっかいをかけるシーン。巨大なアクリルの水槽でそれを楽しむことができる。アクアマリンふくしまの近くにはラ・ラ・ミュウという観光物産店があり、小名浜港の新鮮な海産物を買うことができる。いわき市にお越しの際はぜひ。
 最後に、勿来の関(いわき市勿来町にある)にまつわる源義家の和歌を紹介します。小さい頃、家族で歴史博物館に訪れた際に覚えて、今でも頭の中にあるとても好きな和歌。
吹く風を なこその関と思へども
道もせに散る 山桜かな

水曜日, 9月 24, 2008

ネコさまとぼく

 小松行きの飛行機に乗り遅れてしまい、羽田空港のソファーでカタカタしてる。ANAのカウンターで説得して、何とか空きのある便に乗せてもらえたが、次便は15:30。orz...。Airのバッテリーが切れるまで仕事をすることにします。その前に、最近の読んだ本を紹介します。
 動物写真家、岩合光昭さんの「ネコさまとぼく」。猫好きをうならせる絶妙なポーズと猫への愛情に満ちた文章が、ほのぼのとした気持ちにさせてくれます。試写体が野良猫というのも良い。僕は無類の野良猫好きだから。猫の写真を撮ったことのある方は分かると思いますが、猫はカメラを向けると、逃げる|そっぽを向く|やたらカメラに寄って来る、のいずれかの理由でなかなか自然な写真が撮れない。
 岩合さんの写真は、試写体の自然さ、空間構成、明暗、静動のコントラスト、これらが絶妙に混じり合って調和している。猫好きの方にお勧めの一冊です。デジタル岩合でいろんな動物の写真を見ることができます。
 左の写真は、彼女の飼っている猫のマーコ。おまんじゅうの入っていた皿でとぐろを巻いている。ちょっと顔が怖いが実はご満悦。

月曜日, 9月 22, 2008

神々のWeb3.0

 怪しいタイトルの本だが、読みごたえがあってちゃんとしていた。CERN(欧州原子核研究機構)のティム ・バーナーズ=リーがWWWの技術を作ったのが1991年。Windows95がTCP/IPを標準搭載したことから爆発的にインターネット(Web1.0)が普及し、現在はGoogleが牽引する形でWebが進化し続けている。ティム・オライリーがWeb2.0を提唱してから3年もたたないうちに、Webとそれを取り巻く環境は激変した。
 Web1.0は、放送局のように一方的に情報が流れる静的な世界。ユーザは受動的な情報の消費者となる。一方、Web2.0では、インターネットに接続した無数のユーザが情報を発信、受信、共有し、Webに新しい価値が蓄積される。つまり、ユーザは能動的な語り部となる。
 では、Web3.0とは何か?(ちなみに、こんな課題を授業で出した)本書では、ウェブがネットワーク型のメディアであるという動的な性質を更に有効活用して人間関係の解析やカスタマイズ性を高めた「個に密着したサービス」が出てくるだろうと予測している。そして、アテンション・エコノミー(人々の注意(アテンション)は有限のリソースであると考え、「いかに気をひくか」がWeb経済を駆動するという考え方)に要請される形で、言語とは違う新しい表現方法が創発する可能性もある。ユーザが日々蓄積していくWeb上の知識、その膨大な量を質へと転換できたとき、Web3.0ムーブメントは起きるのかもしれない。

金曜日, 9月 19, 2008

祝・論文受理!

 7月初めに投稿した論文「Ethological Data Mining: An Automata-based Approach to Extract Behavioral Units and Rules(動物行動学的データからのデータマイニング:オートマトンに基づいた行動単位と行動規則の抽出方法)」の査読結果が来て、minor revise(ちょっとの手直し)で一発受理された(こんなことはまず稀だ)。僕らの論文が掲載されるのはData Mining and Knowledge Discoveryというコンピュータサイエンスの有力な学術誌で、昨年度の評価は以下のようにとても高い。機会学習の分野に限れば、Machine Learningに次ぐ影響力を持つ。
Impact Factor: 2.42 (2007)
Section "Comp. sc., artificial intelligence": Rank 11 of 93
Section "Comp. sc., information systems": Rank 7 of 92
 査読者のコメントはとても好意的で、オリジナリティ、理論と解析の厳密さ、論文構成、いづれもレベルが高いとの評価を頂いた。そして二人の査読者のうちの一人は、なんと僕が発表をした学会会場にいたそうで、確実に研究が進んだことを評価してくれた。こんな偶然もあるんだなあ。大学の授業も始まり、あまりの忙しさのためにすっかりバテ気味だが、この調子で走り続けよう。

月曜日, 9月 15, 2008

September in New York part.4

 毎度のことだが僕は必ずどこか抜けている。行きのフライトは、寝坊して成田に着いたのが飛行機離陸の1時間前だった。夕方で受付がたまたま空いていたので、辛うじてセーフだった。国際線は最低でも2時間前がルール。帰りのフライトは、目覚ましをセットし忘れてこれまた寝坊。それでも朝8時だったので余裕だろうと思っていたら、なんと時計が1時間遅れていたorz。Pennステーションからニューアーク空港に向かう電車の中は生きた心地もしなかった。全ての荷物を機内持ち込みにして、こちらもかろうじてセーフ。次回、海外に行く時は気をつけないと。
 今回のNY滞在ではデータ解析自体はあまりできなかったが、OferとOlgaと突っ込んだ議論をすることができたのは大収穫だった。手持ちのデータで何を語るべきかについて、道に迷っていた観があるので、進むべき方向がはっきりした。最近、OferはBirdsong以外に、ソーシャルネットワークの研究にも着手し始めたようだ。きっとすごい結果を出してくるに違いない。僕もやろうとしている話題なので、負けないようにがんばろう。下の写真はCity College of New Yorkのキャンパス。

September in New York part.3

 9/13日(土)のオフはMoMAに行き、大好きなダリの記憶の固執(Persistence of Memory)と三度目の再会を果たした。そして、デザインショップで彼女のリクエストのSkyアンブレラを探した。残念ながら折りたたみのものは売り切れだったが、日本のMoMAショップでも買えるらしい[link]。この傘はとてもセンスが良くて、開くと内側に青空がプリントされている。どしゃぶりでも傘の中はいつも青空というわけだ。デザインが人をハッピーにする良い例。
 その後、5番街をぶらぶらして、タイムズスクエアやロックフェラーを見て、紀伊国屋のカフェでお茶をした。多様な人種がいることとトイレが少ないことを除けば、この辺りは東京とさほど変わりない。ちなみにトイレに困ったら、紀伊国屋に駆け込むと良いです。お土産を買って一度ホテルに荷物を置いた後、前にも行ったジャズクラブ(GARAGE)に行った。ここはドリンク代だけでジャズの生演奏が見れるのでとても良い。Ginessを飲みながらドラムの格好良さにしびれた。写真は世界の交差点、タイムズスクエア。

金曜日, 9月 12, 2008

September in New York Part.2

 連日ラボの人たちに親切にしてもらい、NYをとても快適に過ごしている。水曜はOlga一家とおいしい寿司を食べた。なぜ日本人を日本食に?と思うかもしれないけど、いまや日本食は高級食の代名詞で、ゲストを日本食レストランに連れて行くのは最高のもてなしなのだ。びっくりしたのは、魚の鮮度が東京とさほど変わりがなく、とてもおいしいということ(値段は高いけど)。一方、ラーメンや汁物はいまだにブー。夕食の後、Olgaの家に招かれて、3歳のZsofiと猫と遊んだ。Zsofiはポニョみたいな快活な女の子。去年理研に来ていた時より、ちょっぴりシャイになった気がする。
 木曜はOferが韓国料理に連れて行ってくれた。33stに向かう地下鉄の中でも研究の話が尽きなかった。僕がOferを尊敬しているのは、抽象的な概念を常に具体的な現象に落とし込み、誰もが納得できる形で定量化するという研究姿勢。そして、それをつべこべ言わずにやってしまう実行力。NatureやScienceにばんばん論文が載るのもうなづける。そのかたくなな態度のために、僕はOferとの議論に悲鳴を上げそうになったけど、とても勉強になった。面白い論文が書けそうな気がする。来年もまたOferのラボに来たい。おっと、NYで食べた韓国料理もおいしかったです。写真はOferと僕、韓国料理レストランにて。

水曜日, 9月 10, 2008

September in New York

 City College of New Yorkにいる共同研究者と議論をするためニューヨークに来ている。9月のニューヨークは気候が穏やかでとても過ごしやすい。滞在しているユースホステルが汚くて不便なことを除けば、everything is all right(West Side Innはまるでお化け屋敷のようなボロさと汚さ。そして、共通のバスルームの大半が壊れている。一泊80ドルもするのに、、、。ニューヨークに行かれる方には御薦めしません)。
 昨日、Oferのラボでセミナー発表をした。最近の成果を含め、ジュウシマツの歌学習の発達ダイナミクスの話をした。発表の途中でも容赦なく質問が飛んで来たので、当初1時間の予定が、結局2時間しゃべりつづけた。久しぶりにハードなセミナーだった。でも、このぐらいでないと物足りない。Oferもラボの人たちもすばらしいと褒めてくれた。
 その後、Oferは上機嫌で僕を日本食のレストランに連れて行ってくれて、すしランチと熱かんをおごってくれた。昼間から日本酒を飲んでもOKなんて、ニューヨークってほんと自由なんだな。その後、研究室に戻ってから暑い議論を再開したことは言うまでもありません。下の写真は散歩途中に立ち寄ったコロンビア大学の図書館とライオン。


木曜日, 9月 04, 2008

28歳からのリアル、32歳のリアル

「35歳までの過ごし方があなたを変える!萎えたオヤジにならないために知っておくべきこと全部。」ドキリとする見出しだ。立ち読みのつもりが、気になって購読した。要は具体的に大ゴールを決め、そこからの逆算で段階的に小ゴールを設定し、全てを数値化して管理する。GTD (Getting Things Done)と基本は同じ。研究以外で、自分がこれを疎かにしていたことに気付かされた。目次は次の通り。 
  • 28歳+ライフスタイル
  • 28歳+仕事
  • 28歳+マネー
 ところで、28歳の頃、僕は何をしていただろうか?学位を取り、理研で研究員を始めた頃だ。あれから4年がたとうとしている。ようやく自分の研究のスタイルが確立しつつある。生活のスタイルもそうでなくては。昨日、大学時代の友達から久しぶりに電話がかかってきて、飲み会をやることになった。来週はニューヨークに出張で、参加できないのが残念だ。きっとみんな、それぞれの道でそれぞれに活躍していると思う。今度会うときに胸を張って会えるように、32歳のリアルを見つめ直すところから始めよう。

土曜日, 8月 30, 2008

ゆらぐ脳

 最近読んだ本を紹介します。池谷裕二さんの「ゆらぐ脳」。以前、理研であったセミナーを拝聴して以来、注目している脳科学者(東大院・准教授)。この本は、木村俊介さんが池谷さんにインタービューをしてまとめたもの。文献も巻末に載っている。献立は次の通り。
  1. 脳を分かる
  2. 脳を伝える
  3. 脳はゆらぐ
 脳の分かり方について、池谷さんがどのような態度で研究に望んでいるのかが紹介されている。また2章では、研究におけるプレゼンテーションの重要さが書かれている。科学も人間の営みである以上、自分だけが納得していては駄目で、第三者に理解されて初めて意味をなす。研究資金を獲得するためにはこの能力は必須だ。研究費、研究費と、申請書に追われる生活はむなしいが、自分の研究費を獲得しなくては何もできないのもまた事実。
 池谷さんの脳観に1つ反論をさせてもらえば、「構造+ゆらぎ=機能」は多分間違い。あえて書くなら、「ゆらぎ<->構造<->機能」。先に構造があるわけではない。ゆらぎから構造が作られ、その構造をもとに機能が発現する。そして、機能は構造を変え、そのためにはゆらぎが必要になる。この3つのカップリングを通じて、安定と不安定を行きつ戻りつするのが、複雑系におけるダイナミックな脳観だ。実験であれ、モデルであれ、これをきちんと示すことが大事。

日曜日, 8月 24, 2008

LA小滞在記

 学会後、UCLAのChuckと会うためにLAに3日ほど滞在した。今回も大学のゲストハウス(UCLA Tivertion House)に泊まった。一泊15,000円なので値段はそこそこ(West Woodの相場は高くて一泊2万、3万は当たり前)。朝食付き部屋はきれい無線LANが使えるシアトルズベストのコーヒーが24時間飲める、など満足度は高い。写真は僕が滞在した部屋。
 1日だけ自由日があったので久しぶりに市内を散策した。実は初めての海外がLAで、大学の友達と卒業旅行で訪れた。その際UCLAにも訪れていて、「こんな開放的な雰囲気の所で研究してみたいなあ」と思ったものだった。10年後、夢が叶った。
 バスでダウンタウンに向かい、MOCA(ロサンゼルス現代美術館)やリトル・トーキョーの 周辺を散策した。日中は暑いのだが、日本と違ってカラッとしているので、ほとんど汗をかかない。美術館では「緑の週間」的な催しが、リトル・トーキョーで は日系二世たちのお祭りがあって、とても賑わっていた(コスプレした人がたくさんいた)。ダウンタウンは通りが1つ違うといきなり異国になる。ある通りは アメリカ、ある通りはメキシコ、ある通りはインドと、話されている言葉も行き交う人種もがらりとかわる。なるほど人種のるつぼだ。


 最後に、リトル・トーキョーで見つけたへんてこなビラを紹介します。求人募集らしいのだが、これで応募する人がいるのだろうか?


土曜日, 8月 16, 2008

Acoustic Communication by Animals 2008

 国際会議 [link] のためにオレゴンに来ている。オレゴン州立大学のあるコーバリス(Corvallis)は、ポートランド空港から高速バスで2時間半のところにある長閑な街だ。ゆったりと時間が流れている。一方会議は、毎日朝8時から夜8時までびっちりスケジュールが組まれていて、かなりハードだ。でも時間はあっという間に過ぎる。オレゴン初滞在は、ホテルと会議場との行き来で終わりそうだ。
 動物のコミュニケーションの国際会議は初めてだったので、どの話も新鮮で面白かった。そして、P.MarlarP.NarinsP. SlaterT. Fitch、この業界の大御所は皆話がうまい。僕は「ジュウシマツの歌の階層性と文法の発達的創発」(PDF)と題してポスター発表をした。この業界の研究者は動物が大好きで、できるだけ「ありのまま(as it is)」を知ろうとするので、KL-divergenceや有限オートマトンなどの抽象化された表現(動物行動の成れの果て)には興味が持ちづらいようだった。こういう学会では、動物のビデオや音声ファイルは必須だ。それでもSongbirdの研究者は興味を持ってくれた。
 それから、SlaterとFitchにEUREKAの宣伝ができたのは良かった。どこまで本気かわからないが、EUREKAのことは手放しで褒めてくれた。(Fitchにはポスドクを募集しているとスカウトされた)いい仕事をすると、こういうところでちゃんと評価をされるのでがんばろう。写真(上)は学会会場、(中)は滞在したホテル、(下)はオレゴン州立大学の競技場。




















土曜日, 8月 09, 2008

最後の授業

 パウシュはこんな風に語る。
僕が画家だったら、子供たちのために絵を描くだろう。ミュージシャンだったら曲をつくる。でも、僕は教師だ。だから講義をした。
この本は著名なコンピュータ科学者、ランディ・パウシュがカーネギーメロン大学で行った最終講義を書籍化したものだ。お題は「子供の頃からの夢をかなえる方法について」。インターネットで配信されて、全米では600万人以上の人が見たという。
 この講義の当時、パウッシュは膵臓癌が転移していることが判明し、余命数ヶ月と告げられいた。彼は講義という形を通じて、愛する家族と詰めかけた聴衆に、彼が大切にしてきたことをユーモアを交えて語った。これは、死を目の前にして真剣に生きている一人の人間の心の底からの言葉だ。
 YouTubeで見つけた講義をリンクします。一流の研究者、一流の教師、一流のエンターテイナー、一流の父親、一流の夫、そして一流の人間。彼の講義がそれを物語る。パウシュは2008年7月25日に亡くなった。



Links:

金曜日, 8月 08, 2008

EUREKA Wikiはじめました

 当初の予定から遅れること4ヶ月とちょっと。やっとこEUREKA ver.1.0をリリースしました。以前も紹介したけど、EUREKA = Ethoinformatical Utilities for Rule Extraction and Knowledge Dicovery = 「I have found it! (我発見せり)」というアルキメデスの言葉。行動の系列データを形式言語と見なし、言語統計言語モデルを使って解析するオープンソース・ソフトウェアです(ソースの公開にはもう少し時間がかかりそうだ)。
 公開にあたり、先週と今週はほぼ毎日徹夜で、学生がやらなかった全てのことをやった。特に、ウェブ(EUREKA Wiki)はがんばって作ったのでぜひご覧いただきたい。初心者にも使えることを目標に、ソフトもEUREKA Wikiもデザインした。間違いやわかりずらいところがあれば、ぜひ教えてほしい。今は僕が管理しているけど、EUREKA Wikiがある程度完成したら誰もが編集できるようにして、EUREKAに関する知識や経験を蓄積するための装置として活用したい。ユーザー参加型のマスコラボレーションがアカデミックでも動くかどうか、そして、EUREKAは動物行動学に新しい視点をもたらすことができるかどうか、これは実験でもある。

水曜日, 8月 06, 2008

1つの決断

 来年ラボを出てUCLAで研究をします。昨日のミーティングで僕の1つの決断を伝えた。留学するのはChuck Taylorのラボで、Artificial Lifeをとことんやろうと思っている。それから、Chuckの周りには言語学、神経科学、生態学の研究者が大勢いるので、これまで僕が生物言語チームでやってきたことを生かした研究ができると期待している。2009年4月から2010年3月まで向こうにいる予定で、その後の1年は、東大・金子研で学振研究の総括をする。
「アメリカに行けば何か変わるだろう」などという甘い考えは僕にはない。自分が変わらなければ何も変わらない。慣れ親しんだラボを出て、アメリカで新たな研究生活をゼロから始めようというのだからそれ相当の覚悟をしている。と同時に、来るべき新しい経験をとことん楽しもうとも思っている。自分には何ができるのか、そのことに懸けてみる。

 

土曜日, 8月 02, 2008

補講を終えて

 今週は補講を2つこなし、前期の授業を無事終えた。最終回はいつも情報学周辺を講義することにしていて、今回は「情報とコミュニケーションの科学(前編)」というテーマにした。[資料] 例年、学生たちが熱心に話を聞いてくれるので、僕も学期末の授業を楽しみにしている。今回のテーマは、目白大学で昨年行った講義がもとになっている。このときはT先生の配慮もあって、私語もなく、学生たちは講義内容に興味を持ってくれたようだった(一番興味を持ってくれたのは副主任の先生だった)。
 今回も「へぇー」とか「そうなんだー」とか、学生が熱心に聞いてくれることを期待したのだが、例年と空気がとても違った。相槌を打ってくれる相手がいぬまま一人で話をしているような感覚だ。何だか悔しくて悲しかった。「難しかったかなぁ?」とティーチングアシスタントの学生に聞くと「難しかったけど、私は面白かったです。」と言ってくれたので、少しほっとした。夏休み中、来学期の講義の内容だけでなく進め方についても考えないと。

木曜日, 7月 31, 2008

巨人の肩に立って

 ニュートンがフックに宛てた手紙の中で語った言葉。「私が他の人よりも遠くを見通すことができるのだとしたら、それは巨人の肩に立っているからです。」
Standing on the shoulders of giants
巨人の肩とは、先人たちが積み重ねてきた叡智のこと。「私一人の力ではない」というニュートンの謙虚さを示す例として紹介されることが多いが、本当のところは、宿敵フックが小柄であることへの当てこすりという説が妥当そうだ。(いずれにせよ、今日の自分があることに対して、「おかげさまで」をさらっと言える潔さは格好いい。)この言葉は、もともと西洋にある比喩で、Dwarfs standing on the shoulders of giants がオリジナルのようだ[Link]。そういえば、Google Scholarのサブタイトルもこれでしたね[Link]。
 Oasisのアルバムに「Standing on the shoulder of giants」というのがあるが、これは文法的には間違い。酔っぱらったノエル(Oasisのギターリスト)がタバコの箱に間ってメモをしたのが原因で、みんなが気に入ったためにそのままタイトルに使われたのだそうだ[Link]。 僕はこのアルバムの1曲目がお気に入り。最近また聞いている。曲のタイトルは放送禁止用語なので、ここに載せるのは控えます。



金曜日, 7月 25, 2008

There's something in the air

There's something in the air.(何か気配がする)

 Appleはキャッチコピーがうまい。これはMacworld Expo 2008のバナーに書かれていた文句。Macbook Air、ちょっとの無駄もない僧侶のような超精密機械。究極のアンプラグド。先週研究費で購入したMacbook Airが到着した。
 キーに触れた時のゆったり安心感は、昔使っていたLavieに似ているが、圧倒的に薄い!!(このLavieはその厚みゆえにDEBUという名前だった。今は妹が使っている。)移動中に壊れたりしないか心配になる。実際は筐体はアルミなのでがっしりしているけど。斬新なデザインも大きな魅力だが、僕の心をくすぐるのはMacOS Xの完成度の高さ。MacOS XはBSDがベースになっているので、UNIXとして使えて仕事がしやすい。MacPortsを使えばUNIX環境を整えるのも難しくない。
 研究室で使っているMac ProはNewtonという名前にしたので、Airは情報理論の父、Shannonから名前をいただくことにした(LinuxマシンはDarwin)。行くぞShannon!

火曜日, 7月 22, 2008

HEROES

 最近見ているDVDがHEROES。時空間を曲げる、空を飛ぶ、不死身、などの超能力を持った人物たちが、数奇な運命に導かれ集結していく。複数の人物のストーリーがパラレルにテンポよく展開し、伏線が次第に絡み合っていく。ストーリー細部の作りが甘い感じがするが、最近のSFの中では良くできていると思う(少なくともシーズン1は)。それから、ヒロ・ナカムラという日本人キャラが独特で面白い。
 シーズン1は木曜の深夜に日テレで放送している[link]。アメリカではシーズン2が終了し、この秋からシーズン3が放送されるようだ。この手のドラマは、最後の方はドラマのためのドラマになってしまって、ストーリーが台無しになるので(例えば、ビバリーヒルズ高校白書とかツインピークスとか)、このクオリティーが維持されることを期待したい。
 この連休は、HEROESを見た以外は、論文の投稿、EUREKAのバク修正、RMySQLの連携プログラム等々で時間が消えてしまった。気分も体調も夏ばて気味。あー、僕も時間を止める超能力が欲しい。
むむむ... (眉間にしわ&汗)。やったー!
そんなに甘くないか。

木曜日, 7月 17, 2008

ラーメンのち珈琲

 今日は学生たちの講義への反応が悪く、「何が良くなかったんだろう?」と自分の中に答えを探してみた。
404 Not Found
そんな時もあるさと、晩御飯を食べに行くことにした。前回、スープ切れのために食べられなかった、池袋の「鶏の穴」というラーメン屋さんに行った。[Blogの記事]
 5月にオープンした新しいお店で、この上がマッシュマンズカフェ。僕は白湯らーめん(680円)に味たま(100円)をトッピングした。太麺でスープはポタージュのような粘性と甘みがあり、上に鶏チャーシューと鶏そぼろがのっている。あっさりすぎず、こってりすぎず、おいしかった。Myはしを持参すると、味たまがサービスしてもらえます。
 さて、次は珈琲。久しぶりに「昭和」に行った。池袋の中では1番好きな喫茶店。残念ながら今日は定休日でした。なので、前回撮った写真をアップします。まさに昭和を思い出させる懐かしい感じのするお店。珈琲は600円ぐらいで、同じもののお替りは半額になる。帰るときには100円割引券をくれる。かなり長居ができるので、ほっこりしたいときはぜひ。

火曜日, 7月 15, 2008

ベルトの上のポニョ

 終電で家に帰ってくると、どうしても小腹が減る。そうすると、ついついコンビニで甘いものを買ってしまう。デザートコーナーに行くと、最近は特大スイーツがいい感じに冷えている。ボリュームたっぷりのチーズケーキにシュークリーム、そして致死量のプリン。POSデータによると、特大スイーツを買っていくのは男性客が多いそうだ。特に、夜の時間帯はほとんどが男性だということ(女性は夕方が多い)。僕はあまり沢山は食べられないけど、甘いものは大好き。
 最近の夜食ぐせと運動不足がたたってか、気がついたらズボンがきつくなり、お腹にやや貯えが。今日から夜食禁止で、ロードワークを再開することにします。週1回は泳ぎにも行きたい。ちなみにタイトルはこれのパクリです。これとスカイ・クロラは劇場で観たいな。

月曜日, 7月 14, 2008

22歳の鼻たれ小僧

 英文校閲から戻ってきた論文の原稿を仕上げた。初稿を書き終えたのが4月末だから、もう2ヶ月以上が過ぎた。(共同研究の事情があるので仕方ないのだか...) これから論文を一週間寝かせて、冷静になって自分の主張の弱点を探す。Data Mining and Knowledge Discoveryに絶対通す。
 ふと思う。10年前の小生意気で根拠のない自信に溢れていた、でも飽きれるほど「知る」に貪欲だった22歳の自分が、この論文を読んだらどう思うだろうか?「これは面白い研究だ!」と目を輝かせただろうか?今の僕は22歳の僕よりもいろんなことを知っている。でも、彼はきっとこう言うだろう。
「それって本質的なの?」

「できない?できるようになればいいんじゃん。」

「やる前から答えがわかってるなら、ドリルを解いているのと変わんないよ。」
 腹が立つことこの上ないが、直球ど真ん中で、ミットで受けてもひりひりジンジンとする言葉だ。でも、このぐらいの若さと勢いを持ち続けたい。いや、22歳の鼻たれ小僧なぞ一喝できるぐらいでないと。そして、「たら」「れば」なんて、口が裂けても言わない。言ったら500円玉貯金。

土曜日, 7月 12, 2008

学会巡業夏編2008

 今年は意図的に出席する学会数を減らしたけど、夏から秋にかけて学会が集中するので、7、8、9は準備に追われることに。このプレッシャーを逆にやる気に変えてがんばるべ。これから出席する学会はこんな感じ:
  • The 2nd Acoustic Communication by Animals
     オレゴンで開催される動物の音声コミュニケーションの国際学会、僕は「Developmental emergence of Hierarchy and Syntax in the Bengalese Finch Song」という題でポスター発表をします。[アブストラクト] 鳥の歌研究の大御所、P.Marlerさんが招待公演で来ます。僕のポスターを見に来てくれないかな。この後に、UCLAChuckのラボに行きます。
  • The 10th International Conference on Music Perception and Cognition (ICMPC)
     これは北海道。ボスが企画したシンポジウムにパネリストとして参加します。初めての経験です。お題は「音楽と言語の起源と進化」というような感じだったと思う。同じメンバーで理研でもシンポジウムをやります。
  • 第27回日本動物行動学会
     これは金沢。昨年から参加し始めた学会で、こじんまりとしていて、たくさん議論ができるので好きです。これから参加要旨を書きます。
 この他、9月はOferの所に1週間滞在し、箱詰めになってデータ解析と論文書きをやります。せめて宿はくつろげる所をと思ったら、高すぎでホテルは泊まれません。ニューヨークのホテルは一泊$300(3万円ぐらい)なんてざら。結局、ユースホステルの個室にしました。これでも一泊$80以上します。しかも、部屋は汚くてインターネットが使えない。東京では考えられない。幸多き学会巡業となるか?

月曜日, 7月 07, 2008

「キーボードを占領する猫」と戦う貴方への最終兵器?

 スラッシュドットで、「キーボードを占領する猫」と戦う貴方への最終兵器という記事があった。[link] 確かに、ポテチコーラは三大キーボードの敵だ。コーラをこぼしたら一発でおじゃん。ポテチの場合はダストブロワーでシューシューする必要がある。そして猫の場合は、猫専用棚「Kitt-In Box」?
 どうなんでしょこの棚。本当にこれで猫はキーボードでなく、棚にゴロンとしてくれるのかな。彼女の飼っているトラオさんは無理だろうな。なぜならば、



だから。(猫の器が大きいということです)トラちゃんには出演料として、後ほど鮭棒を謹呈します。

スティーブ・ジョブズ 神の交渉力

 Steve Jobs。なんという凄まじい個性なのだろう。程よい距離では温かく、近づき過ぎると焼き殺されかれない太陽のような熱。良いとか悪いとか、そんなありきたりの物差しは当てはまらない。ジョブズのまねなどできないし、しても意味ないが、彼ぐらいの気概は持ちたいものだ。目次は次の通り。
  1. 「言い方」は「言い分」より交渉を支配する
  2. 弱い見方は潜在的な敵方である
  3. 妥当な案より「不当な案」で交渉を動かせ
  4. 最善の説得術は棍棒でたたくことだ
  5. 楽観は考えなしだが、悲観は能なしだ
  6. 失敗と思わなければ決定的失敗ではない
  7. 「待ち」は勝ちの重要な一部をなす
 本書では、スティーブ・ジョブズの様々なエピソードが熱く紹介されている。最近流行っているビジネス本ではない。ただし、書きかたに癖があり、ジョブズvs.凡人のような二項対立の形式をとっているため、好き嫌いが分かれるだろう(Amazonでは酷評されている)。僕は楽しく読めた。

日曜日, 7月 06, 2008

脳と身体の動的デザイン

 先週、先々週と駒場で多賀さん集中講義を受けてきた[link]。テーマは「人間の発達脳科学」で、今週木曜が最後。多賀さんの講義は、学生の頃から機会があるごとに出ている。その都度、自らのゴールに向かって研究が着実に進んでいて、本当にすごいなあと思う。
 心理学で当たり前のように語られる静的な発達観(例えば、ピアジェ)はしっくりこず、多賀さんや谷さんがやっている力学系アプローチ動的発達観の方がしっくりとくる(このやり方にも問題はあるのだが)。僕はジュウシマツをモデル生物として、歌学習の発達ダイナミクスを研究しているので、この講義内容はとても参考になった。また、講義中にいろいろなアイディアが浮かんだ。「脳と身体の動的デザイン」という本に、多賀さんのこれまでの研究が分かりやすくまとめられている。Thelen & Smith 1993よりも内容がちゃんとしている。また、TODAI.TVで講義を見ることができ、資料もある。[link]

火曜日, 7月 01, 2008

活力を与える「物理」

 7月になり、日差しが夏らしくなってきました。太陽の光ように熱い情熱月の光のような熱すぎない冷静さで、研究をがしがし進めたいと思います。
 さて、最近図書館で借りて読んでいる本を紹介します。鈴木増雄先生(現 東京理科大学)の”活力を与える「物理」”。物理学会に行くと、鋭い質問やコメントを飛ばしている鈴木先生をお見かけします。僕の先生である池上さんの先生です。目次は次の通り。
  1. 「もの」の総量は増えたり減ったりしない? - 質量とエネルギーの保存則について
  2. 自然をより深く理解することが物理の基本 - ルシャトリエ・ブラウンの原理から散逸最小の原理まで
  3. 無秩序から秩序への臨界点での特徴は何か - フラクタルと自己相似性
  4. 水が凍るという自然現象が教えてくれるもの - 物理学的、数学的な秩序と無秩序とは?
  5. 秩序が生まれる、秩序が無くなる「限界」とは? - 相転移のメカニズムを探ってみよう
  6. 拡張・変換の視点で限界・困難を乗り越える - てこの支点から変換の視点へ
 目次からわかるように、このコンパクトな本の中に物理のエッセンスがぎゅっと詰まっている。物理学を知り尽くした人にしか書けない本だ。例えば、理科の授業で習う質量保存則エネルギー保存則が、相対性理論のE=mc^2(E:エネルギー、m:質量、c:光速)で統一的に扱えること、さらに素粒子の世界でも保存則が成り立つためには、4次元(3次元空間+時間)では足りず、もっと高次元(正確には10次元)の時空が必要になること(それを扱うのが超弦理論)、がすっきりと説明されています。学部時代に、こういう鳥瞰図を手に入れたかった。物理学科を卒業した人にこそ読んでもらいたい一冊。

土曜日, 6月 28, 2008

泳げ、走れ、飛べ、たいやき君

 今週の水曜は早めに講義を終え、帰路に着いた。お茶するところを探していたら、前から気になっていたたい焼き屋さんの前に出た。このお店は早く閉まってしまうので、チャンスと思って1つたい焼きを買った。150円成り。
 「はふ、はふ、もぐ、もぐ。」 うまい!表面が固めで、こんがりと香ばしく、しっぽにまであんが詰まっている。素朴で、甘くって、温かくって、とっても幸せになれるたい焼き。僕はこの手の「はふはふ系」が大好き。たい焼き、たこ焼き、今川焼、お好み焼き、もんじゃ焼き。うーん、じゅる(よだれ)。
 たい焼きですっかり元気になって、心なしか仕事用のバックも軽い。よし、帰るか。そんな時一通のメールが、、、。
笹原先生、ノートパソコンを忘れませんでしたか?
大学の助手さんが親切にメールを送ってくれたのだ。あ"ー!講師控室にVaioを置きっぱなしだった。どうりでバックが軽いわけだ。反省、たい焼きよりも甘い自分の気持ちを引き締めます。(この後、Vaioを送って頂きました。どうもありがとうございました。

月曜日, 6月 23, 2008

冷えたビールを1杯ちょんまげ!

 担当だったVerbal Behavior(スキナー著)の8章後半が終わった[レジュメ]。ふう。とても難解で、読んでも読んでもわからないことがある。しばらく読み進めるうちに、実は冗談なのだということに気づき、愕然とすることもある。
 特に例は的を射ていないくてひどいものもある。エコーイック行動(反響行動)がなかなか止まらない例として挙げられていたのが、冷えたビールを手にした(おそらくビールを宣伝している)人の「冷えたビールを1杯ちょんまげ!」というセリフ。ん!?良く分からない。Y崎さん曰く、スキナーのウィットにとんだジョークらしい。しかし、これでは吉本には入れまい。僕なら、「3の倍数と3のつく数字のときだけアホになる世界のナベアツのネタをイントラバーバル行動(内言語行動)の例として挙げるかな(これもダメか:-)。チョムスキーとの言語観をめぐっての対立は有名な話だが(ここが詳しい)、スキナーにはお茶目な一面もあるようだ。
 そういえば、こんな記事があって笑ってしまった[link]。小学生がお笑いのまねをするのはよくあることだが、低学年に教科書を読ませると、倍数の概念がわからないため、1から100まで全部アホになってしまうそうだ。スキナー的にはこれはエコーイック行動なのかな?

日曜日, 6月 22, 2008

ジャン=ポール・エヴァン

 チョコレートケーキがおいしいとの評判を聞いたので、彼女の誕生日祝いを兼ねて、伊勢丹の地下一階にあるジャン=ポール・エヴァンに行って来た。6/14に東京メトロ副都心線が開通したので、最寄り駅の地下鉄赤塚から新宿三丁目までは20分ぐらいで着いた。店はチョコを買う所と喫茶の2つに分かれていて、カップルや親子連れがひっきりなしに店に訪れていた。喫茶に入るのに30分ぐらい待った。
 メニューを見ると、10種類ぐらいのチョコレートケーキがあった(エクレアは残念ながら売り切れ)。ケーキの値段はクオリティからするとまずまずで、600円ぐらい。でも、飲み物は高め。ホットチョコレートが1,200円、紅茶が800円ぐらい。僕はバニラ風味のチョコケーキとホットチョコレートを頼んだ。もぐもぐ。さすが、パリのトップ・ショコラティストのチョコケーキだけあって、しっとり濃厚で自己主張のあるケーキだった。ただ、チョコケーキの後味をホットチョコレートとで消すことはできず、組み合わせを間違えた。たぶん、紅茶の方が相性が良かったに違いない。バレンタインデーやホワイトデーには、大混雑するんだろうな。チョコ好きの方は、自分にご褒美デーに一度いかがでしょう。

僕的採点
  • 珈琲: ない(ホットチョコレートは高いけどおいしい)
  • ケーキ: ☆☆☆(しっとり濃厚なチョコレートケーキ)
  • 雰囲気: ☆☆(伊勢丹のお客が目の前を行き来する)

金曜日, 6月 20, 2008

ガンダムで英語を身につける本

 理研の紀伊國屋で英語のコーナーをぶらぶらしていたら、この本が目にとまった。「ガンダムで英語を身につける本」だと。どれどれ。あら、面白いじゃない。場面ごとにガンダムのセリフが英語に翻訳され、文法の解説と日常会話に応用できるフレーズが紹介されている。とても読みやすいし、ちゃんとしている。注文した「実践ロイヤル文法」よりも英会話に使えそう。ネタばれにならないように2つほど有名なフレーズを紹介する。まず、「二度もぶった!おやじにもぶたれたことがないのに!」はこうなる。
That's twice! Even my dad never hit me!

なるほど。そしてこれ。「シャアが出てくるわ。必ず、来る。」
What about Char? He'll come for sure.

そうきたか。ガンダム世代にはとっつきやすいかもしれない。




水曜日, 6月 18, 2008

不機嫌な職場

 「あなたの職場がぎすぎすしている本当の理由」というドキリとする帯に惹かれてこの本を買った。会社だろうが大学だろうが、多様なバックグラウンドを持った人たちが、タコつぼ化せず、協力しながら生産的に活動するにはどうすればいいのか、これは尽きない悩み。
 期待をして本書を手にしただけに、ちょっと「んー」な内容だった。不機嫌な職場の現状を記述した後、それを、役割構造評判情報インセンティブという枠組みで読み解く。そして、社会的交換理論(人や組織関係を有形無形の資源のやり取りと見なして分析する文化人類学の考え方)で説明を試みるのだが、ピンとこない。こういうのを当たり前と言ってしまったら身も蓋もないのだろうけど、僕には正直しっくりとこなかった。ただ、実際にGoogleなどの企業がどのような努力をしているのかという具体例が紹介されているのは参考になった。研究者の場合、タコつぼ化の危険性は常に伴うので、念頭に置いておきたい。目次は次の通り。
  1. いま、職場で何が起きているのか
  2. 何が協力関係を阻害しているのか
  3. 協力の心理を理解する
  4. 協力し合う組織に学ぶ(この章は面白い)
    1. グーグル
    2. サイバーエージェント
    3. ヨリタ歯科クリニック

  5. 協力し合える組織をつくる方法
  6. 協力への第一歩の踏み出し方

金曜日, 6月 13, 2008

iPS

 新しいAppleの製品ではない(もちろんそれを意識したネーミングだけど)。induced pluripotent stem cell(iPS細胞、人工多能性細胞)の略で、山中伸弥教授[link]が世界で初めて人工的に作るのに成功した万能細胞のことである(iPS細胞だけでは個体はできないので、正確には多能性細胞)。ずっと気になっていたので、iPS細胞の本を一気に2冊読んだ。復習を兼ねて簡単にまとめてみたい。
 そもそも、トカゲの尾は切ってもまた生えてくるのに、人の体はなぜ再生しないのだろう(トカゲは尻は生えるが骨は生えないそうだ)。この再生能力の違いは幹細胞の違いにある。幹細胞とは簡単に言うと、様々な体の部位(目、脳、骨、内蔵など)の細胞に分化する能力を秘めた細胞のことである。幹細胞をコントロールすれば、原理的にはどんな臓器でも作り出すことができる。
 以前は、ES細胞(embryonic stem cell、胚性幹細胞)が盛んに研究されていた(黄禹錫(ファン・ウソク)教授の捏造事件は記憶に新しい)。しかし、ES細胞は(人になる可能性のある)受精卵を壊して作られるため、倫理的な問題があった。さらに、他人から作られたES細胞では移植した際に拒絶反応が生じる。
 一方、iPS細胞の場合は、材料は自分の細胞でよい。これに遺伝子を人工的に組み込み、細胞分化をリセットすることでiPS細胞が得られる。自分の細胞が材料ならば、拒絶反応もないし、倫理的なハードルも(ES細胞に比べれば)低い。山中教授が人で作り出したiPS細胞は、女性の頬の皮膚細胞が材料だそうだ。つまり、「頬の細胞に魔法をかけて心臓にしてしまう」というようなことが可能になったのだ。再生医療だけでなく、倫理や経済、そして「生命とは何か?」という本質的な問いを巻き込んで、iPSはますます注目されるだろう。僕が読んだ本は以下の2冊。生物の予備知識のない方は上、ある方は下を読まれることをお勧めする。

日経1年生

 僕が思い描く朝の理想風景。目覚ましが鳴る5分前にすっきりと目覚め、こんがりトーストにマーマレード。そして、とびきり香りのよい珈琲を飲みながら日経(日本経済新聞)を斜め読みし、次の一手を考える。なんてできたらいいのにね。実際はこう。夜更かしと低血圧のため、目覚ましと3度の格闘の末にしぶしぶ起床。シャワーを浴びたら、朝食抜きで職場に直行。ちゃりちゃり。そして、マウントレーニアを飲みながら、たまった書類仕事を昼飯までに片付ける(マウントレーニアは大好き)。理想は高く果てしなく遠い。
 実際、朝は日経を読んでいる時間はないので、僕は「聞く日経」というポッドキャストをiPodにつめて、情報を仕入れるようにしてる。日本経済新聞のポイントを30分程度で解説してくれるので、通勤の間に聞くことができて便利。あとは、朝日、日経、読売の比べ読みができる「あらたにす」をざっと見ればバランスよく情報を吸収できる。
 それから、もう1つ好きなポッドキャストが「日経1年生」。長谷部瞳が疑問に思った日経の記事に、解説者が分かりやすく答えるという形式の番組。長谷部瞳の屈託のない人柄がとても好感が持てる。こちらの内容は単行本にもなっている。Amazonで日経1年生で検索すると、長谷部優の写真集がひかっかかるのは何故だろう?思わずクリックしてしまったが :-)

火曜日, 6月 10, 2008

More than words

 押入れからストラトをひっぱり出してきて、久しぶりにこの曲を弾いた。ギターの弦も僕の腕もすっかり錆びていた。ヌーノの美しいアコギの音色とゲイリーの力強い声。今の半分の年だったギター小僧を魅了し、以来ずっと僕のナンバーワン・ラブソングだ。YouTubeにあがっていたのでここで紹介したい。Extremeの"More than words".



 学生の頃、クラブチッタで一度だけ生ヌーノを見たことがある。ファンキーかつ正確なギタープレイが恰好良かった。Extremeが再結成されるとのうわさがあるので、期待したい。ちなみに、More than wordsはセカンドアルバムのPORNOGRAFFITTIからシングルカットされ、ビルボードで1位になっている。

土曜日, 6月 07, 2008

何気ないスナップショット

 いつも頭の中は「あれしなきゃ、これしなきゃ」で満杯で、時間感覚が麻痺しているなあと感じることがある。日常の些細なことにハッとできる感受性とゆとりを大切にしたいものです。今日は、僕が最近遭遇した何気ない場面を2つほど紹介します。
 1枚目の写真は、僕が住んでいるアパートの近所のわんこ。かなりのおじいさん犬で、両目ともに白内障のため目が見えません。しかし、とても家族から大切にされていて、寒い日などは毛布をかけてもらって、ぬくぬくで寝ています。時々、首輪をはずしてもらって、飼い主さんとゆっくりゆっくり散歩をしています。飼い主さんが、「そっちじゃないよ、こっちだよ」と言って手をパンパンと叩きます。できるだけ自力で犬小屋に辿りつけるようにガイドしているのです。幸せなわんこです。
 2枚目は、講義を終えて、唐木田駅に向かう途中の横断歩道の所にいたにゃんこ。僕が近付いたら、餌をくれると思ったのかニャーと言いながら寄ってきた。携帯のカメラを向けると、猫は突進して来るのでなかなか良い写真が撮れないのだけど、これは偶然とれた1枚。信号機のピクトさんとにゃんこの組み合わせが絶妙です。

木曜日, 6月 05, 2008

アニョハセヨ、カムサハムニダ、これジュセヨ

 先週末、彼女と韓国旅行に行ってきた。国際会議でいろんな国に行ったが、アジアはこれが初めて。この時期、ソウルは日本よりも2時間ぐらい日が長く、半袖でも暑いくらいだった。
 初日は明洞(ミョンドン)に行った。明洞は古くからある繁華街で、たくさん飲食店があり、買い物客で賑わっていた。骨付きカルビの値下げチケットに惹かれて、ふらっと焼き肉店に入った。セットメニューが110,000ウォン。10ウォンが約1円なので、決して安くはないが、本場の焼き肉はおいしかった。ちなみに、食事を注文するとキムチがデフォルトでついてくる。これがまた旨い。
 その後、彼女のリクエストでエステに行った。おじさんに体をゴシゴシされ、おばさんに体をモミモミされるのは、シチュエーション的に微妙だが、気持ちよかったので良しとしよう。
 お勧めなのが仁寺洞(インサドン)のお散歩。ここには韓国伝統の工芸品、カフェ、レストランがたくさんあってとても楽しい。ちょっと足を延ばせば、景福宮昌徳宮(世界文化遺産)にも行ける。ちなみに、僕らが行った日はデモが一番ひどい時で、帰りはものすごい数の警官たちが景福宮の周辺にいた。
 写真は、今年の2月に燃えてしまった国宝1号の南大門その後(と僕)。2012年の再建を目指して目下工事中。韓国語をマスターして、2012年以降にまた韓国に行きたい。

土曜日, 5月 31, 2008

輪読会

 理研に来てからずっと輪読会を週一ぐらいのペースでやっている(ここ数年はみんな忙しくて、ペースが落ちてしまったが)。読みたい本を1冊選び、持ち回りで各章の内容を発表し、みんなで議論する。1人では難しくて挫折してしまうような本も、これならば気合いが入るので頑張って読める。参加者は個性派ぞろいの猛者たちで、議論がとても楽しい。ときには3時間近く甲論乙駁することもある。これが輪読会の醍醐味。
 今読んでいる本は、行動主義心理学の巨人、スキナーのVerbal Behavior(言語行動)。ちなみに、この本はAmazonで品切れになっているが、Skinner Foundationから直接購入できる(もれなく、スキナー・シャーペンも付いてくる)。これまで読んだ本の中で1位、2位を争うぐらいの難解な本だ。
 今回は僕が、8章のVerbal operant as a unit of analysisの前半を担当した[レジュメ]。講義でくたくただったのと、スキナーの考えが独特なので、重要なポイントを把握するのにかなり時間がかかった。スキナーの言語観は次のように言うことができる(と思う)。
  • 記号体系としての言語ではなく、個人行動としての言語行動を分析する
  • 真空中に言語は存在せず、使用、媒体、文脈、社会のドロドロの中にあってこその言語
  • 意味は実体ではなく機能
これらの考え方は、チョムスキー派の考え方と真逆で、認知言語学複雑系の考え方に近い。ただし、スキナーは徹頭徹尾、言語行動の制御変数の分析に終始する。このかたくなさが恰好良くもあり、腹立たしくもある。おでこの広さは伊達じゃない。
 これまでに読んだ本は次の3冊。生成文法の入門書「The Atoms of Language」、言語発達に対する認知言語的アプローチ「Constructing A Language」、力学系的認知観「A Dynamic Systems Approach to the Development of Cognition and Action」。いずれも良書です。





月曜日, 5月 26, 2008

マスコラボレーション

 ウィキノミクスという本を読んでいる。ウィキノミクスとここで呼んでいるものは、次の4つが伴ったWebの使用が創造する新しい知の在り方のことだ。
  1. オープン性
  2. ピアリング
  3. 共有
  4. グローバルな行動
マスコミュニケーション(マスコミ)が一方通行の情報の流れであるのに対して、ウィキノミクス的な世界では、すべての参加者が能動的な情報の受信者かつ発信者であり、マスコラボレーションが成立する。現在、あらゆるものがオープンになり、ユーザーによって新しい価値が生成される様は、
  • Wikipedia みんなで作る現在進行形の辞典
  • Wikibooks みんなで作る現在進行形の教科書
  • Wikiversity みんなで作る現在進行形の大学
などを見れば一目瞭然だ。
 さらに、最近は大学もこの流れに乗ろうとしていて、東大もMITもいくつかの講義(と講義資料)を公開しており、無料で見ることができる。
ただし、どう見てもWikiシリーズと比べて、しぶしぶ感がするのは否めない。苦労して準備した講義資料をただで配るよりも、教科書にしてお金を稼ぎたいというのが教員の本音なのだろう(ちなみに、僕は講義資料をすべて公開している)。アカデミックの世界にもウィキノミクス的な風が吹くかどうかは、興味深いところだ。情報を囲い込むのではなく、公開することで不特定大多数とのコラボレーションの道が開け、それによって自分もみんなもハッピーになる、そんな知の在り方が今生まれつつある。

日曜日, 5月 18, 2008

マッシュマンズカフェにて

32回目の誕生日を迎えた。32=2×2×2×2×2=pow(2,5)、二進数だと100,000。学振1年目。研究室はレビューの年。いろんな意味で節目の年。今日は午後から池袋のマッシュマンズカフェで、コーヒーを飲みながら論文の直しと今後の計画を立てた。店内は、赤い壁にロックな人たちの写真、独特の家具、常にロックが流れている、そしてメニューにはホットコーラなんてある、ファンキーで変なカフェ。これはこれで僕は好きだ。
 今日はいまいち気分が乗らない。32という潔い偶数になり、天気がこんなに良くて、コーヒーもチョコバナナプリンもおいしいのに、心がどんよりと暗いのはとても寂しいことだ。ならばどうすれば良いのか?こうしてもんもんとしている間にも、Googleは己の哲学[Link]を引っさげて、”Make the world a better place”をとてつもないスケールで実行している[講義資料]。そして、次のような言葉で学生たちをencourageしたSteve Jobsは、3番目の林檎(1番目はアダムの林檎、2番目はニュートンの林檎、3番目はApple Inc.、4番目は冷蔵庫の中の朝食リンゴ、なんて:-) を蘇らせ、メディアの在り方を根底から変えている。
Your time is limited, so don't waste it living someone else's life. Don't be trapped by dogma -- which is living with the results of other people's thinking. Don't let the noise of other's opinions drown out your inner voice. And most important, have the courage to follow your heart and intuition. They somehow already know what you truly want to become. Everything else is secondly. -- Steve Jobs
やりたくないことやらないようにがんばるのではない、やりたいことやるのだ。

僕的採点マッシュマンズカフェ
  • コーヒー: ☆☆(ブレンドコーヒーは400円。味は値段相応かな。)
  • ケーキ: ☆☆(オリジナルのデザートが多い。隣の女の子たちが食べていたパスタと焼き飯がおいしそうだった。)
  • 雰囲気: ☆☆(好き嫌いが分かれるところ。僕はロック好きなのでOK)

よーく考えよー、お金は大事だよー

 今月はお金について考える機会が多い月だった(まだ5月は終わってないけど)。
  • その1 学振の給料がまだ入ってこない。育英会の奨学金と同じで、年度の初めの月の給料は次月にまとめて入るのだ。つまり、4月分は5月まで御預け。何かと出費が多い時期だけに厳しい、、、。
  • その2 学振から頂ける軍資金は予想を大幅に下回り、来年以降も変わらない。削減のしわ寄せがこんなところにも来たのか。学振は外部資金を獲得することが禁止されているため、これでやり繰りせねばならない。
  • その3 8月にオレゴンでやる国際会議[Link]に行くための航空チケット代を立て替えた。夏休みということと、学会の後にUCLAによるために周遊航空券(複数都市に滞在できる券)を手配した。な、なんと、ガソリン代と税金を含めると24万6千円成り。飛行機でブーンと飛んで、ブーンと帰ってくるだけで、このお値段。高いー!これで今年の旅費は終了です。
  • その4 Life Cardは誕生日月ポイント5倍、ということで、カードを取得。数ヶ月前からできるだけカードで払えるものは全てLife Cardで払うようにした。これで、年間数千円分のポイントになる。カードや銀行などのことをWebで調べて、お金の有効な使い方を考えさせられた。
 「お金は大事だよー」ということで、最近読んだ本を紹介します。「14歳からのお金の話」。物々交換から始まって、お金や株の仕組み、政治や経済の仕組みをわかりやすい説明とかわいいイラストで説明してくれる。32歳にも価値ある一冊。


 もっと進んだ話題については、「スタバではグランデを買え」が面白かった。なぜ携帯電話が1円で買えるのか?100円ショップの前にある自販機で120円のジュースが売れるのはなぜか?経済というのは奥が深い。

月曜日, 5月 12, 2008

フラガールだっぺ

 僕が生まれ育った町、福島県いわき市にある常磐ハワイアンセンター(現 スパリゾートハワイアンズ)を舞台にした映画、「フラガール」を観た。この作品、公開前は全く注目されていなかったそうだが、日本アカデミー賞を含めて5つも賞をとったそうだ。僕も「そんなにいい映画なの?」と半信半疑だったが、感情移入するのに時間はかからなかった。見覚えのある炭鉱の風景、炭鉱と共に生きる人々の暮らし、聞き慣れた方言。そうです。僕はここで生まれ、ここで育ったのです。僕が過ごしたのは閉山後なので(僕が生まれた1976に常磐炭鉱は閉山[Link])、炭鉱の栄枯盛衰の詳細は知らない。でも、僕が通った小・中学校は、かつては炭鉱で働く家庭の子どもたちが通ったマンモス校で、確かに校舎にはその面影があった(今はどちらも新校舎になってしまった)。
 実在の人物がモデルになっているそうで、松雪泰子、蒼井優、豊川悦司など、個性的な俳優陣が味のある演技をしている。特に素晴らしいのがフラダンスのシーン。きれい!そして、蒼井優のダンスが素晴らしい。世の男性陣は気づいたに違いない。蒼井優×方言×フラダンス=最強、の法則。常磐ハワイアンセンタ-を作品にするなど普通は思いもよらないし、それがここまでのエンターテイメントになるなんて、すごい!まだ観てない人はぜひ観てほしい。ウクレレの挿入歌も素敵。ジェイク・シマブクロのCD、ええ、買いますとも。


木曜日, 5月 08, 2008

ほろ苦いアイスコーヒー

 水曜のデフォルト。大学での講義を終えると、浅い眠りのまま電車に揺られ、気がつくと新宿に着いている。講義内容を頭の中で反芻し、良かったところ悪かったところを一人反省会する。今日は、皇琲亭([Link])がその会場となった。
 薄暗い照明がアンティークのテーブルを照らし、店内にはジャズが流れている。そして、正装した店員さんが手際よく仕事をこなしている。プロの仕事というのはほれぼれする。コーヒーを入れ、お客さんに出す、この一連の流れに確立したスタイルとマナーがある。僕はアイスコーヒーとオレンジケーキを注文した。珈琲はよくここで飲むけど、ケーキは初めて食べた。やや小さめで、しっとりとしたスポンジとマーマレードがマッチしておいしかった。ここのコーヒーはやや高めだが、ケーキは450円程度。
 ガムシロップ控えめのアイスコーヒーを飲みながら、今日の授業を振り返った。「Aha!」という学生の表情に一喜し、「全然わかんない」というコメントに一憂する。単に事実を列挙するなら教科書を読めば済む。でも、講義というのは1つのストーリーでなくてはならない。だから、毎回、自分の言葉でストーリーを紡ぎ、学生のリアクションに一喜一憂する。今日はほろ苦い。
 

日曜日, 5月 04, 2008

zoom, zoOM, ZOOM

 休日だったので池袋をぶらついてきた。お昼を食べようと思ったのだけど、食欲がわかないし、頭がボー、体はダルッ。どうしたものかと歩いていたら、「ほぐしや」という指圧鍼灸治療院の看板が見えた。昔、鍼でひどい首のコリが消えたことがあったので、久し振りに鍼をうってもらうことにした。
 首、肩、腰が凝ること(これは立派な職業病)、冷え性で胃腸の調子もよろしくないことを告げて、後は担当者にお任せした。背中、腰、首の順に凝っているつぼを探して、リズミカルに鍼をさしていく。とんとんとん。さすがに的確だ。最初はチクッとし、その後にZoomという鈍痛が走る。場所によってはとても痛い。自分では意識していなかったのだけど、左の背中が板のように凝っていたそうだ。冷え性対策で足の裏にはお灸が据えられた。でも、あまり熱さを感じなかった。冷えがひどいとそうらしい。20分ぐらいの間に15本ぐらいの鍼がさされ、人間ハリネズミになった。30分の治療を終えた後は、あれ、不思議、不思議。食欲が回復し、リセットボタンを押されたようにすっきりした。でも、鍼はベホイミじゃないんだから、ふだんから体を労らないとね。31年使っている体なんだから。
 こうして食欲を取り戻したので、お昼を食べに行くことにした。その途中、以前見かけたドトール猫に再会。誰かからもらったカリカリをもりもりと食べていた。よし、今日はラーメンだ。

土曜日, 5月 03, 2008

アルファギーク

 僕がほぼ毎日チェックしてるBlogの1つに、小飼弾さんの「404 Blog Not Found」がある。このタイトルからして人を食ったようなネーミングで、このセンスの通り、とてつもない個性の持ち主だ。いつだったか、梅田望夫さんのことを調べていたら、このブログに辿り着いた。ブログの文脈では、アルファ・ブロガーと称される人だ。生き様も強烈で、15歳で大検合格、その後、UCバークレーに留学して、家の事情でドロップアウト。その後、Livedoorの上場やWebにかかわる仕事で活躍している。
 そんな弾さんがWEB+DBで連載していた記事をまとめた本、「小飼弾のアルファギークに逢ってきた」を読んだ。ハッカーのはしくれとして、Webの動向を押さえておきたいと思って買ったのだが、面白くて2日で読んだ。ちなみに、「アルファ」とは動物行動学でリーダーをさす言葉で、「ギーク」とは人付き合いが不得手な知識人、というようなニュアンスがある。この本を読むと、切れ味鋭いコメントと言葉の選び方に、並々ならぬ教養と知性を感じる。時に、あまりの批判力にうざったくもあるのだけど。ギークたちの言葉から伝わってくるのは、好きを貫くという姿勢と実際にやってしまう行動力。これは研究者にも必要な姿勢だとつくづく思う。人の悪口を言ったり、揚げ足取りをするよりも、自らの行動に語らせる方が100倍偉い。「ほらな」って。

木曜日, 5月 01, 2008

時をかけるロボット

 TSUTAYA DISCASで借りた「アイ,ロボット」と「時をかける少女」を観た。前者は、巨匠アイザック・アシモフのSFが原作で、映画の主演はウィル・スミス。ウィル・スミスの演技自体は良かったが、アシモフが描こうとしていた世界観は描けてなく、ぐっと来るものがなかった。ロボット三原則が提案されたアシモフの記念碑的な作品だけに残念。同じ近未来なら、やっぱり僕は攻殻機動隊の世界観の方が断然好き。Matrixが攻殻をもとに作られたのは有名な話だが、なんと、スピルバーグが攻殻の実写版を作るというニュースがあった[Link]。残念な作品になる可能性が大だが、やっぱり映画館で観てしまうんだろうな。
 一方、「時をかける少女」は前から観たいと思っていた作品で、さわやかながら印象に残る素敵な作品だった。メディア祭で賞をとるのもうなずける。筒井康隆の原作の20年後という舞台設定もユニーク。タイムリープと恋愛模様というのは真新しいテーマではないけれど、この作品はアニメとしてよくできている。こちらはお勧め。

水曜日, 4月 30, 2008

18位

 久しぶりにArtificial Life誌のWebサイトを見ていたら、なんと僕の論文"Evolution of Birdsong Syntax by Interjection Communication"が、Most Downloaded Article(最もダウンロードされた論文)の18位に入っていた[Link] 。ランキングの8位内はFreeの見本論文で、それ以降が有料論文である。僕が好きなLinda Smithの論文が20位なのを考えると、大健闘なのではないか。去年夏に論文が出てからあまりダウンロードされている風ではなかったのだが、いったい何がきっかけで僕の論文が知られるようになったのだろう?ちなみに、Free論文になっている後輩の鈴木君の論文は、前回までぶっちぎりの1位で、今回も6位になっている。すごいなあ。
 僕が一番好きなのはこのジャーナルだが、正直、面白くて魅力的な論文が少ないように思う。最近は出版までのプロセスが早いことから、PLoS ONEなどのオンラインジャーナルが流行っているが、ぜひArtificial Life誌には頑張ってもらって、味のあるモデル研究を載せてもらいたい。もちろん、僕も良い仕事をして、ばんばん投稿したい。

月曜日, 4月 28, 2008

書いたどー

 やっと、Data Mining and Knowledge Discovery[Link]に投稿する論文のドラフトを書き上げた。とても苦しかった。何度も途中で腐りそうになったが、意地でがんばった。これで、今年度書く予定の4本の論文のうちの1つにめどがついた。まだまだ荒削りなところがあるが、方法論の論文にしては読みやすくコンパクトにまとまったと思う。投稿までに説明を簡潔に、そして図をもっとわかりやすくして、ぜったい受理されるようにしたい。
 論文のタイトルは、「Ethological Data Mining: An Automata-based Approach to Extract Behavioral Units and Rules」。論文のドラフトをブログに乗せるわけにはいかないので、アブストラクトとこの解析方法の概念図を載せます。
Abstract

We propose an efficient automata-based approach to extract behavioral units and rules from continuous sequential data of animal behavior. Introducing original extenstions, we integrate two elemental methods -- the N-gram model and the Angluin's machine learning algorithm into an ethological data mining framework. It allows us to obtain the simplest finite automaton representation of behavioral rule that accepts (or generates) the smallest set of possible behavioral patterns from sequential data of animal behavior. With this method, we demonstrate how the ethological data mining works using real birdsong data and performs experimental evaluations of this method using artificial birdsong data generated by a computer program. These results suggest that our ethological data mining effectively works even for noisy ethological data by appropriately setting the parameters. In addition, we demonstrate a case study using the Bengalese finch song, showing that our method successfully grasps the core structure of the singing behavior such as loops and branchings.
こちらがEthological Data Miningの概念図。EUREKAでReversible Automatonを使って解析をするときのプロセスフローを表している。


下の写真は、論文の構想を練っているときに書きなぐったホワイトボード(柿下君が写真を撮ってくれた)。


 次は、ジュウシマツの歌学習の発達ダイナミクスの研究だ。夏休みにOferの所に行くまでに、2TBのデータすべてを解析するのだ

日曜日, 4月 27, 2008

理系のための口頭発表術

 今月は何かと発表する機会が多かった。そのつど自分なりに発表や資料を工夫しているつもりだが、どうも空振りすることもある。自分の発表内容に一杯いっぱいで聴衆のことにまで気が回らないと、特にそうだ。セミナーや学会に行くとしばしば発表のうまい人がいて、そういう人の発表は共通して平易な言葉でテンポよく進められ、聴衆のとの一体感がある。自分もそんな発表がしたいものだ。ときどき、内容がないのにやたら発表がうまいというパターンもあるけど、発表は下手なよりはうまいに越したことはない。先日、理研の紀伊國屋でこんな本をみつけたので購入した。

 この手の本は正直あまり好きではないのだが、この本は実際の研究例を用いて解説されているので良かった。だだし、研究例が生理学からのものが多いので、コンピュータ科学の人には例が親しみにくいかもしれない。それも勉強の一部と考えれば、決して損ではない。献立はこんな感じ。
  1. いかに準備すべきか
  2. 「面白い話」の構造
  3. 資格素材はこう使え(使うな)
  4. 「話し方」の技術
日本語訳もこなれているし、各章の最後にはフローチャート式にまとめがあるので、発表前にそれをざっと確認するだけでも役立ちそうだ。発表のレベルをアップさせたい人にお勧め。

土曜日, 4月 19, 2008

加速度

 梅田望夫さんの本はすべて読んだが、力強く前向きな言葉が溢れているのでとても好きだ。シリコンバレーでの起業経験と、その時に培ったある種の確信と直観、未来を志向する姿勢、その熱に触れるだけでこちらも不思議と奮い立たされる。最近読んでいる「ウェブ時代5つの定理 この言葉が未来を切り開く」もその例にもれず、とても元気になれる一冊だ。この本は、梅田さんが見聞き体験した言葉を、梅田さんの咀嚼でもって5つに分類して解説する、という構成になっている。5つとは、
  1. アントレプレナーシップ(不確定な未来を楽しむちから)
  2. チーム力(ひとりでは何もできません)
  3. 技術者の眼(確固たる基礎としてのテクノロジー)
  4. グーグリネス(グーグルらしさ)
  5. 大人の流儀(成熟した個としてのスタイル)
である。いわゆる巷で流行っているHow to的な本だったり、お説教すること自体が目的みたいな自己啓発ものとは次元が違う。人は理屈では動かない。意気に感じて動くのだ。本物の言葉にはそれだけで人を高揚させる力がある。スラッシュドットに、工学系学生が憂鬱な理由に「やる気を刺激しない教授たち」というのが載っていた[link]。その理由がよくわかる。偽物から熱は伝わらない。さて、僕が気に入っている言葉をこの本の中から1つだけ紹介したい。
I try to work on things that won't happen unless I do them. -- Bill Joy

木曜日, 4月 17, 2008

Wonderful Opportunity

 Tutaya Discasで予約していたB'zのIN THE LIFEが届いていたので、早速iTunesに取り込んだ。高校時代によく聞いたアルバムだが、大学の友達に貸したきりなくなってしまったのだ。植物が水を欲するように、このアルバムがうんと聞きたくなった。
 大妻女子大での講義のために資料を夜通し作り1時間ちょっと寝て、イグニッションキーがわりにiPodのホイールに指を滑らせ、Wonderful Opportunityとともに家をでた。3連のリズムが心地よく、春の暖かな日にぴったりの曲だ。僕のiPodからはWonderful Opportunityがヘビーローテーションで流れ続けた。YouTubeに動画があったのでリンクします。

逃がさないで 逃げないで
胸の痛みと手をつないで 明日を迎えよう
イヤな問題 大損害 避けて通る人生なら論外
生きてるからしょうがない
シンパイナイ モンダイナイ ナイ ナイ ザッツライフ イッツオ-ライ

うん、なんか頑張れる気がする。今週の土曜は理研の一般公開です。そのために、先週徹夜で生物言語研究チームに関するQ&Aを書きました[pdf]。さて、出来栄えはどうでしょうか?



月曜日, 4月 07, 2008

Action

 新年度になりました(写真は先週撮った理研の桜の写真)。ばたばと慌ただしい日々は相変わらずです。踏んでも踏んでも出て来るクリボーのように、やるべきことは次から次へとやってきます。論文を書き、BBSセミナー(資料pdf)で発表し、論文を査読し、学会のアブストラクト、共同研究の打ち合わせ、大学の講義の準備、そして、学振研究員になったので退職、保険、年金もろもろの手続き。やるべきことはまだまだあります。この辺で頭をよく冷やして、やるべきこと、やらないべきこと、を整理する必要があります。
 先日、BBSセミナーの準備や発表をしてみて、いい感じで集中できている自分に気付きました。谷さんが、そのときの発表を褒めてくれたので、この感覚はあながち間違ってはいないのでしょう。今年はこの集中力を切らさずに、誰にも真似できないしぶい研究をしたいと思います。Take action!

金曜日, 3月 28, 2008

どうにかなったこの旅路(バルセロナ編)


遅ればせながらバルセロナ滞在の追記です。ロンドンのヒースロー空港で置いてきぼりになった荷物は無事に翌日届きました。この話を橋本敬さんや山内ジミーさんに話したら、むしろ「荷物を運んでくれてありがとう」、というぐらいの気持ちでいないと駄目だとのこと。さすが旅慣れしている人の言うことは違う。次回からは、一日分の下着と歯ブラシぐらいは手荷物に入れておこう。
 学会がほぼ毎日、朝9時から夜7時ぐらいまであったのであまり観光はできなかったが、せめてアントニ・ガウディの建物ぐらいは見ておきたいと、学会の合間にサグラダ・ファミリア教会バトリョ邸を見てきた。左の写真は一生完成しないのではないかと思われていたが、2026には完成する予定になったサグラダ・ファミリアの鐘楼からの眺め。着工が1882年だということだから、実に126年も工事が続いていることになる。バトリョ邸もそうだったが、デジカメなんかでは切り取れないぐらい表現が細部に当たって溢れていて、僕がどんなに言葉をつくしたところで伝えられない、そんな構造物だった。そして、形と機能がみごとに融合していて、古いどころか何世代も時代を先取りしているような感じがした。これが天才の仕事なのか。人と違うものを作ろう作ろうとしてこうなったのではない、自分の内なる声のままにただ表現しただけなのだ。今度バルセロナに来るときは、すべてガウディ作品を見てみたい。

火曜日, 3月 11, 2008

どうなることやらこの旅路(バルセロナ編)

Evolang2008に参加するためにバルセロナに来ています。これはその初日の辛かったお話。今回の旅は順調な滑り出しのように思えた。余裕を持って飛行機に乗れたし、機内では隣が空席だったので快適に12時間を過ごせた。寝なかったので、ホテルに着いたらぐっすり、そして時差ボケもなくバッチリ、のはずだった。
 予定がおかしくなったのは乗り継ぎのロンドンから。この日はあいにくの雨で飛行機のスケジュールが乱れていた。僕はANAからIVERIA航空にすぐに乗継ぎする予定だったが、15時の便はキャンセル。何とか18時の飛行機に乗れるようにしてもらって、バルセロナに着いたのは21時過ぎ。そして、衝撃の事実が。預けた荷物が待てども待てども出て来ない。同じ便に乗っていたツアーの添乗員さんの話では、荷物はロンドン。なんでやねん。IVERIA航空ではしょっちゅうだそうです。僕の後ろでは、ヒステリックなおばさんが溜息をこれ聞けよがしに吐いている。やる気のないIVERIAの職員にもめげず、荷物紛失の書類を書いてタクシーでホテルへ。(ここでプチぼられた)
 カタルーニャ広場で降りて、わかりづらいホテルの入口を発見すると入口はロックされていて、電話をせよとのメモが。公衆電話を探して、メモにあった番号を押そうとしたら3が押せない。オー、神よ!PCだったら、エアーダスターでシューシューするところだ。すでに夜中の12時過ぎ。スペインでは英語は片言しか通じないし(メキシコでもそうだった)、不安この上ない。しばし待つこと10分、オーナーらしき人が来て鍵を開けてくれて、やっとこさこの部屋に。ちなみにオーナーはとても親切だが、その振る舞いと連れている友達から察するにゲ○でしょう。どうなることやらこの旅路。
(前略) 迷わず行けよ 行けば分かるさ ありがとー!(猪木)

日曜日, 3月 02, 2008

Betty Forever

 全国のベティ・ファンのみなさん。残念なお知らせです。理研の癒しのシンボル猫、ベティにはもう会えないことになりました。守衛さんに「最近、猫を見ませんがどうしたんですか?」と尋ねてみたところ、最近、野良猫が増えたため、守衛室で飼ってはいけないと庶務課からクレームが来たそうです。それで、これまで餌をあげてきた猫好きの食堂のおばさんが、まとめて猫をひきとったとのこと。つかまったのは全部人懐っこい猫たちで、ベティ、アップル、マック、エクセルはもれなくおばさんにもらわれたのです。それでも、3匹ほどまだ野良猫が生息していて、たまに餌をもらいに守衛さんのところに来るのだけれど、人が見ている前では餌を食べてくれないらしいです。「あの猫はストーブの前でねっ転がったりして、人懐っこかったんだけどなあ~。」と、守衛さんも残念がっていました。真夜中まで仕事をして帰るとき、1つのストーブで暖をとっている一人と一匹をよく見たものでした。ベティたちは、今頃、親切なおばさんにかわいがられて、寒い思いもせず幸せに暮らしているのでしょう。うれしいような、さみしいような、複雑な気持ちです。
 下の写真は、駐車場を散歩していた近所の飼い猫。この猫はとても人懐っこくて、会う人会う人に「にゃー」といって愛想を振り撒いて行きます。タイヤで爪を研いじゃうやんちゃものだけどね。

月曜日, 2月 25, 2008

ドトール猫

 2月22日はにゃん、にゃん、にゃんで、猫の日なのだそうだ。最近この寒さのせいか、とんと猫を見かけなくなった。理研の猫はもう2、3か月見てないし、アパートの近くの猫たちも以前ほど見かけない。野良猫たちには今年の寒さは厳しかろう。
 池袋をぶらついていたら、ドトールコーヒーの入口で店内の様子をうかがっている猫がいた。「にゃんだ、コーシーが飲みたいだしか?」久しぶりの猫なので、人目もはばからず「にゃん!」と声をかけてしまい、道行くカップルに笑われてしまった。このにゃんこは、見るからにばっちいのだが、近づいて来てこすりこすりしてくる。とても人懐っこい。あまりにひもじそうな顔をしていたので、ベティにあげようと思ってカバンの中に常備していたカツオ棒をあげた。彼(彼女?)はガツガツ平らげて、物足りなそうにしていた。次は隣の大戸屋で、かあさんのカツ煮定食の残りでももらうのだろう。お腹をこわすでないぞ。




火曜日, 2月 19, 2008

ぶんぶんぶん、ろんぶん。

 電通大の柿下君が修士論文で最優秀賞をとった。彼とは3年間知恵を出し合って研究をしてきた。オーストラリアの学会も一緒に行った。自分がもったはじめての学生のようなものなので、とてもうれしい。自分が学生時代は賞なんてものとは無縁だった。一度だけ、Artificial Lifeの国際会議でProceedingが論文賞の候補に挙がったことはあるけど、結局落ちちゃった(その後、この研究は無事、Arficial Life誌に載りました)。
 Kakishita et al.を3月中に、Sasahara et al.を4月をめどに論文をまとめたいと思っている。はあ。ふう。だぁ。まだエンジンはかかっていないが。機械学習と生物、天と地ほども差がある両者をうまく関係づけて、目から鱗が落ちるような論文にしたい。特に、問題の設定の仕方や共有の仕方が問題だ。そこを失敗すると、いつも火だるまになる。境界領域はそういうところが楽しくもあり、つらくもある。統数研のレポートを先週なんとか仕上げたので、ここに掲載します。まだまだ研究の途中経過だけど、コメントがある方はよろしくお願いします。あと、誤字脱字も。[PDF]

金曜日, 2月 15, 2008

林檎と坊主

 ちょっと高かったけど(福澤さん約1.5人分)、前から欲しかったBOSEのin-earイヤホンをiPod用に買った。純正のイヤホンと圧倒的に違うのが、低音領域。音の響き方がとても心地良い。耳へのフィット感も良い。イヤーパッドがとれやすいというコメントがちらほらあるので、なくさないようにしないと。
 BOSEのノイズキャンセリング・ヘッドホン、Quiet Comfort3は昨年から使っていて、こちらはすでに僕のお気に入り。環境音の逆位相をリアルタイムで計算して、それをぶつけてノイズを打ち消すというもの。アイディアとしては誰でも思いつくようなものだが、FFTの開発やコンピュータの性能の向上があって実現できた技術だ。海外に主張する時は必需品。さすがに飛行機の「ガー」という音が無音になるわけではないが、あの耳障りな音はだいぶ軽減される。バッテリーのもちも悪くない。一回の充電で数日はもつ。これをつけて仕事をしていると、人から呼ばれても気が付かないことが少なくない。ほんとに音楽以外聞こえないのだ。
 ビックカメラでイヤホンを買って店を出ようとしたら、入口で大量のチョコレートが機械的に捌かれている。なんと商魂たくましい。でも何だか味気ない。作ってくれたり、選んでくれたり、という気持ちがうれしいのだと僕は思うけれど。

木曜日, 2月 14, 2008

どげんかせんといかん

 ここ2日何だか慌ただしかった。早起きをして、午前中、鳥の世話と書類仕事を急いですませて、ワークショップに参加するために本郷に。機械学習や自然言語処理の現状を知りたくて参加した。[link] 二日目の講演は、僕にとって興味深いものだった。テクニカルな話の詳細までは追えなかったけど、何をしたいかはわかった。(岡野原君がブログで簡潔にまとめてくれている。[link] ) 電通大の柿下君とやっている研究をまとめる上で参考になった。
 東大の岡野原君と話ができた(というよりは、僕が質問しまくっていただけかもしれないが)も良かった。N-gramの文献をWebで探している時に、よく彼の書いた物が検索にかかったので、誰だろうと調べたら僕と同じ磐城高校の後輩だった。磐高ではラグビー部で、現役で東大。スーパークリエーターに認定されたり、数々の賞を受賞し、がつがつ研究をしている。先輩としては誇らしい限りだ。若い才能と一緒にいると、「どげんかせんといかん」という気に自ずとなってくる。磐高コンビで共著論文を書く機会に恵まれたらとてもうれしい。さて、まずは目の前の締切間際の書き物を終わらせないと。去年11月に統計数理研究所でやった研究会[link]の報告書がまだ書けずにいる。がんばれ、レゴ。

月曜日, 2月 11, 2008

博士の愛した数式

美しい文章で綴られた美しい物語だった。80分しか記憶の続かない博士と家政婦さんとその息子ルートが、数学という言葉を介して、ぎこちないながらも不思議で暖かな絆を築いていく。それは、友愛とも恋愛とも家族愛とも違う。しかし、それらに劣らず温かくて確かな絆だ。文字通り計算された数のトリックが、独特の雰囲気を小説に与え、読んでいて小さな「へえ」が絶えない。文学者が数学を表現すると、こうも美しく描けるものなのかとつくづく感心した。僕が好きな文章を2つ紹介したい。

博士が家政婦さんの息子にルートというあだ名をつけるシーンで。
「君はルートだよ。どんな数字でも嫌がらず自分の中にかくまってやる、実に寛大な記号、ルートだ。」
家政婦さんがオイラーの式を解釈するシーンで。
果ての果てまで循環する数と、決して正体を見せない虚ろな数が、簡潔な軌跡を描き、一点に着地する。
Amazonの書評では、人物の詳細が書かれていないという手厳しいコメントもあったが、そこに重きが置かれていないからこそ描けた世界観なのではないかと、僕は思う。機会ががあったら、映画化された作品のDVDも観てみたい。


ちなみに、オイラーの式とは左のような式で、この簡潔な表現に、虚数i、円周率π、ネイピア数e(自然対数の底で約2.7)、そして、マイナスと1、数学の主役たちが詰まっている。このオイラー式を主題にして、解析学の基礎をすっきり学べる、僕のお気に入りの一冊がこちら。今は文庫版のみ売っている。

水曜日, 2月 06, 2008

冬の猫背


 フィットネスクラブでトレーニングをした後、ひとっ風呂浴びて、気持ちよく道を歩いていたら、このにゃんこに出会った。首輪がついているので、きっと飼い猫なのだろう。でも、何でこんな時間、しかも、こんな寒いお外にいるんざんしょ。「にゃー」と声をかけたら、「ぐるにゃー」と言って近づいてきた。とても人懐っこい。足元でこすりこすりをして、目からは餌くれ光線が出ている。ついでに、鼻水も出ている。風邪か、花粉症か。とまれに背を向けてわが道を行く猫。素敵です。
 そういえば、理研の猫たちを最近全然見かけない。昼時、保健センターの軒下や守衛さんの所をのぞいてみるが、とんと見かけない。寒くて飢えているのではないかと心配だ。いつ彼らにあっても餌があげられるように、99円ショップでかつお棒を買った。「焼きかつおしらす味、土佐清水港直送」。こんなところにも偽装が。舛添さーん。